横浜 婦人科 ポートサイド女性総合クリニック ~ビバリータ~

HPVワクチン

17.10.12 子宮頸がんワクチンの「被害者」であり続けるデメリット

  前々回の記事で、子宮頸がんワクチンのせいで歩けなくなった・勉強ができなくなったなどの多彩な症状を訴えている状態が、実はワクチンとの因果関係はないといことをご説明しました。「ワクチンのせいではありません」と言うと、症状が出ている方がかわいそうではないかという声も聞こえてきます。でも、本当はワクチンは関係ない症状に対して「ワクチンのせいである」という思い込みを持ち続けることの方が、患者様ご本人のためにならないのです。
 現在「被害者の会」という立場で、主に接種した本人ではなくその親が中心となって「この症状はワクチンのせいであると認めろ」という訴えを起こしています。しかし、前述の通り因果関係はありませんので、おそらく国も製薬会社もその訴えを認めないでしょう。そうすると、「ワクチンのせいであると認めさせる」ために、現在出ている症状が改善しないという事態が起きてくるのです。なぜなら、症状がなくなったら訴え続けることができなくなるからです。ワクチンのせいにし続けるためには、「症状がある方がメリットがある」状態になってしまっています。しかも、症状が出ている本人と、訴えている人が異なるため、代理ミュンヒハウゼン症候群とよく似た親子関係になっていく可能性があります。

 これは、心理技術的アプローチで解析すれば、ごく単純なからくりです。被害者の会の方たちにとっては、被害者であり続けることに意味がある、という状態になってしまっているのです。なので、本来は症状が出て苦しんでいるご本人が一日も早く回復して元気になることが大切であるはずなのに、「ワクチンのせいである」と認めてもらうことが第一目標にすり替わってしまっています。「ワクチンのせいである」と言い続ければ言い続けるほど、症状は治らないということになってしまうのです。
 また、「ワクチンのせいである」つまり、自分の責任ではなく誰かまたは何かの責任であると解釈することを「他者原因」と言いますが、病気は他者原因のままでい続けると治りません。また、ワクチンのせいにし続けるということは、そのワクチンを接種させた誰かまたは自分を責め続けることになります。「罪悪感」を持ち続けることも、前に進むことを阻む大きな足かせになります。「罪悪感は正義の仮面をかぶってやってくる」と言います。罪悪感を持ち続けると、まるで問題解決に向けて一生懸命になっているような錯覚に陥るのです。実際は、罪悪感は本来の問題から目をそらすための隠れ蓑にしかなりません。

 このように、本当はワクチンのせいではない症状に対して、「ワクチンの被害者」という立場をとり続けることに、患者様ご本人対するメリットは何もないのです。
 私が、ワクチンの副反応に対する「でっち上げ」を見て一番気になったのはこの点でした。このままでは「被害者」扱いされている方たちがいつまでたっても救われない。自ら治る力までも奪われてしまう。それどころか、何の根拠もない治療を色々試されて、さらに「病人」に仕立て上げられてしまう。そう感じています。
 症状が出ている方にとって最も大事なことは何なのか、もう一度ニュートラルな立場に立って考えてみる必要があるのではないでしょうか。

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17.10.10 「子宮頸がんワクチンで不妊になる」はウソ!

 前回の記事で、「副反応だ!」と騒がれている症状が実は子宮頸がんワクチンのせいで引き起こされるものではないということはご理解いただけたと思います。
 これ以外にも、子宮頸がんワクチンが広く広まるのを阻んでいると思われる、いくつかの「デマ」があるのです。

 例えば、最近見かけるようになったのが、このワクチンが「劇薬」に分類されていることを強調した「反対論」。ワクチンの添付文書の画像を貼り付けて、「劇薬」と書かれていることを指摘して「こんな危険な薬です」と訴えているわけですが、薬剤の分類つまりどんな薬品を「劇薬」とするかは明確な定義があります。なので、その定義に当てはまればどんな薬品も「劇薬」なのです。
 例えば、心臓の病気などの時に使う「ジゴキシン」という薬の添付文書を見れば、子宮頸がんワクチンと同じように「劇薬」の文字が印字されています。でも、この薬によって病気が改善している人もいます。投与量を間違えば、危険な症状が出る可能性もあります。だから「劇薬」と分類して医療者側が取り扱いに注意しましょうと促しているわけです。「劇薬」は、必ずしも「人体に害を及ぼす危険な薬」といういうわけではなく、使い方に注意が必要な薬剤であることを示しているのです。

