不妊症の治療|タイミング法から専門治療への進み方

 

不妊症の治療は、タイミング法を一律に何回、その次に人工授精を何回、という固定された順番ではありません。年齢、不妊期間、排卵、卵管の状態、精液所見、卵巣予備能、希望する家族計画を踏まえ、妊娠の可能性と治療負担のバランスを考えて選びます。[1][2]

 

当院は不妊治療認定施設ではないため、対応できる治療はタイミング法までです。排卵誘発、人工授精、体外受精・顕微授精などが必要な場合は、不妊治療専門施設へご紹介します。

 

治療方法は何で決まりますか?

  • 女性の年齢と妊娠を希望する時期
  • 不妊期間、過去の妊娠歴
  • 排卵の有無、卵管の通過性、子宮・卵巣の状態
  • 精液検査の結果
  • 子宮内膜症、PCOSなどの基礎疾患
  • 治療にかけられる時間、通院、身体的・心理的・経済的負担
  • 人工授精や生殖補助医療に対する希望

治療を始める前に、卵管が通っているか、精液所見に大きな問題がないかを確認することが重要です。卵管閉塞や重い男性因子がある場合、タイミング法を続けても妊娠につながりにくいためです。

タイミング法

タイミング法は、排卵日を予測し、妊娠しやすい時期に性交する方法です。月経周期、尿中LHを測る排卵検査薬、超音波による卵胞計測などを組み合わせます。

妊娠しやすい期間は排卵日だけではなく、一般に排卵の5日前から排卵日までです。特に排卵の1~2日前は妊娠につながりやすいため、排卵日を一点で当てることより、妊娠しやすい期間に1~2日おきに性交することが実用的です。[3]

基礎体温は排卵後の変化を振り返る参考にはなりますが、排卵時刻を正確に予測する検査ではありません。詳しくは基礎体温のつけ方とタイミング法をご覧ください。

排卵誘発

排卵がない、または不規則な場合に、内服薬や注射で卵胞の発育・排卵を促す治療です。原因に応じて薬を選び、超音波やホルモン検査で反応を確認します。

薬を増やせば妊娠率が単純に上がるわけではありません。複数の卵胞が育つと多胎妊娠の危険が高まり、注射薬では卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にも注意が必要です。安全なモニタリングができる施設で行います。

当院では不妊治療としての排卵誘発は行っていません。排卵誘発が必要な場合は専門施設へご紹介します。

人工授精(IUI)

人工授精は、排卵時期に合わせて、洗浄・濃縮した精子を細い管で子宮内へ注入する治療です。性交障害、頸管因子、軽度の男性因子、原因不明不妊などで検討されます。

卵管で受精する点は自然妊娠と同じため、少なくとも片側の卵管が通っていることが前提です。年齢や精液所見によっては、人工授精を繰り返すより体外受精へ進む方がよい場合があります。

当院では人工授精を行っていません。適応の検討を含め、不妊治療専門施設へご紹介します。

体外受精・顕微授精

体外受精は、卵巣から採取した卵子と精子を体外で受精させ、育った胚を子宮に戻す治療です。顕微授精では、1個の精子を卵子の中に注入します。

両側卵管閉塞、重度の男性因子、ほかの治療で妊娠に至らない場合、女性年齢などから時間を優先したい場合に検討されます。採卵数、受精方法、胚凍結、移植方法は一人ひとり異なります。

日本では生殖補助医療の基本的な診療が保険適用となり、胚移植には女性の治療開始時年齢と回数の要件があります。治療開始時に43歳未満で、40歳未満は1子につき通算6回、40歳以上43歳未満は通算3回が原則です。制度と医学的な治療適応は別であり、最新の条件や費用は専門施設で確認してください。[4]

当院では体外受精・顕微授精を行っていません。

原因に応じた治療

  • 子宮内膜ポリープ・粘膜下筋腫:位置や大きさ、症状により手術を検討
  • 子宮内膜症:年齢、疼痛、卵巣予備能、妊娠希望時期を踏まえて手術または生殖医療を検討
  • 甲状腺・高プロラクチン血症:原因疾患の治療
  • 男性不妊:泌尿器科で原因評価、薬物治療・手術・生殖補助医療などを検討
  • 性交障害:原因に応じた相談・治療、人工授精などを検討

治療可能な原因を整えることと、妊娠までの時間を失わないことの両方が重要です。

専門施設へ紹介する目安

  • タイミング法を続けても妊娠に至らない
  • 35歳以上で妊娠を希望している
  • 40歳以上で妊娠を希望している
  • 卵管通過性検査や精液検査が必要
  • 月経不順・無排卵があり、排卵誘発が必要
  • 子宮内膜症、卵巣手術歴、卵巣予備能低下が疑われる
  • 人工授精・体外受精を希望している

紹介の時期に一律の正解はありません。年齢や病歴によっては、タイミング法を何回も行う前に専門施設で検査・治療を始める方が合理的です。

不妊症の治療についてよくある質問

Q. タイミング法は必ず6回行うのですか?

必ずではありません。年齢、不妊期間、卵管・精液所見、卵巣予備能などにより、より早く専門治療へ進むことがあります。

Q. 排卵誘発剤を使えば妊娠率は上がりますか?

無排卵など適応がある場合に有効ですが、排卵している方へ一律に使えばよいわけではありません。多胎妊娠などのリスクもあり、原因に応じて選びます。

Q. 当院で人工授精・体外受精は受けられますか?

受けられません。当院は不妊治療認定施設ではなく、対応はタイミング法までです。必要な場合は専門施設へご紹介します。

横浜駅近くでタイミング法をご相談になりたい方へ

横浜駅から徒歩6分、女性医師が月経周期、婦人科疾患、これまでの妊活状況を確認し、タイミング法についてご説明します。

当院で対応できる不妊治療はタイミング法までです。排卵誘発、人工授精、体外受精・顕微授精が必要な場合は専門施設へご紹介します。
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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月12日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の治療方針に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ319・CQ320.
  2. World Health Organization. Guideline for the prevention, diagnosis and treatment of infertility. 2025.
  3. American Society for Reproductive Medicine. Optimizing natural fertility: a committee opinion. 2022.
  4. 厚生労働省.不妊治療が保険適用されます.