日々の雑記
母乳育児について
先日いらした患者さんで、考えさせられる症例があったのでシェアさせてくださいね。
その方は、助産院で出産後に母乳育児を勧められて頑張っていらしたそうですが、両側の乳腺炎になり、切開して膿を出さなければいけないほどひどくなってしまったそうです。痛みが辛くて、授乳はやめ、ミルクにしたら楽になったらしいのですが、その状態でも助産院ではとにかく母乳で頑張れと言われたそうです。
その患者さんは、しばらく間をあけて2人目を希望されているのですが、次の産後も同じような苦しみを味わうことにとても不安を感じていらっしゃいました。「次は病院で産みたいです」とおっしゃっていましたが、産む場所の選択は自由であること、母乳育児に固執する必要はないこと、産後に母乳が作られないように止める方法もあること、それらは自分にも赤ちゃんにも「悪いこと」ではないこととご説明したら、少し安心してくださいました。
私自身も、2人とも完全母乳で育てています。仕事をしながらの母乳育児は大変ですが、仕事の合間に搾乳して冷凍母乳をストックすれば完全母乳も可能ではあります。そうするのは、母乳育児のメリットをよく理解しているからですが、それと同時に、母乳がとてもよく出て保育園が母乳育児に協力的で私自身が母乳育児を辛いと感じていないからです。
好条件がそろっているから母乳育児が可能なだけで、ある意味ありがたいことなんですね。母乳育児はすごいことではありますが、それをやっているから「偉い」やっていないから「ダメ」なわけではありません。
環境や体調によって、母乳育児ができない方もいらっしゃいます。乳がんの術後で、少しでも胸が張ると激痛なので母乳を止めたいとおっしゃった方もいらっしゃいました。どうしても服薬をやめられないので母乳をあきらめたいという方もいらっしゃいます。どんなに頑張っても母乳が十分に出ないという方もいらっしゃいます。
個人的には、母乳育児はメリットが大きいけれど他人から「強要」されるものではないと考えています。いろいろ工夫することで母乳育児が難しい人も可能になるというのであれば、それは周りがサポートすべきですが、母親本人が希望していないのであれば母乳育児をしないことに対しては誰も何も言及すべきではないんです。
母乳を作るオキシトシンというホルモンは別名「愛情ホルモン」と言われ、母子愛着形成には欠かせないホルモンです。以前学会で、「母乳をあげないということは愛情不足になるということですか?」という質問が出ました。すると、演者の先生はとても素敵な回答をなさってくださいました。
確かに、動物では母乳をあげないと愛着形成がきちんとできず子どもをきちんと育てなくなることがあるそうです。ただ、人間は授乳だけではなく、赤ちゃんと目と目で見つめ合うだけでもオキシトシンが分泌されるんだそうです。なので、母乳をあげられなくても、いっぱい見つめ合っていっぱいお話ししてスキンシップをとってくださいとおっしゃってました。
愛情のそそぎ方は人それぞれです。母乳を一生懸命あげることはもちろんとても愛情深い行為です。でも、それ以外にも、離乳食を手をかけて作ったり、いっぱいスキンシップをしてあげたり、自分なりに「無理なくできる方法」で愛情を注いであげればオッケーなんだと思います。
今年もありがとうございました
昨日、今年最後の診療を終えてクリニックを大掃除しました。
この1年間、クリニックをご利用いただきありがとうございました。
自分の妊娠・出産・産後すぐの復帰と、目まぐるしい1年でしたが、皆様のおかげでこうして穏やかに年を越せることに心から感謝いたします。
新年は1月4日から診療を開始します。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
日付:2013年12月29日 カテゴリー:日々の雑記
妊娠をハプニングにしないために
気づけば12月も残り半分…産後は毎日があっという間に過ぎていってしまいますね。
ブログの更新やメルマガの発行など、もっともっと色んなことを発信していきたいのですが、仕事から帰って二人の娘を寝かせつけたらもう寝る時間になってしまうんですよね。何だか焦ってしまう気持ちもありますが、「今はそういう時期」と割り切ってボチボチ更新していきたいと思っています。
マイペースな更新に、どうぞお付き合いくださいませ。
私の妊娠ストーリーをお話しすると、多くの方が「計画的ですね~」とおっしゃいますが、私にとって「妊娠を希望していなければピルを飲んで、妊娠を希望したらちゃんと妊娠を目指す」というのは、ごくごく当たり前のことなんです。
今妊娠したいのかどうかをきちんと考えて、避妊が必要と判断したら自分の手で避妊をすることは、妊娠を引き受ける立場である「女性」であれば当然すべきことだと考えています。もちろん、「今妊娠したいかどうか」があいまいなケースもあるかもしれません。ただ、個人的には「妊娠したらしたで産んだらいいから」と考えて避妊をおろそかにすることは、いろんな意味で無責任なのではないかなと感じています。
赤ちゃんが「授かりもの」であると考えることと、妊娠を強く希望していないのに妊娠するかどうかを運に任せることは、微妙に異なるのではないかと思うんですね。よく遭遇するケースがパートナーの「妊娠したら結婚しよう」という言葉を鵜呑みにして避妊を怠ってしまい、実際に妊娠してから後悔するというケースです。もし相手の男性に本気で結婚する気があるのであれば、「妊娠したら」なんてのんきなことは言わずに「すぐに結婚しよう」と言ってくれると思いませんか?
