

何度か子宮頸がん検診の結果の見方をご説明していますが、一番混乱されるのがやはり「ASC-US」という結果だった時のようですね。
学会のガイドラインでは、検査結果が「ASC-US」だった場合は次のいずれかの対応をすることになっています。
1)半年後に子宮頸がん検査を再検査する
2)HPVハイリスクタイプの検査をする
3)コルポスコピー検査をする
このうち、推奨されているのは2)の、まずはHPV検査を行うという方法のため、当院でも「ASC-US」だった方にはすぐにコルポスコピー検査は行わずHPV検査をするようにしています。
いきなりコルポスコピー検査をしてもいいのですが、HPV陰性であれば行わなくていい検査なわけですから、無駄な検査をしないという意味でもHPV検査を行うのが効率的だと考えております。
また、組織診は痛みや出血を伴う検査ですので、本当に必要な方のみに行えるようにという意図もあります。
実際、ASC-USだったけれどHPVは陰性という方も2割くらいはいらっしゃいます。逆に言えば、ASC-USだとHPVも陽性なケースの方が多いわけですが。
ASC-USでHPVも陽性だった場合に組織診を行うと、ほとんどは軽度異形成又は中等度異形成という結果が返ってきます。少なくとも当院では、子宮頸がん検査がASC-USで、組織診をしてみたら癌だったというケースはまだありません。
つまり、癌になりきる前に異常を見つけるためにも、こういった早い段階の異常をしっかり見分ける事が重要なんです。
HPVハイリスクタイプの検査は、子宮頸がん検査がASC-USだった方のみ保険で行えます。それ以外の方や、子宮頸がん検査と一緒に行う場合は自費になります。
この検査が「陽性」だった場合、数種類あるHPVハイリスクタイプのうち「どれかが陽性」という意味ですので、ワクチンの対象となる「16型や18型」が陽性なのかそれ以外のタイプが陽性なのかは判別できません。
「何型が陽性なのか知りたい」という場合は、自費の検査になりますがHPVタイピング検査を行うことでよりはっきり調べることが可能です。
最近は、生活習慣病や感染症の検査を手軽に受けられるような「自己検診キット」も数多く出回ってきているようですね。
忙しくて病院には行けないけれど生活習慣病が気になる・・・といった、忙しいサラリーマンの方などは、検査を全く受けないよりは自己検診でもいいから定期検査を受けていただいた方がいいのかもしれません。
ただ、注意が必要なのが子宮頸がんの自己検診キットです。
時々、会社の検診がこの自己検診キットを渡されるだけというケースがあるようなのですが、子宮頸がん検診の自己検診はお勧めできません。
子宮頸がん検診は、子宮の出口(頸部)と子宮頚管内をまんべんなくこすって細胞を採り、顕微鏡で細胞の形を見る検査です。正確な検査を行うには、正しい位置から十分な数の細胞を採ってくる必要があります。
病院で検査を受ければ、医師が子宮の出口を目で確認して検査を行いますので、細胞を採ってくる場所が不適切というケースは稀なのですが、自己検診の場合本来こすってくるべき場所ではないところから細胞を採って提出される可能性があります。
例えば、子宮の出口の下半分に悪い細胞が出ているのに、自己検診で上半分しかこすらずに検査を行ったら、結果は「異常なし」と返ってきてしまうんですね。
本当は病変があるのに「異常なし」という結果が出る事を「偽陰性」といいます。自己検診の場合、この「偽陰性」になった時が最も危険です。本来であれば病院に行かなければいけない状態なのに「検査で異常がなかったから安心」と受診の機会を逃してしまうからです。
婦人科検診は何かとハードルが高かったり、「忙しい」「めんどくさい」を理由に検診を受けない方が多いのは非常に残念な事です。
どんなに忙しくても、年に1回は自分の健康維持のためと思って、検診を受けていただきたいなと思います。
どうしても受診ができなくて自己検診で済ませるしかないという方は、子宮頸がん検診とHPV検査を併せて行って下さいね。
クリニックでは、妊娠前検診やブライダル検診として、一通りのSTDチェックもお勧めしています。
女性がかかる性感染症の中で最も多いのがクラミジアなのですが、感染してもほとんど症状が出ないために知らないうちに感染してずっと未治療のままというパターンも珍しくありません。
なぜクラミジアを妊娠前に調べておいた方がいいかというと、クラミジアによる炎症が卵管まで広がってしまうと「卵管閉鎖」という不妊の原因になってしまう事があるからです。また、妊娠を目指すまではコンドームを使っていたという方も、妊娠したいと思ったらコンドームを使わなくなります。つまり、クラミジアを相手にうつしてしまう可能性が出てくるわけですね。
実際、不妊検査の一環としてクラミジアを調べてみたら陽性で出たり、ブライダル検診でクラミジアが見つかったりする事もあります。
20代で不妊の方の3割はクラミジア抗体が陽性というデータもあるくらい、不妊の原因として注意が必要な感染症の1つなんです。
クラミジアの感染自体は抗生物質を飲めばほぼ治ります。ただ、炎症によって卵管が閉鎖していないかどうかは治療後に「子宮卵管造影」という検査をしてみなければ分かりません。
感染しないように予防する事が最も大切ですが、せめて早期発見できるように、結婚前や妊娠前にチェックするようにしてみてくださいね。
自治体が行っている子宮頸がん検診の助成対象は「20歳以上」「2年に1回」となっているところが多いのですが、実際はどのくらいの間隔で子宮がん検診を受けたらいいのでしょうか?
