なぜワンオペ育児はなくならない?~見えにくいジェンダーバイアス~

 ムーニーのCMが「ワンオペ育児を賛美している」と指摘されているようですが、「賛美」しているかどうかはともかく、このCMを見た時、私自身も感動したり「よし頑張ろう」と思うどころか、「これじゃあ辛いママがもっと辛くなってしまう」と感じました。だってあまりにも悲惨な状況なのに、誰の手も借りれずに、ひっそりと泣いて、そして最後が「その時間がいつか宝物になる」ですから・・・宝物になる前に自分が壊れるんじゃないの?と突っ込まずにはいられません。
 CMに対する評価はこちらをご参照くださいませ。

 CMの中でいくつか突っ込みどころ満載のシーンが出てきます。突っ込みたくなるのは、CMを作成している会社に対してではありません。「こういう現実を作っている男性、多いよね」という「お父さん」達への突込みです。
 *夜泣きで眠れない→お父さんは別室でぐっすり?たまには交代したら?
 *赤ちゃん抱っこして重い買い物→お父さんが帰りに買い物くらいしようよ
 *赤ちゃんが泣いてお風呂もゆっくりつかれない→妻が入浴中の10分くらいお父さんがあやそうよ
 *自分の食事もままならない→お昼ご飯は無理として朝食と夕食は交代で抱っこすれば食べられるでしょう
 *自分のお肌の手入れもできない→妻がお化粧する5分くらいお父さんが抱っこしとこうよ

 CMの冒頭にちらっとだけお父さんがうつるので「あ、シングルマザーを描いてるんじゃないんだ」と気づけますが、ほぼシングル状態ですよね。
 これ見て、「うちもこんなだった~」「今まさにこんな状態です」という感想が多数寄せられているということは、日本全国のママたちの多くがワンオペ育児で奮闘しているということなんだと思います。逆に言えば、ワンオペ育児を妻にさせている夫が多数いるということです。

 なぜこのような状況が何の疑問も持たずにまかり通ってしまうのか、その背景には非常に見えにくい形でのジェンダーバイアスがはびこっているからだと思われます。ジェンダーバイアスは自分の親や「世間」から知らず知らずに刷り込まれるのでそれが「当たり前」だと思い込んでしまって気づきにくくなっているのです。
 例えば、次のシチュエーション、何がおかしいかわかりますか?

 共働きの夫が「妻の負担を減らすために夕食のおかずを買ってきてやったぞ」と自分が食べたいものを自分の分だけ買ってきました。妻は「ありがとう、助かった」と言いました。

 さらっと読むと、何も変だと感じないかもしれません。実はこれ、我が家で発生したやり取りです。
 では、これを妻と夫を逆にして読んでみてください。

 共働きの妻が「夫の負担を減らすために夕食のおかずを買ってきてやったぞ」と自分が食べたいものを自分の分だけ買ってきました。夫は「ありがとう、助かった」と言いました。

 何が変だか気づきましたでしょうか?入れ替えると、最後の夫のセリフが違うものになるかもしれません。そもそも、なぜ自分の食べ物を自分で買ってくることが「妻のため」なのでしょうか?

 では次のシチュエーションはいかがでしょうか?

 日曜日にセミナーに参加した妻にほかの参加者がこぞって「あら?今日はお子さんは?」と聞きました。妻は「今日は夫が見てくれているんです」と言いました。周りは「素敵なご主人ね~」と言いました。

 これ、実はよく見かけるやり取りです。日曜日でなくても、小さい子がいる母親が一人で出かけるとたいてい聞かれます。
 では、これも妻と夫が逆になったらどうでしょう?

 日曜日に趣味のゴルフに出かけた夫にほかの参加者が「今日は子どもはどうしたんだ?」と聞くでしょうか?「妻が面倒て見ている」という答えに「お前の奥さんホントすごいよな」というでしょうか?

 これらはすべて、食事の支度などの家事や子どもの面倒を見ることが「妻の役割」として認識されてしまっているから発生するものです。夫も周りも、そして妻本人も妻がやるのが「当たり前」だと思っているんですね。
 だから、家事をしなかったり子どもを預けて仕事や趣味の時間を作ると「申し訳ない」という気持ちになってしまったり、時にはそれを責められたりするんです。だからワンオペ育児も「私がやるべきことなのにちゃんとやれなくてごめんなさい」と一人でひっそり泣いて、「母親なんだから強くならなきゃ」で頑張り続けることを自分で自分に強いることになってしまうのです。

 ワンオペがダメだと言ってるわけでも、家事を夫婦で分担「すべき」と言ってるわけでもありません。分担の割合は、各家庭によって異なるでしょうし、我が家のように夫の仕事の状況と気分によって3:7の時もあれば9:1の時も発生したりするかもしれません。
 私は、このジェンダーバイアスに気付いて、女性に楽になってほしいと願っています。上記のように夫が自分の分だけ買ってきたら「ありがとう」ではなく「なんで?私のは?」って言っていいんです。日曜日に夫が育児をすることを「父親なんですから子どもを見るのは『すごいこと』じゃないですよ」と言っていんです。自分が「やるべきこと」だと思い込んで抱えているものを、やらなかったり人に任せたりしていいんです。
 ジェンダーバイアスは私の中にもまだたくさん潜んでいると思います。気づくポイントは上記のように男女を入れ替えて考えてみることです。入れ替えてみると何が変なのかがすぐにわかります。それに気づいたら「あ、変な思い込みしてた」と「枠」をひとつづつ外していけばいいんです。そうして、「堂々と自分のために」日々を過ごしましょう。

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清水(旧姓:須藤) なほみ
ポートサイド女性総合クリニック
~ビバリータ~ 院長
歌って踊れる産婦人科医
 
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに、女性の美と健康をサポートするために女性医療を皆様のもとにお届けしています。
5歳から始めたクラシックバレエは、ミュージカルとの出会いでコンテンポラリーダンスに変身しました♪
 
所属学会:日本産婦人科学会・日本思春期学会・日本性感染症学会・日本不妊カウンセリング学会
 
日本家族計画協会認定思春期保健談員
不妊カウンセリング学会認定カウンセラー


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