きちんと「望んで」妊娠するのであれば、結婚と妊娠の順序は多少前後しても問題ありませんが、「妊娠したいかどうか」をはっきりさせられない自分の背中を押してもらうために避妊を怠るのはリスクが伴います。
すべての子どもに「望まれて」産まれてくる権利があります。
心から妊娠を希望するまでは、女性が自分の手できちんと避妊できるようにサポートしていくことが、私の役割だと感じています。
日付:2013年12月15日 カテゴリー:日々の雑記
秋のお肌はお疲れモード
あっという間に産後1ヵ月が経過しました。
おかげさまで、母子ともに1か月健診も全く問題なく、私も普段通りの診療に戻ることができて安心しております。
最近急に秋めいてきましたね。
猛暑日から一気に涼しくなって、体調のコントロールがうまくいかない方が増えてしまう時期ですが、お肌もトラブルを起こしやすくなっています。
夏の紫外線のダメージが蓄積していたり、急に空気が乾燥し始めるせいで、かさつきなどのお悩みが増える時期なんですよね。
今日は、エステメニューを新しくするためにフェイシャルエステのモニターになって施術をしていただきました。
妊娠中や産後は何かとお肌トラブルが増えてしまいますが、ホルモンの影響でシミやくすみが増えた気がして気になっていたんです。
施術はアクシダームを使ったメニューで、アスタキサンチンを含むパックをしていただいたんですが、終わった後のお肌があまりにモチモチで思わず何度も触ってしまいました。
しっかり保湿されるので、くすみもとれてお肌全体がトーンアップ。血行が良くなって、目の下のクマも改善しました。
季節の変わり目のお肌メンテナンスに、フェイシャルエステを是非ご活用くださいませ。
日付:2013年10月1日 カテゴリー:日々の雑記
無事出産いたしました
いつもクリニックをご利用いただきありがとうございます。
おかげさまで、8月25日の16時50分に元気な女の子を出産いたしました。
皆様のご協力とご理解に深く感謝いたします。
今後の診療枠および担当医につきましては、予約専用電話にお問い合わせいただくか、ホームページ上で随時ご確認いただければ幸いです。
引き続きご不便をおかけしますが、どうかご協力いただければ幸いです。
日付:2013年8月26日 カテゴリー:日々の雑記
やっと臨月に入りました
いつもクリニックをご利用くださってありがとうございます。
おかげさまで無事臨月に入り、出産までカウントダウンとなりました。
出産はいつになるか分からないため、出産に伴う診療時間や診療枠の変更で患者様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をいただければ幸いです。
ご利用の患者様にご不便をおかけすることには、大変申し訳ないと感じていますが、個人的には、妊娠・出産のために女性がお仕事をお休みすることを「迷惑」とは考えない社会を目指したいと考えています。
残念ながら、妊娠・出産を「個人の勝手」ととらえてしまう風潮が社会全体や一部の企業にはあるように感じることもしばしばあります。
実際は、妊娠・出産は個人のレベルで抱えるものではなく、社会全体が応援すべき大きな社会貢献であり、未来を作り出す大切なお仕事です。
私自身が妊娠・出産・子育てを経験しながら仕事を続けるということを実践してみて、ただ仕事だけをしている時の3倍以上の負担だということを実感しました。逆に言えば、妊娠・出産・子育て中の女性に一般男性と「同じ仕事」をするようにと求めることは、一般男性に仕事量を3倍以上に増やせというようなものなんです。
そういったことをちゃんと理解して、妊娠・出産を控えた女性をサポートする「あたたかい意識」が社会にも企業にも必要だと思います。そして、妊娠・出産をする女性自身は、周りの協力に感謝は必要だけれども「申し訳ない」と思う必要はないということを心にとめて、もっと堂々と胸を張って「母親」になってほしいなと感じています。
日付:2013年8月19日 カテゴリー:日々の雑記
検診で異常が見つかったら…
検診を受けて異常が見つかると、多くの患者様は大変ショックを受けてしまわれます。
何か症状があって検査を受けた場合と異なり、単なる「検診」はご本人が「何も異常があるはずがない」と思って受けていることが多いので、どうしても心の準備が何もない状態で結果を受け取ることになってしまいがちなんですよね。
