【小学生からのピル外来】生理痛は我慢しなくていい|中学生の検査・治療も解説

小学生・中学生でも、学校を休む、授業や部活動に集中できないほどの生理痛は「我慢するもの」ではありません。生理痛は鎮痛薬やホルモン治療などで軽くできる症状です。痛みが強い場合には、子宮内膜症などの病気が隠れていないかを考えることも大切です。[1][2]

小学生だから婦人科を受診してはいけない、ということはありません。当院では小学校高学年から生理痛のご相談を受けています。通常は問診とお腹の上から行う超音波検査を中心に診察し、性行為の経験がないお子さんに内診を一律に行うことはありません。

 

先に結論:小学生・中学生の生理痛で大切なこと

  • 学校生活や睡眠、勉強、スポーツに支障がある痛みは受診してよい
  • 鎮痛薬は痛みが強くなる前に、体格に合った量を正しく使うことが大切
  • 鎮痛薬だけで不十分なら、低用量ピル・超低用量ピル(LEP)や黄体ホルモン製剤も選択肢になる
  • 年齢だけで薬を決めず、初経からの期間、身長の伸び、持病、片頭痛などを確認する
  • 経腹超音波が正常でも、子宮内膜症を完全に否定できるわけではない

治療の目的は、単に痛みを一時的に抑えることだけではありません。毎月の生理によって、本来できるはずの勉強、運動、友達との時間が失われないようにすることも大切な治療目標です。

婦人科を受診した方がよい生理痛の目安

痛みの強さは本人にしか分かりません。「倒れるほどでなければ受診しなくてよい」ということはありません。次のいずれかがあれば、婦人科へご相談ください。

  • 生理のたびに学校、塾、習い事、部活動を休む
  • 授業中や試験中に痛くなり、集中できない
  • 鎮痛薬を使っても十分に効かない、または効く時間が短い
  • 生理痛が以前より強くなっている
  • 吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、めまいなどを伴う
  • 生理以外の日にも下腹部痛や腰痛がある
  • 排便時や排尿時に痛みが強くなる
  • 出血量が多く、息切れ、立ちくらみ、疲れやすさがある
  • 家族に子宮内膜症と診断された方がいる

突然の激しい腹痛、意識が遠のく、大量出血、発熱、何度も吐いて水分が取れない場合は、その日のうちに医療機関へご相談ください。生理痛以外の病気が原因のこともあります。

小学生・中学生でも生理痛が起こる理由

初経後の生理痛の多くは、子宮や卵巣に明らかな病変が見つからない「機能性月経困難症」です。子宮内膜で作られるプロスタグランジンが子宮を強く収縮させ、下腹部痛、腰痛、吐き気、下痢などを引き起こします。

一方、病気が原因となる「器質性月経困難症」もあります。思春期では、特に子宮内膜症を念頭に置きます。強い生理痛、年々悪化する痛み、鎮痛薬やホルモン治療で十分に改善しない痛み、生理以外にも続く骨盤痛などが手がかりになります。子宮内膜症は初経後の若い年代にも起こり、診断まで時間がかかることがあります。[2][3]

ただし、強い生理痛があるからといって、必ず子宮内膜症というわけではありません。症状の経過と検査結果、治療への反応を見ながら判断します。

小学生・中学生の婦人科ではどんな診察・検査をしますか?

1.まず症状を詳しく伺います

初経の時期、生理周期、出血量、痛む日数、学校を休む頻度、使用している鎮痛薬、身長の伸び、持病や服薬、ご家族の病歴などを確認します。生理日、痛み、薬を飲んだ時刻と効果を1~2周期記録しておくと、治療を選びやすくなります。

2.必要に応じて経腹超音波検査を行います

経腹超音波は、お腹にゼリーを塗り、子宮や卵巣を確認する検査です。通常は強い痛みを伴いません。膀胱に尿がたまっている方が見えやすいため、検査前に排尿を控えていただくことがあります。

3.内診は一律には行いません

性行為の経験がない小学生・中学生では、通常、腟からの内診を最初から行う必要性は高くありません。症状や緊急性から別の検査が必要な場合も、目的と方法を本人と保護者の方に説明し、同意を得て進めます。

4.必要に応じて血液検査などを追加します

出血量が多い場合には、貧血や鉄不足などを調べます。症状によっては尿検査、妊娠の可能性の確認、MRIなど、必要な検査が変わります。

超音波で異常が見えなくても、表面の小さな子宮内膜症病変などは写らないことがあります。「エコーが正常だから痛みの原因はない」と決めつけず、症状の経過を追うことが大切です。[2]

