婦人科の病気

 

不妊症とは

 最近は35歳以上の初産婦さんも珍しくなくなってきましたが、生物学的に最も妊娠・出産に適している年齢は、実は25~26歳です。30歳を過ぎると妊娠率は徐々に低下していき、35歳を過ぎると急激に下がっていきます。初婚年齢がどんどん上がるにつれて、妊娠を目指すに当たっては不利な条件がどうしても増えてきてしまいます。

  子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科合併症が増える

  糖尿病や高血圧などの内科的合併症が増える

  性感染症による不妊のリスク

  ホルモンのアンバランス

  卵子そのものの劣化などなど・・・・

 性感染症や内膜症やホルモンのバランスに関しては、日頃のメンテナンスや心がけで予防することができますが、加齢に伴う変化は自分ではどうする事もできません。不妊外来に通っている方の最も大きな原因は「加齢」、つまり年齢とともに卵子が妊娠に適さない状態になってしまうわけです。

 医学的に「不妊症」と定義されているのは、2年間普通に妊娠を目指しても妊娠に至らない場合とされています。だいたい、避妊をせずに普通にチャンスを持てば、1年間で85%・2年間で90%の方が妊娠します。つまり、不妊症の検査をして例え何も異常がなくても、2年間妊娠にいたらなかったらその時点で「不妊症」という診断になるんです。

 最近は、年齢的なこともあって、まだ2年経っていないけれど不妊治療を開始したいとご希望される方も増えてきました。確かに、35歳を越えて妊娠を目指し始めた場合、ある程度効率よく妊娠する方法を考えた方が賢明といえます。 

 別にお薬を使うだけが不妊治療ではなくて、漢方で体質を改善しながら基礎体温をつけてチャンスのタイミングを見ていく「タイミング法」も治療のひとつですから、1年経っても妊娠しない場合は早い時期に1度病院で相談してみるといいでしょう。

日付:2010年6月8日  カテゴリー:不妊症,婦人科の病気

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不妊症の検査

 不妊に関する検査には色々なものがあります。

 病院によって若干メニューは異なってくると思いますが、代表的なものをご紹介していきましょう。

1)基礎体温
 「検査」ではありませんが、非常に重要なデータです。妊娠を目指すなら最低でも3~4ヶ月は続けてつけてみましょう。

2)ホルモン検査
 血液検査でホルモンのバランスを調べます。調べるホルモンは、主に、LH・FSH・プロラクチン・卵胞ホルモン・黄体ホルモン、です。基礎値を調べるには、月経周期の3~5日目に採血をします。黄体ホルモンだけは、高温期に入って1週間目くらいに測るのが理想的です。

3)合併症の検査
 血液検査で、甲状腺機能異常・糖尿病・自己免疫疾患などがないか、おりものの検査でクラミジア感染症がないかを調べます。検査の時期は、月経周期のいつでもかまいません。

4)超音波検査
 子宮の形・大きさ・筋腫やポリープの有無、卵巣の状態を調べます。これも、月経周期のどの時期でもできますが、できれば排卵のちょっと前に診て、「卵胞」という卵の元がどのくらい育っているかを確認できると排卵の時期がある程度予測しやすくなります。

5)子宮卵管造影検査
 子宮の出口から細いチューブを子宮内に入れ、造影剤を流して子宮の形及び卵管の通り具合を調べるレントゲン検査です。レントゲンを使う検査なので、必ず月経後から次の排卵まで(低温期)に行ないます。卵管の通りが悪い場合、検査をすると同時に、造影剤で圧力をかけて卵管を通す治療にもなりますので、毎月ちゃんと排卵があるのになかなか妊娠しないという場合は、この検査を早めに受けておいた方がいいでしょう。
 造影剤の圧力で腹痛を感じる方は、かなりの頻度でいらっしゃいます。特に、卵管が詰まっていたりすると痛みを生じやすいのですが、卵管の通り具合は超音波では分かりませんので、不妊期間が2年以上の方は早めに受けておいた方がいい検査です。

