AMH検査とは?卵巣予備能・保険適用・結果の見方

 

AMH検査は、卵巣に残っている発育途中の卵胞の数、いわゆる「卵巣予備能」を推定するための血液検査です。

 

ただし、AMHは「卵子の質」「自然妊娠できる確率」「あと何年間妊娠できるか」「閉経する年齢」を正確に示す検査ではありません。AMHが低くても自然妊娠する方はいますし、高くても妊娠しやすいとは限りません。[3][4]

以前は原則として自費検査でしたが、現在は一定の条件を満たす場合、健康保険を使って検査できるようになっています。

 

AMH検査について先に知っておきたいこと

AMHで分かること 卵巣に残っている発育途中の卵胞数と、排卵誘発に対する卵巣反応の目安
AMHで分からないこと 卵子の質、自然妊娠率、妊娠可能年齢、正確な閉経時期
検査方法 採血
検査時期 基本的には月経周期のどの時期でも測定可能
保険適用 不妊症の患者に対し、卵巣機能の評価と治療方針決定を目的として行う場合。6か月に1回まで
妊孕性チェック目的 不妊症の診断がなく、将来の妊娠可能性を知りたいという目的では自費
当院の自費料金 8,800円(税込)

AMHとは?何を測っている検査ですか?

AMHは「抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian Hormone)」の略称です。卵巣内にある前胞状卵胞や小さな胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されます。

女性の卵子のもとになる細胞は、出生後に新しく増えるわけではなく、年齢とともに減少します。AMHは、現在卵巣内にどの程度の発育途中の卵胞が存在するかを推定する指標の一つです。

ただし、AMHの数値から卵巣内に残っている卵子の正確な個数を数えることはできません。「AMHが2.0だから卵子が何個残っている」と換算できる検査ではありません。

不妊治療では、AMHと超音波で確認する胞状卵胞数(AFC)などを参考に、排卵誘発剤に対して卵巣がどの程度反応しそうか、採卵で得られる卵子数が多くなりそうか少なくなりそうかを予測します。[3]

AMH検査で分かること・分からないこと

AMHが参考になること AMHだけでは分からないこと
発育途中の卵胞数の目安 卵子の質
同年代と比べた卵巣予備能 自然妊娠できる確率
排卵誘発に対する卵巣反応 妊娠までにかかる期間
採卵で得られる卵子数の目安 妊娠可能な年齢の上限
卵巣刺激方法を選ぶための参考 正確な閉経年齢
卵巣過剰刺激のリスク評価 卵管の通過性、子宮の状態、男性側の因子

AMHは「妊娠できるかどうか」を判定する妊孕性検査ではありません。自然妊娠には、年齢、排卵、卵管、子宮、精子、性交のタイミングなど多くの要素が関係します。

特に卵子の質や染色体異常の起こりやすさには年齢が強く関係します。AMHが高い40代の方とAMHが低い30代の方を比較して、AMHが高い方の妊娠率が必ず高いとはいえません。

AMH検査が保険適用になる条件

AMH検査は、2022年度の診療報酬改定で、不妊症患者の調節卵巣刺激における治療方針決定を目的とする場合に保険適用となりました。

さらに2024年度の診療報酬改定で対象となる目的が拡大され、現在は次の条件を満たす場合に保険診療で算定できます。[1][2]

  • 不妊症と診断されていること
  • 卵巣機能の評価と治療方針の決定を目的としていること
  • 測定は6か月に1回まで

一般に不妊症は、避妊をせずに一定期間性交しても妊娠に至らない状態を指し、1年間が一つの目安です。ただし、35歳以上、月経不順・無月経、子宮内膜症、卵巣手術歴などがある場合は、1年を待たずに検査を開始することがあります。

保険適用になる可能性がある例

  • 妊娠を希望して一定期間妊娠に至らず、不妊症の評価を受けている
  • 不妊治療の方針を決めるため、卵巣予備能の評価が必要
  • 年齢や卵巣手術歴などから、治療を急ぐべきか判断する必要がある
  • 排卵誘発や生殖補助医療の治療計画を立てるために必要