でも、本来「検診」は、こういった症状が出る前の初期の異常を見つけることが目的なので、検診で異常が見つかったというのは、ラッキーと言えます。
「病気が見つかって、なんでラッキーなんだ!」と思われるかもしれませんが、病気というのは心や体からの何らかのメッセージです。それに早く気づいてあげられたということは、心身にとってはラッキーなんですね。
もし検診を受けていなければ、症状が出るまで、つまり病気がかなり進行するまで気づくことができず、取り返しがつかない段階でやっと見つかったり、大掛かりな治療が必要になっていたかもしれません。
子宮頸がんの検診で言えば、当院で不正出血などの症状が何もなく検診だけを受けた方で異常が出たケースは、すべて「上皮内がん」以下の病変でした。つまり、経過観察で大丈夫なレベルか円錐切除という簡単な手術のみで完治が可能なレベルまでで見つかっているということです。ちなみに、不正出血やおりものの異常で検査を受けた方の中には、残念ながら浸潤がんの方が数名いらっしゃいました。
子宮頸がん検診で異常が見つかっても、中等度異形成までなら3か月ごとの細胞診を受けるだけで治療に進む必要はありませんし、万が一病変が進んでも円錐切除までで済みます。高度異形成や上皮内がんであっても、円錐切除をきちんと受ければ、ほぼ完治が可能ですから、子宮を失わずに済みます。
もちろん、妊娠前の方が円錐切除を受けることによって、将来の不妊症や流産・早産のリスクを作ることにはなりますから、できることなら手術を受けずに済んだ方がいいわけですが、進行がんになってから行う治療に比べれば、負担は非常に少ないと言えます。
日本人の検診受診率は、残念なことに非常に低く、すべての年代を平均してもわずか20%程度にとどまっています。子宮頸がんが増えている10代や20代の方の受診率はもっと低く、10%以下なんですね。
中には、異常が見つかるのが怖いから検診を受けない、という方もいらっしゃいますが、それは本末転倒です。毎年検診を受けることによって、異常がなければ「安心」を得ることができますし、異常が見つかってもその異常とどのように付き合っていけばいいのか、早めに注意することができるわけですから、検診はぜひ受けていただきたいなと思います。
日付:2013年6月23日 カテゴリー:日々の雑記
あなたの主治医はあなた自身
クリニックには様々なお悩みを抱えた患者様がご相談にいらっしゃるのですが、中には「どの病院でも『異常ない・気のせい』と言われたけれど不調が続く」と訴えて来られる方もいらっしゃいます。
検査をして異常が見つかる場合もありますし、やはり何も異常がなく症状に合わせてお薬を処方したら状態が改善することもあります。
でも、何をしても改善しないというケースも実はあるんですね。「ここに来れば治ると思ったのに…」とガッカリされてしまうこともあるのですが、医者は基本的に病気を「治す」ことはできません。
医者ができることは、検査で現在の状態を客観的に分かるようにお示しし、そこから考えられる体からの「メッセージ」をお伝えすることと、いくつかの治療を提案して「自分の力で健康になる」ことをサポートさせていただくだけなんです。
薬は症状を抑えてくれますが、あくまで一時的に心身にとって楽な状態を作ることで、メッセージを発している自分自身と向かいやすくするだけで、病気を治しているわけではありません。
なので「不調が治らない」方には、治らない理由があるわけです。
多いのは、せっかく心身が「このままではいけませんよ」とメッセージをくれているのに、それに耳を傾けようとしないケースです。この場合、不調を治してしまうとメッセージに気づくことなく悪習慣を続けたり、抱えている問題と向かい合おうとしなかったりしてしまうので、本人の心身にとっては不調がなくなっては困るんですね。だから、メッセージに耳を傾けるまで不調は続きます。
この場合、不調を「治しきる」ことはご本人のためにならないこともあるので、本当の問題にご本人が気づくまでそっと見守るしかないこともしばしばあります。
また、不調であり続けることによって「セカンダリーゲイン」がある場合も、何をしても改善しなかったり、いったん今ある不調が改善してもすぐに別の不調が出てくることが多いように思われます。
