カンジダ腟炎

 カンジダ腟炎は、おりものの異常を起こす病気の中で最もポピュラーな感染症です。「感染症」と言っても「性感染症」いわゆる「性病」とは異なります。

 性感染症は性行為によってパートナーからうつるものですが、カンジダ腟炎は常在菌である「カンジダ真菌」というカビが異常に増えることによって起きるものです。要するに、元から自分が持っている弱い雑菌が増えすぎてしまっただけの状態。なので、性交経験のない方でもカンジダ腟炎になることがあります。 

 時々、高校生が「エッチしてないのに性病になった!」と本気で悩んでしまうようですが、性感染症とは原因が全く異なりますから心配する必要はありません。

 

 主な症状は、おりものの異常と外陰部や腟内の痒みです。おりものはヨーグルト状や酒粕状の少しポソポソした状態になることが多く、白~黄緑色をしています。割と特徴的なおりものなので、一度でもカンジダ腟炎になったことがある人なら、再発した時にすぐに分かると思います。

 外陰部の炎症がひどくなると、痒みだけでなくヒリヒリした痛みをともなうこともあります。男性の場合、性器は皮膚で覆われていますからカンジダに感染しても皮膚炎を起こすだけです。ひどくなると痒みが出たり皮膚が赤くなったりしますが、これが俗に言う「インキンタムシ」です。

 

 腟内には「自浄作用」と言って、弱い雑菌を善玉菌の力で抑えて洗い流してしまう作用を持っています。なので、軽いカンジダ腟炎なら自然に治ってしまうこともあります。ただ、おりものが多量に出たり強い痒みがあるような状態になってしまったら、早めに病院で治療を受けた方がいいでしょう。

 治療は、腟内をよく洗浄してカンジダ真菌を抑える「抗真菌薬」の腟剤を腟の中に入れるだけ。腟剤は1度入れると1週間効き目が続くタイプのものと、毎日1個ずつ腟内に入れるタイプのものとあります。たいていは病院で腟内を洗ってもらって、持続タイプの腟剤を入れてもらえば自分で腟剤を使わなくても大丈夫です。

 ただ、かなりひどい場合や何度も繰り返して再発しやすくなっている場合は、自宅でも毎日腟剤を入れたほうが確実な治療になります。

 外陰部の痒みには、抗真菌薬の塗り薬を使います。この痒みに対してステロイドや市販されている「痒み止め」を使うとかえって悪化させてしまうことがあるので注意してください。