HPVの感染から子宮頸がんになるまでに少なくとも3年かかると言われています。
なので、本当は20歳になっていなくても性交渉開始から3年たっていれば子宮頸がんになる可能性はあるので、性交経験があれば10代でも検診は必要です。
検診の間隔は、前回の検診が「異常なし」という結果でその結果が100%正しければ理論上は3年に1回でいいということになります。ただ、検査には必ず一定の確率で「偽陰性」つまり不正確な結果が出る事があるため、3年は明けずに受けましょう、という意味で2年に1回となっています。
ただ、現在の検診方法である細胞診のみの検査だと、2年あけるのはリスキーであるという意見もあります。より確実に子宮頸がんを早期発見しようと思ったら、やはり1年に1回の検診を受けるのが理想的といえるでしょう。
「検診間隔を3年に1回にしても大丈夫」と言えるのは、細胞診とHPVハイリスクタイプ検査の両方が「異常なし」という結果だった場合です。
この場合、現時点で癌の手前の「異形成」という病変以上の変化はほぼ100%ありませんよと言えますから、次の検診は3年後で大丈夫なわけです。
検診で行うHPV検査は自費になりますが、毎年子宮頸がん検診を受けるのはちょっと大変だな、という方は併用検診を受けてみてはいかがでしょうか。
一口に「婦人科検診」と言ってもその内容は受ける検診や病院によって結構異なっていたりします。
会社で受ける健康診断や人間ドッグにオプションでついている「婦人科検診」は、多くが子宮頚がんの検査と内診(触診)のみなんですね。実は、これだけでは子宮筋腫や卵巣のう腫や卵巣がんのチェックは充分できません。
婦人科検診として、最低限受けておくべき検査は「子宮頚がん検診」と「経膣超音波検査」です。超音波の検査を加えることによって、子宮や卵巣に形・大きさの異常がないか確認できます。
また、年齢が40歳以上の方は子宮体がんの検査も加えておくと安心です。
会社によっては、子宮頚がんの検査を「自己検査」で行っているところもあるようですが、これは見落としのリスクが高いのでおすすめできません。
子宮頚がんの検査は、正しい場所から正しい方法で充分な細胞を擦り取ってこなければ正確な検査ができないんです。自己検診だと、正しい位置から細胞を取ったかどうか確認できませんよね?
子宮頚がんの検査は、必ず医師による検査を受けるようにしましょう。
これ以外にも、年齢別の受けておいた方がいい検査があります。
10代~20代で性交経験がある方は、この年代が最も性感染症にかかっている率が高いので、クラミジアや淋菌感染などのいわゆる「性病チェック」をしておいた方が安心です。
30代の方は、子宮頚がんのリスクが高くなってくる年代なので、子宮頚がん検査と一緒にHPVハイリスクタイプの感染がないかをチェックしておくといいでしょう。
40~50歳の方は、ホルモンのアンバランスがおきやすくなりますので、特に更年期や月経不順が気になる方はホルモンチェックを受けておくことをお勧めします。
自分がどの検診を受けた方がいいのか分からない、という方はご予約の際にご案内いたしますので、お気軽にご相談くださいね。
HPVはヒトパピローマウイルスの略で、約100種類の「型」に分類されています。このうち、子宮頸がんの組織から見つかっている「型」がいくつかあり、それらを「ハイリスクタイプ」と言って他の型とは分けて扱っているんですね。主なハイリスクタイプは、16型・18型・31型・45型・52型・58型などです。
昨年末に発売されたHPVワクチン(サーバリックス)は、これらのハイリスクタイプHPVのうち、16型と18型の2種類のみを予防するワクチンです。きちんと接種すれば少なくとも7年はほぼ100%の予防効果が期待できることが確認されています。これは、7年しか予防効果がないということではなくて、確実に予防できていると追跡調査できた期間が7年までという意味で、実際はほぼ一生予防効果は持続すると予測されています。
16型と18型が原因となっているケースが最も多く、子宮頸がんの約6割はこの2つのどちらかが関わっています。つまり、ワクチンによってこの2種類がブロックできれば、子宮頸がんのリスクを6割減らせるということです。ただし、ワクチンを打っても残りの4割はブロックできませんから、子宮頸がんになるリスクが「ゼロ」になるわけではありません。ワクチンを接種しても子宮がん検診は必ず受けるようにしてくださいね。
ワクチンが最も有効なのは、HPVに感染する前つまり性交渉を始める前です。なので、10代の性交経験前の女性が最優先対象となります。病院でも、「私はもう打っても意味がないかもしれないけれど、娘に打っておきたいので」とパンフレットを持っていかれる患者さんも結構いらっしゃいます。
