子宮頸がん検診でASC-US(アスカス)だった場合【横浜の婦人科】

婦人科がん検診の「ASC-US」はどういう意味?がんの可能性は?(横浜の婦人科)

子宮頸がん検診の結果の中で、一番混乱されるのがやはり「ASC-US」という結果だった時のようですね。ネットの知恵袋などで、「ASC-USと言われたら?」と質問してしまうケースも多いようです。

「ASC-US」はストレスで発生するのか?といった不安を抱える方もいらっしゃるかもしれませんが、「ASC-US」とストレスは直接的な関係はありません。

 

 

婦人科の検診で「異常です」と言われると、「ASC-US」だと癌なの?と不安になるかもしれませんが、「ASC-US」は「明らかに癌ですよ」という意味ではありません。

グレーゾーンなので、癌の確率が「ゼロ」とは言い切れませんが、どちらかというと「がんの手前」であることがほとんどです。

 

 

婦人科検診の「ASC-US」は、子宮頚部の細胞に「がんではないけれど完全に正常とも言えないグレーゾーンの変化」があるけれど、「もしかしたら一時的な変化かもしれません」という意味です。

健診で指摘される異常の中では比較的よくあるレベルの異常です。前回の検診では「異常なし」と言われていたのに、1年後に受けたら「ASC-US」だった、ということもあり得ます。

 

学会のガイドラインでは、検査結果が「ASC-US」だった場合は次のいずれかの対応をすることになっています。
    1)半年後に子宮頸がん検査を再検査する
 2)HPVハイリスクタイプの検査をする
 3)コルポスコピー検査をする

 

 

「ASC-US」と言われたらまずHPV検査

このうち、推奨されているのは2)の、まずはHPV検査を行うという方法です。

HPVはハイリスクタイプに分類される「型」に感染すると、子宮頚部の細胞に変化を引き起こして、最終的にがん化させてしまう可能性があるウイルスです。

子宮頸がんワクチンで予防しているのは、このHPVへの感染です。全部で100種類以上の「型」があるウイルスですが、子宮頸がんのリスクになりうるのは、16型や18型など全部で13~15種類の型に限られます。

 

この、HPVのハイリスクタイプに感染しているかどうかを調べるのがHPV検査です。子宮頚部に付着しているおりものをぬぐい取る検査なので、ちょっとこするだけで完了します。

 

当院でも「ASC-US」だった方にはすぐにコルポスコピー検査は行わずHPV検査をするようにしています。当院で細胞診を行った方の場合は、HPV検査のために再度内診をしなくても、一度とった細胞でHPVの検査を追加できます。

 

 

いきなりコルポスコピー検査をしてもいいのですが、HPV陰性であれば行わなくていい検査なわけですから、無駄な検査をしないという意味でもHPV検査を行うのが効率的だと考えております。
また、組織診は痛みや出血を伴う検査ですので、本当に必要な方のみに行えるようにという意図もあります。

実際、ASC-USだったけれどHPVは陰性という方も2割くらいはいらっしゃいます。逆に言えば、ASC-USだとHPVも陽性なケースの方が多いわけです。

 

 

「ASC-US」だと癌の可能性はある?

ASC-USでHPVも陽性だった場合に組織診を行うと、ほとんどは軽度異形成又は中等度異形成という結果が返ってきます。なので、「ASC-US」だと癌の確率が高い、というわけではありません。「ASC-US」だった人が「実は癌だった」という確率はを算出することは難しいのですが、当院で経験した「ASC-USで精密検査をしたら癌だった」というケースは今のところ2例です。

 

このように、ごくまれに、高度異形成や上皮内癌であるケースもありますので、ASC-USだから安心してよいというわけでもないのです。ただ、ASC-USで精密検査をしてみたら浸潤がんだったというケースは今まで出ておりません。

 

そういう意味では、ASC-USでがんの確率は非常に低いと言えます。

進んだ癌になりきる前に異常を見つけるためにも、こういった早い段階の異常をしっかり見分ける事が重要です。

 

 

HPVハイリスクタイプの検査は、子宮頸がん検査がASC-USだった方のみ保険で行えます。それ以外の方や、子宮頸がん検査と一緒に行う場合は自費になります。
この検査が「陽性」だった場合、数種類あるHPVハイリスクタイプのうち「どれかが陽性」という意味ですので、ワクチンの対象となる「16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型」が陽性なのかそれ以外のタイプが陽性なのかは判別できません。

 

「何型が陽性なのか知りたい」という場合は、HPVタイピング検査を行うことでよりはっきり調べることが可能です。

HPVタイピング検査は、精密検査である組織診断で軽度異形成(CIN1)や中等度異形成(CIN2)と診断された場合にのみ、保険で検査が可能です。保険を使って検査をしても、自己負担額が約7000円と、ちょっと高額な検査になります。

 

 

ストレスでASC-USになる?

検診で異常を指摘されたからといって、全部ががんになってしまうものではありません。

必要な精密検査を受けて、どのように経過を見ていけばいいのか、しっかり主治医に確認しておくと安心です。

 

子宮頚部の細胞に変化が起きる原因の大部分は、HPVへの感染です。2番目に影響が大きいのはタバコです。

なので、子宮頚がんを予防したかったら、ワクチンでHPVへの感染を防ぎ、定期的に検診を受け、タバコを吸わないことです。

そして、上記以外の、子宮頚がんを予防する有効な方法はありません。何かを食べたり、運動したり、ストレスをなくしたりすることで、HPVへの感染を防ぐことができるわけではありません。

 

では、ストレスや寝不足が、細胞の変化と全く関係ないのか?と言いますと、多少影響する可能性があります。感染したHPVが活動してしまう要因の一つとして、自分自身の免疫力の低下が挙げられるからです。

「今、自分は、ストレスフルな生活をしている」と認識している時に、「ASC-US」という結果が出たのであれば、それは、「もうちょっと自分をいたわりましょう」というサインかもしれません。

 

「過去に異常を指摘されたことがあるけれどどうしたらいい?」「今回の健診でASC-USだったので心配」というご相談も承れますので、まずは気軽にご相談くださいませ。

 

 

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