子宮内膜症の診断・検査|超音波・MRI・CA125・腹腔鏡
子宮内膜症には、血液検査や超音波検査だけで「ある・ない」を判定できる単独の検査はありません。痛みの経過、月経・性交・排便との関係、診察、超音波やMRIを組み合わせて臨床的に診断します。
超音波が正常でも、画像に映りにくい表在性子宮内膜症は否定できません。[1][2]
以前は腹腔鏡で病変を確認しなければ確定診断できないと説明されることが多くありました。現在は、すべての方に診断目的の手術を行うのではなく、症状と画像から臨床診断し、検査と薬物治療を並行して進める考え方が重視されています。[1][3]
子宮内膜症の検査の流れ
- 症状、月経歴、妊娠希望、治療歴を確認する
- 本人の同意と必要性に応じて診察を行う
- 超音波で卵巣、子宮、骨盤内を確認する
- 深部病変や手術計画が問題になる場合はMRIを検討する
- 症状と検査結果から臨床診断し、治療または専門医紹介を行う
- 治療で改善しない場合や手術の利益が見込まれる場合に腹腔鏡を検討する
検査がすべて終わるまで痛みを我慢する必要はありません。画像検査や紹介を進めながら、鎮痛薬やホルモン治療を開始することがあります。
問診で確認すること
子宮内膜症の診断では、検査画像だけでなく症状の聞き取りが重要です。次の内容を記録して受診すると診断に役立ちます。
- 痛みが始まった年齢と、年々悪化しているか
- 痛む時期:月経前、月経中、排卵期、常時など
- 学校・仕事・睡眠・運動への影響
- 鎮痛薬の種類、飲む時期、効果
- 性交痛、排便痛、排尿痛、腰痛の有無
- 月経に連動する血便、血尿、胸痛など
- 妊娠希望の有無と希望時期、妊活期間
- 子宮内膜症・卵巣嚢胞の家族歴
- ピル、ジエノゲスト、ミレーナ、手術などの治療歴
痛みを0~10で記録する、月経日と症状をアプリや手帳に残す、鎮痛薬を飲んだ回数を記録する方法も役立ちます。
内診は必ず必要ですか?
内診では、子宮の動き、子宮後方の圧痛や硬さ、卵巣の腫れなどを確認します。ただし、診察所見が正常でも子宮内膜症は否定できません。
すべての方に一律の内診が必要なわけではありません。性交経験がない方、10代の方、内診に強い不安や痛みがある方では、まず問診と腹部からの超音波で確認する方法があります。診察の必要性と方法を説明し、同意を得て行います。
超音波検査で分かること・分からないこと
超音波検査は、子宮内膜症が疑われる時の基本的な画像検査です。経腟超音波が適する場合は、卵巣や子宮を詳しく確認できます。経腟検査が難しい場合は、経腹超音波など別の方法を検討します。
超音波で見つけやすい病変
- 卵巣チョコレート嚢胞
- 子宮腺筋症や子宮筋腫など、似た症状を起こす病気
- 一部の深部子宮内膜症や癒着を疑う所見
- 卵巣嚢胞の大きさ、内部の状態、経時的な変化
超音波で見つけにくい病変
- 腹膜表面の小さな子宮内膜症病変
- 初期の病変
- 場所や大きさによって見えにくい深部病変
超音波で異常がないことは、「痛みの原因がない」「子宮内膜症ではない」という意味ではありません。症状が続く場合は治療反応を確認し、必要に応じてMRIや専門医紹介を検討します。[1]
MRI検査が必要になる場合
MRIは全員に行う検査ではありません。超音波だけでは評価しにくい病変や、手術前に病変の広がりを確認したい場合に役立ちます。
- 深部子宮内膜症が疑われる
- 直腸、膀胱、尿管などへの病変を評価したい
- 子宮腺筋症との合併を確認したい
- 大きな卵巣嚢胞や複雑な腫瘤がある
- 手術方法を検討するため病変の位置を把握したい
MRIも小さな表在性病変をすべて見つけられるわけではありません。画像は子宮内膜症の診療経験がある医師・放射線科医による評価が重要です。[1]
CA125・血液検査で診断できますか?
