健診で「子宮筋腫があるかもしれない」と言われたら|受診時期・検査・治療

 

健診で「子宮筋腫の疑い」「筋腫様子宮」と言われても、すぐに手術が必要という意味ではありません。子宮筋腫は子宮の筋肉からできる良性腫瘍で、症状がなく、健診で偶然見つかることも多い病気です。症状や大きさ、位置によっては、治療をせず定期的な経過観察だけでよい場合があります。[1]

 

ただし、「内診で子宮が大きく触れたため疑われた」のか、「超音波検査で筋腫らしいしこりが見えた」のかによって、結果の確かさが異なります。初めて指摘された場合は結果票を持参し、婦人科で一度、経腟超音波などによる確認を受けましょう。

 

いつ婦人科を受診すればよい?

健診結果・症状 受診時期の一般的な目安
内診だけで「筋腫の疑い」「筋腫様子宮」 緊急性がなくても先延ばしにせず、数週間から1~2か月程度を目安に婦人科で超音波検査を受ける
超音波で小さな筋腫を指摘、症状なし 結果票に記載された時期に受診。時期の指定がなければ、一度婦人科で今後の観察間隔を確認する
「要精密検査」、大きい、複数、増大傾向 結果を受け取ったら早めに予約し、画像の再確認やMRIの必要性を相談する
過多月経、生理痛、貧血症状、圧迫症状がある 次回健診を待たず、早めに受診する
大量出血、失神しそう、突然の強い腹痛 通常の予約を待たず、当日中の受診や救急受診を検討する

※受診時期は一律ではありません。健診結果に「至急」「要精査」などの指示がある場合は、その指示を優先してください。

「子宮筋腫の疑い」「筋腫様子宮」とは?

健診の婦人科項目には、子宮頸がん検診、内診、超音波検査などがあります。すべての健診に超音波検査が含まれているわけではありません。

内診で指摘された場合

内診では、腟側とおなか側から子宮の大きさ、形、硬さ、動きなどを確認します。子宮が大きい、表面に凹凸があると感じられた場合に、「子宮筋腫の疑い」「筋腫様子宮」と記載されることがあります。

内診だけでは、筋腫の有無・場所・大きさを確定できません。実際には筋腫が見つからない場合や、子宮腺筋症、卵巣腫瘍など別の状態が見つかることもあるため、超音波で確認します。

超音波検査で指摘された場合

超音波では、筋腫の場所、大きさ、個数、子宮内腔の変形、卵巣の状態などを確認できます。ただし、大きな筋腫や筋腫が多数ある場合、子宮腺筋症との区別が難しい場合、画像が典型的でない場合などは、MRIを追加することがあります。

子宮頸がん検診の細胞診が正常でも、子宮筋腫がないという意味ではありません。子宮頸がん検診と子宮筋腫を調べる検査は目的が異なります。

子宮筋腫とは

子宮筋腫は、子宮を構成する平滑筋から発生する良性腫瘍です。1個だけの場合も、大小さまざまな筋腫が複数できる場合もあります。症状は、筋腫の大きさだけでなく、できた場所や個数によって大きく異なります。

種類 できる場所 起こりやすい症状・特徴
粘膜下筋腫 子宮の内側へ向かって突出する 小さくても過多月経、不正出血、貧血、不妊などの原因になりやすい
筋層内筋腫 子宮の筋肉の中にできる 大きさや位置により、過多月経、生理痛、子宮内腔の変形、圧迫症状などが起こる
漿膜下筋腫 子宮の外側へ向かって発育する 月経症状は出にくいが、大きくなると頻尿、便秘、腹部膨満感などが起こる

「何cmなら手術」という大きさだけの基準では決まりません。小さな粘膜下筋腫が強い過多月経を起こす一方、大きめの漿膜下筋腫でも症状がほとんどないことがあります。年齢、症状、増大の程度、妊娠希望も含めて判断します。[2]

