マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症|症状・検査・治療

 

マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium:M. genitalium)は、子宮頸管炎や尿道炎などを起こす性感染症です。女性では無症状の場合もありますが、おりもの、不正出血、排尿痛、性交痛などの原因となることがあります。

 

薬剤耐性が多く、以前のように抗菌薬を1回服用するだけでは治療できない場合があります。必要な方を適切に検査し、結果と治療歴を踏まえて抗菌薬を選ぶことが重要です。[1]

 
 

マイコプラズマ・ジェニタリウムとは

M. genitaliumは、主に性的接触によって感染する細菌です。一般的な細菌と異なり細胞壁を持たないため、ペニシリン系・セフェム系など、細胞壁を標的とする抗菌薬は効きません。

次の病気との関連が報告されています。

  • 子宮頸管炎
  • 尿道炎
  • 子宮内膜炎
  • 骨盤内炎症性疾患

不妊や妊娠への影響についても研究されていますが、クラミジアほど十分に解明されていない点があります。

女性にみられる症状

  • おりものの増加・変化
  • 不正出血、性交後出血
  • 排尿時の痛み・違和感
  • 性交痛
  • 下腹部痛

症状だけでクラミジア、淋菌、トリコモナス、細菌性腟症などと区別することはできません。また、M. genitaliumに感染していても無症状のことがあります。

どのような時に検査をしますか?

M. genitaliumは、性的接触の経験があるすべての方へ一律に行う一般的なスクリーニング検査ではありません。主に次の場合に検査を検討します。

  • 子宮頸管炎が続く、または繰り返す
  • クラミジア・淋菌が陰性でも、おりものや不正出血が続く
  • 一般的な治療を受けても尿道炎・子宮頸管炎が改善しない
  • 骨盤内炎症性疾患が疑われる
  • パートナーがM. genitalium陽性と診断された

無症状者へ一律に検査すると、治療の必要性が明確でない感染まで見つかり、抗菌薬使用と薬剤耐性を増やす可能性があります。症状、接触歴、他の検査結果を確認して適応を判断します。

マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査

腟・子宮頸管分泌物や尿などを用いた核酸増幅検査で、M. genitaliumの遺伝子を検出します。

M. genitaliumは非常に増殖が遅く、通常の一般細菌培養では診断できません。一般的な「おりもの培養検査」や「腟内細菌の検査」に含まれていないことがあります。

市販・自費の検査セットによっては、次の菌をまとめて「マイコプラズマ」と表示していることがあります。

  • Mycoplasma genitalium
  • Mycoplasma hominis
  • Ureaplasma urealyticum
  • Ureaplasma parvum

これらは病原性や治療の必要性が同じではありません。「マイコプラズマ陽性」という表示だけで自己判断せず、菌種名を確認してください。

治療と薬剤耐性

M. genitaliumはマクロライド系やニューキノロン系抗菌薬への耐性が問題となっています。過去にはアジスロマイシンの単回投与が行われることがありましたが、現在は耐性菌を選択する可能性があるため、安易な単回投与は推奨されません。[1]

治療では、次の点を確認して抗菌薬を選びます。

  • 以前に服用した抗菌薬
  • 妊娠・授乳の有無
  • 薬剤アレルギー
  • 子宮頸管炎か骨盤内炎症性疾患か
  • 薬剤耐性検査の可否
  • 治療後検査が可能か

複数の抗菌薬を段階的に使用する場合があります。処方された薬は自己判断で中止・変更せず、指示どおり服用してください。

治療後の確認検査

治癒確認検査が必要かどうかは、使用した治療法、症状、薬剤耐性の可能性によって異なります。

治療直後に核酸増幅検査を行うと、死滅した菌の遺伝子を検出して陽性になる可能性があります。確認検査を行う場合は、通常、治療終了から一定期間をあけます。具体的な検査時期は医師の指示に従ってください。

症状が続く場合は、再感染、服薬不十分、薬剤耐性、別の感染症や非感染性疾患などを再評価します。

パートナーへの対応

症状のあるM. genitalium感染者のパートナーは、検査を受け、陽性の場合は治療を検討します。パートナーの検査ができない場合の対応は、本人の治療内容や感染状況を踏まえて判断します。

本人とパートナーの治療が完了し、必要な確認が終わるまでは、性的接触を控えるか、医師の指示に従ってください。

検査結果だけで、感染時期や感染源となった相手を特定することはできません。

妊娠中・妊娠希望の場合

M. genitaliumの治療に使用する抗菌薬には、妊娠中に避けた方がよい薬剤があります。妊娠中、妊娠の可能性がある場合、近く妊娠を希望している場合は、必ず診察時にお伝えください。

症状、妊娠週数、他の感染症、治療の必要性を確認し、必要に応じて専門医療機関と連携します。

マイコプラズマ・ジェニタリウムについてよくある質問

Q. 無症状でも全員が検査した方がよいですか?

現在、無症状者への一律スクリーニングは推奨されていません。持続・再発する子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患、パートナー陽性などで検査を検討します。

Q. 一般のおりもの培養検査で分かりますか?

通常の一般細菌培養では診断できません。M. genitaliumを対象とした核酸増幅検査が必要です。

Q. 「マイコプラズマ陽性」なら必ず治療が必要ですか?

菌種によって病原性と治療の考え方が異なります。M. genitalium、M. hominis、ウレアプラズマなどのどれが検出されたのかを確認する必要があります。

Q. クラミジアの薬で一緒に治りますか?

必ずしも治りません。M. genitaliumは薬剤耐性が多く、クラミジアと同じ治療だけでは不十分な場合があります。

症状や検査結果についてご相談ください

おりもの、不正出血、排尿痛などが続く方や、他院・郵送検査で「マイコプラズマ陽性」といわれた方は、菌種名と検査結果をご持参ください。検査・治療の必要性を確認します。

横浜駅から徒歩6分、必ず女性医師が診察します。
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この記事の執筆・医学監修

清水なほみ 医師
日本専門医機構認定産婦人科専門医
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~ 院長

更新日・最終医学確認:2026年10月27日。本ページは一般的な医療情報であり、個別の検査適応・診断・処方に代わるものではありません。

参考文献

  1. CDC. Mycoplasma genitalium.
  2. 日本性感染症学会.性感染症診断・治療ガイドライン2026.
  3. 厚生労働省.性感染症.