CA125だけで子宮内膜症を診断したり、否定したりすることはできません。子宮内膜症で高くなることがありますが、月経中、妊娠、子宮腺筋症、子宮筋腫、骨盤内炎症などでも上昇します。反対に、子宮内膜症があっても正常なことがあります。NICEはCA125を子宮内膜症の診断目的に使用しないよう勧告しています。[1]
血液検査は、貧血、炎症、妊娠の可能性、他の病気、薬を安全に使えるかなどを確認する目的で行います。ホルモン検査やAMHも、子宮内膜症そのものを診断する検査ではありません。
AMHは卵巣予備能を考える参考にはなりますが、自然妊娠できるかどうかを単独で予測する検査ではありません。卵巣チョコレート嚢胞、卵巣手術歴、不妊治療を検討する場合などに、目的を明確にして測定します。
腹腔鏡検査・病理検査の役割
腹腔鏡では、おへそ付近などから細いカメラを入れ、骨盤内の病変や癒着を直接確認します。病変を切除して顕微鏡で調べる病理検査により、組織学的な診断ができます。
ただし、診断のためだけに全員が手術を受けるわけではありません。次のような場合に検討します。
- 薬物治療で痛みが改善しない、または薬が使えない
- 卵巣嚢胞の増大や悪性腫瘍との鑑別が問題になる
- 深部子宮内膜症による腸・膀胱・尿管症状が疑われる
- 妊娠希望があり、手術による利益が見込まれる
- 別の手術を行う際に病変を確認・治療する
手術には出血、感染、臓器損傷、癒着、再発などのリスクがあります。卵巣チョコレート嚢胞の手術では卵巣予備能が低下する可能性もあるため、年齢、妊娠希望、嚢胞の状態を踏まえて判断します。[4]
「疑い」「臨床診断」と言われたら
「子宮内膜症の疑い」や「臨床診断」は、何も分からないという意味ではありません。症状と診察・画像所見から子宮内膜症の可能性を判断し、体への負担が大きい手術をせずに治療を始めるための診断です。
治療に対する反応も、その後の方針を考える材料になります。ただし、ホルモン治療で痛みが軽くなったことだけで子宮内膜症が確定するわけではなく、他の痛みの原因が重なっていないか継続して評価します。
妊娠を希望する場合に追加する検査
妊娠しにくさは、子宮内膜症だけで決まりません。妊娠を希望する方では、年齢と妊活期間に応じて次の検査を組み合わせます。
- 排卵・月経周期の確認
- 卵管の通過性を調べる検査
- 精液検査
- 超音波による卵巣・子宮の評価
- 必要に応じてAMHなど卵巣予備能の評価
35歳以上、卵巣手術歴がある、両側のチョコレート嚢胞がある、強い月経不順や男性側の要因が疑われる場合は、一定期間自己流で待つより早めの相談が勧められます。
専門医療機関への紹介が必要な場合
- 卵巣チョコレート嚢胞がある
- 深部子宮内膜症が疑われる
- 腸、膀胱、尿管、胸腔など骨盤外の病変が疑われる
- 画像で悪性腫瘍を否定できない
- 薬物治療で症状が改善しない
- 手術や高度な不妊治療を検討する
当院で診察・基本的な検査と薬物治療を行い、必要な場合は子宮内膜症手術や生殖医療に対応する医療機関へご紹介します。
子宮内膜症の検査についてよくある質問
Q. 生理中でも超音波検査を受けられますか?
多くの場合は受けられます。出血量や痛み、予定する検査によって変更することがあるため、予約時または受診前にご確認ください。
Q. CA125が正常なら子宮内膜症ではありませんか?
正常でも子宮内膜症を否定できません。CA125は月経などでも変動し、診断の決め手にはなりません。
Q. 10代や性交経験がなくても検査できますか?
できます。まず問診と腹部からの超音波など、負担の少ない方法から検討します。内診を一律に行うわけではありません。
Q. 超音波もMRIも正常ですが、強い痛みがあります
画像に映らない表在性子宮内膜症、機能性月経困難症、骨盤底筋や消化器・泌尿器など別の原因が考えられます。画像が正常でも、症状に対する治療と再評価が必要です。
横浜駅近くで子宮内膜症の検査をご希望の方へ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~は横浜駅から徒歩6分です。女性医師が症状と妊娠希望を伺い、診察方法を相談しながら必要な検査をご提案します。
性交経験がない方、10代の方、内診に不安がある方は、予約時または診察時にお伝えください。
予約方法・診療時間はこちら
お電話でのご予約:045-440-5577
この記事の執筆・医学監修
清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長
更新日・最終医学確認:2026年10月2日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・検査に代わるものではありません。
参考文献
- National Institute for Health and Care Excellence. Endometriosis: diagnosis and management(NG73). Updated 2024.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Diagnosis of Endometriosis. Clinical Practice Guideline No. 11, 2026.
- World Health Organization. Endometriosis. 2025.
- European Society of Human Reproduction and Embryology. ESHRE Guideline: Endometriosis. 2022.
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2026.










