PMOS(旧称PCOS)の診断基準と検査|AMH・超音波だけで決まる?

 

PMOS(旧称PCOS)は、卵巣の超音波所見やAMH高値だけでは診断できません。日本の2024年診断基準では、月経周期異常、多嚢胞卵巣またはAMH高値、アンドロゲン過剰症またはLH高値の3項目を確認し、似た症状を起こす病気を除外して診断します。[1]

 

また、PMOSは卵巣だけの病気ではないため、診断時には血圧、血糖、脂質、睡眠、メンタルヘルスなども必要に応じて評価します。検査内容は年齢、初経からの年数、体型、服薬、妊娠希望によって異なります。[2]

 

日本のPMOS/PCOS診断基準(2024年)

成人では、次の3項目をすべて満たし、類似する病気を除外した場合にPMOS/PCOSと診断します。

診断項目 確認する内容
1.月経周期異常 無月経、希発月経、無排卵周期症のいずれか
2.卵巣所見 多嚢胞卵巣または年齢・測定法に応じたAMH高値
3.ホルモン所見 アンドロゲン過剰症またはLH高値

「月経不順があるからPMOS」「AMHが高いからPMOS」というように、1項目だけで診断する基準ではありません。問診、血液検査、超音波検査を組み合わせます。

月経周期はどのように確認しますか?

日本では、正常な月経周期は25~38日が目安です。周期が39日以上3か月未満の場合は希発月経、妊娠・授乳などを除いて3か月以上月経がない場合は続発性無月経と考えます。

PMOSでは排卵が起こりにくいため、次のような経過がみられます。

  • 月経周期が39日以上になることを繰り返す
  • 2~3か月に1回しか月経が来ない
  • 月経が来ない期間と、少量出血が続く期間がある
  • 妊娠を希望しているが排卵日を予測できない

月経が遅れた場合は、PMOSの検査より先に妊娠の可能性を確認します。ピルや黄体ホルモン製剤の使用中は自然な月経周期を評価できないため、服薬内容を必ずお知らせください。

超音波で「多嚢胞」と言われたらPMOSですか?

多嚢胞様の卵巣所見だけではPMOSと診断しません。超音波で見える小さな丸い構造は、通常は病的な嚢胞ではなく、発育途中の卵胞です。月経が規則的で、ホルモン異常がない方にも多嚢胞様の所見がみられることがあります。

反対に、PMOSでも超音波所見が診断基準を満たさない場合があります。2024年の国内基準では、多嚢胞卵巣の代わりにAMH高値を用いることもできますが、ほかの診断項目と合わせる必要があります。

性交経験のない方に経腟超音波を一律に行うわけではありません。年齢、性交経験、症状、ご希望を確認し、経腹超音波などを含めて検査方法を相談します。

AMHが高ければPMOSですか?

AMHは発育途中の卵胞から分泌されるホルモンです。PMOSではAMHが高くなることがありますが、AMH高値だけでは診断できません。

AMHは次の影響を受けます。

  • 年齢
  • 測定機器・測定法
  • 低用量ピルなどのホルモン剤
  • 卵巣手術や一部の治療歴

AMHは卵胞数を反映する指標の一つですが、卵子の質、自然妊娠率、閉経年齢を正確に示す「卵巣年齢」ではありません。数値だけを見て、PMOS、不妊、妊娠可能期間を自己判断しないでください。

PMOSで行う主なホルモン検査

検査 主な目的
LH・FSH 排卵に関わる下垂体ホルモンの状態を確認する
テストステロンなど 生化学的アンドロゲン過剰を確認する
プロラクチン 高プロラクチン血症を除外する
TSH・FT4 甲状腺機能異常を除外する
17-OHPなど 症状に応じて非古典型先天性副腎過形成などを確認する
AMH 卵巣所見を補う診断項目として必要時に測定する

ピルの服用中は性ホルモン結合グロブリンが増え、アンドロゲン産生も抑えられるため、アンドロゲン値を正確に評価しにくくなります。検査のために休薬が必要かどうかは医師が判断します。自己判断で中止しないでください。[2]

急速に多毛が進む、声が低くなる、筋肉が急に増えるなどの強い男性化がある場合や、アンドロゲン値が著しく高い場合は、アンドロゲン産生腫瘍などPMOS以外の病気を確認します。

