健診で異常を指摘されたら|細胞診・筋腫・卵巣・ポリープ・貧血

 

健康診断や婦人科検診で「異常」「要再検査」「要精密検査」と書かれていても、直ちにがんや手術が必要な病気と診断されたわけではありません。

 

一方で、症状がないからといって放置してよいとも限りません。健診は病気を確定する検査ではなく、詳しい検査が必要な方を見つけるための検査です。結果票に記載された受診時期に従い、必要な確認を受けましょう。

 

婦人科領域で比較的よく指摘されるのは、次の5つです。

  • 子宮頸部細胞診・HPV検査の異常
  • 子宮筋腫、または子宮筋腫の疑い
  • 卵巣が腫れている、卵巣嚢腫の疑い
  • 子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ
  • 貧血

 

健診結果別:受診時期と検査の早見表

指摘された異常 受診時期の目安 行う可能性がある検査
細胞診・HPV検査の異常 結果票の指示に従って受診。要精密検査、ASC-H、HSIL、AGCなどは先延ばしにしない 細胞診、ハイリスクHPV検査、コルポスコピー、組織診
子宮筋腫・筋腫の疑い 症状がなくても一度婦人科で確認。過多月経、貧血、痛みがあれば早めに受診 内診、経腟超音波、血液検査、必要に応じてMRI・子宮鏡
卵巣が腫れている 結果を受け取ったら早めに婦人科へ。突然の強い腹痛は当日受診 超音波検査、腫瘍マーカー、MRI・CT
ポリープがある 頸管ポリープか内膜ポリープかを確認。不正出血や閉経後出血があれば早めに受診 腟鏡診、経腟超音波、ポリープ切除・病理検査、子宮鏡、子宮内膜検査
貧血 軽度でも放置せず、原因を確認。息苦しさ、動悸、失神しそうな症状があれば早めに受診 血算、MCV、フェリチン、血清鉄などの血液検査と婦人科超音波検査

※受診時期は一般的な目安です。結果票に「至急」「要精密検査」などの記載がある場合は、その指示を優先してください。

受診時にお持ちいただきたいもの

  • 今回の健診結果票・紹介状
  • 過去の健診結果や婦人科検査結果
  • 超音波・MRIなどの画像やCD-ROMがある場合はその資料
  • お薬手帳
  • 最終月経の開始日と、最近の月経周期・出血量の記録(あれば)
  • 妊娠の可能性や妊娠希望についての情報

「異常があると言われた」という情報だけでは、必要な検査を判断できない場合があります。結果票に書かれている検査名、数値、判定名が重要です。

健診で指摘された異常について診察や精密検査を受ける場合は、通常は保険診療の対象になります。ただし、検査内容や受診目的によって異なるため、結果票を受付でご提示ください。

1.子宮頸部細胞診・HPV検査で異常を指摘された場合

子宮頸部細胞診の異常は、子宮頸部から採取した細胞に変化が見られたという意味です。細胞診異常だけで、子宮頸がんと確定したわけではありません。

結果にはASC-US、LSIL、ASC-H、HSIL、AGC、AIS、SCCなどの判定名が使われます。異常の種類によって、ハイリスクHPV検査、細胞診の再検査、コルポスコピー・組織診など、次に必要な検査が異なります。[1][2]

主な結果 一般的な次の対応
ASC-US ハイリスクHPV検査を行い、陽性ならコルポスコピー・組織診。陰性なら指示された時期に再検査
LSIL 原則としてコルポスコピー・組織診を検討
ASC-H・HSIL 高度な前がん病変を除外するため、速やかにコルポスコピー・組織診
AGC・AIS コルポスコピー、頸管内の検査。年齢や出血状況により子宮内膜検査も検討
SCC・腺がんなど 専門医療機関で速やかに精密検査

横浜市のHPV検査単独法で「要追跡精検」と判定された場合は、原則として1年後のHPV検査が必要です。「要確定精検」の場合は、指定された医療機関でコルポスコピー・組織診を受けます。

検診後に性交後出血、不正出血、血液の混じったおりものなどがある場合は、次回検診まで待たずに受診してください。

子宮頸がん検診の結果別の詳しい対応を見る

2.「子宮筋腫がある」「筋腫の疑い」と言われた場合

子宮筋腫は、子宮の筋肉から発生する良性腫瘍です。筋腫が見つかっても、すべての方に治療や手術が必要になるわけではありません。症状がなく、画像が典型的で増大傾向がなければ、定期的な経過観察でよいことがあります。[2]

