女性が受けておきたい婦人科検診・検査

婦人科の検診・検査は、年齢だけでなく、現在の症状、これまでの検査結果、家族歴、治療歴などによって適切な内容が異なります。

「検診」は、原則として自覚症状がない方を対象に、がんなどを早期に発見するために行うものです。不正出血、性交後の出血、乳房のしこり、乳頭からの分泌物などの症状がある場合は、次回の検診を待たず、診察を受けてください。症状がある場合の検査は、検診ではなく保険診療になることがあります。[1,2

横浜市がん検診の対象年齢、受診間隔、費用は検査によって異なります。最新の制度と当院での取り扱いをご確認のうえ、ご予約ください。

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<<この記事の執筆者>>

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医

ポートサイド女性総合クリニック院長

横浜駅徒歩6分。婦人科診療、ピル外来、月経困難症、PMS、子宮頸がん検診などを専門に診療。

最終更新日:2026年7月20日
医学的根拠・参考文献はページ末尾に掲載しています。

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子宮頸がん検診

子宮頸がん検診は、子宮の入り口にあたる子宮頸部から細胞を採取し、がんや前がん病変につながる細胞の変化がないかを調べる検査です。

子宮頸がんの多くには、発がんリスクの高いタイプのヒトパピローマウイルス(ハイリスクHPV)の持続感染が関係しています。初期には自覚症状がないことが多いため、症状がない段階から、対象年齢と受診間隔を守って定期的に検診を受けることが大切です。細胞診による子宮頸がん検診には、子宮頸がんの罹患率や死亡率を減少させる根拠があります。[1,3,4

2026年度の横浜市がん検診では、子宮頸部細胞診の対象は20~29歳および61歳以上で、受診間隔は2年度に1回です。30~60歳では、原則としてHPV検査単独法による検診が行われます。対象年齢、費用、必要な持ち物などは、横浜市の最新情報をご確認ください。[2

横浜市の子宮頸がん検診に関するサイト

HPVワクチンは子宮頸がんの予防に有効ですが、すべての発がん性HPV感染を防ぐものではありません。ワクチンを接種した方も、対象年齢になったら子宮頸がん検診を受けることが大切です。[3

不正出血、性交後の出血、血の混じったおりものなどがある場合は、検診の時期を待たずに婦人科を受診してください。

子宮頸がん検診の料金を知りたい方は「料金表」をご参照ください

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HPV検査による子宮頸がん検診

HPV検査は、子宮頸がんの原因となるハイリスクHPVに感染しているかを調べる検査です。HPV検査で分かるのは、現時点での「子宮頸がんになるリスク」であり、HPV陽性だからといって、子宮頸がんという意味ではありません。

HPV検査は、細胞診よりも高度な前がん病変を見逃しにくい一方、自然に消失する感染も検出するため、偽陽性や追加検査が増える可能性があります。そのため、対象年齢、検診間隔、陽性後のトリアージ検査・追跡検査を含む仕組みの中で受けることが重要です。[3,5,6

2026年度の横浜市がん検診では、30~60歳がHPV検査の対象で、原則5年に1回です。HPV陽性の場合は同じ検体を用いた細胞診などでリスクを判定し、結果に応じて精密検査または翌年度の追跡検査につなげます。受診には、横浜市から送付されるバーコード付き受診券シールが必要です。[1,2

HPV検査単独法と、細胞診・HPV検査併用法は別の検診方法です。いずれの検査でも、すべてのがんや前がん病変を100%発見できるわけではありません。結果が陰性でも、指定された受診間隔で検診を続け、症状がある場合は早めに診察を受けてください。[1,3,6

横浜市のHPV単独検診について詳しく知りたい方はこちら

当院で横浜市のHPV単独検診を受けたい方のご予約方法

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子宮体がんが心配な方の検査

子宮体がんは、子宮の奥にある子宮内膜から発生するがんで、閉経前後から増加します。代表的な症状は不正出血です。特に、閉経後の出血、月経とは異なる出血、褐色のおりものが続く場合は、少量でも婦人科を受診してください。

子宮体がんについては、無症状で平均的なリスクの方全員に定期的な検査を行うことで死亡率が下がるという十分な根拠はなく、現在の国の対策型がん検診にも含まれていません。無症状の方に経腟超音波検査や子宮内膜検査を一律に行うと、偽陽性によって不要な追加検査や生検が増える可能性があります。[1,7,8

検査が必要かどうかは、不正出血などの症状、閉経の有無、肥満、排卵障害、エストロゲン単独療法、タモキシフェンの使用歴、リンチ症候群などのリスクを踏まえて医師が判断します。必要に応じて、経腟超音波検査、子宮内膜細胞診、子宮内膜組織診などを行います。[1,7

「40歳を過ぎたら全員が毎年受ける検診」ではありません。症状やリスクがある方の診断を目的とする検査としてご案内しています。

不正出血や子宮体がんが心配な症状がある方のご予約方法

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乳がん検診

乳がん検診は、症状がない段階で乳がんを発見し、乳がんによる死亡を減らすことを目的に行います。日本の対策型検診では、40歳以上の女性に2年に1回のマンモグラフィが推奨されています。2026年度の横浜市乳がん検診も、40歳以上を対象に、2年度に1回のマンモグラフィを実施しています。[1,2,9

乳房超音波検査は、年齢、乳房の構成、症状、既往歴などに応じて追加されることがあります。日本人の40~49歳を対象としたJ-START試験では、マンモグラフィに超音波検査を追加すると感度が向上する一方、偽陽性も増加しました。超音波検査をマンモグラフィの代わりとして、すべての方に毎年行うことによる死亡率減少効果は確立していません。[9,10

