HPVワクチン

HPVは自然に消える?陽性・陰性化・再陽性の正しい意味

子宮頸部のHPV感染は、多くの場合1~2年以内に検査で検出されなくなります。
一方、陰性化が「ウイルスが体内から完全にいなくなった」ことを示すのか、免疫に抑えられて検出限界以下になったことを示すのかは、通常の検査だけでは区別できません。
 
したがって、「HPVは必ず完全に自然排出される」「一度感染したら全員の体内に一生残る」のどちらも断定できません。[1]
 
重要なのは、陽性になった事実だけではなく、ハイリスクHPVが持続しているか、細胞に変化が起きているかを結果に応じた間隔で確認することです。

 
 

HPVは自然に消えますか?

新たに検出されたHPV感染の多くは、免疫によってコントロールされ、2年以内に検査で検出されなくなります。CDCは、ハイリスク型を含む新規HPV感染の90%以上が2年以内に検出不能になると説明しています。[1]

医学文献ではこれを「クリアランス」「消失」と表現することがありますが、実際には次の状態が含まれる可能性があります。

  • 感染した細胞が排除され、検出できなくなった
  • ウイルス量が検査の検出限界より少なくなった
  • 免疫に抑えられ、潜伏に近い状態になった

日常診療で行うHPV検査は、その違いを判定する検査ではありません。そのため、患者さんへの説明では「多くは検査上陰性化するが、完全排除かどうかは断定できない」という表現が適切です。

いったん陰性になったのに再陽性になる理由

HPVが再び陽性になる理由には、新しい感染、以前の感染の再活性化、ウイルス量の変化、検体採取や検査感度の違いなどが考えられます。

再陽性だけから、最近感染した時期や感染相手を特定することはできません。CDCも、HPV検査は初回感染から何年もたって再活性化により陽性になる可能性があると説明しています。HPV陽性は、パートナーの不貞を証明する結果ではありません。[2]

HPV陽性は子宮頸がんという意味ですか?

HPV陽性だけで、子宮頸がんや前がん病変と診断されたわけではありません。HPVは非常にありふれたウイルスで、感染しても多くの方には症状がありません。

子宮頸がんにつながる主な要因は、発がん性のあるハイリスクHPVが長期間持続し、細胞変化が進むことです。WHOは、免疫機能が保たれている場合、異常細胞ががんへ進むまで一般に15~20年かかると説明していますが、免疫状態などによって経過は異なります。[3]

陽性後の適切な追跡によって、がんになる前の病変を見つけて治療することが子宮頸がん予防につながります。

同じHPV陽性でも、検査目的で対応が違います

ASC-US後の精密検査としてHPV陽性

細胞診がASC-USで、追加したハイリスクHPV検査が陽性なら、コルポスコピー・生検を受けます。

横浜市のHPV検査単独法で陽性

横浜市の30~60歳の検診では、HPV陽性の場合、同じ検体で細胞診が行われます。[4][5]

トリアージ細胞診 結果区分 次の対応
異常あり 要確定精検 速やかにコルポスコピー・生検など
異常なし 要追跡検査 1年後にHPV検査

「HPV陽性・細胞診異常なし」は、何もしなくてよいという意味ではありません。1年後の追跡検査で陰性化または持続感染を確認します。

HPVを消す治療薬はありますか?

現在、無症状の子宮頸部HPV感染を確実に排除する標準的な抗ウイルス薬はありません。抗菌薬は細菌に対する薬なので、HPVそのものには効きません。

サプリメント、健康食品、腟洗浄などを使っても、定期検査の代わりにはなりません。治療の対象になるのは、HPV陽性そのものではなく、検査で確認されたCIN2・CIN3などの病変です。

HPV陽性後にできること

  • 通知書に記載された時期の再検査・精密検査を必ず受ける
  • 喫煙している場合は禁煙を検討する
  • 睡眠や栄養など基本的な健康管理を続ける
  • 性交後出血、不正出血、血性帯下があれば予定を待たず受診する
  • HPVワクチン未接種なら、年齢や接種歴に応じて接種の意義を相談する

HPVワクチンは、現在感染している型を治療するワクチンではありませんが、まだ感染していないワクチン対象型を予防できる可能性があります。接種の適否は年齢と接種歴を確認して判断します。

パートナーへの対応

HPVは性器周辺の皮膚・粘膜の接触でも感染するため、コンドームでリスクを下げられても完全には防げません。感染はカップル間で共有されていることが多く、感染源を特定することは通常できません。

