日々の雑記
標準治療より「最適治療」
医学的に「標準治療」とされている治療が、必ずしもその患者様ご本人にとっての「最適な治療」とは限らないというケースに時々遭遇します。
先日いらした方は、40代前半なのに月経がピッタリ止まってしまったとのことで受診されました。採血をしてみると、ホルモンの値は完全に閉経している状態です。早発閉経の定義には当てはまりませんが、まだ閉経するにはちょっと早すぎるご年齢です。通常であれば、数年間のホルモン補充療法が必要ですよ、とご説明するところなのですが。
「月経が来なくなって体調不良はありますか?」と伺ったところ、「いえ、むしろ生理が来なくなってほっとしたというか・・・」とおっしゃったので、なんとな~く引っかかったんですよね。
もしかしたら、ホルモン補充療法で再度月経様の出血が来ることは、ご本人にとって嬉しくないことなのかも、と思ったので、少し突っ込んで聞いてみたところ、なぜ「ほっとした」のかが分かりました。
その方は、お子様に関しておつらい経験をされて、再度妊娠を目指そうかどうか迷っていらしたんです。閉経の状態である=もう妊娠はできない、と聞いて「これで妊娠を目指そうと思わなくていいんだ」とほっとしたのだそうです。「神様が幕を引いてくれたんだと思います」とおっしゃっていたので、おそらくご自身で妊娠を目指すことを「やめる」必要がなくなって安心なさったのだと思います。
標準的な治療は、数年間ホルモン補充療法を行うことであることや、ホルモン補充を行わない場合のデメリットや、閉経から数年たってホルモン補充を開始した場合のデメリットをご説明したところ、「気持ちが落ち着くまでは生理が来ない状態のままでいたい」とのこと。
教科書的な治療選択からは外れますが、骨密度検査や脂質代謝の検査をきちんと受けていただくことを条件に、何もせず様子を見ることになりました。
できれば1年くらいでお気持ちに整理がついて、ホルモン補充療法を受けていただけるといいのですが・・・高齢女性の寝たきりの原因の多くは骨密度の低下、つまり骨折なので、「元気に年をとる」ためには骨密度を保っておくことはとっても大切なのです。そして、骨代謝には女性ホルモンが大きな役割を果たしているのです。
でも、少なくとも現段階では、ご本人にとって最適な治療は「月経が来ないままにする」ことなんですよね。
日付:2014年6月29日 カテゴリー:日々の雑記
セクハラ発言が「引っかかる」わけ
自民党の「セクハラ宣言」は何だかしっくりこない形で無理やり終結させた感じですが・・・
6月18日に自民党から「女性の健康の包括的支援に関する法案」が提出されて、少しは政治家のおじさま方も女性の健康支援について幅広い視点とサポートが必要だと認識して下さったのかしらね~なんて思っていたのに、残念ですね。
でも、口にはしないまでも問題となっている議員さんと同じことを女性に対して思っている人はきっとまだまだ多いのだと感じています。個人の価値観や思想まで、他人がコントロールすることはできません。実際に口にしてしまった議員さんのデリカシーのなさは、本当にあきれるばかりですが、問題の根本はそこではないと感じています。
「結婚しないのか」「産まないのか」と言われて、それがひどく心に引っかかるのは、その言葉を受け止める側にも無意識のうちに何らかの「後ろめたさ」を感じているからではないでしょうか。
もし、堂々と「結婚しない人生」「産まない人生」を選択しているのだとしたら、あんなデリカシーのないヤジも「これが私の生き方ですけど、何か?」って鼻で笑ってやれると思うのです。
何となく、「結婚した方がいいよね~」「産んだ方がいいよね~」と、自分で自分に外野からの価値観をインストールしてしまっているから、その「劣等感」に触れられると過剰に反応してしまうということが起きるような気がします。
もちろん、デリカシーのない発言に対して擁護するつもりはさらさらありません。あの程度の品格が、日本の代表なんだと、自分たちの人選を反省するしかないと思います。
言っていいことと悪いことの区別もつかない、自分の言葉で相手がどのくらい傷つくかを想像することができない人というのは、世の中にたくさんいらっしゃいます。その人たちの口を全部塞いでしまうことはできません。
