HPVワクチンは安全?副反応・効果・接種後の注意

 

HPVワクチンには接種部位の痛み、腫れ、頭痛、発熱などの副反応が起こることがあります。一方、国内外の安全性評価では、子宮頸がんなどを予防する利益が副反応のリスクを上回ると判断されています。[1][2]

 

「安全だから何も起こらない」「接種後の症状はすべてワクチンが原因」のどちらも正確ではありません。起こり得る症状を知って接種し、気になる症状が続く場合は適切に評価・支援を受けることが大切です。

 
 

先に結論:効果とリスクを両方確認する

  • HPVワクチンは、子宮頸がんなどの原因となるHPV型への新たな感染を予防する
  • 日本で使われる9価ワクチンは、子宮頸がんの原因の80~90%を占めるHPV型を予防するとされる
  • 接種部位の痛み・腫れ・赤み、頭痛などは比較的よく起こる
  • 注射をきっかけとした失神が起こることがある
  • アナフィラキシーなどの重い症状はまれだが、接種後の観察と早期対応が必要
  • 接種後に症状が続く場合は、因果関係を最初から決めつけず診察・相談を受ける
  • ワクチンはすでにあるHPV感染を治療せず、すべての型を防ぐわけではないため、接種後も検診が必要

HPVワクチンで何を予防できますか?

HPVは子宮頸がんだけでなく、腟がん、外陰がん、肛門がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマなどに関係します。HPVワクチンは、ワクチンに含まれる型への新たな感染を予防します。

日本で定期接種に使用される9価ワクチンは、HPV16・18・31・33・45・52・58型などを対象とし、子宮頸がんの原因の80~90%を予防するとされています。[2]

感染してから治療するワクチンではないため、感染機会より前に接種するほど予防効果を得やすくなります。ただし、性交経験や過去のHPV陽性があっても、まだ感染していない型への予防効果が期待できる場合があります。接種年齢と回数は個別にご相談ください。

HPVワクチンの種類・接種回数・対象年齢・費用を見る

よくある副反応

厚生労働省が示す9価HPVワクチンの主な副反応は次のとおりです。頻度は臨床試験や製造販売後の情報に基づき、個人差があります。[2]

頻度 主な症状
50%以上 接種部位の痛み
10~50%未満 接種部位の腫れ・赤み、頭痛
1~10%未満 めまい、吐き気、下痢、かゆみ、発熱、疲労、接種部位の内出血・しこり
1%未満 嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、だるさなど

多くは一時的ですが、症状が強い、長引く、生活に支障がある場合は医療機関へ相談してください。

接種後の失神に注意

注射の痛みや緊張をきっかけに、一時的に血圧や脈拍が低下する「血管迷走神経反射」が起こり、めまい・冷や汗・失神が生じることがあります。HPVワクチンの成分に対するアレルギーとは限らず、採血やほかの予防接種でも起こります。

転倒によるけがを防ぐため、接種後は医療機関の指示に従って座るか横になり、一定時間安静にしてください。気分が悪い、目の前が暗くなる、吐き気がする場合は、我慢せずすぐにスタッフへ伝えます。

まれでも注意が必要な症状

どのワクチンでも、重いアレルギー反応であるアナフィラキシーが起こる可能性があります。また、厚生労働省は頻度不明の重い副反応として、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、免疫性血小板減少症などを挙げています。[2]

接種後に次の症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。

  • 息苦しさ、全身のじんましん、唇や舌の腫れ
  • 意識が戻らない、反応が鈍い
  • 手足に力が入りにくい、しびれが広がる
  • 強い頭痛、繰り返す嘔吐、けいれん
  • 広範囲の紫斑、鼻や口からの出血

緊急性が高い症状では救急要請を検討してください。

接種後に痛みや体調不良が続いたら

ワクチン接種後に、接種部位以外の痛み、しびれ、脱力、倦怠感、頭痛、めまい、睡眠や認知に関する症状などが続くことがあります。接種後に起きた症状であっても、時間的に続いて起きたことと、ワクチンが原因であることは同じではありません。

一方で、症状そのものを軽視してよいわけでもありません。接種との因果関係を最初から断定せず、ほかの病気や治療可能な原因も含めて診察を受けてください。接種した医療機関、かかりつけ医、自治体の相談窓口、協力医療機関などへ相談できます。厚生労働省は接種後の症状に対する相談・診療体制と予防接種健康被害救済制度を案内しています。[1]