無症状の男性に対する一般的なHPVスクリーニング検査は確立していません。いぼ、出血、皮膚・粘膜の異常などがあれば、泌尿器科、皮膚科などへ相談してください。

HPV陽性についてよくある質問

Q. HPV陽性は一生続きますか?

多くは1~2年以内に検査で検出されなくなります。ただし、完全に排除されたのか、検出限界以下で残っているのかは通常の検査では区別できません。

Q. HPV陰性になれば、もう検診は不要ですか?

不要ではありません。陰性後も年齢、検診方式、過去の異常・治療歴に応じた定期検診が必要です。

Q. 数年間性交渉がないのに陽性になりました。なぜですか?

新しい感染だけでなく、以前の感染の再活性化や、以前は検出限界以下だった感染が検出された可能性があります。検査だけで感染時期は分かりません。

Q. HPV陽性なら性行為をしてはいけませんか?

HPV陽性だけを理由に性行為を禁止する標準的な決まりはありません。精密検査後の出血中などは医師の指示に従って控えてください。

Q. HPVの型まで調べた方がよいですか?

型別検査が管理方針の参考になる場合はありますが、必要性は細胞診、組織診、過去の経過によって異なります。型を調べても定期フォローが不要になるわけではありません。

横浜駅近くでHPV陽性後の検査をご希望の方へ

横浜駅から徒歩6分、ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~で女性医師が、HPV検査の目的と細胞診結果を確認し、追跡検査または精密検査をご案内します。

結果票をお手元にご用意のうえ、お電話(045-440-5577)でご予約ください。
予約方法・診療時間はこちら

この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年9月13日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の診断・検査方針に代わるものではありません。

参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention. Chapter 5: Human Papillomavirus. 2026.
  2. Centers for Disease Control and Prevention. Human Papillomavirus (HPV) Infection.
  3. World Health Organization. Cervical cancer. 2026.
  4. 横浜市.子宮頸がん検診 HPV検査.2026年7月確認.
  5. 国立がん研究センターがん対策研究所.HPV検査単独法による子宮頸がん検診.2026.

日付:2026年9月13日  カテゴリー:HPVワクチン

ページの上部へ

ASC-US(アスカス)で「がん」の診断になることはある?【横浜駅近くの婦人科】

「ASC-US(アスカス)」はどういう意味?

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

<<この記事の執筆者>>

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医

ポートサイド女性総合クリニック院長

横浜駅徒歩6分。婦人科診療、ピル外来、月経困難症、PMS、子宮頸がん検診などを専門に診療。

参考文献:日本産科婦人科学会誌・産婦人科診療ガイドライン

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

会社の健診などでうけた子宮頚がん検診の結果で「ASC-US」だった場合、通常は「早めに婦人科を受診しましょう」と書かれています。その後の検査はどうすればよいのか、急いで受診した方がいいのか、気になりますよね。

「ASC-US」は「アスカス」と読みます。

 

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、細胞診(子宮頸がんの検診で行う検査)で「ASC-US」だった場合は

1)すぐに精密検査(コルポスコピー検査+組織診)

2)HPV検査を追加

3)6か月後に再度細胞診検査

のいずれかを行うことになっています。

 

 

当院では、まずHPV検査を行って、「陽性」だった方のみ精密検査を行っています。HPVが陰性であれば、1年後に細胞診を再検査すればよいからです。

HPV検査というのは、HPVの中で子宮頸がんの原因となりうる「ハイリスクタイプ」に感染していないかどうかを調べる検査です。

HPVには100種類以上の「型」があり、そのうち約15種類の「型」が子宮頸がんの原因となります。代表的なのは、16型や18型ですが、31型や52型でも子宮頸がんになることがあります。

 

 

HPVが陽性だと危険?

細胞診がASC-USで、HPVが陽性だった場合、それが直ちに「がんである」という意味ではありません。

HPVがどのくらい悪さをしているのか、細胞の変化がどの程度かを確認するために、精密検査として「組織診」を行います。少しまとまった細胞をかじりとる検査で、多少の痛みと出血を伴います。

 

 

この組織診の結果によって、その後の流れが決まっています。

軽度異形成(CIN1)だった場合→4~6カ月ごとに細胞診を行う

中等度異形成(CIN2)だった場合→3か月ごとに細胞診を行うか治療に進む

高度異形成(CIN3)またはそれ以上だった場合→治療に進む

 

 

「ASC-US」で「がん」になることは?