健診で「筋腫の疑い」と記載される経緯には、主に次の2つがあります。

  • 内診で子宮が大きい、または凹凸があると判断された
  • 超音波検査で筋腫と思われるしこりが確認された

内診だけでは筋腫の場所・大きさ・個数を確定できません。子宮腺筋症や卵巣腫瘍など、別の病気によって子宮の周囲が大きく触れる場合もあるため、通常は超音波検査で確認します。

受診後に行う可能性がある検査

  • 内診・経腟超音波:筋腫の大きさ、場所、個数、子宮内腔の変形を確認
  • 血液検査:過多月経による貧血や鉄不足を確認
  • MRI:大きい筋腫、多発筋腫、子宮腺筋症との区別が難しい場合、画像が典型的でない場合
  • 子宮鏡検査:子宮内腔へ突出する粘膜下筋腫が疑われる場合
  • 子宮内膜検査:年齢、出血状況、子宮内膜の厚さなどから必要と判断した場合

治療の必要性は大きさだけでなく、過多月経、生理痛、貧血、頻尿、便秘、不妊、増大傾向、年齢、妊娠希望を合わせて判断します。

子宮筋腫を指摘された場合の詳しい検査・治療を見る

3.「卵巣が腫れている」「卵巣嚢腫の疑い」と言われた場合

卵巣が腫れて見える原因には、排卵に伴って一時的にできる機能性嚢胞、子宮内膜症性嚢胞、成熟嚢胞性奇形腫、良性卵巣腫瘍、境界悪性腫瘍、卵巣がんなどがあります。

「卵巣が腫れている」だけでは、良性・悪性は判断できません。大きさだけでなく、内部が液体だけなのか、充実部分や隔壁があるのか、血流があるのか、腹水を伴っていないかなどを超音波で確認します。[2]

受診後に行う可能性がある検査

  • 経腟超音波:腫瘤の大きさ、内部構造、血流、左右どちらの卵巣かを確認
  • 妊娠反応:妊娠に伴う変化や異所性妊娠との区別が必要な場合
  • 3~4か月後に超音波検査:機能性嚢胞が疑われる場合、月経後などに縮小・消失するか確認
  • 腫瘍マーカー:CA125、CA19-9、CEAなどを、年齢や画像所見に合わせて選択
  • MRI・CT:超音波だけでは種類や良性・悪性の判断が難しい場合

腫瘍マーカーは、月経、子宮内膜症、炎症など、がん以外でも上昇します。正常でも悪性を完全には否定できないため、腫瘍マーカーだけで診断することはできません。

悪性の可能性が否定できない、大きい、短期間で増大している、閉経後に新たに見つかったなどの場合は、MRIなどを追加し、手術が可能な専門医療機関へご紹介します。

突然の強い片側の下腹部痛、吐き気・嘔吐がある場合は、卵巣の根元がねじれる卵巣茎捻転の可能性があります。通常の予約を待たず、当日中に救急受診してください。

卵巣腫瘍の超音波・MRI・腫瘍マーカーについて詳しく見る

4.「ポリープがある」と言われた場合

婦人科健診で指摘されるポリープには、主に「子宮頸管ポリープ」と「子宮内膜ポリープ」があります。場所によって検査と対応が異なるため、結果票の記載を確認しましょう。[3]

子宮頸管ポリープ

子宮の出口である頸管の粘膜から発生し、腟鏡で見えることが多いポリープです。ほとんどは良性ですが、性交後出血、不正出血、おりものの増加、感染の原因になることがあります。

外来で切除できることが多く、切除した組織は病理検査に提出して、良性かどうかを確認します。大きい、茎が太い、根元が見えない、妊娠中などの場合は、切除時期や方法を個別に判断します。

子宮内膜ポリープ

子宮の内側を覆う子宮内膜が部分的に盛り上がったものです。不正出血、過多月経、貧血、不妊の原因になることがありますが、症状がなく超音波で偶然見つかることもあります。

子宮内膜ポリープで行う可能性がある検査

  • 経腟超音波
  • 月経終了後の超音波再検査
  • 子宮内へ生理食塩水を入れて行う超音波検査
  • 子宮鏡検査
  • 子宮内膜細胞診・組織診

不正出血がある、閉経後に見つかった、子宮内膜が厚い、妊娠を希望している、画像が典型的でない場合などは、子宮鏡下切除や子宮内膜の病理検査を検討します。

閉経後の出血を「ポリープがあるから」と自己判断しないことが重要です。子宮体がんや子宮内膜異型増殖症などを除外するため、子宮内膜検査が必要になる場合があります。

5.健診で貧血を指摘された場合

貧血とは、血液中のヘモグロビンが少なくなり、全身へ十分な酸素を運びにくくなった状態です。月経のある女性では鉄欠乏性貧血が多く、過多月経が主な原因になっていることがあります。[4]