女性が「嫌な思い」をしないためには、まず女性自身の考え方や捉え方を変えていく方が前向きなのではないでしょうか。「結婚したいのにできない」じゃなくて「今はまだ素敵なお相手とご縁がつながってないだけ」。「産めない」のではなくて「産まない」。
個人的に、デリカシーのないおやじにヤジを飛ばす暇があったら、すべての女性が「これが私の生き方!」と胸を張って自分の人生を歩むお手伝いをしていきたいな~と思う今日この頃です。
日付:2014年6月25日 カテゴリー:日々の雑記
妊娠反応が出たらやるべきこと
自分で妊娠反応を調べて陽性だった場合、何をすべきなのか分からず「とりあえず電話してみた」という患者様は案外多いものです。
お住まいの地域によって分娩予約の締め切り時期など若干の差はあると思いますが、妊娠反応を確認した後の「やるべきことリスト」をまとめてみました。
1)まず産婦人科を受診する
予定外の妊娠だった場合も、計画的な妊娠であった場合も、妊娠反応が「陽性」で出た場合はまず受診が必要です。
月経予定日から数日以内に確認した場合は、時期が早すぎて超音波検査では何もうつらない可能性がありますので、腹痛や出血がなければ月経予定日から1週間程度過ぎたタイミングで受診してもよいでしょう。
ただ、月経不順の方の場合はそもそも「月経予定日」が当てになりませんので、アプリなどで表示される「月経予定日」は無視して、妊娠反応が出た段階で受診しましょう。
2)妊娠継続の可否を確認する
計画的な妊娠の場合は、このステップは不要です。
予定外の妊娠だった場合は、妊娠継続の可否つまり「産むのか産まないのか」をきちんと考える必要があります。パートナーと相談して、できるだけ早めに結論を出しましょう。
妊娠に気づいた時が何週だったかにもよりますが、妊娠の継続ができない場合はできれば妊娠10週を過ぎる前に結論を出した方がよいでしょう。
3)産む場所を決める
妊娠を継続する場合、「どこで産むのか」を決める必要があります。病院によっては、かなり初期の段階(妊娠5∼6週)で分娩予約を入れなければ、予約が締め切られてしまう場合があります。特に横浜市内は分娩予約の締め切りが早いので、産みたい病院で予約を取るためにはできるだけ早く予約だけは押さえておく必要があります。候補を挙げたら、まずはその病院に電話をして、分娩予約がとれるかどうかを確認しましょう。また、総合病院ではかかりつけ医からの紹介状が必要な場合も多いので、直接予約がとれるのか紹介状が必要なのかも確認が必要です。
里帰り分娩の場合も同様です。分娩を考えている病院にまずは電話をして、予約可能かどうかや受診のタイミングや紹介状が必要かどうかを確認しましょう。
4)妊婦健診を受ける病院を決める
分娩予約を取った病院でそのまま妊婦健診を受けるケースと、近所のかかりつけ医で途中まで妊婦健診だけを受けるケースがあります。後者を希望する場合は、分娩予約を取った病院で、他の病院で妊婦健診を受けてもよいか確認してみましょう。
また、里帰り分娩の場合は、里帰りするまでの間に妊婦健診を受ける病院を決める必要があります。クリニックですと、夜間や救急時の対応が難しい場合もあるので、必ず緊急対応が可能な病院で妊婦健診を受けるようにしましょう。
ちなみに、当院では緊急時の対応ができないため、里帰り分娩の方の妊婦健診は承っていません。
5)必要に応じて職場に知らせる
妊娠の状態がある程度安定してから職場に伝えたいと考える方が多いのですが、妊娠初期に切迫流産やつわりで突然安静が必要になることもあります。また、従事しているお仕事の内容によっては、妊娠が判明したら直ちに部署を変えてもらわないといけない場合もあります。
必要に応じて、せめて直属の上司にだけは早めに妊娠の事実を一報入れておいた方が、急な欠勤等にも対応してもらいやすくなるでしょう。
職場に伝える際に診断書が必要な場合は、受診先に言えば書いてもらえますので、受診時に医師に伝えるようにしましょう。
6)母子手帳をもらいに行く
妊娠が判明してすぐにもらいに行く必要はありません。