原則として自費になる例

  • 現在は妊娠を希望しておらず、将来妊娠できるか知りたい
  • 健康診断やブライダルチェックの一項目として調べたい
  • 自分の「卵巣年齢」を知りたい
  • 不妊症の診断がなく、念のため検査したい
  • 医学的な必要性がない状態で、6か月以内に再検査したい
  • 加齢による妊孕性低下に備えた自費の卵子凍結を検討している

保険適用になるかどうかは、年齢や希望だけで決まるのではなく、医師の診断と検査目的によって判断します。予約時点では確定できない場合があります。

AMH検査が治療方針の参考になりやすい方

  • 不妊症の検査・治療を始める方
  • 35歳以上で妊娠を希望している方
  • 子宮内膜症や卵巣チョコレート嚢胞がある方
  • 卵巣嚢腫などで卵巣手術を受けたことがある方
  • 片方の卵巣を摘出している方
  • 月経不順・無月経があり、卵巣機能低下が疑われる方
  • 家族に早発閉経・早発卵巣不全の方がいる
  • 抗がん剤治療や骨盤への放射線治療を受ける予定、または受けたことがある方
  • 体外受精や卵子凍結を検討し、卵巣刺激への反応を予測したい方

一方、妊娠を希望していない健康な方全員が、定期的にAMHを測定する必要はありません。将来の妊娠可能性をAMHだけで予測することはできず、結果によって不必要に不安になったり、反対に妊娠を先延ばしにしてしまったりする可能性があります。

AMH検査の方法・受ける時期

AMHは採血で測定します。基本的に食事の影響は受けないため、通常は空腹で受診する必要はありません。

FSHやエストラジオールなどは月経周期によって変化するため、測定時期を選ぶことがあります。一方、AMHは月経周期による変動が比較的小さく、基本的には月経周期のどの時期でも測定できます。[3]

ただし、次のような要因でAMH値が影響を受ける場合があります。

  • 年齢
  • 測定方法・検査機器
  • 低用量ピル・LEPなどのホルモン剤
  • 妊娠・産後
  • 卵巣手術
  • 抗がん剤・放射線治療
  • PMOS(旧称PCOS)

ピルなどを服用中の場合も、検査のために自己判断で中止しないでください。服用中であることを踏まえて結果を解釈するか、休薬して測定する必要があるかを医師が判断します。

AMHが低いと言われたら

AMHが同年代より低い場合は、卵巣内の発育途中の卵胞数が少ない可能性があります。不妊治療では、排卵誘発剤への反応が弱い、採卵できる卵子数が少なくなる可能性を考えて治療計画を立てます。

ただし、次のような意味ではありません。

  • 自然妊娠できない
  • 排卵していない
  • 卵子の質が悪い
  • すぐに閉経する
  • 体外受精をしても妊娠できない

AMHが低いという理由だけで、不妊治療を受けられないと判断することも適切ではありません。年齢、月経周期、超音波での胞状卵胞数、FSH・エストラジオール、卵巣手術歴などを合わせて評価します。

妊娠を希望している場合は、数値を上げるサプリメントを探すことよりも、検査や治療の開始時期を先延ばしにしないことが重要です。

AMHが高ければ妊娠しやすい?

AMHが高い場合は、発育途中の卵胞が多い可能性があります。しかし、AMHが高いことと妊娠しやすいことは同じではありません。

PMOS(旧称PCOS)では、卵巣内に多数の小卵胞が存在するためAMHが高くなることがあります。卵胞が多くても排卵が不規則で、自然妊娠しにくくなる場合があります。

また、排卵誘発を行う場合は、多数の卵胞が一度に発育して卵巣過剰刺激症候群を起こすリスクを考慮し、薬の種類や投与量を調整します。

AMH高値だけでPMOSと診断することはできません。月経周期、アンドロゲン所見、超音波所見、ほかの病気の除外を含めて診断します。

PMOSの診断基準と検査について詳しく見る

AMHが正常なら妊娠を先延ばしにしても大丈夫?

AMHが年齢相応または高めでも、妊娠を先延ばしにしてよいという保証にはなりません。

AMHは主に卵胞の「量」を反映する検査です。卵子の質や染色体異常の起こりやすさは、AMHよりも年齢の影響を強く受けます。

特に40歳前後以降では、AMHが高くても年齢に伴う妊娠率の低下や流産率の上昇は避けられません。妊娠を希望している場合は、AMH検査の結果を待ってから考えるのではなく、早めに妊活や不妊検査を開始することが大切です。

40代でもAMHは排卵誘発や採卵方法を選ぶ参考になります。「40代では検査する意味がない」というわけではありませんが、AMHが良好であることを妊娠の保証として使うことはできません。

AMHは毎年測った方がよいですか?