性交経験後であってもHPVの16型や18型に感染していなければワクチンの意味は十分にありますし、20代や30代でも効果が期待できないわけではありません。ただ、性交開始からの年数が長ければ長いほど、HPVに感染している可能性は高くなりますから、年齢とともに効果が下がってしまうということなんですね。
接種前のHPV検査は不要となっていますが、どうしても気になるようであればHPVに感染しているかどうかを事前に確認するための検査は可能です。ただしこの検査は保険がききませんので、自費になってしまうんですね。個人的には、子宮がん検診で異常が出ていないのであれば、HPV検査はしなくてもいいのではないかと思います。
ワクチンの値段は、大体1回18000円~20000円くらいになります。全部で3回の接種が必要なので、3回分まとめて50000円くらいにしている病院もありますね。ワクチンも自費ですので病院によって値段が異なります。料金については事前に確認しておくといいかもしれません。
3医会合同講習会で仕入れてきた、HPVワクチンについての最新情報をお伝えしますね。
女子大生におけるHPV感染の追跡研究では1年以内で約15%・3年以内で約45%が陽性化するそうです。それらをさらに追跡すると、陰性化する頻度が6ヶ月で30%・12ヶ月で70%・24ヶ月で90%。つまり、過半数の女性が一生に一度は感染するけれど、2年以内に9割の人はHPVの検査が「陰性」になるってことです。
全女性の50~80%が感染するわけですから、演者の先生はHPV感染は子宮が風邪をひいたようなものだとおっしゃっていました。
一方で、若い頃からこのHPVに感染してしまう事は、20代30代で子宮頸がんが増えている事と明らかに関係しています。
HPVの検査をすると陽性率は15~19歳がピークで4割以上の人が陽性で出ます。年齢とともに徐々に陽性率は下がっていって、35~39歳以降で10%以下になるんです。
ただ、「検査で陰性になった」ことがイコールHPVが排除されたという事にはならないんだそうです。HPVは排除されるわけではなく、検査で引っかからない状態で潜伏し続けるらしいんですね。
だから、一度でもHPVにかかってしまったら、例え検査で陰性化しても子宮頸がんになるリスクが下がったと安心してはいけないとおっしゃってました。
この潜伏の状態だとウイルスも悪さはしませんので、子宮頸がんに細胞の変化が進んでいく事もありません。いつ潜伏状態からウイルスが目覚めるかが問題なだけなので、1年に1回の検診を受けていれば心配する必要はないんですね。
ただ、ウイルスがすでに潜伏しているという事は、感染後にワクチンを打っても効果が得られないかもしれないという事です。こういった、検査では「陰性」となってしまう潜伏感染は当然年齢とともに多くなっていきますから、ワクチンの効果も年齢とともに下がってしまいます。
30代や40代の方がワクチンを打っても害はありませんが、予防効果という意味でもあまり効果は期待できないとのことでした。
なので、30歳以上の方がワクチンを打ちたいとおっしゃったら、もしかしたら効果がないかもしれないことと必ず年に1回の子宮頸がん検診は必須である事をご理解いただいた上で接種することになるんですね。
ちなみに、最優先接種対象者は、性交経験がない女性です。
何歳であっても、性交経験がなければHPVに感染していないわけですから、ワクチンによって70%もの予防効果を期待できます。
海外では、10~12歳くらいで公費負担で接種している国が多くて、それ以降の年齢でも25歳くらいまでは優先的に接種する対象になっています。
また、子宮がん検診で軽い異常が出ていても、ハイリスクタイプのHPVに感染していても、コンジローマにかかった事があっても、10~20代であれば50%の予防効果は期待できるので、HPVの16型や18型に感染しているかどうかの検査はせずに、優先的に接種する事を勧めた方がよいとのことでした。
患者さんにもよく聞かれるのですが、「コンジローマにかかった事があったらワクチン打てないんですか?」とか「HPVの検査で陽性が出てしまったらワクチン打っても意味がないんですか?」という心配は必要ないという事です。
逆に、ワクチンによる予防効果があまり期待できないケースは、明らかに16型や18型に感染していることが分かっている人・すでに円錐切除を受けた人・40歳以上の人です。
同じ手術後でも、レーザー蒸散によって治療した後の人は、再発予防のためにワクチンは接種した方がいいとのことでした。
30歳以上の人については、ワクチンを打つよりも定期的な子宮がん検診をサボらない事の方が重要になってくるのですが、海外と比べて検診の受診率が約20%という低さの日本では、30代や40代でもワクチンを打った方がいいのではないかという考えもあるそうです。
