あなたが『ストレス』を感じやすいわけは?

  患者様とお話ししていると、非常に頻繁に遭遇する言葉があります。

  「ストレス」

 です。「最近ストレスが多くて」「生理が遅れたのはやっぱりストレスが原因ですか?」「ずっとストレスがあるので・・・」などなど、患者様の口から「ストレス」という言葉を聞かない日はありません。
 でも、以前お伝えしたように「ストレス」というものはそもそも存在しないのです。皆さんの中に、ストレスがどんな形をしているのか答えられる人がいますか?何色ですか?大きさは?おそらく、「ストレス」を目にしたことがある人はいないと思います。
 中には、夫を指して「あれが『ストレス』です」とか、残業時間を見てこれが『ストレス』です」という方もいらっしゃるかもしれませんね。それは「ストレス」ではなく、その人または状況と自分との関係がうまくいっていないというだけなのです。

 では、一般的にストレスを感じやすい人とそうでない人がいるのはなぜなのでしょうか?それは、物事をとらえる時の脳の「フィルター」が異なるからです。
 ストレスを感じやすい人は、ある特定の脳の使い方をしています。次のような脳の使い方をしていると、ストレスを感じやすくなるのです。

*苦痛系の脳を刺激している
 脳には、幸せや達成感を感じる「報酬系」の部位と、嫌なことや避けたいことを感じる「苦痛系」の部位があります。
 例えば、「ダイエットをするために食べたいものを我慢する」という状況の時、「ダエットで理想の体型になっている姿」を思い浮かべると報酬系の部位が刺激されます。「食べたいものが食べられない」ことを思い浮かべると、苦痛系の部位が刺激されます。
 この「苦痛系」の部位ばかりを刺激しているとストレスを感じやすくなるのです。

*外的基準で物事をとらえている
 以前も書きましたが、「外的基準」で判断するのか「内的基準」で判断するのかによって物事の見え方は全く異なってきます。
 ある「専門職」の方は、その専門性を活かして仕事をするのが「苦痛だ」とおっしゃっていました。自分が行った仕事に対して「相手が満足してくれるのかどうかが心配」「上司が適切に自分を評価してくれるのかが気になる」とおっしゃるのです。なぜ苦痛に感じるのかというと「外部からの評価」を気にしているからです。自分の仕事に対して、自分がどれだけやったかという評価をつけるのではなく、すべて「ほかの人の物差し」で測ろうとしているので、周りの人の反応が気になってしまいます。自分がやるだけのことをやっても、周りの人が評価したり褒めてくれたりしないと満足できなくなるというわけです。

*自分型の傾向が強い
 簡単に言うと「自分の考え方がすべて正しい」と考えているパターンです。正義感が強い人や、「○○すべきでしょう!」という考え方を常にしている人に多くみられます。自分が「こうあるべき」と思っている型に周りも当てはめようとするので、そこからはみ出す人や物事を受け入れることができず、葛藤が起きてしまうのです。
 自分型の傾向が強いと、他人を見てイライラすることが多くなってしまいます。例えば、仕事の同僚や自分の子どもなど、自分の「こうでなければいけない」という枠からはみ出た言動や在り方を見ると、それを責めたくなるのです。そうやって自分で「勝手に」イライラしていると、本人的には「ストレスがたまる」という状態になります。

 いかがですか?ここに挙げた脳のフィルターは、いくつもあるフィルターのほんの一部ですが、特に「ストレスが!」とおっしゃる方に多い傾向を挙げてみました。
 自分が持っているフィルターを少し変えるだけで、ストレスフルな毎日からゆるハピな毎日にガラッと模様替えできるかもしれませんよ。