6)フーナーテスト
 排卵の時期にしか行ないません。朝チャンスを持って、すぐに受診していただき、頚管粘液(排卵の時期の増えるおりもの)の中の精子の運動具合を調べる検査です。頻度はそれほど多くないのですが、女性の頚管粘液と男性の精子の相性が悪く、精子が子宮内にたどり着く前に運動できなくなってしまう事があります。
 このテストで、精子の運動が悪くなっている場合、人工授精の対象となります。

7)精液検査
 男性側の検査で、泌尿器科でも産婦人科でもどちらでも受けることができます。不妊症の中で約3割は男性側に原因がありますので、この検査も早い時期にしておいた方がいいですね。中には、なかなかご主人の理解が得られずに検査を受けていただけないというケースもあるのですが、不妊治療は夫婦の二人三脚ですから、ぜひ2人できちんと向かい合っていただきたいな、と思います。

 これ以外にも、必要に応じて、ホルモン負荷テストや腹腔鏡検査をする事があります。検査は保険がきくものと自費のものがありますので、受診前にあらかじめ確認しておくといいでしょう。

日付:2010年6月7日  カテゴリー:不妊症,婦人科の病気

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不妊症の治療

不妊症の治療には次のようなものがあります。

 

1)タイミング法

 排卵の時期(月経開始から12日~15日くらい)に超音波で卵巣の中の卵(卵胞)の育ち具合を確認し、排卵のタイミングをより正確に予測して夫婦生活のタイミングを合わせる方法です。

 

2)内服薬による排卵誘発

 クロミッドやセキソビットという飲み薬を使って排卵を促す方法です。月経の3日目~5日目から5日間服用します。

 セキソビットの方がクロミッドより排卵を促す力は弱めなので、元々の排卵障害の程度に合わせて使い分けていきます。

 セキソビットの場合多胎になるリスクはほとんどありませんが、クロミッドでは双胎になる確立がわずかに高くなります。

 

3)内服薬と注射薬による排卵誘発

 クロミッドのみでは十分に卵が育たない場合や、卵は育つけれど排卵しない場合に注射を追加して排卵を促す方法です。卵を育てる注射はクロミッドに比べて作用が強いので、卵が複数育ってしまったり、育ちすぎて卵巣全体が腫れてしまったりする(卵巣過剰刺激症候群)ことがあります。

 

4)注射薬による排卵誘発

 クロミッドでは卵の発育が見られない場合に、月経の3~5日目から連日注射を行うことによって排卵を促していく方法です。

 クロミッドのみに比べて多胎になるリスクや卵巣過剰刺激症候群になるリスクが高くなります。

 

5)人工授精

 精液を洗浄・濃縮して、子宮内へ直接注入する方法です。精子の数が少なかったり精子の運動率が悪い場合は人工授精の対象になります。

 また、精液検査に異常がなくても、妊娠率を上げるために体外受精に進む前の段階として行うこともあります。5回以上繰り返しても累積の妊娠率はあまり上がらないため、通常は5~6回までを目処に行っていきます。

 

6)体外受精・顕微授精

 卵巣を刺激して一度に複数の卵を育て、卵巣から採ってきた卵子に精子を受精させて、受精卵を子宮内に戻す方法です。精子が非常に少ない場合や運動率が悪い場合、顕微鏡下で卵子に直接精子を注入する顕微授精を行います。

 体外受精による妊娠率は施設によって異なりますが、1回で約30%です。

 

 一般的には、1の方法から順により効率のいい方法へと徐々に段階を上げていく「ステップアップ」という方法をとります。ただし、年齢的にあまりのんびりできなかったり、元々排卵障害や卵管閉塞などの異常があったりした場合は、必ずしも1から順に段階を追っていかず、いきなり体外受精を選択することもあります。

 

