ピル・ディナゲスト(ジエノゲスト)服用中の人が妊活する場合はいつやめる?服用中止前後にすること

当院でピルやディナゲストを処方させていただいてる患者様からも、「結婚したのでそろそろ妊娠を考えたいのですがいつやめたらいいですか?」といったご質問をよく頂きます。ネットで検索すると、時々「妊娠する3か月前から『ピル抜き』をしましょう」と書いてあることもあり、「早めに薬をやめなければいけないのでは?」と不安になってご相談なさるケールもあるようです。

ピルやディナゲスト(一般名:ジエノゲスト)は、妊活の何か月も前から中止して「薬を抜く」必要はありません。妊娠してもよい時期になったら、処方医と中止方法を確認して妊活を始めます。結婚式や新婚旅行で生理痛・出血を避けたい場合は、その予定が終わるまで治療を続ける方法もあります。

一方、妊娠前の準備は服用中から始められます。特に葉酸は、妊娠の可能性が生じる少なくとも1か月前からの摂取が推奨されています。風疹抗体の有無、性感染症、子宮頸がん検診、持病の状態や他の薬を継続してよいのかなども、中止前に確認しておくと妊活を効率よく始められます。[1][2]

 

先に結論:ピル・ディナゲストはいつやめる?

現在の希望・状況 中止時期の目安 先にすること
今すぐ妊娠を希望する 処方医と相談し、妊娠してもよい時点で中止 葉酸を開始し、風疹抗体・服薬・検診歴を確認
結婚式や新婚旅行までは出血・痛みを避けたい イベントに合わせて継続する期間を相談 服用中に妊娠前検査と葉酸摂取を進める
数か月後から妊活したい 妊活開始の何か月も前に中止する必要はない 中止予定の約1か月前から葉酸を開始
風疹ワクチンが必要 接種後の避妊期間を終えてから妊活 先に抗体検査・ワクチン接種を行う
子宮内膜症・子宮腺筋症がある 早く中止しすぎず、妊活開始時に合わせる 病変、年齢、卵巣手術歴を踏まえて妊活計画を立てる

ピル中止後の最初の排卵時期は多少個人差がありますが、多くの方はおよそ1か月以内に排卵します。服用歴が長いこと自体が、将来の妊娠しにくさにつながるという根拠はありません。[3]

※「ピル」には避妊目的のOCと、月経困難症などの治療に用いるLEPがあります。日本では承認上の目的が異なるため、処方された製剤と飲み方を確認してください。

中止前にしておきたい妊娠準備

妊娠前の確認をすべての方に同じ内容で行うわけではありません。年齢、既往歴、ワクチン歴、パートナーの状態、これまでの検査歴に応じて必要な項目を選びます。

  • 葉酸サプリメントを開始する
  • 風疹抗体価とワクチン歴を確認する
  • 性感染症検査が必要か相談する
  • 子宮頸がん検診の受診時期を確認する
  • 処方薬、市販薬、漢方、サプリメントを確認する
  • 高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、てんかん、精神疾患などの持病を妊娠前に調整する
  • 喫煙・飲酒、体重、食事、睡眠などを見直す
  • パートナーも感染症、喫煙、持病、服薬などを確認する

持病の薬は、妊娠を希望したからといって自己判断で中止しないでください。妊娠中も継続した方が安全な薬、妊娠前に変更した方がよい薬があります。

葉酸はいつから、どれくらい飲む?