妊娠8~10週の予定日が確定した頃に、地域の役所に行って母子手帳を受け取ります。母子手帳と一緒に、妊婦健診料に使える補助券が一緒にもらえるはずですので、どのタイミングから補助券が使えるのか病院で確認しておきましょう。
もちろん、ベビー用品をそろえるとか、場合によっては保育園をどうするか決めるなど、もっとやるべきことはたくさんあるのですが、ひとまず妊娠反応が出てから数週間のうちにやらなければいけないことを挙げてみました。
日付:2014年6月18日 カテゴリー:日々の雑記
「薬を使いたくない」場合の注意点
クリニックの診療では、できるだけ患者様に「治療法についてご希望はありますか?」と伺うようにしています。もちろん、どうしても行った方がよい治療がある場合は、選択肢をお示しせずに「こうした方がよいですよ」とお伝えすることもあります。例えば、重度の貧血なのに何の治療もしたくないとおっしゃられても、それはご希望に沿うことはできません。逆に、選択の余地がある場合はできるだけご本人に治療方針を考えていただくようにしています。それは、ご本人が納得をして「自分で選んだ治療」を行う方が、副作用が出にくく治療効果が得やすいからです。
標準的な治療以外にも、漢方・サプリメント・アロマなどの代替医療をお示しすることもありますし、患者様ご本人が鍼灸やヒーリングなどご自身の信じている代替医療を積極的に取り入れるケースもあります。
いずれにしても、「薬は使いたくない」という方には、医学的に許容できる範囲でご希望の治療を行っていくようにしています。
だたし、医学的に許容できない場合、例えば放置すれば命に関わる場合や標準的な治療を行えば安全に「完治」が目指せる場合などは、多少ご本人にご不満がありそうでも標準的な治療を強くお勧めします。それは、医師として「ベターと思われる道」をきちんとお示しすることも必要な役割だと思うからです。
実際、子宮頸がんの初期段階でサプリメント治療のみを行ってしまい、手術不能な状態になって運び込まれて30代で亡くなられたケースや、子宮筋腫による過多月経をヒーリングとサプリメントで様子を見ているうちに重度の貧血になって(ヘモグロビンが正常の3分の1以下という状態でした)輸血が必要になってしまったケースなどを見てきました。
そういったケースをみると、ここまでひどくならないうちにきちんとした治療を受けていれば・・・と思わずにはいられないのです。
「薬を使わずに」治療をする、または経過観察をする場合は、以下の点に注意が必要です。
一つは、定期検査を絶対にサボらないこと。標準的な治療を断ったからといって、医師との関係が切れるわけではありません。例え何の治療もせずに様子を見るのだとしても、医師から指定された間隔できちんと定期フォローは受ける必要があります。そして、万が一悪化していっている場合は、このまま様子を見ても大丈夫なのかをその都度相談していくことが大事です。
もう一つは、「その病気であることを受け入れること」です。治療を拒否なさる患者様の中には、自分が病気であること自体を受け入れきれず拒否なさる方もいらっしゃいます。病気は体からの何らかのサインなので、病気であることを否定して目をそらし続けると病気はよくなってくれません。
その病気がどのようなメッセージをもって自分のもとに「来てくれた」のかをきちんと考えて、病気を通して自分の体を向かい合ってあげる必要があるのです。そして、病気になった原因を見つけてそれを改善していかなければ、「今と同じこと」を続けていたら病気はそのまま進行していきます。
病気と向かい合う場合のポイントの一つが、その異常を引き起こしている「感情」にフォーカスすることです。
例えば、子宮筋腫は「怒り」をためている方に多く見受けられます。自分の中にある「怒り」が見つかったら、その怒りの裏側にある「悲しみ」を探してみるといいでしょう。そして、怒りを開放する方法や、悲しみを癒す方法を探ってみるのです。