 基礎体温できちんと排卵が確認でき、不妊検査で何の異常もなかった場合、まずは6ヶ月くらいを目処にタイミング法で様子をみます。それでも妊娠に到らない場合、例え自力で排卵していても弱い排卵誘発剤を使うことによって妊娠率が上がるため、内服薬による排卵誘発を6ヶ月行っていきます。それでも妊娠しなければ、人工授精を5~6回行い、最終的には体外受精へと進んでいきます。

 不妊検査で排卵障害やホルモン異常があった場合は、すぐに排卵誘発剤を使ったり、ホルモン異常に対する治療を行います。また、筋腫や子宮内のポリープなど、明らかに不妊の原因となっている病気が見つかった場合はそちらの治療を先に行います。

 

 子宮卵管造影検査で、卵管がつまっている=卵管閉塞という結果だった場合は、ステップアップではなく初めから体外受精を選択するしかなくなります。

 精液検査で異常があった場合も、人工授精または体外受精や顕微授精が初めから必要になります。

 

 どの治療をどのくらい続けるかは、年齢や不妊期間によって異なってきますが、大切なのは漫然と治療を続けるのではなく、適切なタイミングで次のステップに進んでいくことです。

 もちろん、絶対に自然妊娠でなければ受け入れられないという場合は、あえて人工授精や体外受精を行わず、自然に任せるという方法も選択肢の一つです。ただし、その場合は「やっぱり早い段階で体外受精をしておけばよかった」と後から後悔しないように、年齢的なリスクなどきちんと理解した上で納得して選択していくことが重要になってきます。

日付:2010年6月6日  カテゴリー:不妊症,婦人科の病気

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不妊治療のゴールは?

 不妊治療の現場にいると、どんなにがんばっても赤ちゃんを授かれないケースに遭遇することもあります

 特に、年齢的なタイムリミットを越えてしまっていると、どうにもならないこともあるんですね。
 不妊カウンセリング学会の講義でそういった事例を聞く中で、不妊治療のゴールは「妊娠」ではない、そんなふうに感じたことがありました。
 何というか、「妊娠」しても解決しないものが根っこにあるというか、妊娠しなくてもそれを解決すればゴールが見えるというか・・・

 講義を聞く中で、不妊で悩む方に必要なのは「受け入れと選択」なんだという事に気づきました。
 妊娠しにくいという事実・妊娠できないという事実・妊娠しない自分・妊娠を目指せないパートナー・理解の無い周囲・子どもがいない未来・・・色々否定してきているものを「受け入れる」。そして、「今のままの自分でいいんだ。今のままの自分で十分完璧で何も欠けてはいないんだ」という「自己受容」がなにより大事なんです。

 これって、不妊に限らず、自己否定に陥っているケース全てにいえることなんだとは思います。自分は何かが「欠けている」という認識から、「このままでいいんだ」という認識へ変わっていく、そのプロセスをサポートする必要があるんだと思います。
 「女は産んで一人前」とか「子育てを経験していないと人として未成熟」なんて周りからのプレッシャーは、単なる価値観の押し付けです。そんな声が気にならなくなるくらい、「私は私!」と思えること、これが一番大事なのかなと感じたんですよね。

 そしてもう一つ、「自分で選択した」という実感。これが大事なんです。
 「自然妊娠が望めない」のではなく「積極的に赤ちゃんを迎えにいく」という選択をする。
 「産めない」のではなくて「産まない」という選択をする。
 「子どもがいない人生」ではなく「子どもを作らない人生」を選択する。

 人生の中で、思い通りにならないことなんて、妊娠・出産だけじゃなくてもたくさんあるじゃないですか。それでも、最終的な結論は「自分で選択したんだ」という実感が、自分の人生を積極的に主体的に生きるという意味で必須なんです。
 仕方なく、今の人生を余儀なくされたのではなく、きちんと自分の意思で自分の手で「選び取った」と胸を張れる。そう思えるようになるまで治療や相談にお付き合いしていくことが、不妊治療には必要なんだなと思います。

日付:2010年6月5日  カテゴリー:不妊症,婦人科の病気

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PMSは現代病?!

