女性の貧血の原因|生理・過多月経・子宮筋腫との関係

 

月経のある女性では、過多月経による鉄欠乏性貧血がよくみられます。しかし、貧血を「女性だから」「生理があるから」と決めつけてはいけません。子宮筋腫や子宮腺筋症による出血のほか、妊娠、消化管出血、鉄の吸収障害、慢性疾患、血液の病気などが隠れていることがあります。

 

貧血では、鉄を補うだけでなく、なぜ鉄が不足したのかを調べることが大切です。月経量が多い方は、婦人科で出血の原因を確認しましょう。[1][2]

 

貧血とは?ヘモグロビンと鉄欠乏の違い

貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が低くなり、全身へ酸素を運ぶ力が不足した状態です。基準値は年齢、妊娠の有無などで異なります。成人の非妊娠女性では、一般にヘモグロビン12g/dL未満が貧血の目安になります。[3]

一方、鉄欠乏は体内の貯蔵鉄が減った状態です。鉄の蓄えをみる代表的な検査がフェリチンです。ヘモグロビンがまだ正常でも、フェリチンが低く、鉄欠乏が先に進んでいることがあります。感染や炎症があるとフェリチンが高く見えることがあるため、結果はほかの検査と合わせて判断します。[4]

貧血・鉄欠乏でみられる症状

  • 疲れやすい、だるい
  • 階段や運動で息切れ・動悸がする
  • めまい、立ちくらみ、頭痛
  • 顔色が悪い
  • 集中しにくい、仕事や学業の能率が落ちる
  • 爪がもろい、抜け毛が気になる
  • 氷を無性に食べたくなる
  • 脚がむずむずして眠りにくい

ゆっくり貧血が進むと、体が慣れて症状を自覚しにくいことがあります。「元気だから大丈夫」とは限らず、過多月経がある方は血液検査で確認することが重要です。

生理による貧血を疑うサイン

  • 夜用ナプキンでも1~2時間で交換が必要
  • ナプキンとタンポンを併用しても漏れる
  • 大きな血の塊が繰り返し出る
  • 月経が8日以上続く
  • 以前より月経量が増えた
  • 月経中に外出や仕事・学校を制限している
  • 健診で貧血を繰り返し指摘される

月経量を正確に測る必要はありません。生活に支障が出るほど多いと感じる場合は、過多月経として相談できます。大量出血だけでなく、少量の出血が長く続いて鉄欠乏になることもあります。

月経量を増やす主な婦人科の病気

原因 特徴
子宮筋腫 特に子宮内腔へ突出する粘膜下筋腫は、小さくても過多月経・貧血の原因になる
子宮腺筋症 過多月経と強い月経痛を伴うことが多い
子宮内膜ポリープ 過多月経、不正出血、月経の長期化の原因になる
排卵障害 思春期、PCOS、周閉経期などで出血が不規則・大量になることがある
子宮内膜増殖症・子宮体がん 不正出血や過多月経を起こす。年齢やリスクに応じて子宮内膜検査を検討する
妊娠に関連する出血 妊娠の可能性がある時の出血は、流産・異所性妊娠などとの区別が必要

抗凝固薬などの薬、血液が固まりにくい病気、銅付加IUDなども月経量に影響することがあります。問診では、服用薬と出血しやすさも確認します。

生理以外で女性が鉄欠乏・貧血になる原因

  • 妊娠・授乳:必要な鉄の量が増える
  • 食事からの摂取不足:極端なダイエット、偏食など
  • 消化管からの出血:胃・十二指腸潰瘍、痔、大腸の病気など
  • 吸収障害:胃や腸の手術後、消化器疾患など
  • 献血・鼻出血など:繰り返す失血
  • 慢性疾患:腎臓病、炎症性疾患、悪性疾患など
  • 血液の病気:溶血、骨髄疾患、遺伝性疾患など
  • 鉄以外の栄養不足:ビタミンB12・葉酸欠乏など

月経量が多くない方、閉経後の方、鉄剤を飲んでも改善しない方では、婦人科以外の原因も評価します。閉経後の鉄欠乏性貧血を月経の影響として扱うことはできません。

貧血ではどんな検査をしますか?