一方、貧血の原因は月経だけではありません。消化管出血、胃腸からの鉄の吸収低下、食事不足、妊娠、慢性炎症、腎臓病、血液の病気などでも起こります。

受診後に行う可能性がある血液検査

  • 血算:ヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリットなど
  • MCV・MCH:赤血球の大きさや含まれるヘモグロビン量
  • フェリチン:体内に蓄えられている鉄の量
  • 血清鉄・総鉄結合能・トランスフェリン飽和度:鉄欠乏の状態を詳しく確認
  • 必要に応じて:ビタミンB12、葉酸、腎機能、炎症反応など

過多月経がある場合の婦人科検査

次のような症状がある場合は、鉄剤を飲むだけでなく、出血が多い原因を調べる必要があります。

  • ナプキンを1~2時間ごとに交換する
  • 夜用ナプキンでも漏れる
  • 大きな血の塊が繰り返し出る
  • 月経が8日以上続く
  • 月経のたびに動悸、息切れ、強い倦怠感がある

婦人科では、超音波検査で子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜の異常などを確認します。年齢や出血状況によっては、子宮頸部細胞診や子宮内膜検査を追加します。

鉄剤でヘモグロビンが改善しても、過多月経が続けば貧血を繰り返します。鉄を補う治療と同時に、出血量を減らす治療を検討することが大切です。

女性の鉄欠乏性貧血と過多月経について詳しく見る

健診結果を待たず、早急な受診が必要な症状

次のような症状がある場合は、通常の精密検査予約を待たず、当日中の受診や救急受診を検討してください。

  • 1時間前後でナプキンがいっぱいになる出血が続く
  • 出血に伴って、めまい、冷や汗、失神しそうな感覚がある
  • 安静にしていても息苦しい、胸が痛い、動悸が強い
  • 突然の強い下腹部痛、特に吐き気・嘔吐を伴う
  • 妊娠の可能性があり、腹痛や出血がある
  • 閉経後にまとまった出血がある
  • 発熱、強い腹痛、悪臭のあるおりものがある

精密検査を受けた後の対応

精密検査後の対応は、主に次のいずれかになります。

  • 異常なしとして通常の健診へ戻る
  • 一定期間後に再検査を行う
  • 定期的な経過観察を続ける
  • 薬による治療を開始する
  • ポリープ切除など外来処置を行う
  • MRIや子宮鏡など、追加の検査を行う
  • 手術・入院検査が可能な医療機関へ紹介する

「経過観察」は「何もしなくてよい」という意味ではありません。次回の検査時期を確認し、忘れずに受診することが重要です。

健診異常についてよくある質問

Q. 健診で異常と言われたら、がんということですか?

いいえ。健診は病気を確定する検査ではなく、詳しい検査が必要な方を見つけるための検査です。良性疾患や一時的な変化も多いため、精密検査で確認します。

Q. 症状がなくても受診した方がよいですか?

はい。子宮頸部の前がん病変、卵巣腫瘍、貧血などは、初期には自覚症状がないことがあります。結果票に書かれた受診時期に従ってください。

Q. 生理中でも受診できますか?

診察や超音波検査は可能な場合がありますが、出血量が多いと細胞診、コルポスコピー、子宮内膜検査などが行いにくいことがあります。予約時に検査内容をご確認ください。大量出血や強い痛みがある場合は、生理中でも受診を延期しないでください。

Q. 健診結果だけ持参すればよいですか?

今回の結果票に加え、過去の健診結果、画像データ、お薬手帳があればお持ちください。月経周期、出血量、最終月経、妊娠希望なども診断の参考になります。

Q. 精密検査は保険診療になりますか?

健診で指摘された異常について診察・精密検査を行う場合は、通常は保険診療の対象になります。ただし、検査内容や制度によって異なるため、結果票を受付でご提示ください。

横浜駅近くで健診後の精密検査をご希望の方へ

ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~では、健診結果を確認し、細胞診・HPV検査、コルポスコピー・組織診、超音波検査、血液検査など、結果に応じた検査をご提案します。

MRI、子宮鏡下手術、卵巣腫瘍の手術などが必要な場合は、対応可能な専門医療機関へご紹介します。

横浜駅から徒歩6分、女性医師が診察します。ご予約時に「健診で異常を指摘された」「精密検査を希望」とお伝えいただき、健診結果票をご持参ください。

診療時間・WEB予約はこちら
予約専用電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年11月2日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・検査・治療に代わるものではありません。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス.子宮頸がん検診について.
  2. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.
  3. 日本産婦人科医会.子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ.
  4. 厚生労働省.働く女性の心とからだの応援サイト:貧血.