AMH検査の意味

 AMH=アンチミュラー管ホルモンの検査についてご質問をいただくことが多くなってきました。
 この検査は、AMHというホルモンを測ることによって、「あとどのくらい排卵し続けることが可能か」を予測する、つまり卵巣の予備能を予測する検査とされています。
 正確には、排卵の能力というよりも、これから排卵するためにスタンバイしている卵子の「元」になる細胞の壁から出ているホルモンを測定しているので、「排卵の能力」と完全にイコールとは言えないのですが。

 この検査を受けた方がいいか、という質問に対しては年代によって答えが違ってきます。
 20~30代の方は、早発閉経の傾向がないかどうかを確認するという意味では意味のある検査だと思われます。20代でも月経不順がある方や、30代の方は検査する価値はあるでしょう。
 ただし、検査結果のとらえ方を間違ってはいけません。この検査はいわゆる「正常値」というものがあるわけではなく、年齢別に「基準値」が設定されています。「あなたのAMHは20~24歳レベルですよ」といった感じで結果が出るので、自分の本来の年齢より高いのか低いのかを見る感じになります。
 なので、結果が「正常」だったからと言って、「まだまだ妊娠を先延ばしにしても大丈夫ですよ」という意味にとらえてしまってはいけないのです。あくまで「年齢相応又はそれ以上のスタンバイしている卵があります」というだけで、その「卵」が妊娠に適しているかどうかは別問題なんですよね。
 この検査は、「異常値」が出た時のみ判断材料になります。つまり、年齢より数値が低かった場合、卵巣の働きが失われるスピードが普通の人より早い可能性があるということです。結果が悪かったからと言って「妊娠できない」というわけではありませんが、少なくとも「妊娠を目指す時期を早めに設定した方がいいですよ」ということは言えます。

 どちらかというと40代またはもうすぐ40歳という方が検査を希望されるケースが多いのですが、実はその年齢になってくると検査をする意味があまりなくなってきます。検査を希望される方の多くが、「今後妊娠可能かどうかを調べておきたくて」検査したいとおっしゃるのですが、前述の通り、例え検査に異常がなかったり年齢より数値が良くても「安心材料」にはならないからです。
 40歳以上の方は、AMHの結果が良くてもすでに妊娠率は低下しています。排卵する力は十分残っていても、卵子の「質」が妊娠に向かなくなってきているからです。AMHで安心を得ようとするのではなく、妊娠を希望するのであれば一刻も早く妊娠を目指せる環境を整えて、不妊検査を受け、効率よく妊娠を目指していった方が現実的です。

 AMH検査は保険の範囲外になりますので、自費での検査になります。
 クリニックでも検査を受けていただくことは可能ですので、ご希望の方はご予約の際に詳細をご確認くださいね。