 また、以前から医学的には何の根拠もないなと感じながらも、あまりにもよく目にする「反対論」が「子宮頸がんワクチンで不妊になる」というデマです。こんな意味不明の指摘が出てしまった大元は、南出喜久治氏のYouTube動画「サーバリックス子宮頸がんワクチンによる民族浄化/弁護士 南出喜久治」なのだそうです。ワクチンに含まれている「アジュバント」という成分が、動物の避妊治療(去勢)に使われる薬剤にも含まれているので、子宮頸がんワクチンは「不妊にさせるワクチンだ」というこじつけ論が展開されているのです。
 「アジュバント」は多くのワクチンに含まれている成分です。これは、ワクチンの効果を賦活化(少量でも効きやすくする)するために、ワクチンとしての有効成分と合わせて配合されるものです。子宮頸がんワクチンは、HPVというウイルスに対する免疫抗体を作るためのものです。なので、この抗体を作りやすくして、なおかつ定着しやすくする目的で「アジュバント」が入っています。一方、避妊用のワクチンには「妊娠しなくするための成分」が入っており、その作用をサポートするために「アジュバント」が一緒に含まれています。要するに「アジュバント」が避妊効果を発揮するのではなく、あくまで「妊娠しなくするための成分」の作用をアジュバントが増強しているに過ぎないのです。子宮頸がんワクチンには、そもそも妊娠しにくくなる成分など入っていませんから、それがアジュバントを加えたからと言って「不妊になる」わけではありません。
 おかしなデマのからくりがご理解いただけましたか?

 ワクチン接種後の妊娠率については、接種した人と接種していない人で差がないというデータは出ています。もちろん、日本では接種開始後の年数が短いので、妊娠に対する影響について「日本人だけで」とったデータはまだありませんが、世界中で同じような内容の研究はされており、妊娠に対しては何も影響がなことがハッキリしています。
 また、デンマークのコホート研究では、妊娠中にこのワクチンを接種した場合の安全性について研究したデータがあります。主要な先天性異常・自然流産・早産・死産・低体重出征・発育不全などの項目について、ワクチン接種した人と接種していない人を比較した結果、両者に有意な差はなかった、つまり妊娠転機にリスクの変化はないという結論が出ています。
 詳細を知りたい方は、論文を参照してくださいね。
 N Engl J Med 2017;376:1223-1233

 このように、子宮頸がんワクチンを「危険なものである」と指摘する理論は、いずれも医学的には根拠がなかったり単なるこじつけだったりします。ネットや雑誌に載っているこれらのデマをうのみにして、本来予防できるはずのがんを予防しないことが賢明な選択なのかどうかは、各自がしっかり考えるべきだと思います。
 「子宮頸がんワクチンで不妊になる」よりも、子宮頸がんになって子宮を失う方がよほど確実に妊娠の機会を失います。私は少なくとも、自分の娘にそのような思いはさせたくないと考えます。

 どの情報が正しいのか、誰が言っているのかが正しいのかよりも、どのような選択をすることがトータルで見た時に「すべての女性の健康サポート」につながるのかを考えてこれらの情報をお伝えしています。
 あなたや大切な人の未来を守るお役に立てていただければ幸いです。

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13.06.24 子宮頸がんワクチンは打つべき?

 国が「子宮頸がんワクチンの接種を積極的に推奨しない」なんて、中途半端な指針を発表してしまったせいで、現場も娘さんを持つお母さんも混乱してしまってるようですが。
 女性の性と健康を守りたいという思いから活動しているいち産婦人科医の立場からも、子宮頸がんのリスクを抱えうる一人の女性という立場からも、そして二人の娘を持つ(お腹の中の子も含めて)母親という立場からも、このワクチンの接種を「推奨しない」つもりは全くありません。
 私自身の個人的スタンスは、「必要がある人には勧めるけれど強要はしない」という立ち位置です。接種しないという選択に対してあれこれ言うつもりはありません。ただ、その選択の根拠が間違った情報によるものであるとしたら、それは正していきたいと考えています。