いずれにしても自費なので、接種するかどうかは本人の希望次第なんですが、接種前のHPV検査は不要とはっきりおっしゃっていただけたので、ワクチン接種代以外はそれほどかからずすみそうですね。
1度HPVにかかったからワクチンは無理だわ~とか、レーザー蒸散した後だから意味がないかも、とあきらめていた方も、ワクチンの効果が期待できそうなので、担当の医師に相談してみるといいかもしれませんね。
婦人科の検診を受けた事のある人は、案外少ないのではないでしょうか。30歳(居住地域によっては20歳)を過ぎると、がん検診受診を促すハガキが送られてきた人もいるはず。せっかく無料叉は格安で定期検診が受けられるチャンスなので、上手に利用してみて下さいね。
厚生労働省が発表している「がん検診の受診率の推移」によると、子宮がん検診の受診率は若干減少傾向で約15%。ちなみにアメリカの女性の子宮がん検診受診率を見てみると、1988年の時点で3年に1度でも検診を受けた事のある女性が79%です。日本の女性も、もっと「自分の健康は自分で守るもの」という意識を持って欲しいなと思います。
子宮がんの罹患率(かかる人の割合)は、確かにわずかに減少傾向です。でも、20代や30代での早期の子宮がんの発見は逆に増えてきているんです。
子宮癌は早期(0期叉は1a期)に発見されれば、子宮の一部叉は子宮全部をとることでほぼ完全に治療する事が可能です。しかし、早期の場合自覚症状はほとんど出ません。不正出血や接触出血(性交後の出血)といったはっきりとした自覚症状があったときには、たいてい進行癌の状態になってしまっているんです。
治療可能な早期のうちに癌を発見するためには、定期的に検診を受ける以外に方法はありません。
検診の種類にも色々あって、発見率の低さからあまり有用ではないとされるものも中にはあります。
でも子宮頸がんの検査は違います!厚生労働省の「がん検診の適正化に関する研究班報告」でも、「検診による死亡率減少効果があるとする十分な根拠がある」ものの一つとして「細胞診による子宮がん検診」を挙げています。ちなみに、このランクの検診は他に「視触診とマンモグラフィの併用による乳がん検診」と「便潜血検査による大腸がん検診」です。
20代で癌の心配をする人は、非常に稀だと思います。でも、30代で発見される子宮癌が増えているということは、その癌の「芽」は20代のうちに出てきているという事なんです。
癌はいきなり癌になる訳ではありません。細胞が徐々に変化して、顔つきを変えていって、そして癌になっていきます。稀に、正常な細胞からいきなり癌になってしまうタイプのものもありますが、少なくとも子宮頸がんによくあるタイプの癌は徐々に変化していくタイプのものです。
この変化には何年という時間がかかります。なので、その途中で発見する事が出来れば、早いうちに癌の芽を摘み取ることが出来るというわけです。
じゃあ何歳くらいから調べるのが適切なのか・・・・性交経験の開始から3年以内、もしくは20歳を過ぎたら、2年に1回は検診を受けるべきです。
食生活の欧米化に伴って、日本女性にも乳癌が増えつつあります。現代では25人から30人に1人は、生涯の間で乳癌にかかる可能性があるというくらい。女性の癌死亡原因では、乳癌がトップになってしまいました。
とはいえ、まだまだ他人事、という意識の方が多いのか、乳癌検診の受診率も10%ちょっとという低さ・・・・しかも、まだ多くの方が乳癌検診は婦人科で受けるものだと誤解されているようです。
乳癌は「乳腺外科」の医師が診ます。乳癌検診は乳腺専門の外科で受けるものなんです。
乳がん検診が必要になってくるのは、30歳以降。自治体の検診では40歳以上が検診の対象になっていることが多いんですが、30代で乳癌になるケースは少なくないんですよ。早期発見のためには、30歳を過ぎたら年に1回マンモグラフィー+超音波検査の併用できちんとした検診を受けてくださいね。
卵巣嚢腫は、卵巣の良性腫瘍の総称です。つまり、卵巣は腫れているけれど癌ではないものをまとめてそう呼んでいるんです。
卵巣癌になりやすい年齢は閉経前後、つまり40~50歳代ですが、卵巣嚢腫は逆に20~30歳代の若い女性に多く見られます。
卵巣の組織はとても複雑で、卵巣嚢腫の元になっている細胞が何かによって何種類もの分類があります。代表的なものは「成熟奇形腫(皮様のう腫)」や「チョコレートのう腫」です。
検診の結果は郵送で受け取ったり、病院の窓口で報告書だけ渡される事も多いと思います。まったく問題なければまあ、特に心配せずにすむでしょうけれど、「クラス2 半年後に再検査を受けてください」なんて書かれていると、「え?癌なの?癌じゃないの?」「何で再検査がいるの?」なんてパニックになることも・・・・