セカンダリーゲインというのは、その不調があり続けることによって得られるメリットです。ものすごく単純な例を挙げると、母親になかなかかまってもらえない子どもが病気になると優しくしてもらえたりずっと一緒にいてもらえるので病気であり続けようとする、といったパターンです。
本人は「健康になりたい」「よくなりたい」と口では言っていても、潜在意識が「病気であり続けたい」と認識しているので、何をしてもよくならないという状態が続きます。
セカンダリーゲインが病気によってではなく、本来の問題解決方法で得られるものであると分かれば、病気は必要なくなるので不調は治っていきます。
何をしても不調が良くならない場合は、一度心身からのメッセージを無視していないか、何が自分にとっての「本当の問題」なのか、じっくり見つめ直してみるといいかもしれません。
自分の体のことを一番よくわかって、きちんとメンテナンスしてくれるのは自分自身です。
つまり、最高の「主治医」は実は自分自身なんですね。
私の妊活法をご紹介します
クリニックをご利用の患者様の中にはお気づきの方もいらっしゃると思いますが、現在2人目を妊娠中です。
2人目の妊娠は、前回よりも自分の年齢が上がっていることを考えると、もっと苦労するかなと思っていたのですが、実は避妊をやめて1クール目ですぐに妊娠が成立しました。
産後から次の妊娠の時期を色々考えて、できる妊活はずっと行ってきたので、それがある程度効果的だったのかもしれないですね。
あくまで個人の「経験談」レベルですが、私が行ってきた妊活法をご紹介したいと思います。
1)定期的な運動=加圧トレーニング
産後2ヶ月目から、加圧トレーニングのジム通いを再開しました。
ダンスのレッスンも再開していましたが、時間的にコンスタントに通うことが難しかったので、クリニックと同じテナントビルに入っている加圧スタジオにお世話になったんです。
産後の体型戻しという目的も大いにありましたが、一番の目的はトレーンイングによるインスリン抵抗性の改善です。
私は「形態学的多のう胞性卵巣症候群」のために排卵障害の傾向があるので、インスリン抵抗性(血糖値が急激に上がりやすくインスリンというホルモンがうまく働きにくい)という体質的な「弱点」があります。このインスリン抵抗性は、妊娠を目指す人にとっては、妊娠前も妊娠中も大敵なんですね。
加圧トレーニングによって成長ホルモンの分泌が促されることが、インスリン抵抗性の改善につながるというデータもあるようです。また、加圧トレーニングでなくても、コンスタントな運動はインスリン抵抗性の改善に有効です。
さらに、トレーニングによって血行が良くなるので、骨盤内の血行改善や冷え性の改善にも有効だったのではないかと思われます。
2)食事改善=SS8ダイエットプログラム
授乳中は極端なカロリー制限はできませんので、断乳してすぐにクエスト社のSS8というダイエットプログラムを実行しました。
ダイエットと言っても、私の場合は体重を落とすことが目的ではなく、糖質制限によるインスリン抵抗性の改善が目的です。
プログラム実行前のヘモグロビンA1cが5.2という年齢的には微妙な高さだったのですが、半年で4.9まで下げることができました。ちなみ、30代ではヘモグロビンA1cは5未満が理想です。
3)体質改善=漢方&アレルゲン除去食
妊娠を目指す2ヵ月前から、駆お血剤である漢方を継続的に飲みました。駆お血剤の中には妊娠中は飲まない方がいい物もあるため、私は妊娠を目指す直前まで服用して、避妊をやめるタイミングからは飲まないようにしましたが、種類を選べば妊娠成立直前まで飲んでも問題ありません。
また、遅延型フードアレルギー検査で卵と小麦に強い反応があったので、3ヵ月間はそれらの食品を完全除去し、その後も卵はできるだけ避けるようにしていました。
4)避妊&卵巣保護=低用量ピル
ちょうど娘の1歳のお誕生日の前日に月経が再開したこともあり、断乳直後から低用量ピルの服用を再開しました。仕事の都合で確実な避妊が必要でしたし、何よりも次の妊娠に備えて卵巣と子宮をきちんとお休みさせてあげておきたかったからです。