小学生・中学生の生理痛の治療

治療 特徴 注意点
鎮痛薬(NSAIDsなど) プロスタグランジンの産生を抑え、生理痛を軽くする。機能性月経困難症の基本的な治療 体重・年齢に合う量と間隔を守る。胃腸障害、喘息、腎疾患、アレルギーなどに注意
低用量・超低用量ピル(LEP) 排卵や子宮内膜の増殖を抑え、痛みと出血量を軽くする。製剤により出血回数を減らす方法もある 不正出血、吐き気、頭痛など。まれだが血栓症が重要で、前兆のある片頭痛などでは使えない
黄体ホルモン製剤 エストロゲンを含まず、子宮内膜の増殖や痛みを抑える。LEPが適さない場合にも検討する 不正出血が起こりやすい。製剤により頭痛、気分変化、骨密度への配慮などが必要
生活上の工夫 腹部を温める、睡眠を整える、無理のない運動などを補助的に取り入れる 生活改善だけで強い痛みを我慢し続けない

鎮痛薬は、我慢して痛みが最も強くなってから飲むより、痛みが始まった時点、または生理開始が予測できる場合はその直前から使う方が効きやすいことがあります。NSAIDsは生理痛に有効ですが、副作用や使用できない条件もあるため、お子さんの体重に合った薬と量をご相談ください。[4]

鎮痛薬で日常生活への支障が十分に改善しない場合や、毎月の出血そのものが大きな負担となっている場合には、ホルモン治療を検討します。治療は「鎮痛薬かピルか」の二択ではなく、必要に応じて組み合わせたり、効果と副作用を見ながら変更したりできます。

小学生・中学生でもピルを使えますか?

初経後で、症状、成長段階、持病、血栓症リスクなどを確認したうえで、小学生・中学生にも低用量・超低用量ピルが治療の選択肢になることがあります。年齢だけを理由に、生理痛を我慢し続ける必要はありません。

生理痛の治療で使う低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は「LEP」と呼ばれます。排卵と子宮内膜の増殖を抑え、痛みの原因となるプロスタグランジンを減らします。複数の臨床試験をまとめた研究でも、配合ピルは機能性月経困難症の痛みを軽くすることが示されています。[5]

一方、日本の代表的なLEP製剤の電子添文には、小児を対象とした有効性・安全性の臨床試験は実施していない旨が記載されています。[6]そのため「小学生なら誰でも同じように飲める」とは考えず、治療によるメリットと注意点を個別に確認します。

LEPを選ぶ前に確認すること

  • 初経からの期間、現在の身長、最近の身長の伸び
  • 血圧、体重、喫煙の有無
  • 前兆のある片頭痛がないか
  • 本人や家族の血栓症の病歴
  • 長期間動けない状態、手術予定、持病
  • 併用している薬やサプリメント

特に前兆のある片頭痛では、エストロゲンを含む配合薬は使用できません。頭痛の前に視界がチカチカする、視野の一部が見えにくくなる、しびれや言葉の出にくさが起こる場合は、必ず医師に伝えてください。[7]

ピルを飲むと身長が止まりますか?骨への影響は?

「ピルを飲めば必ず身長が止まる」と単純に言うことはできません。ただし思春期は身長が伸び、骨量を蓄える大切な時期です。初経直後でまだ身長が大きく伸びているお子さんでは、年齢だけでなく、成長曲線、初経からの期間、直近の身長の伸びなどを確認します。

思春期の配合ホルモン薬と骨量獲得の関係については、骨密度の増加がやや小さくなる可能性を示す研究がある一方、製剤、開始時期、使用期間などによって結果が異なり、分からない点も残っています。[8]

そのため当院では、「小学生だから一律にピルは使わない」「生理痛が強ければすぐ全員に処方する」のどちらでもなく、症状によって得られるメリットと成長段階を一緒に考えます。鎮痛薬から始める、LEPを選ぶ、黄体ホルモン製剤を検討するなど、お子さんごとに治療を組み立てます。

黄体ホルモン製剤という選択肢

エストロゲンを含むLEPが適さない場合や、症状に応じて、黄体ホルモン製剤を検討することがあります。エストロゲンを含まないため、配合ピルとは血栓症リスクの考え方が異なり、前兆のある片頭痛がある方でも選択肢になり得ます。[7]

ただし「エストロゲンを含まないから副作用がない」わけではありません。不正出血、頭痛、気分の変化、ほてりなどが起こることがあり、製剤によっては骨密度への配慮も必要です。また、日本の一部の黄体ホルモン製剤は小児での臨床試験データが限られています。成長段階と症状を確認し、効果と副作用を見ながら継続を判断します。[9]