 

検診で「ASC-US」を指摘された時点で、「これは『がんですよ』という意味なのだろうか」という心配が出てきがちですが、精密検査の結果で返ってくるのはほとんどが軽度異形成~中等度異形成です。

ただ、まれに、細胞診が「ASC-US」だったけれど精密検査では「上皮内癌」だったというケースもあります。

なので、「ASC-US」は「軽い変化の可能性が高いけれど『放置してよい』という意味ではない」と理解していただくのがよいかと思われます。

 

 

検診で何らかの異常を指摘された場合は、ご自身の心身の状態と向かい合う「チャンス」です。そのままにせずに早めに婦人科を受診して適切な検査や治療を受けるようにしましょう。

 

ご予約はこちらから

 

日付:2026年7月19日  カテゴリー:HPVワクチン,子宮頚がん

ページの上部へ

HPVワクチン・シルガード9はいつまで有効?(横浜駅近くの婦人科でワクチン接種可能)

横浜市の公費で子宮頚がんワクチン接種を検討している方へ

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

<<この記事の執筆者>>

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医

ポートサイド女性総合クリニック院長

横浜駅徒歩6分。婦人科診療、ピル外来、月経困難症、PMS、子宮頸がん検診などを専門に診療。

参考文献:日本産科婦人科学会誌・産婦人科診療ガイドライン

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

9価のHPVワクチン「シルガード9」が発売されてから、当院でも延べ600名以上の方が接種してくださっています。

2023年4月以降は、9価ワクチンも公費接種の対象になっていますから、公費が使える年齢の方は無料期間中に9価ワクチンを接種した方がよいですね。

 

ワクチンは、半年かけて3回接種します。公費対象期限が2027年3月までの方は、今年の9月中に1回目の接種をしなければ、無料期限内に3回の接種が完了しません。

短縮バージョンの接種スケジュールにする場合、11月末までに1回目を接種すれば、3月末までに3回の接種が完了できます。対象年齢の方はお急ぎくださいませ。

 

 

子宮頚がんワクチンは何歳まで有効?

公費接種の対象年齢を過ぎても、ワクチンを接種する意味はあるのか?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

HPVワクチンの効果は、HPVに感染する前に接種すれば何歳であっても十分な効果が期待できます。例えば、30歳であってもHPVに一度も感染したことがなければ10代で接種するのと同様の効果を得ることが可能です。つまり、性行為の経験がなければ何歳であってもワクチン接種をする意味があると言えます。

 

 

逆に、性行為の経験があると、接種する意味がなくなるのか?というと、必ずしもそうとは限りません。

海外のデータでは、性行為の経験があっても26歳までは接種が推奨されています。また、別の研究では45歳まではワクチン接種の効果があるというデータもあります。

 

もちろん、性行為開始前に接種した方が、より十分な予防効果が得られますから、年齢は関係なく、現時点でまだ感染リスクがない方は早めに接種しておくことをお勧めします。

ワクチンを接種するかどうか迷っているという方や、副反応や効果についてまずは相談してみたいという方向けに、ワクチン相談外来(自費相談)も設けておりますので、もっと詳しく話を聞きたいという方はよろしかったらご活用ください。

予約専用電話 045-440-5577

 

日付:2026年7月11日  カテゴリー:HPVワクチン

ページの上部へ

子宮頚がんワクチン(HPVワクチン)は受けるべき?

子宮頚がんワクチンの積極的接種勧奨は再開されています

国が一時期」「子宮頸がんワクチンの接種を積極的に推奨しない」といった、中途半端な指針を発表してしまったせいで、いまだに娘さんを持つお母さんも、もしかしたら接種対象であるご本人も混乱してしまっているかもしれませんね。

「子宮頚がんワクチンは受けるべきなのか?」「副反応は大丈夫なのか?」といったことが気になって、知恵袋などで相談していらっしゃる方も見受けられます。

女性の性と健康を守りたいという思いから活動しているいち産婦人科医の立場からも、子宮頸がんのリスクを抱えうる一人の女性という立場からも、そして二人の娘を持つ母親という立場からも、このワクチンの接種を「推奨しない」つもりは全くありません。

私自身の個人的スタンスは、「必要がある人には勧めるけれど強要はしない」という立ち位置です。接種しないという選択に対してあれこれ言うつもりはありません。ただ、その選択の根拠が間違った情報によるものであるとしたら、それは正していきたいと考えています。

 

 

HPVワクチンは何歳で打った方がよい?

