ASC-H・HSILとは?がんの可能性と精密検査
ASC-HとHSILは、子宮頸がん検診の細胞診で、高いグレードの病変が隠れていないか速やかに確認する必要がある判定です。
どちらも「がん確定」ではありませんが、ASC-USやLSILよりもCIN2・CIN3などが見つかる可能性が高いため、結果を受け取ったらコルポスコピー・生検を受けてください。[1]
ASC-Hは「HSILを除外できない」、HSILは「高度扁平上皮内病変を示唆する」という意味です。両者は似ていますが、同じ判定ではありません。
ASC-HとHSILの違い
| 判定 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| ASC-H | HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 | 高いグレードの病変を疑う細胞があるが、HSILと断定できない |
| HSIL | 高度扁平上皮内病変 | CIN2、CIN3、上皮内がんなどに相当する病変を強く疑う |
いずれも細胞診の判定です。実際の組織がCIN1、CIN2、CIN3、がんのどれに当たるかは、生検などの組織診で確認します。
ASC-H・HSILはがんですか?
ASC-H・HSILだけで、浸潤がんと確定したわけではありません。特にASC-Hは、詳しく調べると異常なしや軽度病変の場合もあります。一方、HSILではCIN2・CIN3など治療が必要になり得る病変が見つかる割合が高く、少数ながら浸潤がんが含まれる可能性もあります。
「がんではないはず」と先延ばしにすることも、「もうがんだ」と決めつけることも適切ではありません。正確な診断のために、速やかに精密検査を受けることが重要です。
次に行うコルポスコピー・生検
ASC-H・HSILでは、ハイリスクHPV検査が陰性かどうかだけで精密検査を省略せず、コルポスコピー・生検を行います。日本産婦人科医会も、ASC-H・HSILを含む細胞診異常では速やかなコルポスコピー・生検を勧めています。[1][3]
- 酢酸を子宮頸部に塗布する
- コルポスコープで拡大観察する
- 病変が疑われる部分から組織を採取する
- 必要に応じて頸管内の評価を追加する
- 組織診結果と細胞診結果を照合する
子宮頸部の奥まで十分に見えない、細胞診と生検結果が一致しない、浸潤がんを否定できないなどの場合は、診断目的の円錐切除や専門医療機関での追加評価が必要になることがあります。
組織診の結果とその後
| 組織診の結果 | 主な対応 |
|---|---|
| 異常なし・CIN1 | 細胞診との不一致がないか確認し、短い間隔で再検査。必要なら追加生検や円錐切除 |
| CIN2 | 年齢、妊娠希望、病変範囲、HPV型、経過などから観察または治療 |
| CIN3 | 円錐切除術などの治療を検討 |
| 浸潤がん | 専門医療機関で画像検査などを行い、病期に応じた治療 |
HSILの後の生検が「異常なし」でも、必ず安心して通常検診へ戻れるとは限りません。採取できなかった場所に病変がある可能性も考え、細胞診、コルポスコピー所見、頸管内の評価を含めて方針を決めます。
円錐切除術とは
円錐切除術は、子宮頸部を円錐状に切除し、病変を詳しく調べると同時に取り除く方法です。CIN3、AIS、ごく早期の子宮頸がんなどで行われます。[2]
子宮を残せる治療ですが、術後の出血、頸管狭窄、妊娠時の早産リスクなどを考慮する必要があります。妊娠希望の有無、病変の範囲、切除断端、病理結果を確認して、その後のフォローを続けます。
妊娠中・妊娠希望がある場合
ASC-H・HSILが判明しても、それだけで妊娠を継続できないという意味ではありません。妊娠中もコルポスコピーを行い、浸潤がんが疑われる場合などに生検を検討します。妊娠中の円錐切除は、浸潤がんを強く疑う場合を除き慎重に判断します。
妊娠を希望している方は、検査・治療の前にその希望を必ず医師へ伝えてください。病変の安全な管理と妊孕性への影響を一緒に検討します。
ASC-H・HSILについてよくある質問
Q. HSILは「がんの一歩手前」ですか?
HSILはCIN2・CIN3などの高いグレードの病変を疑う細胞診判定です。CIN3は治療対象となる前がん病変ですが、HSILだけでは組織の診断は確定していません。精密検査が必要です。
Q. ASC-HでHPV陰性なら精密検査は不要ですか?
不要とはいえません。ASC-Hは、HPV検査が陰性でもコルポスコピー・生検を行う対象です。
Q. HSILでも生検が異常なしになることはありますか?
あります。ただし、病変を採取できていない可能性や子宮頸管内の病変も考える必要があるため、短い間隔の再検査や追加検査が必要になることがあります。
Q. HSILなら必ず子宮を摘出しますか?
必ずではありません。組織診がCIN3やごく早期の病変なら、円錐切除で子宮を温存できる場合があります。浸潤がんの有無、広がり、妊娠希望などで治療を選びます。
Q. 精密検査まで何か月か待っても大丈夫ですか?
ASC-H・HSILは、結果を受け取ったら速やかに精密検査を予約してください。緊急手術という意味ではありませんが、自己判断で数か月以上先延ばしにすることは勧められません。
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この記事の執筆・医学監修
清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長
更新日・最終医学確認:2026年9月13日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・検査・治療方針に代わるものではありません。
参考文献
- 日本産婦人科医会.子宮頸癌:細胞診後のコルポスコピー・組織診.
- 国立がん研究センター.子宮頸がんの治療.2025.
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2026.CQ202・CQ204・CQ205.