子宮筋腫でみられる症状

  • 月経量が多い、レバー状の血の塊が出る
  • 月経が8日以上続くなど、出血期間が長い
  • 生理痛が強い
  • 月経以外の不正出血
  • 鉄欠乏性貧血による疲れやすさ、動悸、息切れ、めまい、頭痛
  • 下腹部の張り、しこり、腰痛
  • 頻尿、排尿しにくい、便秘
  • 性交時痛
  • 不妊、流産・早産などへの影響

これらの症状は、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、排卵の乱れ、子宮体がんなどでも起こります。「筋腫があるから出血の原因はすべて筋腫」とは限らないため、年齢と症状に応じてほかの原因も確認します。

早めの受診・救急受診が必要な症状

  • 短時間でナプキンがいっぱいになる出血が続く
  • 立ちくらみ、動悸、息切れ、胸痛、意識が遠のく感じがある
  • 突然、今までにない強い下腹部痛が起きた
  • 発熱、悪臭のあるおりもの、強い腹痛を伴う
  • 閉経後に出血した
  • 閉経後に子宮・腹部のしこりが大きくなっていると言われた

大量出血や循環不全が疑われる症状、突然の激痛がある場合は、通常の外来予約を待たず救急受診を検討してください。

婦人科ではどのような検査をしますか?

検査 分かること
問診 月経量・期間、痛み、貧血症状、妊娠希望、過去の画像との変化、服用薬など
内診 子宮の大きさ、形、硬さ、可動性、圧痛など
経腟超音波検査 筋腫の場所・大きさ・個数、子宮内腔の変形、子宮内膜、卵巣の状態
経腹超音波検査 性交経験がない方、経腟検査を希望しない方、大きな腫瘤を広く確認したい場合などに行う
血液検査 過多月経がある場合の貧血、鉄欠乏の程度など
MRI 大きい・多発している、場所が分かりにくい、腺筋症や卵巣腫瘍との鑑別、手術計画など
子宮鏡検査など 粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなど、子宮内腔の病変を詳しく確認する

子宮筋腫の診断では、まず内診と超音波検査を行い、必要に応じてMRIなどを追加します。[1]腫瘍マーカーは、数値だけで子宮筋腫と子宮肉腫を区別できる検査ではありません。他の病気が疑われる場合に補助的に測定することはありますが、全員に必要な検査ではありません。

治療せず経過観察でよいのはどんな場合?

次の条件では、すぐに治療せず経過観察になることがあります。

  • 過多月経、生理痛、圧迫症状などがない
  • 貧血がない
  • 画像が典型的な子宮筋腫である
  • 大きさや個数が生活・妊娠に影響しにくい
  • 短期間で明らかに増大していない

経過観察の間隔に、すべての方に共通する一律の決まりはありません。初めて見つかったか、過去の画像と比較できるか、年齢、閉経までの期間、妊娠希望、症状、大きさ、増大傾向などから決めます。「治療しない」ことと「放置する」ことは異なるため、医師から案内された時期に超音波検査を受けてください。

月経量、月経日数、鎮痛薬の使用回数、血の塊、めまい・息切れなどを記録しておくと、変化を判断しやすくなります。

子宮筋腫の治療を考える目安

  • 過多月経や貧血がある
  • 生理痛や骨盤痛が日常生活を妨げている
  • 頻尿、排尿困難、便秘などの圧迫症状がある
  • 不妊・流産などへの影響が疑われる
  • 子宮内腔が変形している
  • 大きい、数が多い、増大傾向がある
  • 子宮筋腫として典型的でなく、ほかの腫瘍との鑑別が必要