また、接種は勧めるけれど急がせるつもりもありません。つまり、11歳や12歳ですぐに接種した方がいいですよ、と言うつもりはありません。

このワクチンの有効性を十分に得ようと思ったら、HPVに感染する前=性交渉を開始する前に接種する必要があります。「性交渉前」という時期が、必ずしも11歳や12歳で終わるわけではないので、例えば16~17歳まで性行動を控えられると思われれば、その時期を待って本人にワクチンの必要性を説明し、接種するかどうかの意思確認をしてもいいわけです。

セックスを待てるのであれば、痛みに敏感な&筋肉が未発達なローティーンで接種しなくても済みます。

私なら娘に、「セックスはとても素晴らしいラブコミュニケーションの方法だけど、お母さん的にはあまり早くからセックスはしてほしくないなと思っているよ。でもすごく好きな相手ができて、もしかしたらセックスするかもしれないと思ったら、その前に知っておくべきことやしておくべき予防があるからちゃんとお話ししようね」と伝えると思います。

ただし、このワクチンが公費(無料)で接種できる年齢の上限は高校1年生ですから、無料接種期間中に接種したい場合は、遅くとも高校1年生の9月には接種を開始する必要があります。

また、シルガード9(9価ワクチン)は、14歳以下で接種を開始すれば2回の接種で済みますので、「注射を打つ回数を減らしたい」という場合は、14歳以下での接種をお勧めします。

 

子宮頚がんワクチンは安全?危ない?

 

そもそも、国が一時的に接種を「推奨しない」とした理由は、ワクチン接種後に原因不明の痛みを訴える人が予想外に多かったから、ということのようですが、実際クリニックで同じワクチンを接種した人の中で、何日も続く強い痛みを訴えたり全身の痛みを訴えた方はいらっしゃいません。
ワクチンの安全性を検証する委員会のメンバーに産婦人科医が1人も含まれておらず、多くが小児科医であったことから推察すると、検討対象となった症例の多くは低年齢の方であった可能性が考えられます。

11歳と18歳では、腕の筋肉の発達具合も違いますし、痛みに対する過敏さも異なります。何より、筋肉注射に慣れていない医療者が打てば、ワクチンの種類に関係なく痛みを訴える人が増える可能性はあり得ます。

同じワクチンが世界100か国以上で認可され、中には大規模に接種をしている国があるにもかかわらず、日本が問題にしている副反応は何も問題になっていません。
なので、ワクチン安全性の検討内容そのものは、多角的に見直す必要があります。。

もちろん、ワクチンで副反応が起きるケースがゼロではありませんから、「100%絶対に安全なワクチンですよ」ということはできません。きちんと副反応によるデメリットもご説明したうえで、最終的には接種するかどうかを決めていただくことになります。
ただ、錯綜している情報に惑わされないで、もう一度このワクチンの必要性について考えてほしいなと思うのです。
私がワクチン接種を勧める理由は次のようなものです。

*10代のうちに性行動を開始しないことを期待するのは現実的ではない
*HPVはいったん感染すると治療はできないので感染前の予防が非常に大事
*9価ワクチンが承認されたので子宮頚がんの原因の89%が予防できる
*副反応の頻度と子宮頸がんの罹患率は比べ物にならないほど副反応が少ない
*日本人の子宮頸がん検診受診率はわずか20%程度で若い人ほど受けていない
*検診で早期発見できない子宮頸がんがありその原因のほとんどがHPV18型
*ワクチン接種することで産婦人科とつながるきっかけを持つことができ検診につなげられる

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

<<この記事の執筆者>>

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医

ポートサイド女性総合クリニック院長

横浜駅徒歩6分。婦人科診療、ピル外来、月経困難症、PMS、子宮頸がん検診などを専門に診療。

参考文献:日本産科婦人科学会誌・産婦人科診療ガイドライン

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

日付:2026年7月4日  カテゴリー:HPVワクチン

ページの上部へ

子宮頸がんワクチンで失神?!

