更年期障害

 

更年期のその他の治療

 更年期障害の症状を速やかに改善するにはホルモン補充療法が最も有効ですが、ホルモン補充療法の補助的役割やホルモン剤を使うほどではない場合に漢方薬サプリメントを使うこともあります。例えば、ホルモン補充療法でのぼせやほてりはなくなったけれどめまい感がなんとなくスッキリなくならないという場合、めまい対して漢方を追加で使ったりします。

 また、症状がそれほど強くはないけれど様々な不調がある場合や、ホルモン剤そのものに抵抗がある方の場合、症状と体質に応じた漢方薬を処方したり、サプリメントをお勧めしたりすることもあります。

 

 症状の中心が不眠や気分の落ち込みなどメンタル面の不調が中心の場合、睡眠導入剤や抗うつ剤・抗不安剤などの薬や、カウンセリングによる治療を併用していきます。

 更年期障害が出やすい方に共通しているのが、まじめで人に頼るのが苦手で頑張りすぎる傾向にあるというキャラクターです。カウンセリングによって「頑張らなくてもいいんだ」ということに気付き、自分を甘やかす事を許せるようになるだけでも症状が軽くなることがあります。

 

 日常生活で、更年期症状を予防したり改善するためにできることは、次のようなものがあります。

 

1)何事もほどほどに。「好い加減」な毎日を目指す
 更年期障害が強く出てしまう方の特徴として、真面目で人に頼るのが苦手な頑張り屋さんタイプが挙げられます。どんな辛い症状も気力で乗り切ってきたのに、今回ばかりはどうにもならないんです、と言って駆け込んでこられる方が結構多いんですね。頑張りすぎてはいけません。「ま、いっか」の精神で、ほどほどの「好い加減」な生活を心がけましょう。

2)サプリメントをうまく利用する
 植物性の女性ホルモン様物質として大豆イソフラボンがあります。継続的に摂取することによって、更年期症状を改善する事は、学会でも報告されているんですよ。他にも、更年期の方によくお勧めするサプリメントは、ピクノジェノール・チェストツリー・ブラックコッホッシュ・グルコサミンなどです。

3)体を冷やさない
 冷えは万病の元といいますが、冷えからくる血流の悪さが卵巣の機能をさらに衰えさせてしまいます。体を冷やす食べ物は避ける・極端な薄着をしない・朝晩15分以上は湯船につかる・適度なストレッチ&運動を継続的にする、など、冷え対策をしてみてくださいね。

4)タバコは厳禁
 タバコは百害あって一利無しです。タバコによって卵巣の寿命は10年近く短くなるといわれています。高いサプリメントやお化粧品でアンチエイジングを目指す前に、タバコはすっぱり止めましょう。


 

(おまけ)
5)恋をする
 相手は別に旦那さんでも、若いタレントでも映画俳優でもかまいません。日常の中でトキメキを持つことが大切なんじゃないかな、と思います。

 世界一長寿になった日本の女性は、閉経後に約30年以上の人生が待っています。20代や30代のうちから自分の体をきちんとメンテナンスして、ホルモン剤や漢方や代替医療をうまく利用しながら、素敵な更年期を迎えて欲しいなと思うんですよね。「あ~、もう更年期だわ」なんて凹んでないで、ステキに年を重ねていきましょう。

 更年期障害は、次のステージへ行く前に「ちょっと毎日の過ごし方や自分の体のメンテナンスについて考え直してみて!」という体からのサインなわけです。不調をきっかけに生活リズムを整えたり、食生活を見直したり、今まで後回しにしていた「自分のお世話」をしてみてはいかがでしょうか。

また、更年期という時期は心身の状態が変化しやすいだけでなく、夫の定年や子どもの受験や親の介護など、ライフイベントにおいても大きな変化が起きやすい時期です。ある意味「今は色々重なってるだけ」と割り切って、症状が落ち着くまで毎日の生活を少しペースダウンして自分のことにかまけてみて下さいね。

 

日付:2010年4月5日  カテゴリー:婦人科の病気,更年期障害

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更年期様症状

 のぼせ・ほてり・めまい・疲れやすい・不眠・イライラ・耳鳴り・立ちくらみ・関節痛・・・・など、様々な症状が出てくるのが更年期障害の特徴ですが、最近これらの症状を見て「私って更年期なんじゃないかしら」と不安に思う20代・30代の方が増えています。本当は、雑誌などでよく見かける「プチ更年期」とか「若年性更年期」なんてものは、医学的には存在しません。
 更年期というのは、閉経前後約10年間の「時期」を指します。日本の女性の閉経年齢の平均は49.5歳ですから、大体45歳~55歳のことを言うんですね。実際に更年期に差し掛かっているかどうかは、血液検査でホルモンのバランスを調べればすぐに分ります。

 この時期に出てくる色んな症状のことを「更年期症状」と言い、それらの症状が強すぎて日常生活に支障をきたす事を「更年期障害」というんです。だから、20代で更年期って言うのはありえないんですよ。
 ごく稀に「早発閉経」と言って、まだ閉経の年齢ではないのに卵巣が働かなくなるケースがあります。この場合、20代や30代でも自然な月経が止まってしまい更年期症状と同じような症状が出ることがありますが、いわゆる「プチ更年期」と呼んでいるちょっとした体調不良の重なりとはホルモンの状態が全く異なりますので、血液検査をすれば簡単に判別できます。

 では、更年期ではない年代に見られる更年期と似た症状は何かと言いますと、ストレスや疲労からくる「卵巣機能低下」「自律神経失調症」によるものがほとんどなんです。もちろん、動悸やめまいなどの症状が、心臓の病気や耳鼻科系の病気や甲状腺ホルモンの異常によって起きて来ることもありますので、この場合は内科か耳鼻科でまずそういった病気が無いかどうかチェックしてもらう必要があります。
 卵巣機能低下というのは、名前の通り卵巣の働きが弱ってしまって、女性ホルモンが充分出せなくなっている状態の事です。排卵がうまくいかなくなることもあるので、月経不順になったりもします。卵巣から出る女性ホルモンの値が下がると、更年期と同じような症状が出るのは当然なんですね。更年期症状のそもそもの原因は、女性ホルモンの急激な低下なわけですから。
 もう一つの自律神経失調症は、やはりストレスや不規則な生活などによって、体温や心拍数などを勝手に調節してくれている「自律神経」の働きが低下してしまった状態です。


 これらの症状に対してどのように治療していくのかというと、卵巣機能低下の場合はホルモンを補うか漢方薬を使って治療する事がほとんどです。また、自律神経失調症の場合も漢方薬がよく使われます。そのほか、自律神経調整薬や軽い精神安定剤などを併用することもあります。
 症状がひどくて日常生活に支障があったり、体調不良の期間が長いようなら、一度受診して相談してみる事をおすすめします。もちろん自分でできる日常生活の工夫も色々ありますから、まずは生活習慣を見直してみてくださいね。

日付:2010年4月5日  カテゴリー:婦人科の病気,更年期障害

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