子宮頸がんとは?原因・症状・検診・予防を解説

 

子宮頸がんは、子宮の入口にあたる「子宮頸部」にできるがんです。多くは発がん性の高いタイプのヒトパピローマウイルス(ハイリスクHPV)が長く感染し続けることから始まり、CIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺がん)という前がん病変を経て、数年から十数年かけて進行します。[1][2]

 

初期の子宮頸がんや前がん病変には、ほとんど症状がありません。そのため、症状がない時期に検診を受け、必要な精密検査を中断しないことが、子宮と妊娠の可能性を守るうえでも重要です。

 
 

子宮頸がんとは

子宮は、赤ちゃんを育てる「子宮体部」と、腟につながる「子宮頸部」に分かれます。子宮頸がんは子宮頸部に発生し、子宮内膜から生じる子宮体がんとは、原因・発症しやすい年代・検査・治療が異なります。

子宮頸がんの多くは、次のような段階を経て発生します。

  1. ハイリスクHPVに感染する
  2. 感染が長期間持続する
  3. CIN1・CIN2・CIN3などの前がん病変が生じる
  4. 一部が浸潤がんへ進行する

HPVに感染しても、多くは免疫の働きで検出されなくなります。HPV陽性だからといって、がんと診断されたわけではありません。一方、持続感染している方の一部では前がん病変へ進むため、結果に応じた追跡が必要です。[2]

扁平上皮がんと腺がん

子宮頸がんには、主に次の組織型があります。

種類 特徴
扁平上皮がん 子宮頸部の表面を覆う扁平上皮から生じる。前がん病変は主にCINと表される
腺がん 粘液などをつくる腺細胞から生じる。前がん病変にはAISがあり、頸管の奥に発生すると見つけにくいことがある

細胞診だけですべての病変を確実に見つけられるわけではありません。検診が「異常なし」でも、性交後出血や不正出血が続く場合は、検診の時期を待たずに診察を受けてください。

子宮頸がんの原因とリスク

子宮頸がんの多くは、ハイリスクHPVの持続感染と関連します。HPVは性的接触によって感染するありふれたウイルスで、感染したこと自体を責める必要はありません。検査から感染時期や感染源を特定することもできません。

子宮頸がんの発生と関連する主な要因には、次のものがあります。

  • ハイリスクHPVの持続感染
  • 喫煙
  • 免疫を抑える病気や治療
  • 検診・精密検査を長期間受けていないこと

コンドームはHPV感染の機会を減らす可能性がありますが、覆われていない皮膚からも感染するため、完全には防げません。予防の中心は、適切な時期のHPVワクチンと定期検診です。

子宮頸がんの初期症状

CINやAIS、初期の子宮頸がんには症状がないことが多く、「症状が出てから検査」では早期発見の機会を逃すことがあります。

進行すると、次のような症状が現れることがあります。[1]

  • 性交後の出血
  • 月経以外の出血、閉経後の出血
  • 血が混じる、水っぽい、量が多い、においを伴うおりもの
  • 性交時痛、下腹部痛、腰痛
  • 進行した場合の大量出血、血尿・血便、脚のむくみ

これらはポリープ、腟炎、ホルモン変動などでも起こりますが、症状だけで原因を区別することはできません。とくに性交後出血、繰り返す不正出血、閉経後出血は早めに婦人科へご相談ください。

子宮頸がん検診で何が分かる?

検診は、症状のない方から前がん病変や早期がんの可能性がある方を見つけるために行います。日本の対策型検診では、20歳以上を対象とする2年に1回の細胞診があります。精度管理体制を整えた自治体では、30歳以上を対象とするHPV検査単独法も選択され、HPV陰性なら原則5年に1回です。自治体によって方法が異なり、受診者が自由に選べない場合があります。[3][4]

毎年受ければ必ず利益が増えるわけではなく、偽陽性や不要な精密検査が増える可能性があります。ただし、過去に異常があった方、治療後の方、免疫機能が低下している方などは別の間隔が必要です。検診結果と医師の指示を優先してください。