 クリニックでもすでに何人もの方が接種されている子宮頸がんのワクチン(HPVワクチン)ですが、主な副反応は局所=接種したところの腫れや痛みくらいで、重篤な副反応が起きた方はまだいらっしゃいません。
 少し気になる記事を見つけたのですが、少し作為的な記事ですね。
<YOMIURI ONLINEより>
 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用として、気を失う例の多いことが、厚生労働省の調査でわかった。
 接種者の大半が思春期の女子で、このワクチン特有の強い痛みにショックを受け、自律神経のバランスが崩れるのが原因とみられる。転倒して負傷した例もあるという。同省は「痛みを知ったうえで接種を受け、30分程度は医療機関にとどまって様子を見るなど、注意してほしい」と呼びかけている。
 子宮頸がんワクチンは、肩近くの筋肉に注射するため、皮下注射をする他の感染症の予防接種より痛みが強い。昨年12月以降、推計40万人が接種を受けたが、10月末現在の副作用の報告は81人。最も多いのが失神・意識消失の21件で、失神寸前の状態になった例も2件あった。その他は発熱(11件)、注射した部分の痛み(9件)、頭痛(7件)などだった。

 「気を失う例が多い」と書いてありますが、実際の発生件数からするとその確率は0.005%なので「非常にまれ」と言える頻度です。
 副反応全体の頻度が0.02%ですから、ワクチンによる副反応自体がとても少ないと言えます。
 接種によって気を失うのは、痛みによって「迷走神経反射」という反射が起きて血圧が下がってしまうためと考えられます。
 電車で立っていたら急に立ちくらみのように気分が悪くなったり、朝礼などで「クラッ」となるのと同じ状態です。 
 命に関わる症状ではありませんし、横になって少し休めばすぐに血圧が戻って回復します。
 筋肉注射に限らず、普通の採血や注射でも同じように気分が悪くなる方はいらっしゃいますから、この症状は「子宮頸がんワクチン」だから起きるものではないんですね。
 子宮頸がんワクチンは、接種すると不妊になるとか死亡例もあるくらい危険なものだといった間違った情報が流れてしまう事もあるようですが、こういった情報に惑わされないようにしていただきたいなと思います。
 ワクチンで不妊になることはありませんし、ワクチンそのものが原因で死亡する事もありません。
 海外で報告されているワクチン接種後の死亡例の「直接死因」は、事故や自殺など明らかにワクチンとは全く関係ないものばかりですのでご安心下さいね。

日付:2010年12月29日  カテゴリー:HPVワクチン

ページの上部へ

HPVワクチン公費助成についての誤解

 HPVワクチンの公費助成は、各自治体任せになってしまっているため、住んでいる地域によって無料でワクチン接種できる人と全額自己負担しなければいけない人と格差が生じてしまっているのが現状です。
 最近は、「もう少し待てば自分の居住地域でも公費負担になるかも・・・」と期待して接種のタイミングを見計らっているという声も耳にするのですが、実際は待っても意味がないご年齢の方たちが接種を先延ばしにしてしまっている可能性があります。
 HPVワクチンは、性交経験前に接種しなければ十分な効果が期待できないという事から、公費負担の対象になるのは明らかに性交経験前の年齢の方に限られます。
 何歳を対象にするかは各自治体によって異なりますが、海外の事例を参考に12~13歳が対象になっていることがほとんどです。
 なので、少なくとも現段階で16歳以上の方が公費負担になるのを待っても、年齢的に対象外になってしまう可能性が非常に高いと言えます。
 助成のシステムを自治体任せにせず、国が基準を統一していっせいに集団接種してくれれば分かりやすいのですが、おそらくしばらくはこのまま各自治体の自主性に委ねられてしまうでしょう。
 
 来年発売の4価ワクチンとどちらを選択するか、といった問題も出てくるので、この先半年くらいの間に性行動開始の可能性がなければ接種はしばらく見合わせてみてもいいと思います。
 逆に、16歳以上ですでに性交経験がある方は、公費負担になるのを待って接種を先延ばししたりせず、感染リスクが高くなる前に接種しておいた方が賢明と言えるでしょう。