検査結果の大まかな見方は、知っておいた方がいいでしょう。
子宮頸癌の結果は、クラスの1~5に分けられています。簡単に分けると、クラス1~2が「白=癌ではない」、クラス3が「グレー=癌になりかけの疑いがある」、クラス4~5が「黒=癌」ということになります。
クラス3はさらに3つに分かれていて、白に近いグレーなのか黒に近いグレーなのかによって、その後の治療方針が変わってきます。
以下に、大体のクラス分けの意味を書いておきます。これはあくまで目安の解釈なので、特にクラス3以上の結果に関しては、その後の検査や治療の方針はケースバイケースになります。
クラス1⇒まったく異常ありません。正常な細胞のみです。
クラス2⇒炎症による変化や加齢による変化など、癌とは関係ない良性の変化が見られます。
クラス3a⇒やや細胞の顔つきに変化が見られます。白に近いグレーです。7~9割は自然にクラス1~2に戻りますが、残りは変化が進んでいく可能性があるので、2~3か月後の再検査や精密検査が必要になります。
クラス3⇒中等度の細胞の変化がみられます。組織診による精密検査をして疑わしい場合は「円錐切除=子宮の一部を切り取る手術」による診断が必要になる事もあります。
クラス3b⇒かなり強い細胞の変化が見られます。「円錐切除」による診断及び治療が必要になります。
クラス4⇒上皮内癌が疑われます。「円錐切除」叉は子宮をとる手術が必要になります。
クラス5⇒浸潤癌が疑われます。転移の有無を調べたり、手術や抗癌剤や放射線による治療が必要になります。
子宮頸がん検診は、基本的に婦人科であればどこでも受けられます。
「検診希望」と言って受診すると保険がきかず、何らかの症状があって受診すると保険で検査してもらえます。自費で受けても数千円の検査ですから、それほど高いものではありません。
市や区から「癌検診を受けましょう」というハガキが届いた方もいらっしゃるでしょう。これは、「老人保健事業」の一環として20歳以上の人は隔年で子宮頸がん検診が受けられるように国が補助を出しているんです。なので、ハガキで指定されている医療機関で指定時期に検診を受けると、無料もしくは格安で癌検診を受けることができます。
癌検診を受けたいな、と思ったら、まずは近所の婦人科クリニックなどに電話で問い合わせてみるといいでしょう。最近は完全予約制のクリニックも増えてきていますから、事前に予約しておいた方がスムーズです。
また、病院によってはランチタイム検診など、忙しいOLさんでも仕事の合間に検診が受けられるように時間設定してあるところもあるので、ネットで色々検索してみることをお勧めします。
検診のみの場合、保険証は無くても受診できますが、ついでに何か治療をしてもらったり、他の検査をする可能性もあるので保険証は持って行っておいた方がいいですね。
がん検診のみだと、あまり詳しい問診票を書く必要は無いのですが、記入する用紙は病院によって色々なので、渡されたものに必要事項を記入していきます。
診察は、内診台にあがって行います。
内診台にあがると、まずは指で子宮の大きさなどをみる「触診」をします。
次に、「クスコ」という腟内を広げてみる器具を入れて子宮の出口を観察します。
この時見える子宮の出口=子宮頸部が、がん検診をする場所なんですね。
子宮頚部を綿棒やブラシのようなものでちょこちょこっとこすって細胞を取ったら終了です。頸部は少々こすっても、少し違和感を感じる程度で痛みはほとんどありません。
これらの検査は、一通り普通にすればほんの1~2分で終わります。
患者さんの中には「え?もう終わったんですか?」なんておっしゃる方もいるくらい、本当にあっという間に終わるんですよ。
場合によっては、超音波の検査を追加することもありますが、それでもトータルで5分もかかりません。
内診の時に痛い思いをしてしまうのは、たいてい使う「クスコ」のサイズが合っていなくて、大きすぎる場合ですね。クスコには、SSSからLまで各サイズがあるんです。
初めて婦人科の診察を受ける方や、お産の経験がない方、高齢の方などは、SSクスコでないと痛みを伴ってしまうことがあります。逆に、性交経験があればSSやSのクスコは普通に入るはずなんです。
以前痛い思いをしてしまったとか、初めての検診で不安という方は、内診の時に「小さめのクスコを使ってください」とリクエストしておくといいですよ。
検査結果は1~2週間で出るのですが、結果が郵送で送られてくる場合、受診から1ヵ月後くらいに届くこともあります。
