不妊治療のゴールは?

 不妊治療の現場にいると、どんなにがんばっても赤ちゃんを授かれないケースに遭遇することもあります

 特に、年齢的なタイムリミットを越えてしまっていると、どうにもならないこともあるんですね。
 不妊カウンセリング学会の講義でそういった事例を聞く中で、不妊治療のゴールは「妊娠」ではない、そんなふうに感じたことがありました。
 何というか、「妊娠」しても解決しないものが根っこにあるというか、妊娠しなくてもそれを解決すればゴールが見えるというか・・・

 講義を聞く中で、不妊で悩む方に必要なのは「受け入れと選択」なんだという事に気づきました。
 妊娠しにくいという事実・妊娠できないという事実・妊娠しない自分・妊娠を目指せないパートナー・理解の無い周囲・子どもがいない未来・・・色々否定してきているものを「受け入れる」。そして、「今のままの自分でいいんだ。今のままの自分で十分完璧で何も欠けてはいないんだ」という「自己受容」がなにより大事なんです。

 これって、不妊に限らず、自己否定に陥っているケース全てにいえることなんだとは思います。自分は何かが「欠けている」という認識から、「このままでいいんだ」という認識へ変わっていく、そのプロセスをサポートする必要があるんだと思います。
 「女は産んで一人前」とか「子育てを経験していないと人として未成熟」なんて周りからのプレッシャーは、単なる価値観の押し付けです。そんな声が気にならなくなるくらい、「私は私!」と思えること、これが一番大事なのかなと感じたんですよね。

 そしてもう一つ、「自分で選択した」という実感。これが大事なんです。
 「自然妊娠が望めない」のではなく「積極的に赤ちゃんを迎えにいく」という選択をする。
 「産めない」のではなくて「産まない」という選択をする。
 「子どもがいない人生」ではなく「子どもを作らない人生」を選択する。

 人生の中で、思い通りにならないことなんて、妊娠・出産だけじゃなくてもたくさんあるじゃないですか。それでも、最終的な結論は「自分で選択したんだ」という実感が、自分の人生を積極的に主体的に生きるという意味で必須なんです。
 仕方なく、今の人生を余儀なくされたのではなく、きちんと自分の意思で自分の手で「選び取った」と胸を張れる。そう思えるようになるまで治療や相談にお付き合いしていくことが、不妊治療には必要なんだなと思います。

プロフィールD.JPG
清水(旧姓:須藤) なほみ
ポートサイド女性総合クリニック
~ビバリータ~ 院長
歌って踊れる産婦人科医
 
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに、女性の美と健康をサポートするために女性医療を皆様のもとにお届けしています。
5歳から始めたクラシックバレエは、ミュージカルとの出会いでコンテンポラリーダンスに変身しました♪
 
所属学会:日本産婦人科学会・日本思春期学会・日本性感染症学会・日本不妊カウンセリング学会
 
日本家族計画協会認定思春期保健談員
不妊カウンセリング学会認定カウンセラー


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