30歳代は横浜市の対策型乳がん検診の対象ではありませんが、普段から乳房の状態を意識する「ブレスト・アウェアネス」が大切です。乳房のしこり、皮膚のくぼみやひきつれ、乳頭からの血性分泌物、乳頭・乳輪のただれなどに気づいた場合は、年齢にかかわらず乳腺外科などの専門医療機関を受診してください。症状がある場合は、検診ではなく診察・診断の対象です。[2

血縁者に乳がん・卵巣がんの方が複数いる、若年で乳がんになった血縁者がいる、遺伝性乳がん卵巣がん症候群に関係する遺伝子変異を指摘されているなどの場合は、一般の検診とは異なる方法が必要になることがあります。医師または遺伝カウンセリング外来にご相談ください。

横浜市の乳がん検診について詳しく知りたい方はこちら

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性感染症検査

クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどの性感染症は、感染しても症状がないことがあります。おりものの変化、下腹部痛、不正出血、排尿時痛、性器のしこり・潰瘍などがある場合だけでなく、コンドームを使用しない性行為があった、パートナーが変わった、パートナーが性感染症と診断された、妊娠を希望しているといった場合も検査をご検討ください。[11

必要な検査は、性行為の内容、感染機会からの期間、症状の有無、検査する部位によって異なります。クラミジア・淋菌は腟分泌物や尿、必要に応じて咽頭などの病原体検査を行い、梅毒・HIV・B型肝炎・C型肝炎などは血液検査を行います。感染直後は正しい結果が出ないことがあるため、適切な検査時期や再検査について医師にご相談ください。[11

HPV検査は子宮頸がんのリスク評価を目的とする検査であり、すべての性感染症を調べる検査ではありません。また、HPV陽性だけを理由にパートナーの感染時期や感染源を特定することはできません。

性感染症検査の料金表

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妊娠前検査(プレコンセプションケア)

妊娠前検査は、現在の健康状態を確認し、将来の妊娠・出産に備えるための検査と相談です。妊娠できるかどうかを1回の検査で判定するものではなく、年齢、月経の状態、既往歴、服用中の薬、ワクチン接種歴、生活習慣などを確認し、必要な検査を選びます。[12

妊娠を考え始めたら、子宮頸がん検診の受診状況、性感染症、風しん抗体、貧血、持病や服用薬、適正体重、喫煙・飲酒、葉酸摂取などについて確認しておくことをおすすめします。検査項目は全員一律ではなく、お一人おひとりの状況に応じてご提案します。[12

風しんに対する免疫が不十分な女性が妊娠初期に感染すると、胎児に先天性風しん症候群が生じる可能性があります。妊娠前に風しんの抗体価や予防接種歴を確認し、必要な場合は妊娠前にMRワクチンなどの接種をご検討ください。妊娠中は風しんワクチンを接種できず、接種後は約2か月の避妊が必要です。[13

持病がある方や継続して薬を使用している方は、自己判断で中止せず、妊娠前に処方医と産婦人科医へご相談ください。

横浜市の風疹抗体検査について詳しく知りたい方はこちら

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◆参考文献・公的情報

  1. 1)厚生労働省.がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和7年12月24日一部改正).(参照日:2026年7月20日)
  2. 2)横浜市.がん検診|対象者・検査方法・費用.最終更新2026年4月1日.(参照日:2026年7月20日)
  3. 3)国立がん研究センター.有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版.2020年.
  4. 4)Peirson L, Fitzpatrick-Lewis D, Ciliska D, Warren R. Screening for cervical cancer: a systematic review and meta-analysis. Syst Rev. 2013;2:35. doi:10.1186/2046-4053-2-35.
  5. 5)Ronco G, Dillner J, Elfström KM, et al. Efficacy of HPV-based screening for prevention of invasive cervical cancer: follow-up of four European randomised controlled trials. Lancet. 2014;383(9916):524-532. doi:10.1016/S0140-6736(13)62218-7.
  6. 6)Koliopoulos G, Nyaga VN, Santesso N, et al. Cytology versus HPV testing for cervical cancer screening in the general population. Cochrane Database Syst Rev. 2017;8(8). doi:10.1002/14651858.CD008587.pub2.
  7. 7)National Cancer Institute. Endometrial Cancer Screening (PDQ)—Health Professional Version. Updated 2025.
  8. 8)Segev Y, Dain-Sagi L, Lavie O, Sagi S, Gemer O. Is There a Survival Advantage in Diagnosing Endometrial Cancer in Asymptomatic Patients? A Systemic Review and Meta-analysis. J Obstet Gynaecol Can. 2020;42(4):481-487.e2. doi:10.1016/j.jogc.2019.04.020.
  9. 9)Hamashima C. The Japanese Guidelines for Breast Cancer Screening. Jpn J Clin Oncol. 2016;46(5):482-492. doi:10.1093/jjco/hyw008.
  10. 10)Ohuchi N, Suzuki A, Sobue T, et al. Sensitivity and specificity of mammography and adjunctive ultrasonography to screen for breast cancer in the Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial (J-START). Lancet. 2016;387(10016):341-348. doi:10.1016/S0140-6736(15)00774-6.
  11. 11)厚生労働省.性感染症|検査・治療方法.(参照日:2026年7月20日)
  12. 12)国立成育医療研究センター.プレコン・チェックシート.(参照日:2026年7月20日)
  13. 13)厚生労働省.風しんに関するQ&A.(参照日:2026年7月20日)