新しい避妊薬「スリンダ錠28」が発売されます
確実な避妊法は経口避妊薬と子宮内避妊具(横浜市の婦人科)
現在日本で選択できる「確実な避妊法」は
*経口避妊薬=ピル(OC)
*ホルモン付加子宮内避妊具=ミレーナ(IUS)
です。
ピルは、エストロゲンとプロゲステロンが1錠に混ざった配合剤です。エストロゲンが入っているので、副作用として「血栓症」に対する配慮が必要になります。
そのため、片頭痛・喫煙・肥満・高齢といった血栓症リスクが高くなる要因がある方は、ピルの服用をあきらめざるを得ませんでした。
エストロゲンが含まれていない黄体ホルモンのみのピル=ミニピル(POP)は、これまで「セラゼッタ」などの日本では承認されていない製剤を個人輸入で手に入れるしかありませんでした。
今回、やっと国内初のPOP「スリンダ錠28」が承認され、もうすぐ発売されることになりました。
ミニピルとピルの違いは?(横浜駅近くの婦人科)
ミニピル(POP)とピル(OC)の一番の違いは、「エストロゲンが含まれていない」ということです。
エストロゲンが含まれていると次のような副作用が起きやすくなります。
*頭痛
*吐き気
*血栓症
特に、血栓症については、起きると重篤な副作用となりうるため、ピルは血栓症リスクが高い方は「禁忌」つまり服用することができませんでした。
当院でも、40代後半の方・前兆を伴う片頭痛の方・高度肥満の方・どうしても禁煙ができない方などに対して、「ピルをお勧めしたいのに処方できない」というジレンマがありました。
今回発売されるPOP「スリンダ錠28」はエストロゲンが含まれていません。つまり、上記の頭痛や吐き気や血栓症のリスクがほぼないと言えます。
そのため、ピルでは「禁忌(服用してはいけない)」となっていた、血栓症リスクのある方も服用が可能になっています。
ピルの服用を試みたけれど、吐き気がひどくて断念した、という方も安心して服用していただけると思われます。
「スリンダ錠28」の服用方法(横浜市の婦人科)
「スリンダ錠28」には、ヤーズやドロエチに含まれている黄体ホルモンと同じ種類の「ドロスピレノン」という成分が含まれています。
入っているドロスピレノンの量が、ヤーズやドロエチの3分の4倍、つまり少し多めです。
1シートが、実約24錠+偽薬4錠の28錠で、薬剤の並び方もヤーズやドロエチと同じです。
服用方法も、月経初日から1日1錠ずつを毎日一定時刻に服用するという、これまでのピルと全く同じになります。
飲み忘れの対処法も、ほぼ同じですが、若干異なる部分がありますので、スリンダ錠の説明文書をよく読んで、飲み忘れた時に規定通りの対処法をとるようにしましょう。
「スリンダ錠28」の避妊効果は?(横浜駅近くの婦人科)
ピル(OC)の避妊効果は、飲み忘れなどなければ99.7%という非常に高いものです。
ミニピル(POP)はエストロゲンが入っていない分、避妊効果はどうなの?と思われるかもしれませんが、臨床試験のデータでは服用期間中に妊娠した事例は1件のみ。しかもその1件は8日間の飲み忘れがあったということです。
つまり、飲み忘れがなく、正しく服用すれば、ほぼ100%に近い避妊効果が期待できると言えます。
もちろん、ピルもミニピルも、「絶対に100%妊娠しない」という保証はできませんし、何よりも、性感染症は予防できませんので、常にコンドームと併用する必要はあります。
「スリンダ錠28」の副作用は?(横浜市の婦人科)
エストロゲンが入っていない分、吐き気や頭痛や血栓症のリスクは極めて低くなります。
一方で、不正出血の頻度はピル(OC)よりも増える可能性があります。
ピルも飲み始めの1~2クールは不正出血が起きやすいのですが、3クールくらい継続しているとほとんど不正出血は起きなくなります。人によっては、超低用量ピルだとずっと不正出血してしまう場合がありますが、低用量に変更すると治まるケースがほとんどです。
一方、ミニピル(POP)の場合は、6クール継続しても3割くらいの方は不正出血してしまう可能性があります。
ただ、不正出血の量や日数は徐々に減っていくため、多少の不正出血があっても根気よく服用を継続してみることをお勧めします。
また、逆に、内膜が薄くなりすぎて、偽薬中の出血(消退出血)がほとんど起きなくなる場合もあります。消退出血が全く来なくても、身体的には問題ありません。
出血が来ないことによって「妊娠していたらどうしよう」と不安になってしまう方は、超音波検査で内膜の薄さを確認してもらうか、自分で妊娠検査薬を使用することで安心できると思われます。
ピル(OC)が使用できる方は、ピルを服用したらよいのですが、ピルが選択できないという方もいらっしゃいます。
血栓症リスクやそのほかの副作用のためにピルが選択できない場合の、新たな選択肢が増えたことは、女性が自分の手で確実な避妊をする手助けになると言えるでしょう。