緊急避妊から低用量ピルユーザーに

 緊急避妊(モーニングアフターピル)は、避妊に失敗してから72時間以内に服用する事で妊娠のリスクを下げる方法ですが、残念ながら避妊効果は100%ではありません。
 なので、あくまで「思わぬトラブル」として避妊に失敗した時の最終手段なんですね。日頃から、コンドームや膣外射精で不確実な避妊をしておいて「やばい!」と思った時に緊急避妊を常用するというのは、絶対にお勧めできません。
 避妊は、常日頃から、女性が自分の手で確実に行っておくべきものです。
 今のところ、女性自らが100%に近い避妊率で利用できるのは、低用量ピルか子宮内避妊具しかありません。
 理想的には、避妊の必要性が生じたらその時点から確実な避妊をする事なんですが、残念ながら「彼氏ができたのでピルを飲みます」と受診してくださる方はまだまだ少数です。
 緊急避妊の経験は、避妊方法について考えるいいきっかけになるので、必ず今後の避妊法についてお話させていただいています。
 特に、10代や20代前半の明らかに継続的な避妊が必要な方たちには、「今後は低用量ピルでちゃんと避妊しようね」と強くお勧めしています。受診のわずらわしさを少しでも軽減できるように、あらかじめ緊急避妊薬と一緒に低用量ピルも1サイクル分お渡しするようにしているんです。
 そのかいあってか、若い層での低用量ピルユーザーへの以降率は徐々に高くなっている印象です。
 ピルの必要性を痛感するのが「望まない妊娠」を経験してしまってからではなく、せめて「緊急避妊」という経験から学んで欲しいという願いが、少しは伝わっているのかな、とうれしく感じたりします。
 避妊は年齢に関係なく、妊娠を望んでいなければ必ず考えなければいけない事です。
 少しでも多くの女性に、自ら避妊すべきなんだということを理解していただいて、「全ての子どもが望まれてくる世の中」になることを願っています。