 また、接種は勧めるけれど急がせるつもりもありません。つまり、11歳や12歳ですぐに接種した方がいいですよ、と言うつもりはありません。このワクチンの有効性を十分に得ようと思ったら、HPVに感染する前=性交渉を開始する前に接種する必要があります。「性交渉前」という時期が、必ずしも11歳や12歳で終わるわけではないので、例えば16~17歳まで性行動を控えられると思われれば、その時期を待って本人にワクチンの必要性を説明し、接種するかどうかの意思確認をしてもいいわけです。セックスを待てるのであれば、痛みに敏感な&筋肉が未発達なローティーンで接種しなくても済みます。
 私なら娘に、「セックスはとても素晴らしいラブコミュニケーションの方法だけど、お母さん的にはあまり早くからセックスはしてほしくないなと思っているよ。でもすごく好きな相手ができて、もしかしたらセックスするかもしれないと思ったら、その前に知っておくべきことやしておくべき予防があるからちゃんとお話ししようね」と伝えると思います。

 そもそも、今回国が「推奨しない」とした理由は、ワクチン接種後に原因不明の痛みを訴える人が予想外に多かったから、ということのようですが、実際クリニックで同じワクチンを接種した人の中で、何日も続く強い痛みを訴えたり全身の痛みを訴えた方はいらっしゃいません。
 ワクチンの安全性を検証する委員会のメンバーに産婦人科医が1人も含まれておらず、多くが小児科医であったことから推察すると、検討対象となった症例の多くは低年齢の方であった可能性が考えられます。11歳と18歳では、腕の筋肉の発達具合も違いますし、痛みに対する過敏さも異なります。何より、筋肉注射に慣れていない医療者が打てば、ワクチンの種類に関係なく痛みを訴える人が増える可能性はあり得ます。

 同じワクチンが世界100か国以上で認可され、中には大規模に接種をしている国があるにもかかわらず、日本が問題にしている副反応は何も問題になっていません。
 なので、個人的には今回のワクチン安全性の検討の内容そのものに疑問を持たずにはいられません。

 もちろん、ワクチンで副反応が起きるケースがゼロではありませんから、「100%絶対に安全なワクチンですよ」ということはできません。きちんと副反応によるデメリットもご説明したうえで、最終的には接種するかどうかを決めていただくことになります。
 ただ、錯綜している情報に惑わされないで、もう一度このワクチンの必要性について考えてほしいなと思うのです。
 私がワクチン接種を勧める理由は次のようなものです。

 *10代のうちに性行動を開始しないことを期待するのは現実的ではない
 *HPVはいったん感染すると治療はできないので感染前の予防が非常に大事
 *ワクチンの効果は16型・18型だけでなく他の型にも有効性が確認されている
 *副反応の出現頻度と子宮頸がんの罹患率は比べ物にならないほど副反応が少ない
 *日本人の子宮頸がん検診受診率はわずか20%程度で若い人ほど受けていない
 *検診で早期発見できない子宮頸がんがありその原因のほとんどがHPV18型
 *ワクチン接種することで産婦人科とつながるきっかけを持つことができ検診につなげられる

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12.03.24 子宮頸がんワクチンの助成について

子宮頸がんの予防ワクチン「ガーダシル」と「サーバリックス」の公費助成について、横浜市から来年度も継続するとの通知が来ました。
4月以降も引き続き、対象年齢の方は無料接種が可能になります。

昨年10月以降に接種を開始した方は、3回目の接種が自費になるかもしれないとご説明させていただいておりましたが、4月以降に接種しても無料になりますのでご安心ください。
また、公費助成が終了するかもしれないとのことで接種を控えていた方は、今年度中に接種すれば無料となりますのでこの機会に再度ご検討頂ければと思います。

詳しくはご予約の際にお電話でご確認くださいませ。

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11.09.05 子宮頸がんワクチンの公費助成について

 横浜市からの回答待ちになっておりました、子宮頸がんワクチン「ガーダシル」の公費助成について、横浜市から正式な通達がありました。
 HPV4価ワクチンである「ガーダシル」は、9月15日から横浜市でも公費助成の対象となるとのことです。

 したがって、公費助成対象のご年齢の方には、2価ワクチンの「サーバリックス」と4価ワクチンの「ガーダシル」を選んでいただくことになります。
 いずれも今年度いっぱいの助成ですので、3回の接種全てを無料で受けるためには、9月中に1回目の接種を行う必要があります。
 ガーダシルを公費で接種したいという方は、9月15日以降お早めにご予約をおとり下さい。

