妊娠したいと思ったらすべきこと

 外来に「不妊の相談」と言っていらっしゃった方に、「避妊しなくなって何年ですか?」と伺うと「半年くらい」という答えが返ってくることも結構あるんです。医学的に「不妊」というのは、妊娠を目指しても1年以上妊娠しない状態をいいます。以前は「2年以上たっても妊娠しない場合」を不妊としていましたが、妊娠を目指し始める年齢が上がってきていることなどを考慮して、「1年」に変更されました。普通は、避妊をしなければ1年で85%、2年で90%の人が妊娠します。なので、1年経っても妊娠しない15%の人が不妊ということになっています。

 最近は、妊娠を目指し始める年齢が高くなっているせいか、「不妊症が増えている!」なんて脅されてしまっているせいか、ちょっとうまくいかないとすぐに「不妊症なんじゃないか」と焦ってしまうようです。もちろん、年齢によっては1年も様子をみていたら妊娠可能年齢を通り越してしまうこともありますから、スタートがゆっくりだった方はのんびりしすぎてもいけないのですが。
 中には、「結婚したのに妊娠しないんです」と相談にいらっしゃって、よくよくお話を伺うと、実は夫婦生活を持っていなかった、というレアケースもあったりします。

 妊娠したいなと思ったら、自分で出来ることは、まず基礎体温をつけることです。不妊治療の最初に挙げられているタイミング法というのは、基礎体温で排卵のリズムをつかんで、排卵のタイミングを狙ってチャンスを持つという方法です。基礎体温をつけ続けていると、ちゃんと排卵していれば、月経と月経のちょうど真ん中辺りで、体温が上がる日があります。一般的には、そのちょっと前の体温が一番下がった日が排卵日なんて言われていますが、体温が上がってから排卵することもあります。
 そもそも、基礎体温をつけてみれば分かりますが、何処が「一番低い」のかは、その日が過ぎてみないと分かりませんから。ただ、つけ続けていると、だいたい何日目で体温が上がるのか、自分のリズムがつかめてきます。そうしたら、そろそろかな、という日と高温期に入った日にチャンスを持てばいいわけです。もちろんそれ以外の日も夫婦生活を持った方が、より妊娠率はたかまります。もし、数か月つけてもイマイチ排卵日が分からないという場合は、ちゃんと排卵しているのか、早いうちに一度婦人科で相談してみた方がいいですね。

 病院で超音波検査をすれば、正確な排卵日が予測できるのですが、病院に行かずよりピンポイントで排卵日を予測したい人にお勧めなのが、最近は薬局でも手に入る「排卵日チェッカー」です。これは、尿中に出るLHという排卵命令のホルモンの濃度を調べる検査です。ちょうど妊娠判定用のスティックと同じ様に、尿をかけてしばらくすると線が現れる仕組みになっています。この排卵日チェッカーを、そろそろかなという日の前日くらいから連日で使用して、途中で「陽性」の反応が出たら、その日から翌日くらいが排卵日と予測できるんです。
 
 病院にかからずに出来ることはここまでですが、これ以外にもっと大切なのが、日々の生活習慣の見直しです。体重オーバーであれば、妊娠前に健康体重くらいまではコントロールしておく方が安全ですし、タバコは完全に禁煙を目指すべきです。それから、腰周りが冷えて血流が悪い状態だと、妊娠しづらくなってしまいますから、冷え症を改善する工夫もしてみてくださいね。

 そして何より、一度も婦人科検診を受けたことの無い方は、検診をして何も異常が無いことを確認してから、妊娠を目指してほしいと思います。
 妊娠を目指したらしばらくは病院にかからず、基礎体温をつけながら様子をみる方がほとんどだと思いますが、「そろそろ」と思った段階で病院に相談しに行った方がベターなケースもあります。例えば、甲状腺の病気などの内科疾患を治療中の方や、握りこぶし大以上の大きさの子宮筋腫がある方など。それから、年齢的に1年も無駄にしたくないという方は、これから妊娠を目指し始めるという時に言ったん婦人科を受診しましょう。

 女性には、妊娠可能な年齢にどうしてもリミットがついて回ります。これは、卵巣にあらかじめ寿命があるためで、医学の技術を総動員すればある程度は伸ばせるものの、やはり限界はあります。最近は35歳以上の、いわゆる高齢初産なんて全然珍しくなくなりましたが、医学的には30歳を過ぎると妊娠率は徐々に下がっていき、35歳以降はその下がり方が急下降になっていきます。

 35歳を過ぎたら、半年経って妊娠しなければ病院で相談したほうがベターでしょう。40歳を超えると自然妊娠はかなり難しくなってきますから、38歳を過ぎて妊娠を目指し始める時は、最初から病院でサポートしてもらった方が効率はいいと言えます。40歳以降で妊娠を目指し始める場合は、あらかじめ高度な不妊治療も視野に入れて、不妊専門の病院へ相談しに行くことをお勧めします。

 クリニックでは、「とりあえず相談だけしてみたい」という方には、不妊カウンセリング(自費でのカウンセリングになります)をお勧めしております。受診していきなり検査や治療を受けるのではなく、ご自身にとってのベストな「妊活法」を知りたいという方は、お気軽にご相談ください。 

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清水(旧姓:須藤) なほみ
ポートサイド女性総合クリニック
~ビバリータ~ 院長
歌って踊れる産婦人科医
 
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに、女性の美と健康をサポートするために女性医療を皆様のもとにお届けしています。
5歳から始めたクラシックバレエは、ミュージカルとの出会いでコンテンポラリーダンスに変身しました♪
 
所属学会:日本産婦人科学会・日本思春期学会・日本性感染症学会・日本不妊カウンセリング学会
 
日本家族計画協会認定思春期保健談員
不妊カウンセリング学会認定カウンセラー