生理痛にはピルとミレーナ、どちらがよい?違いを比較

 

生理痛にはピルもミレーナも有効な選択肢ですが、向いている症状と負担が異なります。出血日を調整したい、排卵を抑えたい、PMSなどの周期症状も相談したい方にはピルが合うことがあります。毎日の服薬を避けたい、過多月経を長期間治療したい、エストロゲンを含む薬が適さない方にはミレーナが合うことがあります。

「どちらが強いか」ではなく、治療したい症状、血栓症リスク、挿入処置への希望、妊娠希望の時期、飲み忘れの可能性で選びます。[1][2]

 

先に結論:ピル向き・ミレーナ向きの目安

ピルが向くことが多い方

  • 生理痛を軽くし、出血日や周期も調整したい
  • 連続・延長投与で出血回数を減らしたい
  • 排卵前後や休薬期の症状、ニキビなども含めて相談したい
  • 子宮内への挿入処置を希望しない
  • 毎日の服用を続けられる

ミレーナが向くことが多い方

  • 生理痛に加えて過多月経が強い
  • 毎日の服薬や飲み忘れを避けたい
  • 最長5年間の長期治療を希望する
  • エストロゲンを含む配合ピルが適さない、または希望しない
  • 避妊も同時に希望する

ピルとミレーナの違いを比較

比較項目 ピル(主にOC・LEP) ミレーナ(LNG-IUS)
使い方 毎日1錠服用 子宮内に装着
使用期間 服用を続けている間 最長5年間
生理痛 軽減が期待できる 軽減が期待できる
過多月経 月経量を減らす 月経量を大きく減らすことが期待できる
出血日の調整 しやすい。連続投与で回数を減らす方法もある 狙った日に出血させる方法ではない。初期は不規則
排卵 配合ピルでは通常抑える 排卵が続く方が多い
PMS・周期症状 製剤・症状により改善することがある 排卵変動が残るため、主目的には向かないことがある
主な負担 毎日の服薬、飲み忘れ 挿入・除去の処置
よくある困りごと 不正出血、吐き気、頭痛、乳房の張り 初期の不正出血、挿入時痛、下腹部痛
重要なリスク エストロゲン含有製剤では血栓症 位置ずれ・脱出、感染、まれな穿孔
妊娠希望時 服用を中止 除去する
費用・保険 治療用LEPは保険適用となる場合。毎月・数か月ごとに処方 月経困難症・過多月経なら保険適用となる場合。初回処置の負担

※日本では、避妊目的のOCと、月経困難症などの治療目的で使うLEPは承認上の位置づけが異なります。保険診療のLEPを「避妊薬」として一括説明せず、治療目的・製剤を確認します。

生理痛と過多月経にはどちらがよい?

ピルは機能性月経困難症の痛みを軽減する効果が確認されています。[3]ミレーナも日本で月経困難症と過多月経に適応があり、子宮内膜を薄くすることで症状を軽くします。[2]

痛みが中心で、出血日を調整したい方はピルが使いやすいことがあります。過多月経が強く、長期に月経量を減らしたい方はミレーナが合うことがあります。子宮内腔を変形させる筋腫などがある場合、ミレーナが適さない・脱出しやすいことがあるため、超音波で確認します。

PMS・精神的不調・ニキビも治したい場合

配合ピルは排卵を抑えてホルモン変動を小さくするため、製剤と症状によってはPMS・PMDD、休薬期の頭痛、ニキビなどが改善することがあります。ただし、すべての症状に同じ効果があるわけではなく、前兆のある片頭痛では配合ピルが使えません。[4]

ミレーナは排卵が続く方が多く、PMS・PMDDや排卵関連症状を確実に抑える治療ではありません。生理痛と過多月経が軽くなることで気分の負担が間接的に減る方はいますが、気分変化を副作用として感じる可能性もあります。