子宮頸がんの検診・精密検査・診断の流れを見る

ASC-US・LSIL・HSIL・HPV陽性など、検診結果の見方を見る

検診で異常が出た後の流れ

  1. 細胞診またはHPV検査で、精密検査が必要か判定する
  2. コルポスコピーで子宮頸部を拡大観察する
  3. 異常が疑われる部分から組織を採取する
  4. 組織診でCIN1・CIN2・CIN3、AIS、がんなどを診断する
  5. がんの場合はMRI・CTなどで広がりを確認し、病期を決める

細胞診のASC-US・LSIL・HSILなどは、がんの確定診断ではありません。治療の要否は、主に組織診の結果、病変の範囲、年齢、妊娠希望などを踏まえて決めます。

コルポスコピー・組織診の流れ、痛み、検査後の注意を見る

子宮頸がんと前がん病変の治療

診断 一般的な考え方
CIN1 自然に消退することも多く、通常は検査を続けながら経過観察
CIN2 年齢、病変の持続、コルポ所見、妊娠希望などで経過観察または治療を検討
CIN3・AIS 円錐切除術などを検討。結果と妊娠希望により追加治療を判断
浸潤がん 病期・組織型・体の状態・妊娠希望に応じて、手術、放射線治療、薬物療法などを選択

浸潤がんでも、全員が子宮・卵巣・リンパ節を一律に切除するわけではありません。ごく早期で条件を満たす場合には妊孕性温存治療が選択肢になることがあります。治療前に、将来の妊娠希望を担当医へ伝えることが大切です。[5]

CIN・AIS・子宮頸がんの治療と妊娠への影響を見る

予防は「HPVワクチン+検診」

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となる一部のHPV型への新たな感染を予防します。日本で使われる9価ワクチンは、子宮頸がんの原因の80~90%を占めるHPV型を予防するとされています。[6]

ただし、ワクチンはすでに感染しているHPVを排除する治療ではなく、すべての発がん性HPVを防ぐわけでもありません。そのため、接種後も年齢と自治体の制度に応じた検診が必要です。

  • 感染前の適切な時期にHPVワクチンを接種する
  • 定められた間隔で子宮頸がん検診を受ける
  • 要精密検査・要追跡検査を放置しない
  • 禁煙する
  • 症状があれば検診結果にかかわらず診察を受ける

HPVワクチンの効果・接種回数・費用を見る

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子宮頸がんについてよくある質問

Q. HPV陽性なら子宮頸がんですか?

いいえ。HPV陽性はハイリスクHPVが検出されたという意味で、がんの診断ではありません。多くの感染は検出されなくなりますが、持続感染による細胞変化を見逃さないため、指示された時期に再検査または精密検査を受けます。

Q. 性交経験が少なくても子宮頸がんになりますか?

性交経験の回数だけでリスクは判断できません。HPVは一度の性的接触でも感染する可能性があり、わずかですがHPVと関連しない子宮頸がんもあります。年齢や症状、自治体の案内に応じて検診をご検討ください。

Q. HPVワクチンを接種すれば検診は不要ですか?

必要です。ワクチンは多くの子宮頸がんを予防しますが、すべてを防ぐわけではありません。接種後も定期検診を受けてください。

Q. 子宮頸がんになると妊娠できませんか?

診断の段階と治療法によります。前がん病変やごく早期のがんでは子宮を残す治療が可能な場合がありますが、円錐切除後は早産リスクが高くなることがあります。妊娠希望がある方は、治療前に必ず担当医へ伝えてください。

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横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~で女性医師が、子宮頸がん検診、ハイリスクHPV検査、コルポスコピー・組織診をご案内します。

他院や自治体検診の結果についてのご相談も承ります。結果票・紹介状・過去の検査結果をお持ちください。子宮頸がんの治療が必要な場合は、病状とご希望に応じて専門医療機関へご紹介します。

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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月20日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・検査・治療方針に代わるものではありません。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮頸がんについて.
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮頸がん検診について.2026年4月更新.
  3. 厚生労働省.がん検診.
  4. 厚生労働省.がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針.
  5. 日本婦人科腫瘍学会.子宮頸癌治療ガイドライン2022年版.
  6. 厚生労働省.HPVワクチン.