ピル服用前の方のためのFQA

Q:ピルって何?
A
:卵巣から出る2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)がバランスよく配合されたホルモン剤です。含まれているホルモンの量によって、高用量・中用量・低用量・超低用量に分類されています。ここで説明している、「経口避妊薬のピル」とは低用量ピルのことです。

Q:どんな作用があるの?
A
:女性ホルモンをバランスよく取り込むことで、卵巣を冬眠状態にさせ、排卵を抑えます。他にも、子宮内膜を厚くさせない作用や頚管粘液をネバネバにさせる作用があり、これらの作用の組み合わせによって、より確実な避妊効果を得ることができます。

ピルの作用1)排卵を抑える→避妊・排卵痛や排卵期出血の改善・月経前症候群の改善・子宮内膜症の予防や改善・卵巣嚢腫や卵巣癌の予防

ピルの作用2)子宮内膜を厚くしない→着床しにくくする・月経痛の軽減・月経量の減少・子宮内膜症の予防や改善・子宮体癌の予防

ピルの作用3)頚管粘液を粘調にする→精子の進入を防ぐ・骨盤内感染を防ぐ

Q:副作用が心配なんですが。
A:ピルの飲み始めによく見られる副作用が、吐き気・だるさ・頭痛・不正出血・むくみなどです。ほとんどが軽い症状ですむことが多く、1~3ヶ月飲み続けるうちに気にならなくなります。重大な副作用として血栓症がありますが、リスクがない方であれば重篤な血栓症が起きる心配はほとんどありません。

Q:ピルのメリットって?
A:確実な避妊効果があるのはもちろんですが、他にも以下のようなメリットがあります。
・月経痛の軽減
・月経量の軽減
・貧血の改善
・ホルモンバランスの改善
・月経前症候群の改善
・ニキビや多毛の改善
・骨盤内感染や卵巣嚢腫の予防
・子宮外妊娠のリスク減少
・子宮内膜症の予防、悪化防止
・卵巣癌や子宮体癌のリスク軽減

Q:ピルを飲める年齢に制限はありますか?
A:初潮をむかえていれば10代でも飲めます。また、タバコを吸わないリスクのない方であれば、45~50歳くらいまで、何年でも飲み続けられます。

Q:飲み始めたらずっと続けなければいけないの?
A:1シートの途中でやめるのはお勧めできませんが、メリットを感じなければすぐにでも止めることはできます。ただ、ピルの効果を確認するためには最低でも3ヶ月は続けてみる必要があります。目的にもよりますが、まずは3ヶ月試してみて、便利だと感じたら続けたらいいし、嫌だと感じたらやめればいいのです。逆に、妊娠を希望するまでずっと飲みつづけることも可能です。メリットとデメリットを天秤にかけて、自分に一番いい方法を選んでいってください。

Q:ピルは誰でも飲めるの?
A:薬ですから飲んではいけない人もいます。詳しくは医師にご相談ください。次のような人は、ピルは飲めません。
*セルフチェックシートで確認してみましょう

・乳癌、子宮頚癌、子宮体癌にかかっている人
・原因不明の性器出血がある人
・血栓症を起したことのある人
・35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人
・前兆をともなう片頭痛のある人
・血液が固まりやすい体質の人
・4週間以内に手術を予定している人や術後2週間以内の人
・産後4週間以内の人
・重篤な肝障害や肝腫瘍がある人
・高血圧の人
・妊娠中または授乳中の人

Q:生理不順でも飲めますか?
A:大丈夫です。むしろピルを飲むことによって規則正しい月経周期に整える事ができますので、最近では生理不順の治療薬としても使われています。次の生理がいつ来るがわからないようであれば、注射や飲み薬で生理を起してからピルを飲み始めることもできますので、まずは病院でご相談ください。

Q:タバコを吸っていたらピルは飲めないんですか?
A:35歳以上で1日15本以上吸う方や40歳以上でタバコを吸う方には、ピルは原則的に処方できません。タバコもピルも血液を固まりやすくするため、両方を重ねると血栓症のリスクが高くなってしまうからです。1日に吸う本数が減らせればピルの処方も可能ですので、あきらめず節煙してみてください。また、今後の健康のためにも、きちんと禁煙することをお勧めします。