受診時には、次の情報を記録しておくと役立ちます。

  • ワクチン名、接種日、接種回数
  • 症状が始まった日時と経過
  • 日常生活・学校・仕事への影響
  • ほかの薬、ワクチン、病気との時間的な関係

「積極的勧奨の差し控え」と現在の評価

日本では2013年、接種後に持続する痛みなどが報告され、国が接種を個別に勧める取組を一時的に差し控えました。ただし、定期接種そのものが中止されたわけではありません。

その後の国内外のデータを踏まえ、2021年11月の専門家会議で、安全性について特段の懸念は認められず、有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると判断され、2022年4月から個別の接種勧奨が再開されています。[1]

ワクチンの安全性は、承認後も副反応疑い報告や疫学研究などで継続的に監視されます。「報告された症状の件数」と「ワクチンが原因と確認された件数」は同じではないため、背景発生率や未接種者との比較を含めて評価します。

HPVワクチンは不妊の原因になりますか?

現在得られている研究結果は、HPVワクチンが不妊や早発卵巣不全を引き起こすという因果関係を支持していません。WHOのワクチン安全性に関する専門委員会も、疫学研究を含むデータを検討し、不妊との関連を支持する証拠はないと結論づけています。[3]

むしろ子宮頸がんや高度前がん病変の治療では、円錐切除による早産リスクの上昇や、子宮を残せない治療が必要になることがあります。将来の妊娠の可能性を守る観点からも、ワクチンによる一次予防と検診による二次予防の両方が重要です。

接種前に医師へ相談する方

  • 過去のHPVワクチンや含有成分で重いアレルギー反応があった
  • 発熱中、または重い急性疾患がある
  • 過去の注射や採血で失神したことがある
  • けいれん、免疫不全、重い基礎疾患がある
  • 妊娠中、妊娠している可能性がある
  • 授乳中
  • 1回目・2回目の接種後に気になる症状が出た

妊娠中は接種を避け、残りの回数は出産後へ延期します。接種後に妊娠が判明しても、それだけを理由に妊娠を中断する必要はありません。個別の状況を産婦人科へご相談ください。

ワクチンを受けても子宮頸がん検診は必要

HPVワクチンは、すべての発がん性HPV型を防ぐわけではありません。また、接種前に成立している感染を治療するものでもありません。そのため、接種歴にかかわらず、年齢と自治体の制度に応じて子宮頸がん検診を受けます。

逆に、検診だけでは感染そのものを予防できません。HPVワクチンで感染を予防し、検診で前がん病変を早期発見することが、子宮頸がん予防の基本です。[4]

HPVワクチンの安全性についてよくある質問

Q. HPVワクチンでHPVに感染したり、子宮頸がんになったりしますか?

ワクチンに感染性のあるHPVは含まれていないため、接種によってHPVに感染したり、子宮頸がんになったりすることはありません。

Q. 接種時の痛みが心配です

接種部位の痛みはよくみられます。不安や痛みで失神することもあるため、横になって接種できるか相談し、接種後は医療機関の指示に従って安静にしてください。

Q. 1回目の後に発熱しました。次も接種できますか?

発熱の程度・時期・ほかの症状・別の原因を確認して判断します。自己判断で接種を続けたり中止したりせず、次回予約前に接種医へ相談してください。

Q. HPVワクチンは不妊の原因になりますか?

現在の研究では、HPVワクチンと不妊・早発卵巣不全との因果関係を支持する証拠はありません。

横浜駅近くでHPVワクチンをご相談になりたい方へ

ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~では、接種年齢、過去の接種歴、妊娠の可能性、副反応への不安を確認し、HPVワクチンについてご説明します。

定期接種・任意接種の対象、必要回数、費用、在庫、予約方法は変更されることがあるため、最新情報をご確認ください。

予約方法・診療時間はこちら

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月20日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の接種可否や診断に代わるものではありません。

参考文献

  1. 厚生労働省.HPVワクチンに関するQ&A.
  2. 厚生労働省.HPVワクチン.
  3. World Health Organization. HPV vaccines and infertility.
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮頸がん 予防・検診.