結果の確認方法は、「病院に行って結果を説明してもらう」「郵送で報告書が届く」のいずれかがほとんどです。中には電話で結果を教えてくれる病院もありますが、個人情報保護の問題があるので最近では電話で患者情報は言わない流れになってきています。
受診してしまえば、おそらく「あ、こんなもんか」と思うほどたいしたことのない検査なんですが、それでもなかなか受けていただけないんですよね。
ちなみに私は、1年に1回の検診を忘れないようにお誕生月に受けるようにしています。
誕生日が来ると「あ、そろそろ検診受けなきゃ」って思い出せるので便利ですよ。
1年のうちたった5分我慢するだけで子宮癌のリスクから逃れられるわけですから、「めんどくさい」なんて言わないでしっかりセルフメンテナンスして欲しいなと思います。
子宮頚がん検診で異常所見が出たときの対処法については、担当の医師によって方針が異なったり、ご本人の希望やライフプランに応じて対応が変わってくるので、「これが正しい」ということはお伝えしにくいのですが。
一番ご質問を頂くことが多いのが「クラス3aでちょっと異常だけど様子を見ましょうといわれたんですが・・・」というものなんですよね。異常所見が出たときの扱いについて少し詳しくご説明したいと思います。
まず、子宮頚癌検診の結果は、クラス1~5の5段階で返ってきます。詳しくは「子宮がん検診の結果の見方」をご参照下さい。
クラス1は、「正常な細胞だけです。何も心配ありません」という意味。今の段階で癌の心配は全くないということです。ただし、この結果の有効期限は1年と思って下さいね。1年に1回の検診を受けていれば大丈夫です。
クラス2は、「癌の心配は無いけれど、何らかの良性変化があります」という意味。良性変化は主に、炎症による変化か年齢的な変化ですね。おりものの中の雑菌にかぶれたりすると、炎症による変化がみられたりします。クラスが1から2になったからといって、さらに上のクラスに進んで行っているというわけではありませんからご安心を。炎症が治まれば、またクラス1に戻ることもありますし、クラス2のままのこともありますから、両者の違いはあまり気にする必要はないんですよ。この段階も、1年に1回の検診を受けていれば大丈夫です。
クラス3はちょっと飛ばして、先にクラス4と5について。これは「癌を強く疑う細胞がみられます。直ちに詳しい検査及び治療を受けてください」という意味。この段階で何もせずに様子を見ることは、まずないと思っていいでしょう。どんな検査や治療をするかは、ケースバイケースですから、その先の方針については省略しますね。
さて、一番扱いに困るのがクラス3が出た時です。クラス3はいわゆる「グレーゾーン」で、「癌とは言えないけれど、細胞の形が変化しつつあります」という意味。細胞の形の変化の強さによって、クラス3aとクラス3bに細かく分かれます。
物凄く大雑把に言うと、クラス3aは「細胞の顔つきが少しだけ変化してきています」という意味で、医学的に言ったら「軽度異形成」の状態。クラス3bは「細胞の顔つきがかなり変化してきています」という意味で、この段階を「高度異形成」と呼びます。
高度異形成は、癌の一歩手前の状態で、何もせずにほっておくと数年のうちに癌化する確率が高いといわれています。また、細胞診では「高度異形成」でもより詳しく調べてみると「上皮内癌」という癌のごくごく初期の段階が混ざっていることもあるので、クラス3bが出たら、普通はさらに詳しい検査をして治療の方針を決めていきます。
この段階できちんと治療すれば、「子宮腟部円錐切除術」という子宮の出口のホンの一部を切除する手術でほぼ完治できるんですよ。つまり、子宮を残したままで完治が望めるというわけです。定期的な子宮癌検診は、この段階で早期発見し、妊よう性(妊娠できる状態)を保ったまま完治を目指す事を目的としているんです。
では、クラス3aつまり軽度異形成の場合はどうするのでしょうか。実は、クラス3aという結果の中には、子宮の出口に強い炎症が起こっているために細胞にも強い変化が見られていますよ、というケースも含まれています。例えば、先日実際にあった症例ですが、クラミジア感染による炎症が強い時に癌検診をしたらクラス3aが出て、クラミジアの治療をした後にもう一度癌検診をしたらクラス2になっていたんですね。
クラス3bはほっておくと自然に正常な細胞に戻っていく事は少なく、癌へと進行していく確率の方が高いのですが、クラス3aはこのような一時的な炎症による変化も含まれているので、7~9割の人は自然にクラス1や2に戻っていくんです。だから、初めてクラス3aが出たらたいてい「3ヵ月後にもう一度検査を受けてください」と言われると思います。これは、3ヶ月では軽度異形成の状態から癌になることは理論上考えにくいからなんですね。