「月経前症候群(PMS)」」は、排卵後から月経の直前の時期にかけて、さまざまな体調不良や精神的な症状が出て、月経が来たとたんにそれらの症状がすっかり消えてしまう病気です。排卵後から2週間近く具合が悪い人もいれば、月経直前の1日だけ寝込んでしまうという人もいます。

 

最近ようやく女性誌などでも特集が組まれたり、ネットで検索すれば目にすることも増えてきたPMSですが、実は一昔前までは婦人科の教科書にすら載っていませんでした。

昔はこういった病気が全くなかったのかと言うとそうではありません。おそらく「なんだか毎月同じ時期に極端に体調が悪くなるな」とか「生理前だけ性格が変わってしまうみたいだな」と感じていた人はいたはずです。ただ、PMSという病気の概念がなかったので病院で相談しても「精神的なもの」とか「我慢が足りない」といったことで取り合ってもらえなかったのではないかと考えられます。

 

また、昔は月経が来るようになったら数年で子どもを産み始め、立て続けに何人も産んでいたので、妊娠・授乳期間の無月経が頻繁にありました。月経回数が少ない分、月経前の症状に悩まされることも少なかったわけです。

現代は、晩産化・少子化のために一生のうちに迎える月経の回数が極端に増えました。その上、ハードワークや様々なジェンダープレッシャーにさらされているので、ストレスのせいでPMSになる女性は急増しています。そういった意味で、PMSは現代病と言えるでしょう。

 

PMSかどうかの目安は、体調や気分の変化があっても日常生活が普通に送れているか・仕事に影響が出ていないかなど。月経前には誰もが多少体調が悪くなったりイライラしやすくなったりしますが、それらの変化が極端で日常生活に支障をきたしてしまうレベルになるとPMSと言えます。月経が来たとたんにケロっと治ってしまうのが特徴なので、基礎体温をつけながら体調の変化を記録するとPMSなのか自分でも見当をつけやすくなるでしょう。

日付:2010年5月23日  カテゴリー:婦人科の病気,月経前症候群(PMS)

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PMSの症状

月経前症候群(PMS)の症状は多彩

PMSの症状は本当に様々です。人によっては「え!そんな症状が出るの?」と驚いてしまう症状を訴える方もいらっしゃいます。

体の症状として代表的なのが、月経前の下腹の痛み・腰痛・頭痛・めまい・吐き気・ひどいむくみ・便秘・ニキビなど。他にも、肩こりや手のしびれなど、他の病気と紛らわしい症状をおっしゃることもあります。

精神的な症状では、月経前のイライラ・気分の落ち込み・集中力の低下・仕事ができなくなる・不眠・理由もなく突然泣きたくなる・過食・甘いものばかり食べ過ぎるなど。

いずれも、うつなどの精神科的な病気との区別がつけにくい症状が多いのですが、月経が来たら嘘のように症状が消えてしまうかどうかで判別します。

 

月経前症候群(PMS)の原因はホルモン

なぜこんなに月経前になると様々な症状が出るのでしょうか。はっきりとした原因は解明されていませんが、一説に排卵後にたくさん分泌される「黄体ホルモン=プロゲステロン」が悪さしているのではないかと言われています。

排卵後に黄体ホルモンが急激に増えるので、そのホルモンの「波」に振り回されてしまうのです。

日付:2010年5月23日  カテゴリー:婦人科の病気,月経前症候群(PMS)

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PMSの治療法

PMS改善には生活の見直しが必須

ストレスや栄養の偏りはPMSを悪化させますので、できるだけハードワークを避けてストレスをためないことが最も大事です。

ハーブティーやアロマなど、自分なりのリラックスアイテムを生活の中に取り入れて、気軽に気分転換できるようにするといいですよ。お勧めのハーブティーは、ローズヒップやハイビスカスなどビタミンCが豊富なもの。むくみが気になる人はダンデライオン(タンポポ)など利尿効果のあるハーブティーを飲むといいでしょう。