Q:他の病気で常用している薬があるのですが。
A:薬の種類によってはピル効果を下げてしまうこともあるので、併用しないほうがいいものもありますが、一緒に飲んで問題ないものがほとんどです。相互作用はあっても、併用薬の量を調節すればいいものもありますので、主治医とよく相談してみて下さい。

Q:ピルを飲んでいると生理は来ないの?
A:ホルモンをバランスよく取り込んでいますから、ピルを飲んでいる限り28日周期できちんと出血があります。ピルは生理を止めるのではなく、排卵を止める薬です。月経困難症の治療薬である超低用量ピル(LEP)の中には、連続投与が可能なものがあります。連続投与タイプだと、生理は3~4か月に1回になります。

Q:排卵を止めたら体によくないのでは?
A:そんなことはありません。妊娠中や授乳中の女性は排卵していませんが、体には何の害もありません。むしろ卵巣をお休みさせてあげることができるので、卵巣にとっては排卵のたびに傷つくのを避けられている状態です。ピルによる排卵抑制も同じことが言えます。

Q:本当に避妊効果は確実?
A:ピルは飲み忘れなどなく正しく服用すれば99.9%確実に避妊できます。ただし、飲み忘れると効果は下がりますので注意が必要です。100%確実な避妊というものはありませんので、STD予防のためにも、ピルとコンドームのダブルメソッドをお勧めします。

Q:ピルを飲んだら不妊になる?
A:ピルのせいで不妊症になることはまずありません。むしろ、不妊の原因となる子宮内膜症や骨盤内感染を予防し、将来的な不妊を防ぐことができます。また、卵巣を一時的にお休みさせてあげられるので、不妊症の治療に使われることもあります。

Q:ピルで癌になることはないですか?
A:ありません。最新のデータでは、ピルの服用期間が15年未満の人では乳癌のリスクは全く上昇せず、服用期間が15年以上の人でも1.1~1.2倍程度の上昇との報告があります。また、子宮頸癌はピルのせいでリスクが上がるわけではなく、STDの一種であるHPV感染が大きく関与しているのではないかといわれています。逆に、卵巣癌や子宮体癌はピルによってリスクが5分の1以下に減ります。

Q:どうやったら手に入りますか?
A:ピルは処方薬ですので、病院を受診して処方箋をもらう必要があります。

Q:1シート何円くらい?
A:自費のピル(避妊用のピル)は病院や薬局によって値段が異なります。大体1シート(1か月分)2000円~3000円です。治療用のピル(LEP)は種類によって値段が異なりますが、どこの病院で処方しても値段は同じです。後発薬品(ジェネリック)だと、一番安いもので1シート550円くらいです。

Q:内診は必要ですか?
A:ピルの処方に内診は必須ではありません。リスクがなければ、問診と血圧測定のみで処方できます。ただ、1度も婦人科検診を受けたことがない方には、年に1度はチェックすることをお勧めしています。また、生理痛や生理不順の治療目的でピルを服用する場合は、処方時に超音波検査が必要です。

Q:保険証は必要ですか?
A:避妊用のピルは自費ですので、保険証は不要です。治療用のピルをご希望の場合は、保険証が必要です。

Q:いつ受診するのがいい?
A:基本的には、いつ受診して頂いても構いません。ピルは生理初日または1週間以内に飲み始めますので、次の月経が来る少し前に受診するのがいいでしょう。

Q:毎月薬をもらいにいかないといけないの?
A:飲み始めは、副作用のチェックなどのため1~2か月分ずつお渡しすることが多いですが、慣れてくれば3~6ヶ月分ずつまとめて処方することも可能です。病院によって1回に処方できるシート数が異なりますので、詳しくは問い合わせてみてください。

 

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<<この記事の執筆者>>

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医

ポートサイド女性総合クリニック院長

横浜駅徒歩6分。婦人科診療、ピル外来、月経困難症、PMS、子宮頸がん検診などを専門に診療。

参考文献:日本産科婦人科学会誌・産婦人科診療ガイドライン

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