子宮筋腫の手術|子宮全摘・筋腫核出・子宮鏡手術を比較

 

子宮筋腫の手術方法は、筋腫の大きさだけでなく、症状、位置・個数、妊娠希望、年齢、過去の手術歴によって選びます。子宮を残す「筋腫核出術」と、子宮ごと摘出する「子宮全摘術」が中心で、粘膜下筋腫では腟から行う子宮鏡手術が適することもあります。[1][2]

 

手術が必要か、どの術式が可能かは個別に判断します。「何cmなら必ず全摘」「腹腔鏡なら必ずよい」という決め方ではありません。

 

子宮筋腫で手術を検討するケース

  • 過多月経や貧血が薬物治療で十分に改善しない
  • 強い月経痛、骨盤痛、圧迫感が続く
  • 頻尿、便秘、尿管の圧迫など周囲臓器への影響がある
  • 子宮内腔を変形させる筋腫が妊娠・不妊治療に影響すると考えられる
  • 筋腫が大きい、数が多い、増大している
  • 画像が典型的でなく、ほかの病気との区別が必要

症状がなく、妊娠や周囲臓器への影響が少なければ、定期的な診察と超音波検査で経過をみる選択もあります。

主な手術方法の比較

手術方法 向くことが多いケース 主な特徴・注意点
子宮鏡下筋腫摘出術 子宮内腔へ突出する粘膜下筋腫 腹部を切らず、子宮口から器具を入れて切除する。大きさや突出率によっては複数回の手術が必要
腹腔鏡下・ロボット支援下筋腫核出術 子宮を残したい方で、位置・大きさ・個数が適応範囲にある場合 小さな創で行う。出血、癒着、再発、将来の分娩方法などを事前に確認する
開腹筋腫核出術 非常に大きい、多数ある、深い位置にあるなどの場合 広い視野で対応しやすい一方、創が大きく、回復に時間を要する傾向がある
子宮全摘術 妊娠希望がなく、症状を根本的に解決したい場合 筋腫の再発はないが、その後の妊娠はできない。腹腔鏡、ロボット、腟式、開腹などの方法がある

子宮鏡手術は、ガイドラインでは一般に直径3cm以下で、筋腫の50%以上が子宮内腔へ突出する場合が目安とされています。ただし、施設の経験や機器によって適応は異なります。[2]

筋腫核出術と子宮全摘術、どちらを選ぶ?

比較項目 筋腫核出術 子宮全摘術
子宮 残す 摘出する
妊娠 術後に目指せる できない
月経 続く なくなる
筋腫の再発・新生 残った筋腫の増大や新しい筋腫が生じる可能性がある 子宮筋腫は再発しない
主な選択理由 妊娠希望、子宮を残したいという希望 再治療を避けたい、症状を根本的に解決したい

子宮全摘術で卵巣を残した場合、通常は手術直後に女性ホルモンがなくなるわけではありません。月経はなくなりますが、卵巣機能と更年期症状は別の問題です。卵巣を同時に摘出するかどうかは、年齢、卵巣の病気、遺伝的リスクなどを含めて相談します。

妊娠を希望する方の手術

妊娠希望があっても、すべての筋腫を手術するわけではありません。特に子宮内腔を変形させる粘膜下筋腫や一部の筋層内筋腫では、妊娠への影響を考えて核出術を検討します。無症状で子宮内腔への影響が少ない筋腫では、手術による癒着や子宮の傷とのバランスを考えます。[2]

術後に妊娠を開始できる時期は、筋腫の位置、子宮筋層を切開した深さ、縫合の状態によって異なります。また、将来の分娩で帝王切開が勧められるかどうかも術式によって変わります。手術を受ける施設で、妊娠開始時期と分娩方法を確認してください。

手術前に確認すること

  • 超音波・MRIによる筋腫の位置、大きさ、個数
  • 血算、鉄・フェリチンなど貧血の評価
  • 妊娠希望と子宮温存の希望
  • 子宮頸がん検診歴、必要に応じた子宮内膜の評価
  • 過去の手術歴、内科疾患、服用薬
  • 輸血・自己血貯血の可能性