 また、9月15日以降はガーダシルも公費助成対象年齢の方へ優先接種する事となりますので、自費での接種ご希望の方は9月14日までにご予約いただくか、10月1日以降までお待ちいただきますようお願いします。

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11.07.30 4価の子宮頸がんワクチン「ガーダシル」の勉強会

 今日は診療後に、新しく承認された子宮頸がんの4価ワクチン「ガーダシル」の勉強会に参加してきました。
 このワクチンは7月1日に承認されたばかりで、まだ発売日は決まっていないのですが、発売されたらクリニックでも導入する予定のため色々情報収集しているところです。

 現在発売されているのは、HPV16型と18型の2種類を予防できる2価ワクチン「サーバリックス」です。
 一時期供給がストップしていましたが、公費助成対象者に対しての接種は再開しています。

 2価ワクチンと4価ワクチンの最大の違いは、4価ワクチンの方が予防できるウイルスの「型」が多い、つまり予防できる病気の種類が多いという点です。
 子宮頸がんの予防効果という意味では、予防できるのは16型と18型ですし、その効果もほぼ同じなので、2価でも4価でもあまり差はないと言えます。
 4価ワクチンは、HPV6型や11型も予防できるため、尖圭コンジローマをはじめとする幅広い病気の予防につながります。

 まだ発売日も価格も決まっていないので、両者を比較して選択していただくというのは難しいのですが、現時点で公費助成の対象になっていない方には、4価ワクチンの発売を待ってから改めてどちらを接種するかを検討することをご提案しています。
 先に2価ワクチンを打ち始めてしまうと、その後途中で4価ワクチンに変更したり、追加で4価ワクチンを接種することができなくなってしまうからです。

 逆に、公費助成対象になっている方には、助成期間内つまり9月までに2価ワクチンを接種し始めることをお勧めしています。
 4価ワクチンが発売されても、すぐに公費助成対象になる可能性は非常に低く、料金負担の面だけで考えると4価ワクチンの発売を待つメリットが少ないからです。

 ワクチンに対する公費助成は今年度いっぱいで終わる可能性もありますし、今後継続する可能性もあります。
 今日の勉強会での情報では、おそらく来年度以降も中学1年生の1学年だけに対象を限定して助成が続くのではないかというお話しでした。つまり、現在助成対象になっている人は、今のうちに接種をしないと来年度からは助成対象から外れてしまう可能性もあるということです。

 まとめますと、4価ワクチンの発売を待たずに早めに2価ワクチンを接種した方がいいのは次の方たちです。
   *現在公費助成対象になっている方
   *この夏にセクシャルデビューの可能性がある方
 これ以外の方は、4価ワクチンの発売を待ってから、価格面も含めてどちらを接種するかをゆっくり検討してもいいでしょう。

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11.06.30 子宮頸がんワクチン導入で高度異形成が減少

 現在日本で認可されている子宮頸がんワクチンは2価ワクチンであるサーバリックスのみですが、子宮頸がんに対してはほぼ同様の予防効果がある4価ワクチン「ガーダシル」の接種意義について興味深い記事があったので転載します。
 この記事からも分かるように、ワクチンの予防効果を最も期待できるのは性交経験開始前に接種する事です。横浜市でも、公費助成対象年齢の方はワクチンの無料接種が可能ですので、特に今年度いっぱいしか対象とならない高校2年生の方は早めに接種を検討される事をお勧めします。

↓↓↓ここから引用↓↓↓ 

 オーストラリア・ビクトリア州では、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する4価ワクチン(商品名:ガーダシル)導入後の18歳未満女児における高度子宮頸部異形成の発生率が、導入前に比べて減少する傾向にあることが、ビクトリア州細胞診サービス部のJulia M L Brotherton氏らの調査で示された。
 HPVに対する最初の予防的ワクチンが承認された2006年以降、4価ワクチンあるいは2価ワクチン(同:サーバリックス)の接種が、国の予防接種プログラムとして(28ヵ国以上)、または開発途上国でも地方レベルの寄付金(17ヵ国以上)によって実施されているという。
 オーストラリアでは、2007~2009年に12~26歳の全女性に対し4価ワクチンを用いたHPVワクチン接種プログラムが導入されている。Lancet誌2011年6月18日号掲載の報告。
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プログラム導入の前後で、頸部異常の傾向を比較
 