妊活開始の少なくとも1か月前から、通常の食事に加えてサプリメントや葉酸強化食品から1日400μgの葉酸を摂取することが推奨されています。ピルやディナゲストの中止後は最初の月経より前に排卵することもあるため、具体的には服用中止予定日の約1か月前から始めるとよいでしょう。[1]

中止まで2週間しかない、すでに中止したという場合も、妊活を何か月も延期するという意味ではありません。気づいた時点から開始してください。妊娠3か月頃までは葉酸摂取の継続が推奨されています。

神経管閉鎖障害の既往、抗てんかん薬の使用、糖尿病などがある方では必要量が異なることがあります。高用量を自己判断で使用せず、医師にご相談ください。通常のサプリメントで接種する場合は、複数製品の重複による過剰摂取にも注意します。

妊活中の葉酸について詳しく読む

風疹抗体・性感染症は中止前に確認

風疹抗体とワクチン

風疹への免疫が不十分な状態で妊娠初期に感染すると、胎児の先天性風疹症候群の原因になることがあります。妊娠中は麻疹風疹混合(MR)ワクチンなどの生ワクチンを接種できないため、抗体価が不明な方は妊娠前に確認することが大切です。[2]

横浜市では、妊娠を希望している女性とそのパートナーが無料で風疹抗体検査を受けることが可能です。抗体検査は血液検査ですので、婦人科だけではなく内科でも検査が受けられます。当院でも、横浜市在住の方は無料で風疹抗体検査が行えますので、妊娠を考え始めたらご相談ください。

ワクチンが必要な場合、日本では接種後およそ2か月は妊娠を避けるよう案内されます。そのため、妊活開始日から逆算して検査を受けます。ワクチン接種後の待機期間中にピルやディナゲストを継続するかは、治療目的と避妊の必要性を含めて処方医と相談してください。パートナーや同居家族の免疫確認も大切です。

性感染症検査

クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどは、症状がなくても感染していることがあります。クラミジアによる骨盤内の炎症は、卵管因子不妊や異所性妊娠に関係します。これまで検査を受けたことがない、新しいパートナーがいる、感染機会や既往がある、おりもの・出血・下腹部痛がある場合は、妊娠前の検査をご相談ください。必要な検査は年齢と感染リスクに応じて選びます。[4]

妊娠前に性感染症検査が必要な理由を詳しく読む

ピルとディナゲストの中止方法

ピル(OC・LEP)の場合

妊娠を希望したら中止できます。妊娠しやすさのために数か月の休薬期間を設ける必要はなく、最初の自然月経を待たずに妊娠しても、ピルを中止した直後であることを理由に胎児への悪影響が増えるとは考えられていません。[3]

シートの途中で中止しても重大な問題になるとは限りませんが、予定外の出血が起こり、周期の起点が分かりにくくなることがあります。通常は、服用途中のシートを飲み切ってから中止します。製剤ごとの中止方法を処方医に確認すると予定を立てやすくなります。

ディナゲスト(ジエノゲスト)の場合

ディナゲストは子宮内膜症や子宮腺筋症に伴う痛みを治療する薬で、避妊薬ではありません。服用中も妊娠を確実に防げるとは限らないため、妊娠を希望する時期まではコンドームなどの非ホルモン性避妊が必要です。電子添文でも、治療中は非ホルモン性の避妊を行うよう記載されています。[5]

妊娠を希望する時は、処方医と相談して中止します。排卵・月経が戻る時期には個人差があり、もともとの月経周期、服用期間、子宮内膜症などの状態にも影響されます。妊娠のために何か月も前から中止する標準的な待機期間はありません。

中止後に起こること・記録すること

  • ピルの休薬後に起こる出血は、自然排卵後の月経ではなく消退出血である
  • 最初の自然月経より前に排卵し、妊娠する可能性がある
  • 数周期は月経日(排卵日)が予測しにくいことがある
  • 薬で抑えられていた生理痛、過多月経、PMSなどが戻ることがある

出血が始まった日、出血量、痛み、基礎体温、排卵日検査薬の結果を記録しておくと診察に役立ちます。月経の「1日目」は、少量の茶色い出血ではなく、通常の月経らしい出血が始まった日と考えます。

中止後に月経が来ない場合は、まず妊娠検査薬で確認します。妊娠しておらず3か月程度月経がない、または中止前から月経不順が強かった方は、無排卵、PMOS(旧称PCOS)、甲状腺やプロラクチンの異常なども含めて婦人科で確認します。

長く服用すると妊娠しにくくなりますか?

