子宮頸がん検診でASC-USだった場合
何度か子宮頸がん検診の結果の見方をご説明していますが、一番混乱されるのがやはり「ASC-US」という結果だった時のようですね。
学会のガイドラインでは、検査結果が「ASC-US」だった場合は次のいずれかの対応をすることになっています。
1)半年後に子宮頸がん検査を再検査する
2)HPVハイリスクタイプの検査をする
3)コルポスコピー検査をする
このうち、推奨されているのは2)の、まずはHPV検査を行うという方法のため、当院でも「ASC-US」だった方にはすぐにコルポスコピー検査は行わずHPV検査をするようにしています。当院で細胞診を行った方の場合は、HPV検査のために再度内診をしなくても、一度とった細胞でHPVの検査を追加できます。
いきなりコルポスコピー検査をしてもいいのですが、HPV陰性であれば行わなくていい検査なわけですから、無駄な検査をしないという意味でもHPV検査を行うのが効率的だと考えております。
また、組織診は痛みや出血を伴う検査ですので、本当に必要な方のみに行えるようにという意図もあります。
実際、ASC-USだったけれどHPVは陰性という方も2割くらいはいらっしゃいます。逆に言えば、ASC-USだとHPVも陽性なケースの方が多いわけですが。
ASC-USでHPVも陽性だった場合に組織診を行うと、ほとんどは軽度異形成又は中等度異形成という結果が返ってきます。ごくまれに、高度異形成や上皮内癌であるケースもありますので、ASC-USだから安心してよいというわけでもありません。ただ、ASC-USで精密検査をしてみたら浸潤がんだったというケースは今まで出ておりません。
進んだ癌になりきる前に異常を見つけるためにも、こういった早い段階の異常をしっかり見分ける事が重要なんです。
HPVハイリスクタイプの検査は、子宮頸がん検査がASC-USだった方のみ保険で行えます。それ以外の方や、子宮頸がん検査と一緒に行う場合は自費になります。
この検査が「陽性」だった場合、数種類あるHPVハイリスクタイプのうち「どれかが陽性」という意味ですので、ワクチンの対象となる「16型や18型」が陽性なのかそれ以外のタイプが陽性なのかは判別できません。
「何型が陽性なのか知りたい」という場合は、自費の検査になりますがHPVタイピング検査を行うことでよりはっきり調べることが可能です。