PMOSと区別する主な病気・状態

  • 妊娠
  • 急なダイエット、運動量増加、ストレスによる機能性視床下部性無月経
  • 甲状腺機能異常
  • 高プロラクチン血症
  • 早発卵巣不全
  • 非古典型先天性副腎過形成
  • クッシング症候群
  • 卵巣・副腎のアンドロゲン産生腫瘍
  • 薬剤の影響

同じ無月経でも、エストロゲンが低く骨密度に影響する状態と、無排卵でもエストロゲン刺激が続き子宮内膜が厚くなりやすいPMOSでは、治療が異なります。単に「ホルモンバランスの乱れ」で終わらせず、原因を分けることが重要です。

10代・思春期のPMOS診断は慎重に

初経後しばらくは月経が不規則になりやすく、超音波で小さな卵胞が多く見えることもあります。そのため、成人と同じ方法で安易にPMOSと診断すると、正常な思春期変化を病気と判断してしまう可能性があります。

国内の2024年基準では、18歳未満または初経後8年未満の方は、月経周期異常と、アンドロゲン過剰症またはLH高値を中心に「PMOS/PCOS疑い」「リスクあり」として慎重に評価します。成人と同じ超音波・AMH基準は原則として用いず、経過をみて再評価します。[1]

初経から1年以上経過して月経が90日以上空く、初経後数年たっても周期が安定しない、強いニキビや多毛がある場合は、思春期の月経を扱う婦人科へご相談ください。

体型にかかわらず代謝評価が必要です

PMOSでは、年齢やBMIにかかわらず、耐糖能異常や2型糖尿病のリスクが高いことが示されています。国際ガイドラインでは、診断時に血糖状態を評価し、その後は個別のリスクに応じて1~3年ごとに再評価することが推奨されています。[2]

  • 血圧
  • 血糖・HbA1c
  • 必要に応じて75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
  • 総コレステロール、LDL、HDL、中性脂肪
  • 体重、腹囲、体重変化

75gOGTTはPMOSの血糖状態を調べるうえで最も精度が高い検査です。一方、血中インスリン値だけで「インスリン抵抗性」を診断する方法は標準化されておらず、日常診療で一律に測定する検査ではありません。

当院での診察・検査の流れ

  1. 最終月経、普段の周期、初経年齢、体重変化、服薬、妊娠希望を確認
  2. 妊娠の可能性があれば妊娠反応を確認
  3. 必要なホルモン検査・代謝検査を選択
  4. 年齢、性交経験、ご希望に配慮して超音波検査を実施
  5. 類似疾患を除外し、国内診断基準に照らして判定
  6. 妊娠希望と症状に応じた治療・経過観察を相談

すべての検査を初回に一律に行うわけではありません。過去の検査結果、お薬手帳、月経記録があればお持ちください。

PMOSの診断・検査についてよくある質問

Q. 超音波で「多嚢胞」と言われたらPMOSですか?

いいえ。超音波所見だけでは診断しません。月経周期異常、AMH、アンドロゲンまたはLHの所見、類似疾患の除外を組み合わせます。

Q. AMHが高ければPMOSですか?

AMH高値は2024年基準の一項目ですが、それだけではPMOSではありません。年齢、測定法、服薬の影響を考慮します。

Q. ピルを飲んでいても検査できますか?

できる検査もありますが、ピルはアンドロゲン、LH・FSH、AMHなどに影響します。診断のために休薬が必要かは医師が判断するため、自己判断で中止しないでください。

Q. 10代でもAMHや超音波で診断できますか?

思春期では成人と同じAMH・超音波基準を原則として用いません。初経からの年数、月経周期、アンドロゲン関連症状などを中心に慎重に評価します。

横浜駅近くでPMOSの検査をご希望の方へ

ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~は横浜駅から徒歩6分です。女性医師が月経歴、妊娠希望、服薬、ニキビ・多毛、体重変化を伺い、必要な検査を選びます。内診や経腟超音波に不安がある方は、予約時または診察時にお知らせください。

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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

公開日・最終医学確認:2026年9月25日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・検査に代わるものではありません。