妊娠前に性感染症検査は必要?妊活前に受けたい検査と時期
妊娠前に性感染症を確認しておくことには、将来の妊娠と赤ちゃんの健康を守る意味があります。クラミジアや淋菌は無症状でも骨盤内炎症性疾患を起こし、不妊や異所性妊娠につながることがあります。梅毒、HIV、B型肝炎などは妊娠中や出産時に赤ちゃんへ感染する可能性があり、妊娠前または妊娠初期の発見と適切な対応が重要です。[1][2]
ただし、すべての方に同じ「全部入り」の検査が必須というわけではありません。最後に検査した時期、その後のパートナーの変化、コンドームを使わない性行為、過去の感染歴、症状、口腔性交・肛門性交を含む接触部位などに合わせて検査を選びます。妊娠を考え始めた時は、パートナーと一緒に検査歴を確認する機会にしましょう。
なぜ妊娠前に性感染症検査を受けるのですか?
将来の妊娠しやすさを守るため
クラミジアや淋菌は、感染しても症状がないことがあります。治療されないまま子宮頸管から子宮・卵管へ炎症が広がると、卵管の癒着や閉塞を起こし、不妊や異所性妊娠のリスクに関係します。症状がない時期に見つけて治療することが大切です。[3]
妊娠中・出産時の母子感染を減らすため
梅毒は胎盤を通じて胎児へ感染し、流産、死産、先天梅毒の原因になることがあります。HIVやB型肝炎なども、感染が分かれば妊娠中の治療、分娩方法、赤ちゃんへの予防処置などを計画できます。梅毒は近年、20代を含む女性の報告が多く、妊娠例と先天梅毒にも注意が必要です。[4][5]
妊娠前なら治療と確認の時間を取りやすいため
妊娠が成立する前であれば、感染症の治療、パートナーの検査・治療、必要な再検査を行ってから妊活を始められます。妊娠中でも使用できる薬はありますが、あらかじめ状態を把握しておくと、より計画的に対応できます。
妊娠前の検査を特に検討したい方
- 現在のパートナーと一緒になってから性感染症検査を受けていない
- 前回の検査後に新しいパートナーができた
- コンドームを使わない性行為があった
- 自分またはパートナーに性感染症の既往がある
- パートナーが性感染症と診断された、または感染の可能性がある
- おりものの増加・悪臭、不正出血、性交痛、排尿痛、外陰部のしこり・ただれなどがある
- 過去に骨盤内炎症性疾患や原因不明の卵管障害を指摘された
- 妊活、不妊検査・治療を始める予定がある
感染の可能性は見た目や症状だけでは判断できません。一方、性交渉の経験がなく感染機会もない場合などは、必要性が異なります。問診で状況を確認し、検査の利益と費用を考えて選びます。
妊活前に検討する主な性感染症検査
| 感染症 | 主な検査 | 妊娠前に確認する意味 |
|---|---|---|
| クラミジア | 腟・子宮頸管のぬぐい液または尿による核酸検査 | 無症状が多く、骨盤内炎症、不妊、異所性妊娠、分娩時の新生児感染に関係する |
| 淋菌 | 腟・子宮頸管のぬぐい液または尿による核酸検査 | 骨盤内炎症や新生児への感染に関係する。薬剤耐性も問題となる |
| 梅毒 | 血液検査 | 胎盤を通じて胎児へ感染し、流産・死産・先天梅毒の原因になり得る |
| HIV | 血液検査 | 早期に把握して治療と母子感染予防を行うことで、赤ちゃんへの感染リスクを大きく下げられる |
| B型肝炎 | HBs抗原などの血液検査 | 母子感染予防と本人の肝臓の評価につながる。免疫がなく感染リスクがあればワクチンも検討する |
| C型肝炎 | HCV抗体、必要に応じて確認検査 | 本人の治療と妊娠中の管理方針を検討できる |
| トリコモナス | 腟分泌物の検査など | 症状、感染歴、パートナーの状況に応じて追加する |
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会のガイドラインでは、性感染症のセット検査としてクラミジア、淋菌、梅毒、HIVを挙げ、リスクに応じてトリコモナスやB型・C型肝炎を追加しています。[1]
口腔性交や肛門性交がある場合、性器の検査だけでは咽頭・直腸の感染を見つけられないことがあります。感染の可能性がある部位を医師に伝え、必要に応じて咽頭や直腸の検査を追加します。
性器ヘルペスは、潰瘍や水疱などの症状がある時に病変から検体を採る検査が基本です。症状のない方全員に血液の抗体検査を行っても、感染部位や感染時期を判断できない場合があるため、目的を確認して選びます。
検査はいつ受ける?感染直後の「ウインドウ期」に注意
妊活を始める前、できれば避妊をやめる前に相談すると、陽性だった場合の治療と再検査の時間を確保できます。ただし、感染の機会から検査までが短すぎると、感染していても陰性になる「ウインドウ期」があります。
ウインドウ期は、感染症の種類、検査法、採取部位によって異なります。直近の感染機会がある場合は、接触した日と部位を伝えてください。初回が陰性でも、適切な時期の再検査をご案内することがあります。
- 症状がある:検査時期を自己判断で待たず、早めに受診する
- パートナーが陽性:自分の検査結果を待つだけでなく、治療が必要か医療機関へ相談する
- 最近、抗菌薬を使用した:検査結果に影響することがあるため、薬名と服用時期を伝える
- 新たな感染機会があった:以前の陰性結果だけで現在の感染は否定できない
検査が陽性だった場合
- 感染症に合った治療、または専門科での精密検査を受ける
- 必要に応じて現在・最近のパートナーにも検査と治療を勧める
- 治療が完了し、医師がよいと判断するまで性行為を控えるか指示に従う
- 感染症に応じて治癒確認や再感染を調べる再検査を受ける
- 妊活を始める時期を医師と確認する
性感染症は、感染した時期や相手を検査だけで特定できないことがあります。陽性結果を責め合うのではなく、二人の治療と再感染予防を優先しましょう。クラミジアなどは自分だけが治療しても、パートナーが未治療であれば再感染する可能性があります。[3]
妊娠前に陰性なら、妊娠後の検査は不要ですか?