子宮内膜症は「癒着」を引き起こす病気です。固執や強すぎるこだわりがないか見直してみるのもいいでしょう。食べ物に偏りはないか、考え方に偏りはないかを見直してみると、治療法の選択の仕方そのものが「固執」からくるものだと気付かれることもあります。何かに固執しているということは何かを「否定」している可能性があります。つまり、自分自身の一部を受け入れられていない可能性があるということです。内膜症が「異所性」にできる病気であることと、自分の中に「異所性」を感じているまたは自分が「異所性」だと感じていることはリンクします。
クリニックでは、このようなカウンセリングをゆっくり行う環境がまだ十分には整っていませんが、将来的には「薬を使いたくない」方用の代替医療センターを作れたらいいなと考えています。
代替医療センターができるまでは、特殊外来であるカウンセリングやサプリメント外来を活用していただければ幸いです。
日付:2014年2月13日 カテゴリー:日々の雑記
母乳育児について
先日いらした患者さんで、考えさせられる症例があったのでシェアさせてくださいね。
その方は、助産院で出産後に母乳育児を勧められて頑張っていらしたそうですが、両側の乳腺炎になり、切開して膿を出さなければいけないほどひどくなってしまったそうです。痛みが辛くて、授乳はやめ、ミルクにしたら楽になったらしいのですが、その状態でも助産院ではとにかく母乳で頑張れと言われたそうです。
その患者さんは、しばらく間をあけて2人目を希望されているのですが、次の産後も同じような苦しみを味わうことにとても不安を感じていらっしゃいました。「次は病院で産みたいです」とおっしゃっていましたが、産む場所の選択は自由であること、母乳育児に固執する必要はないこと、産後に母乳が作られないように止める方法もあること、それらは自分にも赤ちゃんにも「悪いこと」ではないこととご説明したら、少し安心してくださいました。
私自身も、2人とも完全母乳で育てています。仕事をしながらの母乳育児は大変ですが、仕事の合間に搾乳して冷凍母乳をストックすれば完全母乳も可能ではあります。そうするのは、母乳育児のメリットをよく理解しているからですが、それと同時に、母乳がとてもよく出て保育園が母乳育児に協力的で私自身が母乳育児を辛いと感じていないからです。
好条件がそろっているから母乳育児が可能なだけで、ある意味ありがたいことなんですね。母乳育児はすごいことではありますが、それをやっているから「偉い」やっていないから「ダメ」なわけではありません。
環境や体調によって、母乳育児ができない方もいらっしゃいます。乳がんの術後で、少しでも胸が張ると激痛なので母乳を止めたいとおっしゃった方もいらっしゃいました。どうしても服薬をやめられないので母乳をあきらめたいという方もいらっしゃいます。どんなに頑張っても母乳が十分に出ないという方もいらっしゃいます。
個人的には、母乳育児はメリットが大きいけれど他人から「強要」されるものではないと考えています。いろいろ工夫することで母乳育児が難しい人も可能になるというのであれば、それは周りがサポートすべきですが、母親本人が希望していないのであれば母乳育児をしないことに対しては誰も何も言及すべきではないんです。
母乳を作るオキシトシンというホルモンは別名「愛情ホルモン」と言われ、母子愛着形成には欠かせないホルモンです。以前学会で、「母乳をあげないということは愛情不足になるということですか?」という質問が出ました。すると、演者の先生はとても素敵な回答をなさってくださいました。
確かに、動物では母乳をあげないと愛着形成がきちんとできず子どもをきちんと育てなくなることがあるそうです。ただ、人間は授乳だけではなく、赤ちゃんと目と目で見つめ合うだけでもオキシトシンが分泌されるんだそうです。なので、母乳をあげられなくても、いっぱい見つめ合っていっぱいお話ししてスキンシップをとってくださいとおっしゃってました。
愛情のそそぎ方は人それぞれです。母乳を一生懸命あげることはもちろんとても愛情深い行為です。でも、それ以外にも、離乳食を手をかけて作ったり、いっぱいスキンシップをしてあげたり、自分なりに「無理なくできる方法」で愛情を注いであげればオッケーなんだと思います。
妊娠をハプニングにしないために
気づけば12月も残り半分…産後は毎日があっという間に過ぎていってしまいますね。