お風呂の中に製油をたらすアロマバスや、アロマオイルでのマッサージは、自宅で簡単にアロマを活用できます。ホルモンバランスを整えてくれる代表的なアロマオイルは、ゼラニウム・クラリセージ・イランイラン・サイプレス・ローズなど。最近はこれらのオイルがあらかじめブレンドしてあるマッサージオイルも市販されていますから、香りの好みに合わせて楽しんでみてください。

 

また、パン・ご飯・麺類などの炭水化物や甘いもの・カフェイン類などの嗜好品は避けて、緑黄色野菜・小魚・ナッツ類を接触的に摂りましょう。ビタミンB群やE群・γリノレン酸・カルシウムをサプリメントで補うのも効果的です。チェストツリーやセントジョーンズワットなどのハーブはPMSの症状を緩和させると言われています。

コンビニなどで売ってあるサプリメントではなく、医療機関やサプリメント専門店でオーガニックな物を購入した方が安全です。サプリメントアドバイザーがいるクリニックを探したり、主治医にお勧めのサプリメントを教えてもらうのもいいでしょう。

 

低用量ピルは試してみる価値あり

また、低用量ピルで排卵を抑えるとホルモンの波が一定になるため症状が治まることがあります。完全に症状がなくならないまでも、体調の変化の「大波」が「小波」くらいにはなるんですよ。

ピルをお勧めすると、たいていの患者さんはちょっと抵抗感を示されます。月経前にひどいめまいとお腹の痛みで悩んでいたある方は、やはり最初は「ピルはちょっと・・・」と渋ってました。ところが、ピルを飲み始めたとたんに症状がすっかり消えてしまい、ついでに月経そのものも非常に軽くなったので「こんなに楽になれるならもっと早く試せばよかったです」と喜んでくださいました。

 

他にも、むくみやめまいに対する漢方を併用したり、精神的な症状がメインの時には不安や気分の落ち込みを改善する薬を使った方がいい場合もあります。ピルを飲んでも精神症状は改善しないこともありますから、この場合は婦人科と一緒に心療内科でも相談してみるといいでしょう。

日付:2010年5月23日  カテゴリー:婦人科の病気,月経前症候群(PMS)

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PMSは我慢しないで

PMSは精神的な症状がメインのことも多いので、「こんなことで病院に行くなんて」「自分の我慢が足りないだけなんじゃないだろうか」と受診をためらってしまう方も多いようです。でも、少なくとも自分でつらいと感じる症状があったり、日常生活に支障が出ているようであれば、早めに婦人科で相談した方がいいでしょう。漢方やピルでかなりの改善が期待できますので、我慢せず一度受診してみてください。

特に、精神症状が強い場合は、心療内科や精神科での治療が有効な場合も多いので、定期的なカウンセリングを受けたり、軽い精神安定剤などを併用しながら月経のリズムと上手に付き合っていく方法を探していきましょう。

 

月経サイクルのどの時期に症状が出やすいのかを自分で把握するだけでも、症状の緩和につながることがあります。

基礎体温表に心身の症状を一緒に記録する「月経日記」は、自分の調子が悪くなりやすい時期をあらかじめ把握して仕事の量やスケジュールを調節することができるので便利です。まずは3ヶ月を目安に、いつどのような症状がどの程度出たのかを記録してみるといいでしょう。

日付:2010年5月23日  カテゴリー:婦人科の病気,月経前症候群(PMS)

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主な性病

 性病=性感染症は、性交渉でうつる感染症全ての総称です。10代から20代前半を中心に広がっており、特に自覚症状が出にくいタイプの病気が蔓延しつつあります。

 予防はコンドームを初めから正しく使うこと!これしかありません。診断や治療の方法は感染の種類によって異なります。

 

 

・クラミジア感染症

 感染力が強く症状がほとんど出ないために、特に女性の感染者が増えています20-24歳の女性で、症状がない人も含めると6.4%、つまり16人に1人がクラミジアにかかっていることが推定されています。診断方法はおりものの検査か血液検査。治療法は抗生物質の服用です。

 