AMHは年齢とともに低下する傾向がありますが、短期間でも個人内変動があり、測定方法による差もあります。そのため、健康管理として毎年測定し、数値の低下から閉経時期を予測する方法は推奨されません。[3]

再検査は、不妊治療の方針を見直す場合、卵巣手術や治療の前後、前回結果から時間が経過している場合など、検査結果が実際の治療判断に役立つときに検討します。

保険診療では、算定できるのは6か月に1回までです。

AMHだけでは不妊症の検査になりません

妊娠を希望している方は、AMHだけでなく、次のような項目を総合的に確認します。

  • 女性の年齢と妊娠歴
  • 月経周期と排卵の有無
  • 経腟超音波による子宮・卵巣の状態
  • FSH、エストラジオール、甲状腺、プロラクチンなどのホルモン検査
  • 卵管の通過性
  • 子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症などの有無
  • 男性側の精液検査
  • 性交の頻度とタイミング

AMHが正常でも、卵管が閉塞している、排卵していない、精液所見に問題があるなど、別の原因で妊娠しにくくなることがあります。

不妊症の検査内容と受ける時期について詳しく見る

AMH検査についてよくある質問

Q. AMHが低いと自然妊娠できませんか?

AMHだけでは自然妊娠の可否を判断できません。AMHが低くても排卵して自然妊娠する方はいます。年齢、排卵、卵管、精液所見などと合わせて評価します。

Q. AMHで卵子の質が分かりますか?

分かりません。AMHは主に発育途中の卵胞数を反映する量的な指標です。卵子の質には年齢が大きく関係します。

Q. AMHで閉経する年齢を予測できますか?

集団としての傾向はありますが、個人の閉経年齢を正確に予測することはできません。AMHが低いという理由だけで、すぐに閉経すると判断することもできません。

Q. AMHが高ければ安心ですか?

安心とはいえません。PMOSなどでAMHが高くなることがありますが、排卵が不規則な場合があります。また、AMHが高くても年齢による卵子の質の変化は防げません。

Q. ピルを飲んでいても検査できますか?

検査はできますが、ホルモン剤の影響でAMHが低めに測定される可能性があります。自己判断でピルを中止せず、服用中であることを医師へお伝えください。

Q. AMH検査は保険で受けられますか?

不妊症の患者に対し、卵巣機能の評価と治療方針決定を目的として医師が必要と判断した場合は、6か月に1回まで保険適用となります。将来の妊娠可能性を知りたいという検診目的では自費です。

当院でのAMH検査と不妊症の対応

当院でもAMH検査を受けていただけます。保険適用になるかどうかは、不妊期間、月経周期、年齢、病歴、今後の治療方針などを診察で確認して判断します。

不妊症の診断や保険適用の条件に該当しない場合は、自費検査となります。

自費AMH検査:8,800円(税込)
別途、診察料がかかる場合があります。

当院は不妊治療認定施設ではなく、不妊治療として対応できるのは初期評価とタイミング法までです。卵管通過性検査、精液検査、排卵誘発、人工授精、体外受精・顕微授精などが必要な場合は、不妊治療専門施設へご紹介します。

体外受精や卵子凍結を具体的に予定している方は、AMHが治療施設での卵巣刺激法に直接関係します。また、保険診療では6か月に1回の測定制限があるため、最初から治療予定の専門施設で検査した方が効率的な場合があります。

※料金・保険制度は2026年11月時点の情報です。診療報酬改定や料金変更により変わる可能性があります。

横浜駅近くでAMH検査をご希望の方へ

AMH検査は、数値だけを受け取るのではなく、年齢、月経周期、妊娠希望時期、超音波所見などと合わせて解釈することが大切です。

ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~は横浜駅から徒歩6分です。女性医師が、AMH検査の必要性、保険適用の可否、検査後の妊活・不妊治療の進め方についてご説明します。

診療時間・WEB予約はこちら
予約専用電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年11月3日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の妊娠可能性、診断、検査、治療を保証するものではありません。