お笑いカルテット「ぼる塾」のメンバー・田辺智加さんの「皮様嚢腫」はどんな病気?

「皮様嚢腫」とは卵巣にできる良性腫瘍(横浜駅近くの婦人科)

お笑いカルテット「ぼる塾」のメンバー・田辺智加さんが、卵巣腫瘍の「皮様嚢腫」という病気で入院・手術をした経験をYouTubeで公開されています。

「皮様嚢腫」は、「成熟奇形腫」や「デルモイド」とも呼ばれ、卵巣にできる良性腫瘍の中では比較的頻度の高いものです。

内部に皮脂や髪の毛などが入った状態で腫瘍が大きくなっていくため、見た目は「よくない腫瘍なのでは?」と思われるかもしれませんが、良性つまり癌ではありません。

 

自分の身体の髪の毛や骨が卵巣の中に入り込んで発生するわけではなく、卵巣の中にある「卵子の元」となる細胞から発生します。

卵巣の中には、人ひとりを構成するために必要なすべての細胞の「大元」が入っています。その中には、髪の毛に分化する細胞の元も、骨に分化する細胞の元もあります。それらの細胞が、本来は卵巣の中で増殖することはないのですが、何らかの誤った増殖信号が伝わってしまい、腫瘍になったものが「皮様嚢腫」です。

 

 

「皮様嚢腫」は症状が出ない?(横浜市の婦人科)

 

実は、「皮様嚢腫」を含めて、卵巣にできる腫瘍は無症状であることが多いため、「早期発見」は難しいケースも少なくありません。

内膜症による卵巣のう腫=内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)は、サイズが小さくても内膜症による症状が強く出ていれば、婦人科受診につながるため、ほかの卵巣のう腫に比べると発見されやすいと言えます。

ただ、強い生理痛があっても我慢して婦人科を受診しないケースもありますので、その場合は、内膜症による卵巣の腫れも早めに発見することは難しくなります。

 

卵巣の悪性腫瘍、つまり「卵巣がん」であっても、初期にはほとんど症状がでません。かなり大きくなって初めて、腹部の張りや腹痛などが出てきます。そのため、卵巣がんは別名「サイレントキラー」とも呼ばれています。

 

「皮様嚢腫」も、ほとんどが無症状のため、「検診で偶然見つかった」「別の症状で受診したらたまたま見つかった」というパターンが多いと言えます。

症状が出るとすれば、腫れた卵巣がぐるっと回転してしまい、「茎捻転」という状態になった時や、サイズが大きくなりすぎて破裂した時です。

いずれも急に強い腹痛が発生しますので、救急受診してそのまま緊急手術になることがほとんどです。

 

 

卵巣腫瘍は手術が必要?(横浜駅近くの婦人科)

 

卵巣が腫れていたら、すべて手術が必要なわけではありません。

内膜症による腫れの場合、ホルモン治療によって小さくなる可能性もあるため、サイズが5~6㎝以下で悪性を疑う所見がなければ、いきなり手術はせず投薬治療から開始することが多いです。

 

一方、「皮様嚢腫」は薬で小さくすることができません。また、自然に小さくなることもありません。

一定の大きさになると、前述の「茎捻転」のリスクが発生しますので、サイズによっては早めに手術を行います。

どのくらいの大きさなら手術を「しなくてもよい」のかという明確な線引きはありませんが、目安として3~4㎝くらいまでは経過観察をし、5~6㎝を超えたら手術を勧められることが多いでしょう。

ただし、小さくても絶対に捻転しないとは限らないので、度々下腹部痛が起きるなど、捻転が疑わしい症状がある場合は早めに手術をお勧めすることもあります。

 

 

がん検診を受けていれば安心?(横浜市の婦人科)

 

職場の健診などで、定期的に婦人科検診を受けていれば、卵巣のう腫は早期発見できるのでしょうか?

一般的な「婦人科検診」は、子宮頚がんを発見するための「細胞診」と「内診(触診)」のみのことが多いため、卵巣の腫れはある程度大きいものでなければ発見できません。

特に、脂肪が多い方の内診では、深いところまで触ることができないため、卵巣そのものが触れられないこともよくあります。

 

超音波検査をセットで受けていれば、ある程度早めに病気を見つけることは可能です。

定期的な超音波検査は、「卵巣がん」の早期発見にはつながらないというデータもありますが、内膜症や卵巣のう腫を早めに見つける手段としては、超音波検査が一番簡単な検査です。

 

子宮頚がん検診を受ける際に、一緒に超音波検査を受けておくと同時に、腹痛やお腹の張りなど、少しでも気になる症状が出たら、その時点で婦人科を受診することが大事です。

一度検査を受けて異常がなかったから安心、ではなく、今出ている症状を大切なサインとして受け止めるように心がけましょう。