ブログの更新やメルマガの発行など、もっともっと色んなことを発信していきたいのですが、仕事から帰って二人の娘を寝かせつけたらもう寝る時間になってしまうんですよね。何だか焦ってしまう気持ちもありますが、「今はそういう時期」と割り切ってボチボチ更新していきたいと思っています。
マイペースな更新に、どうぞお付き合いくださいませ。
私の妊娠ストーリーをお話しすると、多くの方が「計画的ですね~」とおっしゃいますが、私にとって「妊娠を希望していなければピルを飲んで、妊娠を希望したらちゃんと妊娠を目指す」というのは、ごくごく当たり前のことなんです。
今妊娠したいのかどうかをきちんと考えて、避妊が必要と判断したら自分の手で避妊をすることは、妊娠を引き受ける立場である「女性」であれば当然すべきことだと考えています。もちろん、「今妊娠したいかどうか」があいまいなケースもあるかもしれません。ただ、個人的には「妊娠したらしたで産んだらいいから」と考えて避妊をおろそかにすることは、いろんな意味で無責任なのではないかなと感じています。
赤ちゃんが「授かりもの」であると考えることと、妊娠を強く希望していないのに妊娠するかどうかを運に任せることは、微妙に異なるのではないかと思うんですね。よく遭遇するケースがパートナーの「妊娠したら結婚しよう」という言葉を鵜呑みにして避妊を怠ってしまい、実際に妊娠してから後悔するというケースです。もし相手の男性に本気で結婚する気があるのであれば、「妊娠したら」なんてのんきなことは言わずに「すぐに結婚しよう」と言ってくれると思いませんか?
きちんと「望んで」妊娠するのであれば、結婚と妊娠の順序は多少前後しても問題ありませんが、「妊娠したいかどうか」をはっきりさせられない自分の背中を押してもらうために避妊を怠るのはリスクが伴います。
すべての子どもに「望まれて」産まれてくる権利があります。
心から妊娠を希望するまでは、女性が自分の手できちんと避妊できるようにサポートしていくことが、私の役割だと感じています。
日付:2013年12月15日 カテゴリー:日々の雑記
検診で異常が見つかったら…
検診を受けて異常が見つかると、多くの患者様は大変ショックを受けてしまわれます。
何か症状があって検査を受けた場合と異なり、単なる「検診」はご本人が「何も異常があるはずがない」と思って受けていることが多いので、どうしても心の準備が何もない状態で結果を受け取ることになってしまいがちなんですよね。
でも、本来「検診」は、こういった症状が出る前の初期の異常を見つけることが目的なので、検診で異常が見つかったというのは、ラッキーと言えます。
「病気が見つかって、なんでラッキーなんだ!」と思われるかもしれませんが、病気というのは心や体からの何らかのメッセージです。それに早く気づいてあげられたということは、心身にとってはラッキーなんですね。
もし検診を受けていなければ、症状が出るまで、つまり病気がかなり進行するまで気づくことができず、取り返しがつかない段階でやっと見つかったり、大掛かりな治療が必要になっていたかもしれません。
子宮頸がんの検診で言えば、当院で不正出血などの症状が何もなく検診だけを受けた方で異常が出たケースは、すべて「上皮内がん」以下の病変でした。つまり、経過観察で大丈夫なレベルか円錐切除という簡単な手術のみで完治が可能なレベルまでで見つかっているということです。ちなみに、不正出血やおりものの異常で検査を受けた方の中には、残念ながら浸潤がんの方が数名いらっしゃいました。
子宮頸がん検診で異常が見つかっても、中等度異形成までなら3か月ごとの細胞診を受けるだけで治療に進む必要はありませんし、万が一病変が進んでも円錐切除までで済みます。高度異形成や上皮内がんであっても、円錐切除をきちんと受ければ、ほぼ完治が可能ですから、子宮を失わずに済みます。
もちろん、妊娠前の方が円錐切除を受けることによって、将来の不妊症や流産・早産のリスクを作ることにはなりますから、できることなら手術を受けずに済んだ方がいいわけですが、進行がんになってから行う治療に比べれば、負担は非常に少ないと言えます。