治療の目的は、「筋腫があるから取り除く」ことではなく、出血・痛み・貧血・圧迫症状を改善し、必要に応じて妊娠しやすい子宮環境を整えることです。

子宮筋腫の薬物療法

治療 主な目的 注意点
鉄剤 鉄欠乏性貧血を改善する 出血の原因自体を治療する薬ではない
トラネキサム酸 月経量を減らす 血栓症リスクや既往、併用薬を確認する
NSAIDs 生理痛を軽くする 胃腸障害、腎疾患、喘息、妊娠可能性などに注意する
LEP・低用量ピル 月経量や生理痛を軽くする 筋腫をなくす薬ではない。血栓症リスクなどから適否を判断する
ミレーナ(LNG-IUS) 子宮内膜を薄くし、過多月経と生理痛を軽くする 子宮内腔の変形が強い場合は挿入困難、位置ずれ・脱出の可能性がある
GnRHアゴニスト・アンタゴニスト 一時的に月経を止め、筋腫を縮小させる 更年期様症状や骨量低下などがあり、使用期間・使い方に制限がある。中止後は再増大し得る

薬物療法の多くは、症状を抑える、または筋腫を一時的に小さくする治療です。筋腫そのものを完全になくす薬ではありません。年齢、血栓症リスク、妊娠希望、子宮内腔の形、閉経までの期間に合わせて選びます。[1][3]

手術・処置による治療

方法 特徴 主な対象
子宮鏡下筋腫摘出術 腟から子宮鏡を入れ、子宮内腔へ突出した筋腫を切除する 一定の大きさ・突出度の粘膜下筋腫
子宮筋腫核出術 筋腫だけを摘出し、子宮を残す。開腹・腹腔鏡などがある 妊娠希望がある方、子宮温存を希望する方
子宮全摘術 再発しない根治的治療。卵巣を残せる場合は、直ちに閉経するわけではない 妊娠希望がなく、症状が強い、多発・巨大筋腫など
子宮動脈塞栓術(UAE) 筋腫への血流を減らして縮小させる。疼痛、感染、卵巣機能への影響などがある 手術以外の子宮温存治療を希望する場合などに専門施設で検討
子宮内膜焼灼術 子宮内膜を処置して過多月経を軽くする。筋腫自体を除去する治療ではない 今後妊娠を希望しない方の一部

手術方法は、筋腫の場所・大きさ・個数、過去の手術歴、年齢、妊娠希望などで変わります。子宮を残す治療では、新しい筋腫ができる、残っていた小さな筋腫が大きくなるなど、再発・再治療の可能性があります。

妊娠を希望する場合の考え方

子宮筋腫があるだけで、必ず妊娠しにくくなるわけではありません。妊娠への影響は、とくに子宮内腔を変形させる粘膜下筋腫や一部の筋層内筋腫で問題になりやすく、漿膜下筋腫は影響が少ないことが多いと考えられます。

妊娠希望がある場合は、次の点を確認して手術の要否を考えます。

  • 子宮内腔が変形しているか
  • 筋腫の場所、大きさ、個数
  • 過多月経・貧血・痛みがあるか
  • 流産・早産など、過去の妊娠への影響があったか
  • 年齢と妊娠を希望する時期
  • 排卵、卵管、精液所見など、筋腫以外の不妊原因

妊娠希望がある方でも、大きさだけで一律に手術するわけではありません。反対に、小さくても子宮内腔に突出する筋腫は治療を勧めることがあります。子宮筋腫核出術後は、子宮の回復を待つ期間、妊娠・分娩時の子宮破裂、癒着、帝王切開の必要性なども含めて説明を受けます。[2]

子宮動脈塞栓術後の妊娠例はありますが、妊娠・胎盤・卵巣機能への影響が懸念されるため、将来妊娠を希望する方では第一選択とは限りません。

年齢・妊娠希望による治療選択の目安

状況 考え方
症状がなく、妊娠予定も当面ない 超音波で場所・大きさを確認し、定期的に経過観察する
妊娠は希望するが、すぐではない 子宮内腔への影響と増大傾向を確認し、年齢も踏まえて治療時期を相談する
近いうちに妊娠を希望する 筋腫以外の妊孕性も評価し、妊娠を先に目指すか核出術を行うか個別に判断する
妊娠希望がなく、過多月経・痛みがある 薬物療法、ミレーナ、子宮温存手術、子宮全摘術などを症状と希望に応じて比較する
閉経が近い 閉経後の縮小を見込める場合は、薬で症状を抑えながら手術を避けられることもある
閉経後に増大・出血がある 「筋腫だろう」と経過を見ず、子宮肉腫や子宮体がんなどを含めて早めに精査する