ピルを適切に服用していたこと自体が、将来の不妊につながるという根拠はありません。中止後の妊娠をまとめた研究でも、経口避妊薬の種類や使用期間による妊孕性回復への明らかな悪影響は認められていません。[3][6]

中止後に妊娠まで時間がかかる場合は、薬の影響だけでなく、年齢、もともとの排卵障害、子宮内膜症、卵管の状態、精子所見などを分けて考えます。ピルで周期が整って見えていた方では、中止後にもともとの月経不順が再び現れることがあります。

生理不順はピルをやめたら戻る?

子宮内膜症がある方は効率よく妊娠を目指す

ピルやディナゲストは、服用中の痛みや病変の活動を抑える治療です。中止したことや薬の服用が不妊の原因になるわけではありませんが、排卵と月経が再開すると、抑えられていた子宮内膜症や子宮腺筋症の症状が再び強くなることがあります。

そのため、妊娠を希望していない時期に早く中止して、長期間何も治療しない状態を作るより、妊娠してもよい時期まで治療を続け、中止後は効率よく妊娠を目指す方法が適することがあります。ホルモン治療を妊娠率向上だけの目的で続けても、服用中は妊活を進められません。[7]

35歳以上、卵巣チョコレート嚢胞がある、卵巣手術歴がある、痛みが強い、精子や卵管にも心配がある場合は、直ちに不妊治療を行った方がよい場合もあります。中止前または中止直後から妊活の進め方をご相談ください。

子宮内膜症について詳しく読む

基礎体温と排卵日検査薬を使ったタイミングの取り方

妊娠しやすい時期は、排卵日までの6日間で、特に排卵の1~2日前が重要です。排卵日だけを1日狙うより、妊娠しやすい期間に複数回タイミングを取る方が現実的です。[8]

負担が少ない方法

周期を細かく予測せず、妊活開始後は週2~3回の性交を目安にします。妊娠しやすい期間に1~2日おきにタイミングを取る方法が最も妊娠率を高めますが、週2~3回でも成績は大きく変わらないとされています。[8]

月経周期が比較的安定している場合は、「周期-14日」が排卵日の目安です。35日周期なら、月経初日を1日目とカウントして21日目くらいが排卵日という計算です。子の排卵日を基準に、その3日くらい前から1~2日おきにタイミングをとり、同時に基礎体温が上がるまでそれを続けると、比較的少ないタイミングでも妊娠しやすい時期に合わせやすくなります。

排卵日検査薬を使う方法

  1. 予想排卵日の数日前から、製品の説明に従って尿検査を始める
  2. 陽性になった日と翌日を中心にタイミングを取る
  3. 可能であれば陽性になる前日にもタイミングを取る

排卵日検査薬は尿中LHの上昇を調べるもので、陽性後2日以内に排卵することが多いとされます。ただし、陽性は排卵を保証するものではありません。PMOS(旧称PCOS)や月経不順がある方では判定しにくいことがあり、超音波による卵胞確認などが必要になる場合があります。[8]

基礎体温の使い方

朝、目が覚めて体を動かす前に、できるだけ同じ条件で測ります。低温期から高温期への変化は、排卵が起きた可能性を振り返る手がかりになりますが、排卵日を事前に正確に当てる方法ではありません。

基礎体温が負担になり、性交回数が減ったりストレスが強くなったりする場合は、毎日測ることにこだわる必要はありません。排卵日検査薬や週2~3回の性交など、ご夫婦・カップルが続けやすい方法を選びます。

中止後、いつ婦人科・不妊専門医に相談する?