 研究グループは、オーストラリア・ビクトリア州居住の女性を対象に、ワクチン接種プログラム導入の前後における子宮頸部異常の傾向の変化について解析した。
 ビクトリア州子宮頸部細胞診レジストリー(VCCR)のデータを用いて、プログラム開始前(2003年1月1日~2007年3月31日)と開始後(2007年4月1日~2009年12月31日)の高度子宮頸部異形成(HGA、グレード2以上の子宮頸部上皮内新生物あるいは上皮内腺がん)と軽度子宮頸部異形成(LGA)について、5つの年齢層(<18歳、18~20歳、21~25歳、26~30歳、≧31歳)に分けて評価した。
 主要評価項目はHGAの発生率とし、フィッシャー正確確率検定を用いて2つの時期の比較を行い、ポアソン区分的回帰分析にて発生率の傾向を評価した。


導入後3年以内のHGA発生率低下に関する最初の報告

 ワクチン接種プログラム導入後は、18歳未満の女児においてHGAの発生率が0.38%低下した。この低下の傾向性は徐々に増強し、ワクチン接種導入前の発生率と比べ傾向性に有意な差が認められた(発生率比:1.14、95%信頼区間:1.00~1.30、p=0.05)。LGAや18歳以上の女性ではこのような傾向はみられなかった。
 著者は、「これは、地域住民を対象としたHPVワクチン接種プログラム実施後3年以内のHGA発生率の減少に関する最初の報告である」とし、「この地域相関的観察研究がワクチン接種の普及に寄与することを確証し、ワクチン接種女性の検診への参加状況をモニターするには、ワクチン接種と検診の連携が求められる」と指摘している。

引用元:「Care net.com」より
文献:Brotherton JM et al. Early effect of the HPV vaccination programme on cervical abnormalities in Victoria, Australia: an ecological study. Lancet. 2011 Jun 18;377(9783):2085-92.

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11.01.21 横浜市も子宮頸がんワクチン公費負担に

 各自治体がどんどん子宮頸がんワクチンの公費助成制度を開始する中で、ちょっと遅れをとっていた横浜市ですが・・・来月からやっと公費負担による接種が可能になります。
 対象年齢などはスタッフブログをご参照下さい。
  http://www.vivalita.com/staffblog/cat-177/post_45.html

 今年中には発売予定の4価ワクチンについては、助成対象となるかどうかは「未定」とのことです。なので、4価ワクチンが発売されるまでは、少なくとも公費で接種できるのは現在発売されている2価ワクチン「サーバリックス」のみになります。
 2価ワクチンと4価ワクチンの違いについては下記ページをご参照下さい。
  http://www.vivalita.com/04/04hpv/hpv_4.html

 助成対象年齢が限られているので、平成6年4月2日~平成7年4月1日生まれの方は、4価ワクチンの発売を待たずに2価ワクチンを接種した方がいいですね。
 この期間に生まれた方は、今年の4月1日までに1回目を接種すれば3回全て無料になりますが、4月2日以降は助成対象から外れてしまうので自己負担になってしまいます。

 逆に、平成7年4月2日以降に生まれた方は、来年まで待っても助成対象に入っていますから、もう半年くらい待って4価ワクチンが公費負担の対象になるのかどうかを見極めてから、どちらを接種するか決めても遅くはありません。
 ワクチンについては、予約専用電話045-440-5577までお気軽にお問い合わせ下さいませ。

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10.12.29 子宮頸がんワクチンで失神?!

 クリニックでもすでに何人もの方が接種されている子宮頸がんのワクチン(HPVワクチン)ですが、主な副反応は局所=接種したところの腫れや痛みくらいで、重篤な副反応が起きた方はまだいらっしゃいません。
 少し気になる記事を見つけたのですが、少し作為的な記事ですね。

<YOMIURI ONLINEより>
 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用として、気を失う例の多いことが、厚生労働省の調査でわかった。
 接種者の大半が思春期の女子で、このワクチン特有の強い痛みにショックを受け、自律神経のバランスが崩れるのが原因とみられる。転倒して負傷した例もあるという。同省は「痛みを知ったうえで接種を受け、30分程度は医療機関にとどまって様子を見るなど、注意してほしい」と呼びかけている。
 子宮頸がんワクチンは、肩近くの筋肉に注射するため、皮下注射をする他の感染症の予防接種より痛みが強い。昨年12月以降、推計40万人が接種を受けたが、10月末現在の副作用の報告は81人。最も多いのが失神・意識消失の21件で、失神寸前の状態になった例も2件あった。その他は発熱(11件)、注射した部分の痛み(9件)、頭痛(7件)などだった。


