卵巣がん検診は必要?超音波・CA125で早期発見できる?

 

現在、症状のない平均的なリスクの女性を対象に、卵巣がんによる死亡を減らすことが証明された「卵巣がん検診」はありません。経腟超音波検査や腫瘍マーカーCA125を定期的に受けても、卵巣がん死亡を減らす効果は確認されておらず、偽陽性による不要な精密検査や手術につながる可能性があります。[1][2]

 

ただし、超音波検査やCA125に意味がないわけではありません。腹部膨満、下腹部痛、食欲低下などの症状がある方や、卵巣腫瘍を指摘されている方に行う検査は、無症状の人を対象にした「検診」ではなく、病気を調べるための診療です。

 

なぜ有効な卵巣がん検診がないのですか?

がん検診の目的は、症状のない人から早期がんを見つけ、治療によってそのがんによる死亡を減らすことです。単に早く見つかる例があるだけではなく、集団全体の死亡を減らし、検査による不利益が利益を上回らないことが必要です。

卵巣・卵管・腹膜がんでは、CA125と経腟超音波を用いた大規模研究でも、平均的なリスクの女性の死亡率低下は確認されませんでした。日本でも、国が指針として定める卵巣がん検診はありません。[1][3]

卵巣がんには複数の組織型があり、一部は小さい病変の段階から腹腔内へ広がることがあります。そのため、卵巣を定期的に画像で見るだけでは、すべてを早期に見つけられません。

超音波検査で卵巣がんは分かりますか?

経腟超音波検査では、卵巣の大きさ、嚢胞の有無、内部が液体か充実性か、壁の不整、血流などを確認できます。卵巣のう腫や卵巣腫瘍を見つけ、その性質を推測するために重要な検査です。

一方、超音波だけで良性・境界悪性・悪性を完全に区別することはできません。検査時に異常がなくても、その後の卵巣がん発症を保証するものではありません。

超音波検査は、症状のある方や卵巣腫瘍の経過観察には有用ですが、無症状の平均リスク女性に対する卵巣がん検診として死亡を減らす効果は証明されていません。

CA125を測れば卵巣がんは分かりますか?

CA125は、卵巣がんの診断補助、治療効果の判定、治療後の経過観察などに使われる腫瘍マーカーです。しかし、CA125だけで卵巣がんの有無を診断することはできません。[4]

  • 早期の卵巣がんでもCA125が上がらないことがある
  • 子宮内膜症、月経、妊娠、子宮筋腫、炎症など、がん以外でも上がることがある
  • 卵巣がんの組織型によってはCA125が上がりにくい

したがって、健康診断でCA125だけを測って「正常だから卵巣がんはない」と判断したり、高値だけで「卵巣がん」と判断したりすることはできません。

検診による不利益とは

超音波やCA125で異常が見つかっても、その多くが良性の場合があります。卵巣は体外から簡単に組織を採取できないため、良性か悪性かを確定する目的で手術が必要になることもあります。

検診には、偽陽性による不安、追加検査、手術や合併症の可能性があります。検査を多く受けるほど安全になるとは限らず、利益と不利益のバランスを考える必要があります。[2]

子宮頸がん検診で卵巣も調べられますか?

子宮頸部細胞診やHPV検査では、卵巣がんの有無は分かりません。子宮頸がん検診の際に内診や超音波を追加し、偶然卵巣の腫れが見つかることはありますが、子宮頸がん検診を受けていれば卵巣がんも否定できる、ということではありません。

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんは、発生する場所も検査方法も異なります。

「検診」ではなく受診が必要な症状

  • 腹部の張り・膨満感が続く
  • 下腹部痛、骨盤内の痛みが続く
  • 少量で満腹になる、食欲が低下した
  • ウエストが急にきつくなった、腹囲が増えた
  • 頻尿、便秘などが新たに続く
  • 下腹部のしこりを感じる
  • 突然の強い下腹部痛、吐き気・嘔吐がある

これらは卵巣がんだけに特有の症状ではありませんが、繰り返す・悪化する・数週間続く場合は婦人科を受診してください。突然の激痛や嘔吐は、卵巣腫瘍茎捻転や破裂の可能性があるため、早急な受診が必要です。

家族歴や遺伝的リスクが高い場合

BRCA1・BRCA2遺伝子の病的バリアントを持つ遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)では、卵巣がん・卵管がんのリスクが高くなります。近親者に卵巣がんがいる、乳がんの家族歴が多い、若年で乳がんを発症した家族がいる場合などは、遺伝カウンセリングを検討します。

高リスクの方でも、超音波とCA125による経過観察で死亡を減らす効果は明らかではありません。遺伝カウンセリングの上で、妊娠・出産希望や年齢に応じて、リスク低減卵管卵巣摘出術などを専門施設で検討します。[3][5]

卵巣がん検診についてよくある質問

Q. 毎年超音波を受ければ卵巣がんを早期発見できますか?

すべての卵巣がんを早期発見できるわけではなく、平均リスクの無症状女性で死亡を減らす効果も証明されていません。ただし、症状や卵巣腫瘍がある場合の診断・経過観察には有用です。

Q. CA125が正常なら卵巣がんではありませんか?

正常でも卵巣がんを否定できません。反対に高値でも良性疾患の場合があります。画像検査などと合わせて判断します。

Q. 婦人科検診で「卵巣も見てください」とお願いしてよいですか?

症状や家族歴があればお伝えください。超音波で卵巣を確認することはできますが、卵巣がん検診として早期発見を保証する検査ではないことをご理解ください。

横浜駅近くで卵巣の検査をご希望の方へ

横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~で女性医師が、症状や家族歴を伺い、必要に応じて婦人科診察・経腟超音波検査を行います。

卵巣腫瘍についてMRI・CT、手術、婦人科腫瘍専門医による診療が必要と判断した場合は、適切な専門医療機関へご紹介します。
WEB予約・診療時間はこちら

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月17日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断に代わるものではありません。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス.卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 予防・検診.
  2. National Cancer Institute. Ovarian, Fallopian Tube, and Primary Peritoneal Cancers Screening.
  3. 日本婦人科腫瘍学会.その他の婦人科がん検診について.
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス.卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 検査.
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス.遺伝性腫瘍.