生理不順・無月経の原因は?3か月来ない場合の放置リスク
結論:生理不順や無月経は、単に「ホルモンバランスが乱れた」状態ではありません。妊娠、PCOS、エネルギー不足、甲状腺・プロラクチンの異常、卵巣機能の低下などが原因になります。原因により、女性ホルモンが不足する場合と、排卵しないまま子宮内膜に刺激が続く場合があり、放置したときのリスクと治療は異なります。[1]
月経が起こる仕組み
月経と排卵は、脳の視床下部、下垂体、卵巣、子宮が連携して起こります。視床下部からの指令を受け、下垂体がFSHとLHを分泌し、卵巣で卵胞が育ってエストロゲンが分泌されます。排卵後はプロゲステロンが分泌され、妊娠が成立しなければ子宮内膜がはがれて月経になります。
この経路のどこかに変化が起きると、排卵が遅れる、排卵しない、月経が止まるといった症状が現れます。「卵巣が疲れた」「冷えだけが原因」と自己判断せず、どの段階に原因があるかを調べることが重要です。
生理不順・無月経の主な原因
妊娠
月経が来ないときに最初に除外する原因です。避妊していても妊娠の可能性は完全にはなくなりません。妊娠反応陽性で腹痛や出血がある場合は異所性妊娠も考え、速やかな診察が必要です。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
排卵しにくい状態が続き、希発月経や無月経になります。ニキビ、多毛、血中アンドロゲン高値などを伴うことがあります。体型にかかわらず発症し、超音波で多嚢胞様の卵巣が見えるだけではPCOSとは診断しません。[2]
機能性視床下部性無月経
急なダイエット、食事量に比べて多すぎる運動、心理的ストレスなどにより、視床下部から排卵を促す指令が弱くなる状態です。体重が標準範囲でも、短期間の体重減少やエネルギー不足が原因になることがあります。[3]
甲状腺機能異常
甲状腺機能亢進症と低下症のどちらでも、月経周期が乱れることがあります。動悸、発汗、寒がり、むくみ、便通や体重の変化などを伴う場合があります。
高プロラクチン血症
授乳に関係するプロラクチンが高いと、排卵が抑えられます。乳汁分泌がみられることがありますが、症状がない場合もあります。薬剤、甲状腺機能低下症、下垂体の病気などが原因になるため、服薬歴も確認します。
早発卵巣不全(POI)
40歳未満で卵巣機能が低下し、月経不順・無月経とホルモン検査の異常がみられる状態です。ほてり、寝汗、腟の乾燥などを伴うことがあります。骨や心血管の健康にも関係するため、若くても月経が止まった場合は確認が必要です。[4]
薬剤・ホルモン避妊法・授乳・閉経移行期
一部の向精神薬、制吐薬、オピオイドなどがプロラクチンや排卵に影響することがあります。ピル、黄体ホルモン製剤、子宮内システムなどの使用中は出血が少なくなる、または止まることがあります。授乳中や閉経移行期の変化も、年齢と状況を踏まえて判断します。
子宮・卵巣・脳下垂体などの病気
子宮内操作後の癒着、先天的な子宮・腟の形態、卵巣腫瘍、下垂体腫瘍などが原因になることがあります。強い頭痛や視野の異常、急な男性化症状などがあれば、早めの精密検査が必要です。
無月経を放置するとどうなる?
低エストロゲン状態では骨量が低下することがある
体重減少性・運動性無月経やPOIでは、エストロゲンが不足し、骨密度低下や骨折リスクにつながることがあります。特に10代〜20代は骨量を蓄える大切な時期のため、「生理がなくて楽」と放置しないことが重要です。[3][4]
慢性無排卵では子宮内膜が増殖することがある
PCOSなどで排卵しない状態が続くと、プロゲステロンが十分に分泌されないまま、子宮内膜へエストロゲンの刺激が続くことがあります。長期的には子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスク上昇と関連するため、定期的に子宮内膜を保護する治療が必要な場合があります。[2]
排卵回数が減り、妊娠の機会が少なくなる
生理不順があるから必ず不妊になるわけではありません。しかし、排卵が少ない、または起きていない場合、妊娠の機会は減ります。妊娠希望がある方は、1年間待つのではなく早めに排卵の評価をご相談ください。
原因疾患の診断が遅れる
甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、POIなどは、月経以外の健康にも関係します。月経は体調の変化を知らせる一つのサインです。
原因を調べるための検査
妊娠反応を最初に確認し、問診、血液検査、超音波検査を必要に応じて組み合わせます。一般的な初期検査にはFSH、LH、エストラジオール、プロラクチン、甲状腺機能などが含まれ、ニキビ・多毛がある場合はアンドロゲンも検討します。[1]
よくあるご質問
Q. 無月経は3か月まで放置してよいですか?
いいえ。「3か月」は続発性無月経の定義であり、受診を待つ期限ではありません。妊娠の可能性、強い症状、急な体重変化、妊娠希望がある場合は3か月を待たず受診してください。
Q. 生理が来ないと子宮体がんになりますか?
無月経の原因によります。PCOSなど慢性無排卵で子宮内膜へのエストロゲン刺激が続く場合はリスク上昇と関連します。一方、体重減少性無月経ではエストロゲン自体が低いことが多く、主に骨への影響が問題になります。検査で区別する必要があります。
Q. 体重は正常ですが、ダイエットが原因になることはありますか?
あります。現在のBMIだけでなく、短期間の体重減少、摂取量と運動量の差、食事内容、ストレスが関係します。
Q. ホルモン剤で生理を起こせば原因も治りますか?
薬で起こす消退出血は、子宮内膜保護やホルモン補充に重要な場合がありますが、原因が解決したことと同じではありません。原因治療と周期管理を分けて考えます。
横浜で生理不順・無月経の原因を調べたい方へ
生理不順・無月経は、原因によって必要な対応が正反対になることがあります。横浜駅から徒歩6分の当院で、女性医師が月経歴と生活背景を伺い、必要な検査をご提案します。
関連ページ:生理不順・無月経の総合案内/生理不順・無月経の治療
執筆・医学監修:清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医/ポートサイド女性総合クリニック院長
<掲載日:2026年8月12日>
<更新日:2026年8月12日>
参考文献
- Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Current evaluation of amenorrhea: a committee opinion. 2024.
- Teede HJ, et al. Recommendations from the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome. Hum Reprod. 2023;38:1655-1679.
- Gordon CM, et al. Functional Hypothalamic Amenorrhea: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. 2017.
- ESHRE/ASRM/CRE-WHiRL/IMS Guideline Group. Evidence-based guideline: Premature Ovarian Insufficiency. 2024.










