生理痛の治療|痛み止め・ピル・黄体ホルモン・ミレーナ

 

生理痛の治療は、鎮痛薬だけではありません。NSAIDs、低用量・超低用量ピル(LEP)、黄体ホルモン製剤、ミレーナなどから、痛み・出血量・背景疾患・妊娠希望・安全性・生活に合う方法を選びます。子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などがあれば、その病気に応じた治療も検討します。[1]

「痛み止めは根本治療にならないから我慢する」「ピルは怖いから使えない」と一律に考える必要はありません。それぞれのメリットと注意点を理解し、治療目標に合う方法を選ぶことが大切です。

 

生理痛の主な治療法を比較

治療 期待する効果 主な注意点 向いていることが多い方
NSAIDs 痛みの原因となるプロスタグランジン産生を抑える 胃腸・腎臓・喘息・アレルギー、併用薬 月経時の数日だけ治療したい方
アセトアミノフェン 痛みを軽くする 過量、肝機能、配合薬との重複 NSAIDsが使いにくい方など
低用量・超低用量ピル(LEP) 子宮内膜を薄くし、痛み・出血を軽減。周期・出血日も管理 毎日服用、血栓症、頭痛・吐き気・不正出血など 周期管理、PMS・ニキビなども相談したい方
黄体ホルモン製剤 子宮内膜症に伴う痛みなどを軽減 不正出血、製剤ごとの副作用 エストロゲンを含む薬が適さない方など
ミレーナ(LNG-IUS) 最長5年間、月経量と生理痛を軽減 挿入処置、初期の不正出血、位置ずれ・脱出など 過多月経、飲み忘れを避けたい方、長期治療を希望する方
手術・専門治療 筋腫、嚢胞、深部病変などの原因を治療 侵襲、再発、妊娠への影響を個別評価 薬で不十分、病変が大きい、緊急性がある方など

優劣は一つではありません。まず鎮痛薬で十分な方もいれば、痛みが毎月の生活を妨げるためホルモン治療が合う方、過多月経を伴うためミレーナが合う方もいます。

痛み止め(NSAIDs)の使い方

イブプロフェン、ロキソプロフェンなどのNSAIDsは、月経困難症の痛みに有効な標準治療です。Cochraneレビューでは、プラセボより痛みを軽減しましたが、胃腸症状などの有害事象も増えました。どのNSAIDsが常に最も優れるかは明確ではありません。[2]

鎮痛薬は痛みが最高潮になってからより、月経開始または痛みが始まる時点で使う方が効果を得やすいことがあります。月経日が予測できる方は医師の指示のもと、痛みが強くなる前から使用することもあります。

  • 商品名ではなく有効成分を確認し、重複服用を避ける
  • 用法・用量を守り、自己判断で増量しない
  • 胃潰瘍、腎疾患、喘息、アレルギー、妊娠の可能性、抗凝固薬などがある方は事前に相談する
  • 毎月効かない場合は、我慢や増量ではなく診断と治療を見直す

低用量・超低用量ピル(LEP)

ピルは排卵を抑え、子宮内膜を薄く保つことで、月経時に作られるプロスタグランジンや出血量を減らし、生理痛を軽くします。Cochraneレビューでは、低用量ピルは機能性月経困難症に有効でした。[3]

毎月の消退出血を起こす周期投与と、実薬を長く続けて出血回数を減らす連続・延長投与があります。連続投与は、出血や痛みが起きる日数を減らす点で有利な可能性がありますが、不正出血が起こることがあります。[3][4]

エストロゲンを含むピルは、血栓症の既往、前兆のある片頭痛、年齢と喫煙状況などによって適さない場合があります。処方前に血圧、既往歴、家族歴、喫煙、頭痛を確認します。[5]

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黄体ホルモン製剤

ジエノゲストなどの黄体ホルモン製剤は、子宮内膜症に伴う痛みの治療などに用います。エストロゲンを含まないため、エストロゲン配合薬が適さない方にも選択肢となります。

一方、不正出血が続くことがあります。製剤により適応、用量、費用、副作用が異なるため、病気の有無と治療目的に合わせて選びます。子宮内膜症のホルモン治療は痛みを軽減し、治療終了後の将来の妊孕性へ永続的な悪影響を与えるものではないと説明されています。[6]

ミレーナ(LNG-IUS)

ミレーナは子宮内に装着し、レボノルゲストレルを放出する子宮内システムです。日本では避妊だけでなく、過多月経と月経困難症に適応があり、最長5年間使用します。子宮内膜を薄くすることで月経量と生理痛を軽くします。[7]

主な作用は子宮内ですが、ホルモンの血中移行はゼロではありません。「全身副作用が絶対にない」とは言えません。また、挿入時の痛み、数か月続くことがある不正出血、位置ずれ・脱出、感染、まれな穿孔などを事前に説明します。

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温める・運動・生活上の工夫

腹部を温める、無理のない運動、睡眠を整えることが補助になる方もいます。運動は生理痛を軽くする可能性が報告されていますが、研究の質には限界があります。[8]

生活改善だけで強い生理痛を我慢する必要はありません。また、「冷えを治せば根本治療になる」と一般化することもできません。生活上の工夫と、効果が確認された薬物治療を必要に応じて組み合わせます。

治療を選ぶ時に確認すること

  • 痛みだけか、過多月経、PMS、ニキビなども治療したいか
  • 毎日薬を飲めるか、長期に手間の少ない方法を希望するか
  • 出血日を調整したいか、出血回数を減らしたいか
  • 近い将来の妊娠希望があるか
  • 前兆のある片頭痛、血栓症、喫煙、高血圧、肝疾患などがないか
  • 子宮内への挿入処置を希望できるか

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生理痛の治療についてよくある質問

Q. 痛み止めは対症療法だから飲まない方がよいですか?

いいえ。NSAIDsは痛みの原因に関わるプロスタグランジン産生を抑える標準治療です。効きにくい場合は我慢せず、服用時期や別の治療を見直します。

Q. ピルは何か月で効きますか?

最初の周期から軽くなる方もいますが、数周期かけて痛みや出血が変化することがあります。3〜6か月適切に使用しても改善しない場合は、薬の種類や背景疾患を再評価します。

Q. 生理痛の治療で保険は使えますか?

月経困難症の診断で処方するLEPや、過多月経・月経困難症に対するミレーナなど、保険適用となる治療があります。症状、診断、薬剤により異なるため診察時にご確認ください。

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痛みの強さだけでなく、月経量、PMS、妊娠希望、既往歴、生活上の希望を伺って治療を選びます。横浜駅から徒歩6分、女性医師が診察します。

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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日:2026年8月29日

最終医学確認:2026年8月29日。

本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・処方に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2026.CQ305.刊行物案内
  2. Marjoribanks J, et al. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(7):CD001751. Cochrane
  3. Schroll JB, et al. Combined oral contraceptive pill for primary dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2023;7:CD002120. PubMed
  4. Damm T, et al. Continuous vs. cyclic combined hormonal contraceptives for treatment of dysmenorrhea: a systematic review. Contracept X. 2019;1:100002. PubMed
  5. CDC. U.S. Medical Eligibility Criteria for Combined Hormonal Contraceptives. 2024.
  6. National Institute for Health and Care Excellence. Endometriosis: diagnosis and management (NG73). Updated 2024.
  7. PMDA.ミレーナ52mg 医療用医薬品情報
  8. Armour M, et al. Exercise for dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2019;9:CD004142. Cochrane