日本人の検診受診率は、残念なことに非常に低く、すべての年代を平均してもわずか20%程度にとどまっています。子宮頸がんが増えている10代や20代の方の受診率はもっと低く、10%以下なんですね。
中には、異常が見つかるのが怖いから検診を受けない、という方もいらっしゃいますが、それは本末転倒です。毎年検診を受けることによって、異常がなければ「安心」を得ることができますし、異常が見つかってもその異常とどのように付き合っていけばいいのか、早めに注意することができるわけですから、検診はぜひ受けていただきたいなと思います。
日付:2013年6月23日 カテゴリー:日々の雑記
あなたの主治医はあなた自身
クリニックには様々なお悩みを抱えた患者様がご相談にいらっしゃるのですが、中には「どの病院でも『異常ない・気のせい』と言われたけれど不調が続く」と訴えて来られる方もいらっしゃいます。
検査をして異常が見つかる場合もありますし、やはり何も異常がなく症状に合わせてお薬を処方したら状態が改善することもあります。
でも、何をしても改善しないというケースも実はあるんですね。「ここに来れば治ると思ったのに…」とガッカリされてしまうこともあるのですが、医者は基本的に病気を「治す」ことはできません。
医者ができることは、検査で現在の状態を客観的に分かるようにお示しし、そこから考えられる体からの「メッセージ」をお伝えすることと、いくつかの治療を提案して「自分の力で健康になる」ことをサポートさせていただくだけなんです。
薬は症状を抑えてくれますが、あくまで一時的に心身にとって楽な状態を作ることで、メッセージを発している自分自身と向かいやすくするだけで、病気を治しているわけではありません。
なので「不調が治らない」方には、治らない理由があるわけです。
多いのは、せっかく心身が「このままではいけませんよ」とメッセージをくれているのに、それに耳を傾けようとしないケースです。この場合、不調を治してしまうとメッセージに気づくことなく悪習慣を続けたり、抱えている問題と向かい合おうとしなかったりしてしまうので、本人の心身にとっては不調がなくなっては困るんですね。だから、メッセージに耳を傾けるまで不調は続きます。
この場合、不調を「治しきる」ことはご本人のためにならないこともあるので、本当の問題にご本人が気づくまでそっと見守るしかないこともしばしばあります。
また、不調であり続けることによって「セカンダリーゲイン」がある場合も、何をしても改善しなかったり、いったん今ある不調が改善してもすぐに別の不調が出てくることが多いように思われます。
セカンダリーゲインというのは、その不調があり続けることによって得られるメリットです。ものすごく単純な例を挙げると、母親になかなかかまってもらえない子どもが病気になると優しくしてもらえたりずっと一緒にいてもらえるので病気であり続けようとする、といったパターンです。
本人は「健康になりたい」「よくなりたい」と口では言っていても、潜在意識が「病気であり続けたい」と認識しているので、何をしてもよくならないという状態が続きます。
セカンダリーゲインが病気によってではなく、本来の問題解決方法で得られるものであると分かれば、病気は必要なくなるので不調は治っていきます。
何をしても不調が良くならない場合は、一度心身からのメッセージを無視していないか、何が自分にとっての「本当の問題」なのか、じっくり見つめ直してみるといいかもしれません。
自分の体のことを一番よくわかって、きちんとメンテナンスしてくれるのは自分自身です。
つまり、最高の「主治医」は実は自分自身なんですね。
AMH検査の意味
AMH=アンチミュラー管ホルモンの検査についてご質問をいただくことが多くなってきました。
この検査は、AMHというホルモンを測ることによって、「あとどのくらい排卵し続けることが可能か」を予測する、つまり卵巣の予備能を予測する検査とされています。
正確には、排卵の能力というよりも、これから排卵するためにスタンバイしている卵子の「元」になる細胞の壁から出ているホルモンを測定しているので、「排卵の能力」と完全にイコールとは言えないのですが。
この検査を受けた方がいいか、という質問に対しては年代によって答えが違ってきます。