 「気を失う例が多い」と書いてありますが、実際の発生件数からするとその確率は0.005%なので「非常にまれ」と言える頻度です。
 副反応全体の頻度が0.02%ですから、ワクチンによる副反応自体がとても少ないと言えます。

 接種によって気を失うのは、痛みによって「迷走神経反射」という反射が起きて血圧が下がってしまうためと考えられます。
 電車で立っていたら急に立ちくらみのように気分が悪くなったり、朝礼などで「クラッ」となるのと同じ状態です。 
 命に関わる症状ではありませんし、横になって少し休めばすぐに血圧が戻って回復します。
 筋肉注射に限らず、普通の採血や注射でも同じように気分が悪くなる方はいらっしゃいますから、この症状は「子宮頸がんワクチン」だから起きるものではないんですね。

 子宮頸がんワクチンは、接種すると不妊になるとか死亡例もあるくらい危険なものだといった間違った情報が流れてしまう事もあるようですが、こういった情報に惑わされないようにしていただきたいなと思います。
 ワクチンで不妊になることはありませんし、ワクチンそのものが原因で死亡する事もありません。
 海外で報告されているワクチン接種後の死亡例の「直接死因」は、事故や自殺など明らかにワクチンとは全く関係ないものばかりですのでご安心下さいね。

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10.11.17 HPVワクチン公費助成についての誤解

 HPVワクチンの公費助成は、各自治体任せになってしまっているため、住んでいる地域によって無料でワクチン接種できる人と全額自己負担しなければいけない人と格差が生じてしまっているのが現状です。
 最近は、「もう少し待てば自分の居住地域でも公費負担になるかも・・・」と期待して接種のタイミングを見計らっているという声も耳にするのですが、実際は待っても意味がないご年齢の方たちが接種を先延ばしにしてしまっている可能性があります。

 HPVワクチンは、性交経験前に接種しなければ十分な効果が期待できないという事から、公費負担の対象になるのは明らかに性交経験前の年齢の方に限られます。
 何歳を対象にするかは各自治体によって異なりますが、海外の事例を参考に12~13歳が対象になっていることがほとんどです。

 なので、少なくとも現段階で16歳以上の方が公費負担になるのを待っても、年齢的に対象外になってしまう可能性が非常に高いと言えます。
 助成のシステムを自治体任せにせず、国が基準を統一していっせいに集団接種してくれれば分かりやすいのですが、おそらくしばらくはこのまま各自治体の自主性に委ねられてしまうでしょう。
 
 来年発売の4価ワクチンとどちらを選択するか、といった問題も出てくるので、この先半年くらいの間に性行動開始の可能性がなければ接種はしばらく見合わせてみてもいいと思います。
 逆に、16歳以上ですでに性交経験がある方は、公費負担になるのを待って接種を先延ばししたりせず、感染リスクが高くなる前に接種しておいた方が賢明と言えるでしょう。

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10.11.14 HPVワクチンとピルで女性の健康サポート

 今日は生涯を通して女性の健康を考える「ウィミンズヘルスフォーラム」に出席です。
 低用量ピルによる女性の健康サポートやHPVワクチンの可能性について、おなじみの先生方から新情報を収集してきました。

 HPVワクチンについては、お母様が娘さんを連れて産婦人科を訪れて下さるいいきっかけになるということで、ワクチンによる子宮頸がん予防以上の様々な可能性があるとのことでした。
 確かに、「産婦人科は妊娠したら行くところ」という昔のイメージを払拭したいと思っている私たちにとって、ワクチンが母から娘に「かかりつけ産婦人科医」を紹介するいいツールになることが期待されます。

 お話の中で、来年中には発売される予定の4価HPVワクチンについても触れられていました。
 4価というのは、予防できるHPVの種類が6型・11型・16型・18型の4種類という意味です。今発売されているHPVワクチン(サーバリックス)は、HPV16型・18型の2種類なので2価ワクチンといいます。

