山瀬まみさんが患った「子宮体がん」とは?症状・検査・治療を解説

 

2025年10月、タレントの山瀬まみさんが、子宮体がんの手術と、その後に脳梗塞を発症してリハビリを受けたことを公表しました。2026年7月には、手術前から不正出血が続いていたものの、当初は「更年期による変化かもしれない」と考えていたことも伝えられています。[1][2]

 

このニュースから知っていただきたい最も重要なことは、月経ではない出血が続くときや、閉経後に出血したときは、「更年期だから」と自己判断せず、婦人科を受診してほしいということです。子宮体がんで最も多い症状は不正出血で、少量の出血や血の混じったおりものだけのこともあります。[3]

 

なお、ご本人が公表していない進行期(ステージ)、組織型、悪性度、追加治療、予後や、脳梗塞の詳しい原因を外部から判断することはできません。手術で子宮・卵巣やリンパ節を摘出したという情報だけで、「進行がんだった」と推測することもできません。本記事では個別の病状を推測せず、公表された内容を入口として、子宮体がんの一般的な医学情報を解説します。

 

山瀬まみさんの公表内容から分かること・分からないこと

公表されていること 公表情報だけでは分からないこと
子宮体がんと診断されたこと 正確な進行期、組織型、グレード
子宮・卵巣・リンパ節を含む手術を受けたと語っていること 各臓器を摘出・評価した医学的な理由と病理結果
手術後に脳梗塞を発症し、リハビリを受けたこと 脳梗塞の詳しい原因と子宮体がんとの因果関係
不正出血が続き、当初は更年期の変化と思っていたこと 出血の期間・程度、受診までの詳しい経過

がんの進行期は、画像検査だけでなく、手術で摘出した組織を詳しく調べて最終的に決まることがあります。リンパ節の評価は、転移を確認して正確な進行期や術後治療を決める目的でも行われるため、リンパ節を調べたこと自体は「すでに転移していた」という意味ではありません。[4]

子宮体がんとは

子宮は、妊娠したときに赤ちゃんが育つ「子宮体部」と、腟につながる「子宮頸部」に分かれます。子宮体がんは子宮体部にできるがんで、その多くは子宮の内側を覆う子宮内膜から発生するため、「子宮内膜がん」とも呼ばれます。

閉経前後から閉経後に多い病気ですが、若い年代でも発症します。とくに排卵が少ない状態が長く続く方、肥満・糖尿病がある方、リンチ症候群など遺伝的なリスクがある方では、年齢だけで判断せず、症状があれば検査を検討します。

子宮体がんと子宮頸がんの違い

比較項目 子宮体がん 子宮頸がん
発生する場所 子宮の奥にある体部。多くは子宮内膜 子宮の入口にある頸部
主な関連因子 ホルモン・代謝・遺伝など複数の因子 主にハイリスクHPVの持続感染
気づくきっかけ 不正出血、閉経後出血、血の混じったおりもの 初期は無症状が多く、検診で見つかることがある
主な検査 経腟超音波、子宮内膜の細胞診・組織診など 子宮頸部細胞診、HPV検査、コルポスコピー・組織診
HPVワクチン 子宮体がんを予防するワクチンではない 原因となるHPV感染の多くを予防できる

一般的な子宮頸がん検診は、子宮体がんを見つけるための検査ではありません。頸部細胞診が正常でも、子宮体がんを否定することはできないため、不正出血があれば検診結果にかかわらず婦人科を受診してください。

子宮体がんでみられる症状

最も多い症状は、月経ではない時期の出血です。次のような変化があればご相談ください。

  • 月経と月経の間に出血する
  • 月経が長引く、以前より量が増える
  • 性交後に出血する
  • ピンク色・茶色・血の混じったおりものが続く
  • 閉経したはずなのに、少量でも出血する

進行すると、下腹部痛、性交時痛、腰痛、排尿・排便の変化、下肢のむくみなどが出ることもあります。ただし、これらは子宮筋腫、ポリープ、ホルモン変動、腟や子宮頸部の病気などでも起こります。症状だけで子宮体がんとは判断できません。

「更年期の不正出血」と決めつけないでください

更年期には排卵が不規則になり、月経周期や出血量が変わることがあります。その一方で、子宮体がんや子宮内膜増殖症でも似た出血が起こります。一般に、最後の月経から1年以上月経がないことを確認して閉経と判断します。閉経後の出血は、1回・少量でも受診の対象です。

短時間でナプキンがいっぱいになる出血、強い腹痛、ふらつき・息苦しさ・冷汗などがある場合は、通常の予約を待たず、救急受診を含めて早めに医療機関へ相談してください。

子宮体がんの原因・リスク因子

子宮体がんには、エストロゲンの影響と関連するタイプと、エストロゲンとの関連が比較的少ないタイプがあります。次の項目は主に発症リスクと関連します。[5][10]

