授乳中の卵は控えた方がよい?

 先日参加した『統合医療展』で、遅延型フードアレルギー検査について興味深いお話を聞いてきました。
 新生児にも重傷なアレルギーが増えているというお話しもあり、授乳中の身としては色々気になって講師の先生に直接伺ってきました。

 昔は、授乳中の母親が卵や牛乳を食べすぎると子どもにアレルギーが起きやすいといったことが言われていた時期もあり、授乳中にこれらの食品を食べ過ぎないように指導されることもありました。最近は、母親が特定の食品を食べたから子どもにアレルギーが起きるわけではないということで、特に授乳中に食事制限はしなくていいという流れになっているようなのですが、実際のところ医学的にどうなのか気になっていたんですよね。
 私自身がアレルギー体質なこともあり、また、遅延型フードアレルギー検査で強陽性反応が出ている食品があるため、もし自分が食べた食品が原因で子どもにアレルギーを引き起こしてしまったら・・・と不安に思うところがありました。

 結論から言いますと、母親が遅延型フードアレルギー検査で何らかの食品に強い反応を起こしている場合は、授乳中にその食品を食べるのは避けた方がよいということになります。
 遅延型アレルギーの原因はIgG抗体やIgA抗体なのですが、これらの抗体は母乳から出ます。つまり、遅延型アレルギー反応が起きて母親の体に作られた抗体が、母乳を介して赤ちゃんに移行するということです。だから、母乳しか飲んだことがないはずなのに卵アレルギーや小麦アレルギーになってしまうことがありうるわけです。

 一度作られた抗体は、脾臓で6か月間かけて分解されます。なので、6か月間アレルギー反応が起きなければ、体から抗体はなくなり悪さはしなくなるわけです。遅延型フードアレルギー検査で強い反応が出た場合に、6か月間の除去食を勧められるのはこのためです。
 除去後に再検査をして反応が出なくなっていれば、その食品は少量ずつから摂取を再開することができます。なので、遅延型の場合は、アレルギー反応が一度起きたからと言って、一生その食品が食べられなくなるわけではありません。

 子どもをアレルギーから守るという観点から考えると、授乳を開始する6か月以上前にアレルギー検査を受けて、強い反応が起きる食品があれば6か月間しっかり除去をして授乳開始までに抗体がなくなっているようにするとよいということになります。
 もし、自分に遅延型アレルギーがあるかもしれないと不安に思ったら、妊娠前や分娩前に検査を受けておくといいでしょう。もちろん、妊娠空や授乳中にバランスよく栄養を取ることも大切ですので、強い反応が出る食品が多い場合は、優先順位が高い食品のみを除去していきます。クリニックでは、どの食品をどの程度除去したらいいのか、どうやって食品を選んだらいいのかも、フォローアップ外来でアドバイスさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。