20~30代の方は、早発閉経の傾向がないかどうかを確認するという意味では意味のある検査だと思われます。20代でも月経不順がある方や、30代の方は検査する価値はあるでしょう。
ただし、検査結果のとらえ方を間違ってはいけません。この検査はいわゆる「正常値」というものがあるわけではなく、年齢別に「基準値」が設定されています。「あなたのAMHは20~24歳レベルですよ」といった感じで結果が出るので、自分の本来の年齢より高いのか低いのかを見る感じになります。
なので、結果が「正常」だったからと言って、「まだまだ妊娠を先延ばしにしても大丈夫ですよ」という意味にとらえてしまってはいけないのです。あくまで「年齢相応又はそれ以上のスタンバイしている卵があります」というだけで、その「卵」が妊娠に適しているかどうかは別問題なんですよね。
この検査は、「異常値」が出た時のみ判断材料になります。つまり、年齢より数値が低かった場合、卵巣の働きが失われるスピードが普通の人より早い可能性があるということです。結果が悪かったからと言って「妊娠できない」というわけではありませんが、少なくとも「妊娠を目指す時期を早めに設定した方がいいですよ」ということは言えます。
どちらかというと40代またはもうすぐ40歳という方が検査を希望されるケースが多いのですが、実はその年齢になってくると検査をする意味があまりなくなってきます。検査を希望される方の多くが、「今後妊娠可能かどうかを調べておきたくて」検査したいとおっしゃるのですが、前述の通り、例え検査に異常がなかったり年齢より数値が良くても「安心材料」にはならないからです。
40歳以上の方は、AMHの結果が良くてもすでに妊娠率は低下しています。排卵する力は十分残っていても、卵子の「質」が妊娠に向かなくなってきているからです。AMHで安心を得ようとするのではなく、妊娠を希望するのであれば一刻も早く妊娠を目指せる環境を整えて、不妊検査を受け、効率よく妊娠を目指していった方が現実的です。
AMH検査は保険の範囲外になりますので、自費での検査になります。
クリニックでも検査を受けていただくことは可能ですので、ご希望の方はご予約の際に詳細をご確認くださいね。
日付:2013年5月19日 カテゴリー:日々の雑記
虐待と「望まない妊娠」との関係
児童虐待の報告件数が過去最高と報道されていますね。
虐待の問題は「これをすれば予防できる」という一元的なことで解決できるほど単純ではありませんが、虐待の予防に「望まない妊娠の予防」は不可欠です。
それを裏付けるデータはたくさんありますが、次の報告でも無計画な妊娠が虐待のリスクである事が示されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000g6nl-att/2r9852000000g7mx.pdf
虐待のリスクになるのは、「望まない妊娠」「若年妊娠」「シングルマザー」などであり、10代~20代前半の「できちゃった婚」の離婚率が高い事からも、若い層への避妊教育がいかに重要なのかがわかります。
もちろん、ひとり親でも若いお母さんでも立派に子育てしている方もいらっしゃいますから、これらの条件が「イコール虐待」というわけではありません。逆に、望んで授かったはずなのに虐待してしまうというケースもあります。
でも、トータルの虐待リスクを下げるという意味では、「妊娠を心から希望するまでは女性が自分の手で避妊すべき」ということを、できれば中学生や高校生のうちに知識として知っておく必要があるのではないかと感じています。
日本では、まだ避妊と言えばコンドームや膣外射精という方が多く、どの年齢層でも確実な避妊ができていないのが現状です。
クリニックでの緊急避妊は、すでに50件を超えました。緊急避妊を行っても妊娠に至るケースもありますから、できればそういった状況になる前にピルや子宮内避妊具で確実な避妊を行って欲しいなと願わずにはいられません。
自分にとってどのような避妊法が一番適しているのか相談したいという方は、お気軽に避妊相談にいらしてくださいね。
日付:2011年2月24日 カテゴリー:日々の雑記










