子宮筋腫とは?症状・検査・治療・妊娠への影響
子宮筋腫は、子宮の筋肉から発生する良性腫瘍です。症状がなく健診で偶然見つかる方もいれば、過多月経、貧血、生理痛、頻尿、不妊などの原因になる方もいます。筋腫があるだけで、全員に治療や手術が必要になるわけではありません。[1]
治療の必要性は、筋腫の大きさだけではなく、できた場所、個数、症状、増大傾向、年齢、閉経までの期間、妊娠希望を合わせて判断します。
子宮筋腫について先に知っておきたいこと
- 子宮筋腫は良性腫瘍で、症状がなければ経過観察できることが多い
- 小さくても子宮内腔へ突出する筋腫は、過多月経や不妊の原因になり得る
- 大きくても症状が少なく、すぐには治療しない場合がある
- 診断の基本は内診と超音波検査で、必要に応じてMRIや子宮鏡を追加する
- 薬物療法は主に症状を抑える治療で、手術には子宮を残す方法と全摘術がある
- 閉経後は縮小することが多いが、閉経後の増大や出血は精査が必要
子宮筋腫の種類
| 種類 | できる場所 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 粘膜下筋腫 | 子宮内腔へ向かって突出する | 小さくても過多月経、不正出血、貧血、不妊の原因になりやすい |
| 筋層内筋腫 | 子宮の筋肉の中にできる | 過多月経、生理痛、子宮内腔の変形、圧迫症状などが大きさ・位置により起こる |
| 漿膜下筋腫 | 子宮の外側へ向かって発育する | 月経症状は出にくいが、大きくなると頻尿、便秘、腹部膨満などを起こす |
症状の強さは、筋腫の直径だけでは決まりません。子宮内腔に近いか、周囲の臓器を圧迫しているかが重要です。
子宮筋腫の主な症状
- 月経量が多い、血の塊が出る
- 月経が長く続く
- 生理痛、腰痛、骨盤痛
- 月経以外の不正出血
- 鉄欠乏性貧血による疲労感、動悸、息切れ、めまい
- 下腹部の張り、しこり
- 頻尿、排尿しにくい、便秘
- 性交時痛
- 不妊、流産・早産などへの影響
これらの症状は、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、卵巣腫瘍、ホルモン変動などでも起こります。筋腫が見つかっても、症状の原因が本当に筋腫かを確認することが大切です。
早めに受診した方がよい症状
- 短時間でナプキンがいっぱいになる出血
- 息切れ、動悸、胸痛、ふらつき、失神しそうな感覚
- 突然の強い下腹部痛
- おなかの張りやしこりが急に目立つ
- 閉経後の出血、または閉経後に腫瘤が大きくなる
大量出血や強い貧血症状、突然の激痛がある場合は、通常の予約を待たず当日中の受診や救急受診を検討してください。
子宮筋腫の検査・診断
| 検査 | 確認すること |
|---|---|
| 問診・内診 | 出血、痛み、圧迫症状、妊娠希望、子宮の大きさ・形・硬さなど |
| 経腟超音波検査 | 筋腫の場所、大きさ、個数、子宮内腔の変形、卵巣の状態 |
| 経腹超音波検査 | 性交経験がない方、経腟検査を希望しない方、大きな病変などを確認 |
| 血液検査 | ヘモグロビン、鉄欠乏など貧血の程度 |
| MRI | 大きい・多発する病変、腺筋症や卵巣腫瘍との鑑別、手術計画、非典型的な画像の評価 |
| 子宮鏡検査 | 粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなど、子宮内腔の状態 |
診断の基本は内診と超音波検査です。[1]子宮頸がん検診の細胞診だけでは、筋腫の場所や大きさは分かりません。腫瘍マーカーだけで筋腫と子宮肉腫を区別することもできません。
治療せず経過観察できる場合
症状や貧血がなく、画像が典型的な筋腫で、妊娠や周囲臓器への影響が少ない場合は、定期的な超音波検査で経過を確認します。
観察間隔は全員一律ではありません。初めて見つかったか、過去と比較して増大しているか、年齢、閉経までの期間、症状、妊娠希望などから決めます。「治療しない」ことと「放置する」ことは異なります。
子宮筋腫の治療法
| 治療 | 主な目的 | 例 |
|---|---|---|
| 対症療法 | 出血、痛み、貧血を軽くする | 鉄剤、トラネキサム酸、NSAIDs |
| ホルモン治療 | 月経量や生理痛を軽くする | LEP・低用量ピル、ミレーナなど |
| 筋腫を一時的に縮小する治療 | 出血の改善、閉経までの橋渡し、手術前治療 | GnRHアゴニスト・アンタゴニスト |
| 子宮温存手術 | 筋腫を除去して子宮を残す | 子宮鏡下・腹腔鏡下・開腹筋腫核出術 |
| 根治的手術 | 筋腫の再発と子宮からの出血をなくす | 子宮全摘術 |
| その他の処置 | 子宮を残しながら筋腫を縮小、または出血を軽減 | 子宮動脈塞栓術、子宮内膜焼灼術など |
薬物療法の多くは筋腫そのものをなくす治療ではなく、症状を抑える治療です。手術や処置も含め、それぞれに長所と注意点があります。[1][2]
子宮筋腫と妊娠
子宮筋腫があっても、妊娠・出産する方は多くいます。妊娠への影響は、子宮内腔を変形させる粘膜下筋腫や一部の筋層内筋腫で大きくなりやすく、漿膜下筋腫では比較的少ないと考えられます。
妊娠希望がある場合は、筋腫の場所・大きさ・個数だけでなく、年齢、妊娠希望時期、過去の妊娠歴、排卵・卵管・精液所見なども確認し、妊娠を先に目指すか、筋腫核出術を検討するか判断します。[2]
子宮筋腫はがんになりますか?
子宮筋腫は良性腫瘍で、一般に、筋腫が子宮肉腫へ変化する病気とは考えられていません。子宮肉腫は筋腫とは別に発生する、まれな悪性腫瘍です。
ただし、子宮平滑筋肉腫などは画像や症状が筋腫と似ており、手術前に完全に区別できない場合があります。画像が典型的でない、閉経後に増大する、閉経後出血がある場合などは、MRIや専門施設での評価を検討します。[3]
子宮筋腫についてよくある質問
Q. 子宮筋腫が見つかったら必ず手術ですか?
いいえ。症状や貧血がなく、妊娠・周囲臓器への影響が少なければ、経過観察できる場合が多くあります。
Q. 何cmになったら手術ですか?
大きさだけでは決まりません。小さな粘膜下筋腫で治療が必要なことも、大きめでも経過観察できることもあります。
Q. 閉経すれば筋腫はなくなりますか?
多くは閉経後に縮小しますが、必ず消失するわけではありません。閉経後の増大や出血は精査が必要です。
Q. 筋腫があってもピルやミレーナを使えますか?
使用できる場合があります。ただし、血栓症リスク、子宮内腔の変形、筋腫の位置などから適否を判断します。
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この記事の執筆・医学監修
清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長
更新日・最終医学確認:2026年10月10日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。
参考文献
- 日本婦人科腫瘍学会.子宮筋腫.
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ214~CQ216.
- 日本婦人科腫瘍学会.子宮肉腫.
- ACOG.Uterine Fibroids.