ピルは排卵を抑えるために、卵巣にとっては毎月無駄な排卵を繰り返すという重労働から解放してくれる、とっても優しいお薬なんです。また、私のように排卵障害がある人にとっては、ホルモンバランスを整えて服用後の排卵がスムーズになるようにしておけるので、「数か月後に妊娠希望」という場合にはお勧めの卵巣保護方法です。
5)排卵誘発=セキソビット&HCG
上の子の妊娠も同じ治療を行いましたが、今回も初めから排卵誘発をしました。年齢を考慮すると、自然サイクルで数か月を無駄にするより、妊娠率を上げる方法をとって効率よく妊娠を目指した方がいいと思われたからです。また、ピルを飲み終えたあとすぐの方が卵巣が元気なので、できるだけ服用中止後から時間をおかずに妊娠できるようにと考えました。
同じ排卵誘発剤であるクロミッドではなくセキソビットを選んだのは、私の排卵障害が軽度であり「自然排卵もするけど時間がかかる」という程度であることと、ピル服用直後は子宮内膜が薄くなっているからです。セキソビットには、子宮内膜を厚くしてくれる効果があるので、排卵を後押しするのと内膜の厚みを回復させるという両方の目的で使用しました。
これらのどの「妊活」が功を奏してすぐに妊娠したのかは分かりません。
ただ、排卵誘発以外はいわゆる「治療」ではなく、当たり前に行える日ごろのケアなんですね。
これから妊娠を目指したい人も、すでに妊娠を目指している人も、こういった日々の積み重ねを大切にしていってほしいなと思います。
日付:2013年5月22日 カテゴリー:日々の雑記
AMH検査の意味
AMH=アンチミュラー管ホルモンの検査についてご質問をいただくことが多くなってきました。
この検査は、AMHというホルモンを測ることによって、「あとどのくらい排卵し続けることが可能か」を予測する、つまり卵巣の予備能を予測する検査とされています。
正確には、排卵の能力というよりも、これから排卵するためにスタンバイしている卵子の「元」になる細胞の壁から出ているホルモンを測定しているので、「排卵の能力」と完全にイコールとは言えないのですが。
この検査を受けた方がいいか、という質問に対しては年代によって答えが違ってきます。
20~30代の方は、早発閉経の傾向がないかどうかを確認するという意味では意味のある検査だと思われます。20代でも月経不順がある方や、30代の方は検査する価値はあるでしょう。
ただし、検査結果のとらえ方を間違ってはいけません。この検査はいわゆる「正常値」というものがあるわけではなく、年齢別に「基準値」が設定されています。「あなたのAMHは20~24歳レベルですよ」といった感じで結果が出るので、自分の本来の年齢より高いのか低いのかを見る感じになります。
なので、結果が「正常」だったからと言って、「まだまだ妊娠を先延ばしにしても大丈夫ですよ」という意味にとらえてしまってはいけないのです。あくまで「年齢相応又はそれ以上のスタンバイしている卵があります」というだけで、その「卵」が妊娠に適しているかどうかは別問題なんですよね。
この検査は、「異常値」が出た時のみ判断材料になります。つまり、年齢より数値が低かった場合、卵巣の働きが失われるスピードが普通の人より早い可能性があるということです。結果が悪かったからと言って「妊娠できない」というわけではありませんが、少なくとも「妊娠を目指す時期を早めに設定した方がいいですよ」ということは言えます。
どちらかというと40代またはもうすぐ40歳という方が検査を希望されるケースが多いのですが、実はその年齢になってくると検査をする意味があまりなくなってきます。検査を希望される方の多くが、「今後妊娠可能かどうかを調べておきたくて」検査したいとおっしゃるのですが、前述の通り、例え検査に異常がなかったり年齢より数値が良くても「安心材料」にはならないからです。
40歳以上の方は、AMHの結果が良くてもすでに妊娠率は低下しています。排卵する力は十分残っていても、卵子の「質」が妊娠に向かなくなってきているからです。AMHで安心を得ようとするのではなく、妊娠を希望するのであれば一刻も早く妊娠を目指せる環境を整えて、不妊検査を受け、効率よく妊娠を目指していった方が現実的です。
AMH検査は保険の範囲外になりますので、自費での検査になります。
クリニックでも検査を受けていただくことは可能ですので、ご希望の方はご予約の際に詳細をご確認くださいね。
日付:2013年5月19日 カテゴリー:日々の雑記