妊娠初期のトラブル~流産~

 妊娠21週6日までの間に何らかの理由で妊娠の継続ができなくなった状態を「流産」と言います。
 完全に赤ちゃんの成長が止まってしまったり子宮の外に妊娠の組織が出てきてしまった場合が狭い意味の「流産」で、出血やお腹の痛みなどが出現して「流産しかかっている状態」が「切迫流産」です。
 切迫流産の主な症状は出血と下腹部痛です。妊娠のごく初期の切迫流産は薬による治療もできないので、基本的に安静にする事が一番の治療という事になります。
 週数や状態によっては、止血剤や子宮の収縮を抑える薬を使ったり、入院してしっかり安静が保てるようにする事もあります。
 流産の中でも、さらに細かく分類された言い方があります。
  初期流産=流産の中でも妊娠初期(12週まで)の流産
  完全流産=自然に妊娠組織が全て子宮外に出た場合
  進行流産=自然に妊娠組織が出かかって出血が続いている場合
  稽留流産=胎児心拍は止まっているが妊娠組織が子宮内にとどまっている場合
 最も多くみられるのは、初期の稽留流産です。少量の出血や腹痛が出ることもありますが、自覚症状が全くなく受診してみたら胎児心拍が見えないと言われるケースも珍しくありません。
 初期の流産は、約7分の1の確率で起きるので、一般の方が想像するより多いものなのです。原因のほとんどは偶発的におきる染色体の異常で、予防できるものではありません。
 流産はご本人にとっては非常にショックが大きいことが多く、何がいけなかったのかと自分を責めがちですが、食べ物や生活習慣のせいではなく受精卵の染色体異常によるものですから、心配する必要はありません。
 流産を3回以上繰り返す場合は「習慣流産」といって、免疫機能やホルモンに原因となる異常がないか検査をしたり、流産予防の治療をする対象となります。