 4価ワクチンと2価ワクチンの違いは、子宮頸がんの予防効果はほぼ同じですが、4価の方が6型と11型を予防できるので、これらが原因となる尖圭コンジローマや再発性呼吸器乳頭腫症の予防もできるという点です。
 コンジローマは性感染症の一種で、一度かかると何度も再発する事があり、男女ともにセクシャルヘルスのQOLを非常に落としてしまう厄介な病気です。
 再発性呼吸器乳頭腫症は、主に母子感染によって乳幼児に発症する喉にできるイボです。空気の通り道にイボができてしまうので手術が必要なのですが、何度も再発するため10回以上手術を繰り返す事も珍しくありません。
 コンジローマにかかった妊婦さんから産まれる赤ちゃんが、この再発性呼吸器乳頭腫症になるリスクは、感染していない妊婦さんと比べると230倍になるといわれています。つまり、若い頃にコンジローマを予防する事が、自分の子どもの病気の予防にもなるという事です。

 今までは、4価ワクチンの認可も発売もいつになるのか分からない状態でしたので、子宮頸がんの予防を急ぐ人は2価ワクチンを接種するしかありませんでした。
 まだ4価ワクチンの発売日は未定ですが、「来年中」という事はある程度固まってきたため、この先半年~1年以内に性行動の開始の可能性がない場合は4価ワクチンの発売を待った方が予防できる病気の範囲は広がります。

 すでに性交経験済みの方や、半年も待てない!という方は、やはり今すぐ接種できる2価ワクチンを接種するしかないのですが・・・
 10代の方にワクチン接種を考える場合は、今すぐ2価ワクチンを打つか、4価ワクチンが発売されるまで待つか、性行動開始のタイミングを加味して考える必要がありますね。

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10.05.20 HPVワクチンとは

 HPVはヒトパピローマウイルスの略で、約100種類の「型」に分類されています。このうち、子宮頸がんの組織から見つかっている「型」がいくつかあり、それらを「ハイリスクタイプ」と言って他の型とは分けて扱っているんですね。主なハイリスクタイプは、16型・18型・31型・45型・52型・58型などです。

 昨年末に発売されたHPVワクチン(サーバリックス)は、これらのハイリスクタイプHPVのうち、16型と18型の2種類のみを予防するワクチンです。きちんと接種すれば少なくとも7年はほぼ100%の予防効果が期待できることが確認されています。これは、7年しか予防効果がないということではなくて、確実に予防できていると追跡調査できた期間が7年までという意味で、実際はほぼ一生予防効果は持続すると予測されています。

 16型と18型が原因となっているケースが最も多く、子宮頸がんの約6割はこの2つのどちらかが関わっています。つまり、ワクチンによってこの2種類がブロックできれば、子宮頸がんのリスクを6割減らせるということです。ただし、ワクチンを打っても残りの4割はブロックできませんから、子宮頸がんになるリスクが「ゼロ」になるわけではありません。ワクチンを接種しても子宮がん検診は必ず受けるようにしてくださいね。

 ワクチンが最も有効なのは、HPVに感染する前つまり性交渉を始める前です。なので、10代の性交経験前の女性が最優先対象となります。病院でも、「私はもう打っても意味がないかもしれないけれど、娘に打っておきたいので」とパンフレットを持っていかれる患者さんも結構いらっしゃいます。

 性交経験後であってもHPVの16型や18型に感染していなければワクチンの意味は十分にありますし、20代や30代でも効果が期待できないわけではありません。ただ、性交開始からの年数が長ければ長いほど、HPVに感染している可能性は高くなりますから、年齢とともに効果が下がってしまうということなんですね。

 接種前のHPV検査は不要となっていますが、どうしても気になるようであればHPVに感染しているかどうかを事前に確認するための検査は可能です。ただしこの検査は保険がききませんので、自費になってしまうんですね。個人的には、子宮がん検診で異常が出ていないのであれば、HPV検査はしなくてもいいのではないかと思います。
 ワクチンの値段は、大体1回18000円~20000円くらいになります。全部で3回の接種が必要なので、3回分まとめて50000円くらいにしている病院もありますね。ワクチンも自費ですので病院によって値段が異なります。料金については事前に確認しておくといいかもしれません。

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10.05.20 HPVワクチン最新情報

 3医会合同講習会で仕入れてきた、HPVワクチンについての最新情報をお伝えしますね。


 女子大生におけるHPV感染の追跡研究では1年以内で約15%・3年以内で約45%が陽性化するそうです。それらをさらに追跡すると、陰性化する頻度が6ヶ月で30%・12ヶ月で70%・24ヶ月で90%。つまり、過半数の女性が一生に一度は感染するけれど、2年以内に9割の人はHPVの検査が「陰性」になるってことです。
 全女性の50~80%が感染するわけですから、演者の先生はHPV感染は子宮が風邪をひいたようなものだとおっしゃっていました。