日付:2010年11月17日  カテゴリー:HPVワクチン,日々の雑記

ページの上部へ

HPVワクチンとピルで女性の健康サポート

 今日は生涯を通して女性の健康を考える「ウィミンズヘルスフォーラム」に出席です。
 低用量ピルによる女性の健康サポートやHPVワクチンの可能性について、おなじみの先生方から新情報を収集してきました。
 HPVワクチンについては、お母様が娘さんを連れて産婦人科を訪れて下さるいいきっかけになるということで、ワクチンによる子宮頸がん予防以上の様々な可能性があるとのことでした。
 確かに、「産婦人科は妊娠したら行くところ」という昔のイメージを払拭したいと思っている私たちにとって、ワクチンが母から娘に「かかりつけ産婦人科医」を紹介するいいツールになることが期待されます。
 お話の中で、来年中には発売される予定の4価HPVワクチンについても触れられていました。
 4価というのは、予防できるHPVの種類が6型・11型・16型・18型の4種類という意味です。今発売されているHPVワクチン(サーバリックス)は、HPV16型・18型の2種類なので2価ワクチンといいます。
 4価ワクチンと2価ワクチンの違いは、子宮頸がんの予防効果はほぼ同じですが、4価の方が6型と11型を予防できるので、これらが原因となる尖圭コンジローマや再発性呼吸器乳頭腫症の予防もできるという点です。
 コンジローマは性感染症の一種で、一度かかると何度も再発する事があり、男女ともにセクシャルヘルスのQOLを非常に落としてしまう厄介な病気です。
 再発性呼吸器乳頭腫症は、主に母子感染によって乳幼児に発症する喉にできるイボです。空気の通り道にイボができてしまうので手術が必要なのですが、何度も再発するため10回以上手術を繰り返す事も珍しくありません。
 コンジローマにかかった妊婦さんから産まれる赤ちゃんが、この再発性呼吸器乳頭腫症になるリスクは、感染していない妊婦さんと比べると230倍になるといわれています。つまり、若い頃にコンジローマを予防する事が、自分の子どもの病気の予防にもなるという事です。
 今までは、4価ワクチンの認可も発売もいつになるのか分からない状態でしたので、子宮頸がんの予防を急ぐ人は2価ワクチンを接種するしかありませんでした。
 まだ4価ワクチンの発売日は未定ですが、「来年中」という事はある程度固まってきたため、この先半年~1年以内に性行動の開始の可能性がない場合は4価ワクチンの発売を待った方が予防できる病気の範囲は広がります。
 すでに性交経験済みの方や、半年も待てない!という方は、やはり今すぐ接種できる2価ワクチンを接種するしかないのですが・・・
 10代の方にワクチン接種を考える場合は、今すぐ2価ワクチンを打つか、4価ワクチンが発売されるまで待つか、性行動開始のタイミングを加味して考える必要がありますね。

日付:2010年11月14日  カテゴリー:HPVワクチン,日々の雑記

ページの上部へ

HPVワクチンとは

 HPVはヒトパピローマウイルスの略で、約100種類の「型」に分類されています。このうち、子宮頸がんの組織から見つかっている「型」がいくつかあり、それらを「ハイリスクタイプ」と言って他の型とは分けて扱っているんですね。主なハイリスクタイプは、16型・18型・31型・45型・52型・58型などです。

 昨年末に発売されたHPVワクチン(サーバリックス)は、これらのハイリスクタイプHPVのうち、16型と18型の2種類のみを予防するワクチンです。きちんと接種すれば少なくとも7年はほぼ100%の予防効果が期待できることが確認されています。これは、7年しか予防効果がないということではなくて、確実に予防できていると追跡調査できた期間が7年までという意味で、実際はほぼ一生予防効果は持続すると予測されています。

 16型と18型が原因となっているケースが最も多く、子宮頸がんの約6割はこの2つのどちらかが関わっています。つまり、ワクチンによってこの2種類がブロックできれば、子宮頸がんのリスクを6割減らせるということです。ただし、ワクチンを打っても残りの4割はブロックできませんから、子宮頸がんになるリスクが「ゼロ」になるわけではありません。ワクチンを接種しても子宮がん検診は必ず受けるようにしてくださいね。

 ワクチンが最も有効なのは、HPVに感染する前つまり性交渉を始める前です。なので、10代の性交経験前の女性が最優先対象となります。病院でも、「私はもう打っても意味がないかもしれないけれど、娘に打っておきたいので」とパンフレットを持っていかれる患者さんも結構いらっしゃいます。

 性交経験後であってもHPVの16型や18型に感染していなければワクチンの意味は十分にありますし、20代や30代でも効果が期待できないわけではありません。ただ、性交開始からの年数が長ければ長いほど、HPVに感染している可能性は高くなりますから、年齢とともに効果が下がってしまうということなんですね。

 接種前のHPV検査は不要となっていますが、どうしても気になるようであればHPVに感染しているかどうかを事前に確認するための検査は可能です。ただしこの検査は保険がききませんので、自費になってしまうんですね。個人的には、子宮がん検診で異常が出ていないのであれば、HPV検査はしなくてもいいのではないかと思います。
 ワクチンの値段は、大体1回18000円~20000円くらいになります。全部で3回の接種が必要なので、3回分まとめて50000円くらいにしている病院もありますね。ワクチンも自費ですので病院によって値段が異なります。料金については事前に確認しておくといいかもしれません。

日付:2010年5月20日  カテゴリー:HPVワクチン,女性検診

ページの上部へ