全身副作用・血栓症で比べる

エストロゲンを含む配合ピルでは、まれですが血栓症が重要な副作用です。血栓症の既往、前兆のある片頭痛、年齢と喫煙状況、高血圧などで適否を判断します。[4]

ミレーナはエストロゲンを含まず、配合ピルと同じ血栓症リスク評価を必要としません。ただし「全身作用がない」わけではなく、レボノルゲストレルの血中移行は限られるもののゼロではありません。また、挿入に伴う位置ずれ・脱出、感染、まれな穿孔など、ピルにはないリスクがあります。

出産経験がなくてもミレーナを選べますか?

未経産でもミレーナは選択肢になります。CDCのガイダンスでも、IUDは若年者・未経産者を含め使用できる方法とされています。[5]

ただし、出産経験がない方では挿入時の痛みが強い、子宮の入口が通りにくいことがあります。「ほとんど痛くない」「必ず無麻酔で入る」とは言えません。子宮の形、出血・感染の有無、処置への希望を確認して相談します。

将来の妊娠への影響

ピルもミレーナも可逆的な方法です。ピルは中止後、ミレーナは除去後に妊娠を目指せます。避妊法中止後の妊娠をまとめた研究では、経口避妊薬や子宮内避妊法の使用が妊孕性の長期低下につながるという明らかな証拠はありませんでした。[6]

一方、生理痛の原因である子宮内膜症や年齢などが妊孕性に影響することがあります。妊娠希望の時期が近い場合は、薬・器具だけでなく背景疾患の評価も行います。

迷った時の選び方

  1. 最も改善したい症状を決める:痛み、出血量、PMS、周期調整
  2. 安全性を確認する:片頭痛、血栓症、喫煙、血圧、感染・出血、子宮形態
  3. 生活上の負担を比べる:毎日の服薬か、挿入処置か
  4. 妊娠希望の時期と治療期間を確認する
  5. 初期の不正出血や副作用を許容できるか考える

どちらかを一度選んだら変更できないわけではありません。副作用、治療効果、希望の変化に応じて、ピルからミレーナへ、またはミレーナから別の治療へ変更できます。

ピルとミレーナについてよくある質問

Q. 40代なら必ずミレーナの方がよいですか?

年齢だけでは決まりません。喫煙、片頭痛、血圧、血栓症リスク、過多月経、子宮の状態、妊娠希望を確認して選びます。

Q. ミレーナならホルモン副作用はゼロですか?

ゼロではありません。主な作用は子宮内で血中移行量は限られますが、頭痛、気分変化、乳房症状、皮膚症状などが起こる可能性があります。

Q. ピルとミレーナを同時に使うことはありますか?

通常の月経困難症治療で常に併用するわけではありません。特定の症状や出血への対応で一時的に別のホルモン薬を使うことはありますが、医師が目的と安全性を確認します。

横浜駅近くでピル・ミレーナをご相談になりたい方へ

治療したい症状と生活上の希望を伺い、両方のメリット・デメリットをご説明します。横浜駅から徒歩6分、女性医師が診察します。

ピル・月経困難症の相談はWEB予約をご利用いただけます。ミレーナの挿入予約はお電話(045-440-5577)でご相談ください。

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年8月28日。

本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・処方・処置に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2026.CQ305・CQ403.刊行物案内.
  2. PMDA.ミレーナ52mg 医療用医薬品情報・電子添文.2026年8月改訂.
  3. Schroll JB, et al. Combined oral contraceptive pill for primary dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2023;7:CD002120. PubMed.
  4. CDC. U.S. Medical Eligibility Criteria for Combined Hormonal Contraceptives. 2024.
  5. CDC. Intrauterine Contraception: U.S. Selected Practice Recommendations. 2024.
  6. Girum T, Wasie A. Return of fertility after discontinuation of contraception: a systematic review and meta-analysis. Contracept Reprod Med. 2018;3:9. PubMed.