  • 排卵が少ない状態が長く続く月経不順、PMOS/PCOS
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 出産経験がないこと
  • 閉経が遅いこと
  • 子宮がある方へのエストロゲン単独投与
  • 乳がん治療薬タモキシフェンの使用
  • リンチ症候群などの遺伝的要因

リスク因子があっても必ず発症するわけではなく、明らかなリスク因子がない方にも起こります。「本人の生活習慣が原因」と決めつけることはできません。

月経不順で長期間月経が来ない場合は、子宮内膜を守るために定期的に出血を起こす治療や、低用量ピル・黄体ホルモン薬などを検討します。ホルモン補充療法中やタモキシフェン服用中も、自己判断で薬を中止せず、予定外の出血があれば処方医または婦人科へご相談ください。

子宮体がんが疑われるときの検査

  1. 問診・内診:出血の時期や量、閉経の有無、服用薬、妊娠可能性、家族歴などを確認します。
  2. 経腟超音波検査:子宮内膜の厚さや不整、ポリープ、筋腫、卵巣の状態などを確認します。
  3. 子宮内膜細胞診・組織診:子宮の奥に細い器具を入れて内膜を採取します。細胞診を行うこともありますが、確定診断には組織診が重要です。
  4. 子宮鏡検査・子宮内膜全面掻爬:病変が疑われるのに外来検査で十分な組織が取れない場合などに検討します。
  5. MRI・CTなど:がんと診断された場合、筋層への入り込みやリンパ節・他臓器への広がりを調べます。

超音波で子宮内膜が厚いだけでは、がんと確定しません。反対に、画像だけで完全に否定できるとも限りません。子宮体がんかどうか、組織型やグレードを確定するのは病理検査です。腫瘍マーカーの血液検査だけで子宮体がんの有無を診断することもできません。[6]

子宮内膜の採取時には、生理痛に似た痛みを感じることがあります。閉経後や出産経験がない方などでは器具が入りにくく、検体が十分に取れない場合もあります。痛みが不安な方、過去に検査が難しかった方は、検査前にお伝えください。

症状がなくても「子宮体がん検診」を受けるべき?

症状がなく、特別に高いリスクがない方全員に、子宮内膜細胞診や超音波検査を定期的に行うことは、国が推奨する対策型がん検診には含まれていません。検診によって死亡率を下げる効果が十分に確認されていないためです。[5][7]

一方、不正出血や閉経後出血がある場合に行う検査は「検診」ではなく、症状の原因を調べるための診療です。次回の子宮頸がん検診まで待たずに受診してください。

リンチ症候群が疑われる家族歴がある方、子宮内膜異型増殖症の既往がある方などでは、一般の方と異なる管理が必要になることがあります。大腸がん・子宮体がん・卵巣がんなどが家族内で多い場合は、遺伝カウンセリングを含めてご相談ください。

子宮体がんの治療

治療は、進行期、組織型、グレード、遺伝子・分子学的な特徴、年齢、持病、妊娠希望などを総合して決めます。手術可能な場合は手術が中心で、摘出した組織の病理結果をもとに、追加治療が必要かを判断します。[4][8]

治療 主な役割
手術 子宮、卵管・卵巣などを摘出し、必要に応じてリンパ節や腹腔内を評価する
経過観察 手術後の再発リスクが低い場合は、追加治療をせず定期診察を行うことがある
薬物療法 抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬、黄体ホルモン薬などを病状に応じて使う
放射線治療 手術が難しい場合、再発予防、再発部位の治療、症状緩和などを目的に行う
緩和ケア・支持療法 診断時から、痛みや不安、治療の副作用など心身のつらさを和らげる

なぜ子宮・卵巣・リンパ節を調べるのですか?

子宮体がんの標準的な手術では、原発巣のある子宮を摘出し、卵管・卵巣も摘出することがあります。年齢やがんの性質によっては卵巣温存を検討できる場合もありますが、全員に適する方法ではありません。

リンパ節については、画像所見、推定進行期、組織型やグレードなどをもとに、切除・生検を行うか判断します。施設や病状によっては、最初に流れ着くリンパ節を調べるセンチネルリンパ節生検が検討されます。

手術範囲は、がんの広がりを確認し、術後治療を適切に選ぶためにも決められます。したがって、「卵巣やリンパ節も取った=進行がん」「広い手術=予後が悪い」と単純に結びつけることはできません。

妊娠希望がある場合、子宮を残せますか?

