女性アスリートのサポートは10代こそ重要なワケ

 女性アスリートをサポートする時に気を付けなければいけない点、つまり女性アスリートに起きやすい医学的トラブルは次の3つだと指摘されています。
  *低栄養(低体重)
  *骨密度低下(とそれに伴う骨折)
  *無月経
 
 これらを女性アスリートの3主徴と言いますが、一つ一つが独立した問題ではなく、低栄養だから骨密度が下がり、体重が減りすぎて無月経にもなり、無月経のせいでホルモン不足になって骨密度が下がりやすくなり・・・と、3つの状態がループを描くようにお互い関連し合っているのです。
 特に「骨」の問題は、医学的介入するタイミングを逃すと、十分な回復の機会を失ってしまうことになりかねないので、早期にその兆候に気付いて適切な治療や改善を行っていくことが重要です。無月経にともなう女性ホルモン不足は、骨密度の低下を引き起こしますが、それに対して10代のうちにホルモンを補えば骨密度はある程度回復しますが、20代になってからホルモンを補っても骨密度があまり変わらないというデータがあります。また、アスリートに限らず、何らかの影響で無月経になってしまった場合の骨密度の下がり具合は、10代のまだ骨量がピークを迎える前に無月経になった場合は明らかに骨密度に影響が出ますが、20歳以降に無月経になった場合は骨密度はあまり下がらないというデータもあります。
 つまり、骨密度がピークを迎える18歳くらいまでの間に女性ホルモン不足の状態が続くと骨密度に影響が出やすいから、10代の無月経や骨密度低下には早めにホルモン補充などの治療的介入が必要ですよ、ということです。

 個人的には、10代のうちは月経不順になる方も多く、また自分の体との付き合い方も十分に把握できておらず、コーチに言われるがままにハードなトレーニングや減量を行ってしまうリスクも高いのではないかと感じています。また、コーチの性別にもよりますが、月経不順や無月経になってもコーチに言わずにいる(言い出せない)というアスリートも多いというデータがありますから、いかに指導する側が正しい知識を持ってアスリートのヘルスケアを行うかということが重要になります。
 私は、自分の経歴的にダンサーの方を拝見することも多々ありますが、特にバレエダンサーに「医学的適正体重」を示すだけではサポートにはなりません。医学的許容範囲と、本人が美容的に、そしてトーで立った時の足首の負荷的に許容できる範囲を探って適切な栄養指導を行っていくことが重要なのだと感じています。

 低用量ピルや超低用量ピルは、ホルモン補充の目的でも月経日のコントロールの目的でも活用できて、しかもドーピングには引っかからない薬剤になっていますから、本来はもっと女性アスリートの方に活用していただきたいものなのですが、まだまだ日本人のアスリートにピルの活用は浸透していないようです。
 若年者のアスリートやダンサーの指導に当たる方へのアドバイスも行っております。ご希望の方は、クリニックにお問い合わせくださいませ。
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