 一方で、若い頃からこのHPVに感染してしまう事は、20代30代で子宮頸がんが増えている事と明らかに関係しています。
 HPVの検査をすると陽性率は15~19歳がピークで4割以上の人が陽性で出ます。年齢とともに徐々に陽性率は下がっていって、35~39歳以降で10%以下になるんです。
 
 ただ、「検査で陰性になった」ことがイコールHPVが排除されたという事にはならないんだそうです。HPVは排除されるわけではなく、検査で引っかからない状態で潜伏し続けるらしいんですね。
 だから、一度でもHPVにかかってしまったら、例え検査で陰性化しても子宮頸がんになるリスクが下がったと安心してはいけないとおっしゃってました。

 この潜伏の状態だとウイルスも悪さはしませんので、子宮頸がんに細胞の変化が進んでいく事もありません。いつ潜伏状態からウイルスが目覚めるかが問題なだけなので、1年に1回の検診を受けていれば心配する必要はないんですね。
 ただ、ウイルスがすでに潜伏しているという事は、感染後にワクチンを打っても効果が得られないかもしれないという事です。こういった、検査では「陰性」となってしまう潜伏感染は当然年齢とともに多くなっていきますから、ワクチンの効果も年齢とともに下がってしまいます。

 30代や40代の方がワクチンを打っても害はありませんが、予防効果という意味でもあまり効果は期待できないとのことでした。
 なので、30歳以上の方がワクチンを打ちたいとおっしゃったら、もしかしたら効果がないかもしれないことと必ず年に1回の子宮頸がん検診は必須である事をご理解いただいた上で接種することになるんですね。

 ちなみに、最優先接種対象者は、性交経験がない女性です。
 何歳であっても、性交経験がなければHPVに感染していないわけですから、ワクチンによって70%もの予防効果を期待できます。
 海外では、10~12歳くらいで公費負担で接種している国が多くて、それ以降の年齢でも25歳くらいまでは優先的に接種する対象になっています。
 
 また、子宮がん検診で軽い異常が出ていても、ハイリスクタイプのHPVに感染していても、コンジローマにかかった事があっても、10~20代であれば50%の予防効果は期待できるので、HPVの16型や18型に感染しているかどうかの検査はせずに、優先的に接種する事を勧めた方がよいとのことでした。
 患者さんにもよく聞かれるのですが、「コンジローマにかかった事があったらワクチン打てないんですか?」とか「HPVの検査で陽性が出てしまったらワクチン打っても意味がないんですか?」という心配は必要ないという事です。

 逆に、ワクチンによる予防効果があまり期待できないケースは、明らかに16型や18型に感染していることが分かっている人・すでに円錐切除を受けた人・40歳以上の人です。
 同じ手術後でも、レーザー蒸散によって治療した後の人は、再発予防のためにワクチンは接種した方がいいとのことでした。

 30歳以上の人については、ワクチンを打つよりも定期的な子宮がん検診をサボらない事の方が重要になってくるのですが、海外と比べて検診の受診率が約20%という低さの日本では、30代や40代でもワクチンを打った方がいいのではないかという考えもあるそうです。
 いずれにしても自費なので、接種するかどうかは本人の希望次第なんですが、接種前のHPV検査は不要とはっきりおっしゃっていただけたので、ワクチン接種代以外はそれほどかからずすみそうですね。

 1度HPVにかかったからワクチンは無理だわ~とか、レーザー蒸散した後だから意味がないかも、とあきらめていた方も、ワクチンの効果が期待できそうなので、担当の医師に相談してみるといいかもしれませんね。

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清水(旧姓:須藤) なほみ
ポートサイド女性総合クリニック
~ビバリータ~ 院長
歌って踊れる産婦人科医
 
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに、女性の美と健康をサポートするために女性医療を皆様のもとにお届けしています。
5歳から始めたクラシックバレエは、ミュージカルとの出会いでコンテンポラリーダンスに変身しました♪
 
所属学会:日本産婦人科学会・日本思春期学会・日本性感染症学会・日本不妊カウンセリング学会
 
日本家族計画協会認定思春期保健談員
不妊カウンセリング学会認定カウンセラー