子宮体がんの標準治療は子宮摘出ですが、妊娠を強く希望する若い方で、子宮筋層への浸潤がない類内膜がんグレード1など、厳しい条件を満たすごく早期の病変では、高用量黄体ホルモン療法による妊孕性温存を検討できる場合があります。子宮内膜異型増殖症も対象になることがあります。[8]

妊孕性温存治療には、効果が得られない可能性、血栓症などの副作用、治療後の再発リスクがあります。定期的な子宮内膜組織診が必要で、病変が消失した後は再発前に効率よく妊娠を目指すため、生殖医療科との連携を検討します。治療経験のある婦人科腫瘍専門施設で、標準治療との差を十分に理解して選択することが重要です。

子宮体がんと脳梗塞には関係がありますか?

がんがあると血液が固まりやすくなることがあり、手術、安静、脱水、年齢や持病なども血栓症のリスクに影響します。がんに関連する脳梗塞は「がん関連脳梗塞」と呼ばれ、トルソー症候群の一部として扱われることもありますが、脳梗塞には心房細動や動脈硬化など多くの原因があります。[9]

山瀬さんの脳梗塞が、どの機序で起きたかは公表情報だけでは判断できません。個別の因果関係は検査結果と治療経過を把握している医療チームが判断します。

顔の片側が下がる、片腕に力が入らない、言葉が出ない・ろれつが回らない、突然の激しいふらつきなどが現れた場合は、様子を見ず救急要請してください。

子宮体がんのリスクを下げ、早く見つけるためにできること

  • 長期間月経が来ない状態を放置せず、月経不順の治療を相談する
  • 無理のない範囲で適正体重を目指し、糖尿病を適切に管理する
  • 子宮がある状態でホルモン補充療法を受けるときは、処方どおりに黄体ホルモンを併用する
  • 予定外の出血や閉経後出血があれば、量が少なくても受診する
  • 特徴的ながんの家族歴がある場合は、遺伝カウンセリングを検討する

これらを行っても、すべての子宮体がんを予防できるわけではありません。早期発見のために最も実践しやすい行動は、「いつもと違う出血を放置しない」ことです。

子宮体がんについてよくある質問

Q. 子宮頸がん検診を毎年受けていれば、子宮体がんも分かりますか?

いいえ。子宮頸がん検診は子宮頸部の細胞を調べる検査で、子宮体がんを目的とした検査ではありません。不正出血がある場合は、検診結果が正常でも婦人科を受診してください。

Q. 閉経後に一度だけ少量出血しました。様子を見てもよいですか?

閉経後出血は、一度・少量でも原因を確認した方がよい症状です。萎縮性腟炎など良性の原因も多いですが、自己判断せずご相談ください。

Q. 超音波で「子宮内膜が厚い」と言われたら、がんですか?

厚いだけでがんとは確定しません。年齢、閉経の有無、月経周期、ホルモン薬、出血症状などを確認し、必要に応じて子宮内膜の組織検査を行います。

Q. 子宮体がんは必ず子宮を摘出しますか?

手術可能な子宮体がんでは子宮摘出が標準です。ただし、厳しい条件を満たすごく早期の病変で妊娠を強く希望する場合は、専門施設で妊孕性温存治療を検討できることがあります。

Q. HPVワクチンで子宮体がんも予防できますか?

HPVワクチンは主にHPV感染による子宮頸がんなどを予防するワクチンで、子宮体がんを予防するものではありません。子宮体がんの早期発見には、不正出血を放置しないことが重要です。

横浜駅近くで不正出血・閉経後出血をご相談になりたい方へ

横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~では、女性医師が出血の時期や服用薬を確認し、必要に応じて内診、経腟超音波検査、子宮内膜検査などをご案内します。

子宮体がんが疑われる場合や診断された場合は、病状に応じて婦人科腫瘍を専門とする連携医療機関へご紹介します。

予約方法・診療時間はこちら
お電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月5日。本ページは一般的な医療情報であり、山瀬まみさん個人の病状を推測するものではありません。また、個別の診断・治療に代わるものではありません。

参考文献

  1. テレビ朝日.山瀬まみさんの公表内容に関する記事.2026年7月9日.
  2. ORICON NEWS.山瀬まみさんの子宮体がん公表に関する記事.2025年10月7日.
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮体がん(子宮内膜がん).
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮体がん(子宮内膜がん) 治療.
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮体がん(子宮内膜がん) 予防・検診.
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮体がん(子宮内膜がん) 検査.
  7. 厚生労働省委託 がん対策推進企業アクション.がん検診や就労支援に関するQ&A.
  8. 日本婦人科腫瘍学会.子宮体がん.
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス.トルソー症候群/がん関連血栓症の特徴と治療.
  10. National Cancer Institute.Endometrial Cancer Causes, Risk Factors, and Prevention.