妊娠前に陰性でも、妊娠後の初期検査は予定どおり受けてください。日本の妊婦健診では、妊娠初期に梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎などを確認します。妊娠前の検査後に新たな感染機会がある可能性や、検査時期による見逃しがあるためです。[2]
クラミジアなどの検査時期は自治体や医療機関で異なります。妊娠が分かったら、妊婦健診を受ける施設の案内に従ってください。
性感染症検査と一緒に確認したいワクチン
妊娠前の準備では、検査だけでなくワクチン歴も確認します。特に風疹は、抗体が不十分な場合に妊娠前のワクチン接種を検討します。接種後に避妊が必要な期間があるため、妊活開始前の確認が大切です。
B型肝炎は感染リスクと免疫の有無に応じてワクチンを検討できます。HPVワクチンは子宮頸がんなどの原因となるHPV感染を予防しますが、クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどを防ぐワクチンではありません。
検査は保険診療ですか?自費診療ですか?
おりもの、不正出血、痛みなどの症状がある場合や、パートナーが感染している場合は、診察内容に応じて保険診療になることがあります。症状がなく、妊娠前の確認や健康診断として検査する場合は原則として自費診療です。
保健所では、HIVや梅毒などの検査を匿名・無料で受けられる場合があります。検査項目、実施日、予約の要否は地域によって異なるため、厚生労働省の検査・相談マップや自治体の案内をご確認ください。[6]
妊娠前の性感染症検査についてよくある質問
Q. 症状がなくても検査は必要ですか?
クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどは無症状のことがあります。前回検査後の感染機会、新しいパートナー、過去の感染歴などがあれば、症状がなくても検査を検討します。
Q. パートナーも一緒に受けた方がよいですか?
二人とも検査歴がない場合や感染機会がある場合は、カップルで確認することが有用です。どちらかが陽性なら、感染症に応じてパートナーの検査・治療が必要です。
Q. ブライダルチェックを受ければ、すべての性感染症が分かりますか?
分かりません。検査セットの内容は医療機関によって異なり、採取していない部位の感染や、ウインドウ期の感染は見つけられないことがあります。項目、検査法、検査時期を確認してください。
Q. 妊娠してから陽性と分かっても治療できますか?
妊娠中に治療や母子感染予防ができる感染症はあります。自己判断で薬を避けたり妊婦健診を遅らせたりせず、早めに産婦人科へ相談してください。
横浜駅近くで妊娠前検査をご希望の方へ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~は横浜駅から徒歩6分です。女性医師が、これまでの検査歴、感染機会、症状、妊娠希望の時期を伺い、必要な検査をご提案します。
症状のない妊娠前検診は自費診療です。症状がある方、パートナーが陽性の方は、予約時または診察時にその旨をお伝えください。
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お電話でのご予約:045-440-5577
この記事の執筆・医学監修
清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長
更新日・最終医学確認:2026年10月4日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の検査・診断・治療に代わるものではありません。
参考文献
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ112 性感染症のスクリーニング(セット検査)は?
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―産科編2023.CQ003 妊娠初期の血液検査.
- 厚生労働省.性器クラミジア感染症.
- 厚生労働省.梅毒に関するQ&A.
- 厚生労働省.日本の性感染症の発生動向.
- 厚生労働省.性感染症検査・相談マップ.
- 国立成育医療研究センター.プレコンノート Action3 検査やワクチンを受けよう.










