ヤーズによる血栓症が心配な方へ

 ヤーズ配合錠による死亡例の報道を受けて、「このまま服用し続けていいのか不安」というお問い合わせが相次いでいます。昨日の診療でも、いったん服用を中止なさりたいという方が何人かいらっしゃいました。いずれも、ヤーズ以外の治療法に変更することが可能な状態だったので、ヤーズを中止して他のお薬を処方させていただきましたが、血栓症のリスクが高い方でなければ必ずしもヤーズをやめる必要はありません。

 下記の条件に当てはまる方は、服用を中止して他の治療法への変更を検討してもいいでしょう。

   *40歳以上 

   *喫煙している→禁煙すれば安心して服用できます

   *BMIが25以上→減量すれば安心して服用できます

   *片頭痛がある

 

 逆に、次の条件に当てはまる人は、血栓症リスクが高くなければ服用を継続する方がメリットが高いでしょう。

   *確実な避妊も兼ねて服用している  

   *鎮痛剤が効かないほどの月経痛がヤーズで改善している

   *内膜症があってヤーズで症状や病変の改善が得られておりディナゲストは服用が困難

 

 今回の死亡例では、血栓症リスクが全くないケースも含まれているので、問診上血栓症リスクがないからと言って絶対に血栓症にならないというわけではありません。なので、「血栓症リスクはないけれど服用の継続には不安があるという」場合は、もちろん服用を中止するという選択はあります。ただ、過剰に血栓症を心配するあまり、ヤーズによるメリットを手放してしまうことは必ずしもお勧めはできません。

 ヤーズは「超低用量」なので、含まれているエストロゲンの量はとても少なく、低用量ピルよりも動脈血栓のリスクは低いと言えます。ただ、ヤーズの特性として利尿効果があるため、血液が濃縮しやすくなるせいで静脈血栓のリスクは他のピルより若干高いということが言われています。なので、ヤーズによる血栓症リスクをできるだけ下げるためには、水分摂取をこまめに行って血液がドロドロにならないようにすることが大切です。1日2リットルを目安に、こまめに水分摂取をして、長時間座りっぱなしになるなどの血液の流れが悪くなる状態を作らないようにしましょう。

 また、万が一血栓症が起きても必ずしも重篤な状態になったり命に係わるというわけではありません。早期に発見して適切な処置を行えば、健康に大きな害を及ぼさなくてすみます。ヤーズも含めてピルを服用中に次のような症状が出たら、処方医又は循環器内科にただちに受診しましょう。

   *激しい頭痛やめまい・吐き気

   *目の見えにくさや視野の異常

   *強い腹痛

   *胸の痛みや息苦しさ

   *手足のしびれやろれつが回らない感じ

   *ふくらはぎの痛みや片側の足のむくみ

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清水(旧姓:須藤) なほみ
ポートサイド女性総合クリニック
~ビバリータ~ 院長
歌って踊れる産婦人科医
 
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに、女性の美と健康をサポートするために女性医療を皆様のもとにお届けしています。
5歳から始めたクラシックバレエは、ミュージカルとの出会いでコンテンポラリーダンスに変身しました♪
 
所属学会:日本産婦人科学会・日本思春期学会・日本性感染症学会・日本不妊カウンセリング学会
 
日本家族計画協会認定思春期保健談員
不妊カウンセリング学会認定カウンセラー