貧血が強い場合は、鉄剤や月経量を減らす薬で手術前に改善を図ります。筋腫を一時的に縮小して出血を減らす目的で、GnRHアゴニスト・アンタゴニストを使うこともあります。

腹腔鏡手術と筋腫の細切について

腹腔鏡手術では、摘出した筋腫や子宮を小さな創から取り出すため、組織を細かくする処置が必要になることがあります。

頻度は低いものの、手術前に診断できなかった悪性腫瘍を細切すると、組織が腹腔内へ広がるおそれがあります。そのため、年齢や画像所見などを評価し、細切せずに取り出す方法や回収袋の中で行う方法を含めて、手術施設から説明を受けます。[3]

手術以外の処置

子宮動脈塞栓術(UAE)

筋腫へ血液を送る動脈を塞栓し、筋腫を縮小させる治療です。子宮を温存できますが、治療後の痛み、感染、卵巣機能への影響、再治療の可能性があります。将来の妊娠への影響は不確実な点があるため、妊娠希望がある方は慎重に検討します。[2]

集束超音波治療(FUS)など

MRIなどで位置を確認しながら超音波を集め、筋腫を加熱する方法があります。適応となる筋腫が限られ、実施施設も限定されます。妊娠希望、再治療の可能性、保険適用・費用を含めて確認が必要です。

手術の主なリスクと回復

子宮筋腫の手術では、出血・輸血、感染、血栓症、周囲臓器の損傷、癒着、麻酔合併症などが起こる可能性があります。筋腫核出術では筋腫の再発や、出血のため予定していた術式を変更する可能性についても説明を受けます。

入院期間や仕事復帰までの時間は、子宮鏡・腹腔鏡・開腹といった術式だけでなく、手術範囲、合併症、仕事内容によって異なります。固定の日数で考えず、退院後の運動、入浴、性交、仕事復帰の目安を手術施設に確認してください。

手術を決める前に確認したい質問

  • 手術を勧める一番の理由は何か
  • 経過観察や薬物治療を続けた場合の見通し
  • 子宮を残す方法は可能か、その利点と欠点
  • 予定する術式と、途中で変更する可能性
  • 輸血、再発、合併症の可能性
  • 妊娠開始の時期と将来の分娩方法
  • 入院、仕事復帰、費用の目安

子宮筋腫の手術についてよくある質問

Q. 筋腫が10cmなら子宮全摘ですか?

大きさだけでは決まりません。位置、個数、症状、妊娠希望、手術施設の対応範囲を確認し、核出術・全摘術・術前治療などを検討します。

Q. 子宮全摘をするとすぐ更年期になりますか?

卵巣を残せば、通常は直ちに卵巣ホルモンがなくなるわけではありません。月経がなくなることと、卵巣機能がなくなることは同じではありません。

Q. 腹腔鏡手術なら必ず早く退院できますか?

一般に開腹手術より創が小さい傾向がありますが、入院・回復期間は手術内容と経過によります。

Q. 筋腫核出術をすれば妊娠しやすくなりますか?

子宮内腔を変形させる筋腫などでは改善が期待される場合がありますが、年齢や卵管・精子など他の要因も関係し、手術で妊娠が保証されるわけではありません。

横浜駅近くで子宮筋腫の手術について相談したい方へ

横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~では、症状、超音波所見、貧血、妊娠希望を確認し、薬物治療を続けるか、手術を検討するかをご説明します。

手術が必要な場合は、希望する術式や妊娠計画も踏まえて連携医療機関へご紹介します。

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お電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月10日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・手術方針に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本婦人科腫瘍学会.子宮筋腫.
  2. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ214~CQ216.
  3. U.S. Food and Drug Administration.Perform Only Contained Morcellation When Laparoscopic Power Morcellation Is Appropriate.2020.
  4. American College of Obstetricians and Gynecologists.Uterine Fibroids.