3ヶ月で炎症が治まって自然にクラス1や2に戻っていれば、それ以上詳しい検査をする必要はありません。半年後にもう一度検査をして、2回連続でクラス1や2が出れば後は普通の人と同じように1年毎の検診を受けてください、となるわけです。
逆に、もし連続でクラス3aが出たら、その一部にクラス3bつまり高度異形成が混ざっていないかを確かめるために「組織診」と言って、子宮の出口の一部をかじりとってよりたくさんの細胞を調べる検査をします。この検査でも「軽度異形成」と言う結果が出たら、自然に正常に戻る可能性のほうが高いわけですから、「また3ヶ月ごとに癌検診を受けましょう」と言う事になります。大体、7~9割が2年以内に正常に戻るというデータがあります。だから、「いつまで検査を受け続けるの・・・」なんて辟易せずに、きちんとフォローアップを受けるようにしてくださいね。
7~9割という事は、残りの1~3割はどうなるの?と思われる方も多いでしょう。残念ながら、軽度異形成の状態から徐々に高度異形成を経て癌へと進んでいくケースもあるんですね。ただし、癌になるまでの細胞の変化は、普通何年もかけて進行していきます。正常な細胞が癌になるまでに3~7年かかるといわれていますから、3ヶ月毎や半年毎にきちんとフォローアップの検査を受けていれば、癌になりきる前に発見する事ができるんですよ。
「高度異形成になるまで検査を受け続けて、そうなったとこで治療すればいいって事?」
その通りです。徐々に進んでいく細胞の変化を食い止めたり、予防したりすることは、残念ながら今の西洋医学の分野では行われていません。早期発見を心がけ、見つかったところで治療をする事しかできないんです。
もし私が、今、クラス3aですよと言われたら、3ヶ月に1回だけその事を思い出してきっちり検診を受け、それ以外の日は子宮の事なんてどっかに忘れて毎日を楽しむと思います。毎日しっかり笑ってしっかり楽しんで、免疫力を上げる事が、病気を吹っ飛ばすにはとっても大事なんですよ。
ここに書いている内容は、日本産婦人科学会が子宮がん検診の結果の表記方法を変更する前の「クラス分類」の解釈です。
実は、がん検診の結果の表記が新しくなったために、結果の解釈やその後の対処法がまだ若干統一されていないところがあります。自分の検査結果や治療方針に少しでも不安や疑問があったら、まずは主治医にきちんと質問しましょうね。
女性の癌発症率を見ると、20代では圧倒的に子宮頸癌が多くて、30代でもトップは子宮頸癌。30代になると乳癌が増えてはきますが、それでも子宮頸癌の半分くらいです。にもかかわらず、乳癌検診はピンクリボンキャンペーンなどでかなり大々的にアピールされていますが、子宮頸癌検診に関する情報はまだあまり広まっていません。
セックスの経験があれば、10代であっても1年に1回は子宮頸癌検診が必要であるということも、定期検診によって早期発見できれば子宮を残したままでほぼ100%の完治が期待できることも、ワクチンとコンドームによって予防できる癌であることも、ほとんど何も知らない人のほうが多いんですよね。
これが、日本女性の癌検診受診率が低い原因のひとつであることは確かです。若い人ほど検診を受けておらず、また妊娠・出産する年齢も上がってきているので婦人科に行く機会もありません。
「知らなかった」では済まされないことですが、実際はまだまだ必要な情報は伝わってないんですよね。
イギリスでは、25~64歳の女性が3年に1回(50歳以上は5年に1回)、全額公費で子宮頸癌の検診を受けられるようになっているそうです。そして、検診受診率は約80%・・・日本の15%とは大きく異なります。
また、HPV検査を併用することで、より検診の精度を上げているそうです。HPVワクチンは12~13歳で国の公費負担で実施されており、12~13歳で接種できなかった人も18歳までに再度受ける機会が設けられています。
ちなみに、HPVワクチンは世界105カ国で承認されており、先進国の中で承認されていないのは日本と北朝鮮と中国くらいでした。それが、昨年やっと承認されて、年末から接種が可能になりました。
オーストラリア・ノルウェー・ドイツなどでは、12~13歳の女性に国が全額公費で接種しています。ちょうど、昔の風疹の予防接種のような感じです。アメリカ・イギリス・フランスといった国々でも、大体11~14歳で接種するようになっています。
オーストラリアやニュージーランドやオランダでは、男性へのHPVワクチン接種も認められています。ワクチンそのものが非常に高いので、子宮頸癌になる側、つまり女性が優先的に接種の対象にはなるんですが、本当は女性にHPVを感染させるのは男性なわけですから、男女ともに予防接種した方がいいんですよね。