子宮筋腫はがんになりますか?子宮肉腫との違い

子宮筋腫は良性腫瘍で、一般に、もともとある筋腫が子宮肉腫へ変化する病気とは考えられていません。子宮肉腫は筋腫とは別に発生する、まれな悪性腫瘍です。

ただし、子宮平滑筋肉腫などは症状や画像が筋腫と似ており、手術前に完全に区別できないことがあります。次のような場合は、MRIや専門施設での評価を検討します。

  • 画像が典型的な子宮筋腫の所見ではない
  • 閉経後にも腫瘤が大きくなる
  • 短期間で明らかな増大がみられる
  • 閉経後出血、急速な腹部膨満などがある

増大が速いという理由だけで肉腫と診断されるわけではありません。また、腫瘍マーカーだけで良性・悪性を確定することもできません。経過、超音波・MRI所見、年齢、症状などを総合して判断します。[1][4]

受診時に持参・記録しておくとよいもの

  • 健診結果票
  • 超音波画像や画像データ、以前の健診結果があればその資料
  • 月経開始日と終了日
  • 最も多い日のナプキン・タンポンの交換頻度
  • 血の塊の有無
  • 生理痛や鎮痛薬の使用回数
  • めまい、動悸、息切れ、疲れやすさなどの貧血症状
  • 妊娠希望の有無と希望時期
  • 服用中の薬・サプリメント

健診で子宮筋腫を指摘された方のよくある質問

Q. 子宮筋腫が5cmあったら手術ですか?

5cmという大きさだけでは決まりません。場所、個数、症状、増大傾向、年齢、妊娠希望を合わせて判断します。小さな粘膜下筋腫で治療が必要な方も、大きめでも経過観察できる方もいます。

Q. 症状がなければ放置してもよいですか?

治療が不要なことはありますが、初回は超音波で診断を確認し、その後も指示された間隔で大きさや症状の変化を確認します。「経過観察」と「放置」は異なります。

Q. 子宮筋腫があると妊娠できませんか?

筋腫があっても妊娠・出産する方は多くいます。子宮内腔を変形させる筋腫では影響が大きくなることがあるため、場所と大きさを確認し、筋腫以外の不妊原因も含めて判断します。

Q. 閉経すれば筋腫はなくなりますか?

閉経後は女性ホルモンが低下するため、多くの筋腫は小さくなりますが、必ず消失するわけではありません。閉経後に大きくなる、出血する場合は早めの評価が必要です。

Q. 子宮頸がん検診と一緒に筋腫も調べられますか?

子宮頸がん検診の細胞診だけでは、筋腫の有無は分かりません。内診で疑われることはありますが、場所・大きさ・個数を確認するには超音波検査が必要です。

Q. 筋腫があると分かったら、ピルやミレーナは使えませんか?

一律に使えないわけではありません。LEP・低用量ピルは月経量や痛みを減らし、ミレーナは過多月経に有効です。ただし、血栓症リスクや子宮内腔の変形、筋腫の位置によって適さない場合があります。

横浜駅近くで子宮筋腫の精密検査をご希望の方へ

横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~では、女性医師が健診結果を確認し、内診・超音波検査・貧血検査などをご案内します。性交経験がない方や経腟超音波に不安がある方は、検査方法をご相談いただけます。

手術やMRIなどの精密検査が必要と判断した場合は、病状とご希望に合わせて連携医療機関へご紹介します。

WEB予約・診療時間はこちら
お電話:045-440-5577

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月6日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。

参考文献

  1. 日本婦人科腫瘍学会.子宮筋腫.
  2. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ214~CQ216.
  3. National Institute for Health and Care Excellence.Heavy menstrual bleeding: assessment and management(NG88).
  4. 日本婦人科腫瘍学会.子宮肉腫.
  5. American College of Obstetricians and Gynecologists.Uterine Fibroids.