学校・受験・スポーツのためにも生理痛をコントロール

生理痛は、テスト、受験、修学旅行、発表会、スポーツ大会など、大切な予定と重なることがあります。痛みを軽くするだけでなく、製剤によっては出血する回数を減らしたり、出血時期を調整したりする治療も可能です。

ただし、最初から狙いどおりに出血を調整できるとは限らず、服用開始後しばらくは不正出血が起こることがあります。大切な予定がある場合は、直前ではなく、余裕をもってご相談ください。

スポーツをしているお子さんでは、生理痛だけでなく、急な体重減少、食事量不足、生理が3か月以上来ない、疲労骨折なども重要です。これらがある場合は、月経を止める治療だけで済ませず、エネルギー不足や骨の健康も確認します。

初めて婦人科を受診するお子さん・保護者の方へ

  1. WEBで「生理痛・月経困難症」などの枠をご予約ください。
  2. 生理日、痛みの程度、欠席日数、使った薬が分かるメモやアプリがあればお持ちください。
  3. お薬手帳、保険証・医療証、身長の記録が分かるものがあればご持参ください。
  4. 診察室と検査室には、保護者の方も同席できます。
  5. 問診後、必要に応じて経腹超音波や血液検査を行い、治療を一緒に決めます。

お子さん本人が理解し、納得して治療を選べることを大切にしています。「うまく説明できない」「婦人科が怖い」という場合も、困っていることを一つずつ伺います。

小学生・中学生の生理痛についてよくある質問

Q. 小学生で婦人科を受診するのは早すぎませんか?

早すぎることはありません。初経後に生理痛、生理不順、過多月経などがあれば、小学生でも婦人科で相談できます。学校生活に支障が出る前にご相談ください。

Q. 必ず内診をしますか?

いいえ。性行為の経験がない小学生・中学生では、問診と経腹超音波を中心に診察し、内診を一律には行いません。別の検査が必要な場合は、先に目的と方法をご説明します。

Q. 痛み止めを毎月飲んでも大丈夫ですか?

体格に合った量と用法を守れば、月経時に鎮痛薬を使うことは一般的な治療です。ただし、効かない、回数が増えている、胃痛や喘息症状が出る場合は自己判断で増量せず受診してください。

Q. 小学生・中学生がピルを飲むと将来妊娠しにくくなりますか?

LEPの服用そのものが、将来の妊娠しやすさを長期的に低下させるという明らかな証拠はありません。[10]むしろ生理痛の背景に子宮内膜症がある場合は、痛みを放置せず評価・治療することが大切です。

Q. ピルを飲み始めたらずっと続けなければいけませんか?

治療効果、副作用、成長段階、生活上の希望に応じて見直せます。自己判断で急に変更するのではなく、診察時に継続、変更、中止の希望をご相談ください。

Q. 生理中でなくても受診できますか?

はい。通常の生理痛相談は生理中でなくても受診できます。突然の激痛や大量出血などがある場合は、予約日を待たず医療機関へご相談ください。

横浜駅近くで小学生・中学生の生理痛をご相談になりたい方へ

ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~は、横浜駅から徒歩6分です。女性医師が、年齢と成長段階に合わせた言葉でご説明し、無理のない診察を行います。保護者の方も診察・検査に同席できます。

生理痛を我慢できるかではなく、学校生活やスポーツをいつもどおり続けられるかを目安にご相談ください。

WEB予約・診療時間はこちら
予約専用電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年8月28日。

本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・処方に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2026.CQ305「機能性月経困難症の治療は?」、CQ308「思春期女性の診察上の留意点は?」、CQ309「思春期女性の月経異常治療における留意点は?」.刊行物案内
  2. American College of Obstetricians and Gynecologists. Diagnosis of Endometriosis. ACOG Clinical Practice Guideline No. 11. Obstet Gynecol. 2026;147(3):432-448. PubMed
  3. World Health Organization. Endometriosis. Updated October 15, 2025.
  4. Marjoribanks J, et al. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(7):CD001751. PubMed
  5. Schroll JB, et al. Combined oral contraceptive pill for primary dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2023;7:CD002120. PubMed
  6. PMDA.ヤーズ配合錠 医療用医薬品情報・電子添文.2026年8月改訂.
  7. CDC. U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 2024: Summary of Classifications.
  8. Bachrach LK. Hormonal Contraception and Bone Health in Adolescents. Front Endocrinol (Lausanne). 2020;11:603. PubMed
  9. PMDA.ジエノゲスト錠1mg 医療用医薬品情報・電子添文
  10. Girum T, Wasie A. Return of fertility after discontinuation of contraception: a systematic review and meta-analysis. Contracept Reprod Med. 2018;3:9. PubMed