  • 妊娠検査薬が陽性になった
  • 妊娠しておらず、中止後3か月程度たっても月経がない
  • 強い生理痛、性交痛、排便痛、大量出血が戻った
  • 排卵日検査薬がずっと陽性、または何周期も陽性にならない
  • 35歳未満で1年間、避妊せず妊娠しない
  • 35歳以上で6か月間、避妊せず妊娠しない

40歳以上、無月経・強い月経不順、子宮内膜症、卵巣手術歴、骨盤内感染症の既往、男性側の要因が疑われる場合は、上記の期間を待たずに早めの相談が勧められます。[8]

妊活開始までのスケジュール例

時期 すること
妊活開始の2~3か月以上前 風疹抗体を確認。ワクチンが必要なら接種し、接種後の避妊期間を確保する
妊活開始の1か月以上前 葉酸400μg/日を開始。性感染症、子宮頸がん検診、持病、服薬を確認する
結婚式・新婚旅行などの予定後 妊娠してもよい状態になったら、処方医と確認してピル・ディナゲストを中止する
中止後 すぐに妊活開始が可能。出血・痛みを記録し、週2~3回または排卵検査薬を使ってタイミングを取る

※風疹ワクチンが不要な方では、2~3か月前から待機する必要はありません。検査・準備に必要な期間は個人差があります。

ピル・ディナゲスト中止後の妊活についてよくある質問

Q. 薬が体から抜けるまで3か月待つ必要がありますか?

通常、その必要はありません。ピル中止後の妊孕性は速やかに戻り、何か月もの待機期間は推奨されていません。ディナゲストも妊娠希望の何か月も前から中止する標準的な待機期間はありません。

Q. 中止後、最初の生理を待ってから妊活すべきですか?

薬を中止した直後であることを理由に、最初の自然月経を待つ必要はありません。排卵は最初の月経より前に起こるため、妊娠してもよい準備が整ってから中止してください。月経日を確認しておくと妊娠週数を数えやすくなりますが、妊娠後は超音波で予定日を調整できます。

Q. ピルは1シート飲み切った方がよいですか?

実薬を飲み切って中止すると、その後の出血時期を予測しやすいことがあります。ただし、製剤や服用方法、結婚式・旅行などの予定によって調整が必要です。自己判断で途中で中止せず、処方医にご相談ください。

Q. ディナゲスト服用中は避妊できていますか?

ディナゲストは避妊薬ではありません。妊娠を希望する時期までは、コンドームなどの非ホルモン性避妊が必要です。

Q. 基礎体温と排卵日検査薬は両方必要ですか?

必須ではありません。排卵日検査薬は排卵前のLH上昇を捉え、基礎体温は排卵後の変化を振り返るのに役立ちます。負担になる場合は、週2~3回の性交を目安にする方法でも構いません。

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横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~で女性医師が、ピル・ディナゲストの中止時期、葉酸、風疹抗体、性感染症検査、子宮内膜症がある方の妊活についてご相談をお受けします。

「結婚式や旅行までは生理を止めたい」「いつから葉酸を飲めばよいか」「中止後すぐ妊活してよいか」など、予定が決まった段階でご相談ください。

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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月1日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断、処方、中止指示、不妊治療に代わるものではありません。

参考文献

  1. こども家庭庁.葉酸摂取が妊娠前から大切な理由とは?知ってほしい赤ちゃんとの関係.2026年.
  2. 厚生労働省.風しん/MRワクチン.
  3. Faculty of Sexual & Reproductive Healthcare. FSRH Guideline: Combined Hormonal Contraception. 2019, amended October 2023.
  4. American College of Obstetricians and Gynecologists. Prepregnancy Counseling. Committee Opinion No. 762.
  5. PMDA.ディナゲスト錠1mg 医療用医薬品情報・電子添文.2025年10月改訂.
  6. Girum T, Wasie A. Return of fertility after discontinuation of contraception: a systematic review and meta-analysis. Contracept Reprod Med. 2018;3:9. PubMed.
  7. European Society of Human Reproduction and Embryology. ESHRE Guideline: Endometriosis. 2022.
  8. American Society for Reproductive Medicine. Optimizing natural fertility: a committee opinion. Fertil Steril. 2022;117:53-63.