血液検査

  • 血算:ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、MCVなど
  • 鉄の評価:フェリチン、血清鉄、総鉄結合能・トランスフェリン飽和度など
  • 必要に応じて:腎・肝機能、炎症反応、ビタミンB12、葉酸、甲状腺機能など

婦人科の検査

  • 月経量、不正出血、痛み、妊娠可能性についての問診
  • 内診・超音波検査
  • 年齢・症状に応じた子宮頸がん検診、子宮内膜検査
  • 必要に応じてMRI、子宮鏡検査など

過多月経では、NICEのガイドラインも全血球計算を行うことを推奨しています。[2]月経だけで説明できない場合は、便潜血、消化管内視鏡などを内科・消化器科で検討します。

婦人科と内科、どちらを受診する?

症状・状況 主な相談先
月経量が多い、不正出血、強い月経痛がある 婦人科
月経がない、または閉経後なのに鉄欠乏性貧血がある 内科・消化器科を含む原因検索
過多月経も胃腸症状もある 婦人科と内科の両方
息苦しさ、失神、胸痛、動悸が強い 当日中の医療機関受診。症状が重ければ救急

まず受診しやすい診療科で血液検査を受け、結果に応じて連携する方法でも構いません。

鉄欠乏性貧血の治療

1.不足した鉄を補う

多くは経口鉄剤で治療します。吐き気、胃痛、便秘・下痢などが出る場合は、製剤、服用方法、投与間隔を調整できることがあります。貧血が強い、吸収が悪い、経口鉄剤が使えない、早い改善が必要な場合などには静注鉄剤を検討します。

ヘモグロビンが改善しても貯蔵鉄が十分に回復していないことがあるため、自己判断ですぐ中止せず、血液検査で確認します。サプリメントの鉄含有量は治療薬より少ないことがあり、中等度以上の貧血をサプリだけで治そうとしないでください。

2.出血の原因を治療する

月経による失血が続けば、鉄剤だけでは再発しやすくなります。原因と妊娠希望に応じて、トラネキサム酸、LEP・低用量ピル、黄体ホルモン製剤、ミレーナ、GnRH治療、子宮鏡手術、筋腫核出術、子宮全摘術などを選びます。[1][2]

3.食事は治療を補う

赤身肉、魚、貝、大豆製品、青菜などを組み合わせ、バランスよく摂ることは大切です。ただし、すでに貧血がある場合は食事だけで短期間に補うことが難しいため、必要な治療を受けましょう。

早めの受診・救急受診が必要な症状

  • 1時間ごとにナプキンを替えるような出血が続く
  • 立てないほどのめまい、失神
  • 安静にしていても息苦しい、胸が痛い
  • 脈が非常に速い、冷汗が出る
  • 妊娠の可能性があり、出血と腹痛がある
  • 閉経後に出血した

緊急性はヘモグロビンの数字だけでは決まりません。出血の速さ、症状、妊娠、心臓・肺の病気などを含めて判断します。

女性の貧血についてよくある質問

Q. ヘモグロビンが正常なら鉄不足ではありませんか?

正常でも、貯蔵鉄を示すフェリチンが低い「鉄欠乏」の段階があります。症状や月経量を踏まえて検査します。

Q. 健診で貧血と言われました。鉄サプリを飲めばよいですか?

先に原因を確認することが大切です。過多月経があれば婦人科で評価し、月経量が多くなければ消化管などほかの原因も検討します。

Q. 鉄剤を飲むと便が黒くなりました。大丈夫ですか?

鉄剤で便が黒くなることはあります。ただし、タール状の便、腹痛、ふらつきなどがある場合は消化管出血との区別が必要なため受診してください。

Q. 子宮筋腫が原因なら必ず手術ですか?

必ずではありません。筋腫の位置、症状、貧血、妊娠希望に応じて、薬物治療、ミレーナ、手術などから選びます。

横浜駅近くで過多月経・貧血をご相談になりたい方へ

横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~では、月経量や不正出血を伺い、超音波検査、血液検査などで貧血の原因を確認します。

鉄を補う治療と、出血を減らす治療を組み合わせ、妊娠希望や生活に合わせて治療法をご提案します。

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お電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月10日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ214~CQ216ほか.
  2. National Institute for Health and Care Excellence.Heavy menstrual bleeding: assessment and management(NG88).
  3. World Health Organization.Guideline on haemoglobin cutoffs to define anaemia in individuals and populations.2024.
  4. World Health Organization.WHO guideline on use of ferritin concentrations to assess iron status in individuals and populations.2020.
  5. Ning S, Zeller MP. Management of iron deficiency. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2019;2019(1):315-322.

-daysurgery.com/”>RENA CLINIC(レナクリニック)