おりもの・かゆみ・性感染症の治療|原因別の薬と治るまで

おりものやかゆみの治療は、原因によって使う薬も、パートナーの対応も異なります。カンジダには抗真菌薬、細菌性腟症や細菌性の性感染症には原因に合う抗菌薬、ヘルペスには抗ウイルス薬を使います。かぶれや外陰部の皮膚疾患では、感染症の薬ではなく刺激を避けることや適切な外用薬が必要です。[1]

症状だけでは原因を区別できないことがあるため、自己判断で余った薬や市販薬を繰り返さず、必要な検査を受けてください。複数の感染や皮膚疾患が重なることもあります。

 

原因別の主な治療

病気・状態 主な治療 治療上のポイント
腟カンジダ 腟錠・クリームなどの抗真菌薬。状態により内服薬 妊娠中、再発例、治りにくい例では薬の選び方や治療期間が異なる
細菌性腟症 メトロニダゾール、クリンダマイシンなど 再発することがある。腟内洗浄を習慣にしない
トリコモナス ニトロイミダゾール系薬の内服など 現在のパートナーも評価・治療し、治療完了まで性行為を控える
クラミジア 適切な抗菌薬 パートナー対応と再感染予防が重要。治療後の再検査を検討
淋菌 セフトリアキソンなどの注射薬 耐性菌を考慮し、治療失敗時は培養・薬剤感受性検査を検討
Mycoplasma genitalium 耐性を考慮した段階的な抗菌薬治療 一律の抗菌薬治療ではなく、専門的な判断が必要
性器ヘルペス 抗ウイルス薬の内服。再発頻度により抑制療法 体内のウイルスを完全に除く薬ではないが、症状と再発を抑えられる
かぶれ・皮膚疾患 刺激物の中止、保湿、診断に合った外用薬 湿疹、硬化性苔癬などではステロイド外用薬が適切なことがある
更年期以降の乾燥 保湿剤・潤滑剤、必要に応じて腟内の局所ホルモン治療 出血がある場合は、治療前に別の病気がないか確認する

薬の種類・投与期間は、妊娠の有無、アレルギー、感染部位、重症度、薬剤耐性、国内の承認内容によって変わります。具体的な処方は診察後に決定します。

検査結果が出るまで治療を待ちますか?

症状が軽く全身状態がよい場合は、原因を確認してから治療することがあります。一方、骨盤内炎症性疾患が疑われる、妊娠中で感染の影響が心配、症状が強い、パートナーが感染症と診断されている場合などは、検体を採取したうえで結果を待たずに治療を始めることがあります。

すでに抗菌薬や腟剤を使っていると、検査結果に影響する場合があります。受診時に薬名と使用時期をお伝えください。

パートナーの検査・治療が必要な病気

クラミジア、淋菌、トリコモナスなどでは、現在または一定期間内のパートナーにも検査・治療が必要です。自分だけが治療すると、再感染する可能性があります。治療が完了し、医師から案内された期間が過ぎるまでは性行為を控えてください。[2][3]

一方、腟カンジダは通常、性感染症として扱わず、症状のないパートナーを一律に治療することは勧められていません。細菌性腟症についても、パートナー対応はカンジダや典型的な性感染症と同じではありません。病名ごとに確認してください。

治療後の再検査・治癒確認

  • クラミジア・淋菌:再感染が多いため、治療後およそ3か月で再検査を勧めることがある
  • 淋菌の咽頭感染:治癒確認が必要になることがある
  • トリコモナス:再感染を確認するため再検査を勧めることがある
  • カンジダ・細菌性腟症:症状が改善すれば一律の再検査を行わないこともあるが、持続・再発時は再評価
  • ヘルペス:症状の経過と再発頻度をみて、再発時治療または抑制療法を相談

「薬を飲み終えたこと」と「再感染していないこと」は別です。再検査の時期は病名と治療内容によって異なるため、受診時に確認してください。[4]

薬を使っても治らない・再発する時

症状が残る場合は、診断が違う、複数の原因がある、薬が十分に効いていない、薬剤耐性がある、再感染した、皮膚疾患があるなどの可能性があります。同じ薬を繰り返す前に再診してください。

  • カンジダを短期間に何度も繰り返す
  • 治療後も悪臭、黄緑色のおりもの、痛みが続く
  • 外陰部の皮膚が白くなる、厚くなる、切れやすい
  • 発熱、下腹部痛、不正出血が出てきた
  • パートナーが未治療、または治療後に再び性行為があった

反復するカンジダでは、培養による菌種確認、糖尿病や免疫状態など背景因子の確認、長めの治療が必要になることがあります。[5]

妊娠中・妊娠の可能性がある場合

妊娠中は使用できる薬や投与方法が異なります。妊娠中の腟カンジダでは、一般に腟内へ使うアゾール系抗真菌薬を一定期間使用し、経口フルコナゾールは自己判断で使いません。[5]

妊娠中のおりもの、かゆみ、出血、下腹部痛は、妊娠経過に関係する病気との区別も必要です。市販薬を使う前に産婦人科へご相談ください。

治療中に避けたいこと

  • 腟の中を石けんや洗浄剤で洗う
  • 処方された薬を自己判断で中断・分け与える
  • 余った抗菌薬を別の症状に使う
  • 治療が必要な性感染症で、パートナーが未治療のまま性行為を再開する
  • 痛みや発熱が悪化しているのに様子をみる

腟剤の使用中は薬の成分や基剤が白いカスのように出ることがあります。詳しくは腟カンジダの薬を入れた後のおりものをご覧ください。

治療についてよくある質問

Q. おりものが多い時は抗菌薬を飲めば治りますか?

原因によります。カンジダに抗菌薬は効かず、かえって発症のきっかけになることがあります。まず原因に合う検査・診断が必要です。

Q. 症状がなくなれば薬を途中でやめてもよいですか?

自己判断で中止せず、処方された方法を守ってください。中断により治療が不十分になったり、再発・耐性化につながったりする場合があります。

Q. パートナーと同じ薬を使えばよいですか?

病名、感染部位、妊娠、アレルギーなどで処方が異なります。薬を分けず、それぞれが医療機関で相談してください。

Q. 治療後、いつから性行為を再開できますか?

病気と薬によって異なります。性感染症では、自分とパートナーの治療が完了し、指示された期間が過ぎ、症状が改善してから再開します。

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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年9月5日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・処方に代わるものではありません。

 

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