日本では、まだHPVワクチンを公費負担で行っている自治体はわずかで、接種にかかる費用約5万円は自己負担になります。本当は、中学入学時くらいに学校で集団接種した方が予防効果が期待できます。
HPVは性感染症なわけですから、性行動が始まる前に、女性全員に取りこぼしなく接種できることが大事なんです。
イギリスでは、中学生や高校生の頃からきちんと子宮頸がん予防や避妊に関する教育を受け、テレビのコマーシャルなどでも啓発されており、大学生になったら検診を受けるようにハガキが来るんだそうです。
10代の頃から「セックスの経験があれば子宮頸癌になる危険性がある。年に1回は子宮癌検診を受けること」ということをしっかりと刷り込まれているので、検診を受けるのが当たり前という意識が大人になる前に育っているんですね。
この辺りが、日本と海外の検診受診率の違いを生んでいるのではないでしょうか。日本では、ティーンを指導すべき立場の親や教師だって、子宮癌検診も乳癌検診も受けていなかったりしますからね。
病院は病気になった時に駆け込むもの、という認識を持っている人が多いのは、国がそういった教育をしてしまい、国民皆保険制度によって、「病気になっても安く治してもらえるんだから」というある意味健康意識の低い状態を育ててしまったからではないかと感じています。
これから日本の若い女性が子宮頸癌で子宮を失っていかないようにするためには、やはり検診の必要性を伝えていくしかないのですよね。私も、高校生に性教育に行くたびに「10代でも子宮頸癌検診が必要なんですよ」ということを呼びかけていっています。
検診を受けない最大の理由は「めんどくさい」なんだそうです。
自分だけは癌にならない、と思っている人に癌検診を受けてもらうための1つの動機付けとして、HPV検査は有効かもしれないなと思いました。癌になるかもしれないウイルスに感染していると分かれば、少しは真剣に検診を受けようって思ってはもらえないかしら。
子宮頸がんの検査結果は、これまでクラス1~5の5段階で表現されていました。
この「クラス分類」は、結果をお伝えするのには分かりやすくて便利なのですが、微妙な異常を分類し切れなかったり「見落とし」につながることもあって、国際分類である「ベセスダシステム」に基づいた分類に変更することが推奨されるようになってきたんです。
ベセスダシステムに基づいた分類は次のような分け方になっています。
NILM(クラス1・2)=正常な細胞のみ
ASC-US(クラス2・3a)=異形成と言い切れないけれど細胞に変化がある
ASC-H(クラス3a・3b)=高度な細胞異型の可能性があるが確定できない
LSIL(クラス3a)=HPV感染や軽度異形成と考えられる
HSIL(クラス3a・3b・4)=中等度異形成・高度異形成・上皮内癌と考えられる
SCC(クラス4・5)=明らかな扁平上皮癌と考えられる
クラス分類より少し複雑で分かりにくいですよね?
以前の分類と何が異なるのかというと、ひとつは「HPV感染の有無」を重視していることです。明らかにHPV感染があると考えられる場合は、精密検査が必要なレベルに分類されることになります。もうひとつは、異形成のレベルを「軽度」と「中等度と高度」という2分類にまとめたことです。
それぞれの結果だった場合に、それをどのように扱うのかということになりますが、これは以前より単純になりました。
NILM→1年ごとの定期検診を続ける
ASC-US→HPV検査をして「陰性」なら1年ごとの定期検診・「陽性」ならコルポ診
ASC-H・LSIL→コルポ診
HSIL→コルポ診+頚管内組織検査又は円錐切除
SCC→円錐切除又はそれ以上の手術
つまり、明らかに正常な場合と明らかに癌であるという場合を除いて、ほとんどがコルポ診という精密検査が必要になるということです。
コルポ診というのは、子宮の出口を拡大して観察する方法です。通常はコルポ診で最も病変が強いと思われる部分を一部かじりとって「組織診断」を行います。それによって、単なる炎症なのか異形成なのか、異形成なら軽度~高度のどのレベルなのかといったことをより詳しく見ていきます。
また、最近はHPVハイリスクタイプの検査を今までの子宮頸がん検診と一緒に行うことで、より精度を上げることができるということも言われてきています。子宮がん検診とHPV検査のいずれも「陰性」であった場合は、ほぼ100%現時点で軽度異形成以上の病気はないと判断できるんですね。そのため、アメリカでは療法の検査が「陰性」であれば、次の検診は3年後としています。
日本でも、自治体の検診はほとんどの地域が2年に1回になっていますから、見落としなく効率よく検診をしていくには、HPV検査を併用した方が「異常なし」の方の検診頻度を少なくしていくことができるのではないかと思われます。