更年期障害の症状|ほてり・不眠・気分の落ち込み・関節痛
更年期障害の症状は、ほてりや発汗だけではありません。眠れない、気分が落ち込む、疲れが取れない、頭痛、めまい、肩こり、関節痛、腟の乾燥など、全身に多様な症状が現れます。症状が仕事、家事、睡眠、人間関係に影響している場合は、程度にかかわらずご相談ください。[1]
更年期障害の症状一覧
| 症状の種類 | 主な症状 |
|---|---|
| 血管運動神経症状 | ほてり、のぼせ、発汗、寝汗、動悸、冷え |
| 睡眠症状 | 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早朝に目が覚める、熟睡感がない |
| 精神・認知症状 | イライラ、不安、気分の落ち込み、意欲低下、集中しにくい、物忘れが気になる |
| 頭部・感覚症状 | 頭痛、めまい、耳鳴り |
| 運動器症状 | 肩こり、腰痛、関節痛、手指のこわばり、筋肉痛 |
| 全身症状 | 疲れやすい、だるい、息切れ、皮膚の乾燥 |
| 月経の変化 | 周期が短い・長い、月経が飛ぶ、出血量が多い・少ない |
| 泌尿生殖器症状 | 腟の乾燥、性交痛、外陰部の違和感、頻尿、尿意切迫感、繰り返す尿路感染 |
症状の組み合わせと強さには個人差があります。日本人女性では、ほてり・発汗よりも疲労感、肩こり、精神症状を強く感じる方もいます。[1]
ほてり・発汗・寝汗
急に顔、首、胸などが熱くなり、汗が出る症状をホットフラッシュといいます。数十秒から数分続き、日に何度も起こることがあります。夜間に起こる寝汗は中途覚醒を招き、日中の疲労や集中力低下につながります。
ホットフラッシュはHRTが最も効果の高い治療ですが、全員にHRTが適するわけではありません。頻度、生活への影響、持病、希望を確認して治療を選びます。[2]
イライラ・不安・気分の落ち込み
更年期移行期はホルモン変動に加え、睡眠不足、仕事、介護、家族関係などが重なり、イライラ、不安、抑うつ気分が現れることがあります。ほてりや寝汗を治療して睡眠が改善すると、気分も軽くなる方がいます。
一方、すべての精神症状を更年期だけで説明することはできません。強い抑うつ、楽しめない状態が続く、食事や仕事ができない、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、うつ病なども考え、早急に精神科・心療内科を含む医療機関へ相談してください。
更年期の不眠
寝汗で目が覚めるほか、気分の変化、むずむず脚、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺疾患、薬剤、飲酒などが睡眠に影響します。「更年期だから眠れない」と決めつけず、いびき、日中の強い眠気、脚の不快感なども確認します。
治療は、ほてりが原因ならHRTやほかの治療、慢性不眠には睡眠習慣の調整や認知行動療法、必要に応じた薬物療法を組み合わせます。
関節痛・手指のこわばり
更年期には肩、腰、膝、手指などの痛みやこわばりを訴える方がいます。エストロゲン低下が関係する可能性はありますが、関節リウマチ、変形性関節症、腱鞘炎、甲状腺疾患などでも似た症状が起こります。
関節が腫れる、朝のこわばりが長く続く、発熱を伴う、片側だけ強く痛む場合は、整形外科・リウマチ科などでの評価が必要です。
腟の乾燥・性交痛・頻尿
エストロゲン低下により、腟や外陰部、尿道の粘膜が薄く乾燥し、性交痛、かゆみ、頻尿、尿意切迫感、繰り返す尿路感染などが起こることがあります。これらを閉経関連尿路性器症候群(GSM)と呼びます。
ほてりが落ち着いた後も続くことがあり、自然に改善しにくい症状です。保湿剤・潤滑剤、腟に使用するエストロゲン製剤などを症状に応じて検討します。[3]
月経の変化と注意したい出血
更年期移行期には、月経周期や出血量が不規則になります。ただし、すべてを「閉経前だから」と判断してはいけません。子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、子宮体がんなどでも不正出血や過多月経が起こります。
次の出血がある場合は婦人科を受診してください。
- 月経以外の出血や性交後出血
- ナプキンが1~2時間でいっぱいになる大量出血
- 出血が長期間続く
- 貧血症状を伴う
- 12か月以上月経がなかった後の出血
更年期に似た症状を起こす病気
| 症状 | 確認することがある病気・状態 |
|---|---|
| 動悸・発汗・体重変化 | 甲状腺機能異常、不整脈、貧血 |
| 疲労・息切れ | 貧血、甲状腺疾患、肝疾患、睡眠障害 |
| めまい | 貧血、耳の病気、脳・神経の病気、薬の影響 |
| 気分の落ち込み | うつ病、不安症、適応障害、睡眠障害 |
| 関節痛・こわばり | 関節リウマチ、変形性関節症、腱鞘炎 |
| 不正出血 | 子宮筋腫、ポリープ、子宮内膜増殖症、婦人科がん |
更年期チェックリストの使い方
簡易更年期指数(SMI)などの質問票は、症状を整理し、治療前後の変化を確認するために役立ちます。ただし、点数が高いだけで更年期障害と確定するものではなく、点数が低くても一つの症状で生活に支障があれば治療の対象になり得ます。
受診前に「どの症状が、いつ、どのくらい続き、生活にどう影響しているか」「月経日と出血量」「服用中の薬」を記録しておくと診察に役立ちます。
すぐ受診した方がよい症状
- 胸痛、突然の息切れ、片脚の腫れ
- 突然の激しい頭痛、手足のまひ、言葉が出にくい
- 失神、持続する強い動悸
- 閉経後出血、大量出血
- 自傷・自殺を考えるほどの気分の落ち込み
これらは血栓症、脳卒中、心疾患、悪性疾患、重いうつ病などの可能性があります。緊急時は救急医療機関を受診してください。
更年期障害の症状についてよくある質問
Q. 40代で生理が順調でも更年期症状は出ますか?
出ることがあります。更年期移行期は排卵やホルモン分泌が揺らぎ、生理が続いていても、ほてり、不眠、気分変化などが現れる場合があります。
Q. 肩こりや関節痛だけでも更年期障害ですか?
更年期に関連することはありますが、整形外科疾患や関節リウマチなどの可能性もあります。痛みの部位、腫れ、持続時間などを確認し、必要に応じて他科と連携します。
Q. 更年期の症状はいつまで続きますか?
期間には大きな個人差があります。数年で軽くなる方もいれば、ほてりやGSMなどが長く続く方もいます。年齢だけで我慢せず、続く症状に合わせて治療を見直します。
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この記事の執筆・医学監修
清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長
更新日・最終医学確認:2026年9月3日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・処方に代わるものではありません。
参考文献
- 日本産婦人科医会.更年期障害の検査・診断.2025.
- The North American Menopause Society Advisory Panel. The 2022 hormone therapy position statement. Menopause. 2022;29:767-794.
- The North American Menopause Society. The 2020 genitourinary syndrome of menopause position statement. Menopause. 2020;27:976-992.