・淋病

 クラミジアと同様症状が出にくく、また、薬が効かない「耐性菌」が増えているためにじわじわと広がっています。診断方法はおりものの検査のみ。治療は抗生物質を点滴や筋肉注射します。

 

・性器ヘルペス

 「単純ヘルペスウイルス」というウイルスによる感染症です。最近は感染力があるのに自覚症状はない「不顕性感染」が増えているため、特に男性から女性へ気づかずに感染してしまうケースが増えています。

 発症すると外陰部に水ぶくれができて尿がしみたり強い痛みが出ます。診断方法は水ぶくれなどの見た目で判断できますが、血液検査や水ぶくれをこすって検査を行なう事もあります。治療は抗ウイルス薬の塗り薬や飲み薬ですが、重症だと点滴が必要になります。

 

・尖圭コンジローマ

 HPVの6型や11型が原因で外陰部や肛門周囲に「イボ」ができる病気です。コンドームで防ぎきれないことがあるのと、再発しやすいので、かかると厄介。イボを見れば一目で診断できます。治療はイボをレーザーや電気メスで切り取るか、塗り薬を一定期間使用します。

 

HPV感染症

 HPVの中でも子宮頸癌の原因となるハイリスクタイプに感染したら要注意です。性交経験のある女性の7~8割が50歳までに1度はかかると言われているくらいメジャーなウイルス。診断はおりものの検査で行います。

 HPVに対する治療薬はありませんが、9割の人は1度かかっても自然に治ります。また、16型・18型を防ぐワクチンが発売されたので、子宮頸がんの6割はワクチンで予防できるようになりました。

 

・トリコモナス腟炎

 細菌よりも大きな「原虫」が感染して炎症を起こします。おりものが泡立ったようになって、強い痒みが出ることが多いのが特徴。おりものを取って顕微鏡を見ればすぐに診断できます。治療は、飲み薬又は腟剤を10~14日間使って行います。

 

・毛じらみ

 陰毛に特有の「しらみ」が毛から毛へ移動して感染します。痒みや点状の出血で気づくことが多い。診断は毛根についている卵か、しらみそのものを見つけること。治療は毛を全部剃ってしまうか、スミスリンパウダーを毛に振り掛けて洗い流します。

 

・B型肝炎・C型肝炎

 B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる感染症です。性交渉以外にも輸血や医療行為中の血液との接触などによって感染することもあります。感染してもほとんど症状が出ません。診断は血液検査で行ないます。

 

・HIV/AIDS

 HIVウイルスによる感染症で、ウイルスによって免疫不全を発症した状態が「AIDS」です。先進国の中で唯一日本だけが新規感染者が増えており、1日3~4人の感染者が報告されています。特に、20代~30代では異性間での感染が増えているのが特徴です。

 診断は血液検査で行ないます。ウイルスを体から排除する治療薬はありませんが、ウイルスの活動を抑えて発症しないようにすることは可能です。

日付:2010年5月20日  カテゴリー:婦人科の病気,性病

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クラミジア

 妊娠初期の検査では、必ずクラミジア感染の有無を調べることになっています。クラミジアはセックスによって感染する性病=STDの一種なんですが、自覚症状がほとんどないために知らないうちに感染していることがあります。

 感染に気付かず、治療しないままにしていると、お産の時に赤ちゃんに産道感染して、新生児の肺炎や結膜炎を引き起こすことも。だから、お産になる前に感染の有無を調べて、あらかじめ治療するようにしてあるんですね。

 

 このクラミジア、10代や20代前半の女性だと17~20人に1人は感染しているというくらい、メジャーなSTDです。症状が出にくいので検査されていないだけで、実際はもっと多いのではないかと考えられています。

 現場での印象でも、過去の感染を含めると10%以上の人が検査で陽性を示すように感じています。これは、妊婦健診と不妊検査に来られた方全員にクラミジアの検査をして発見されたものです。症状を訴えて受診された方からクラミジアが検出される率はもっと高くなります。

 

 クラミジアは妊婦さんだけが注意しなければいけないわけではありません。感染による炎症がお腹の中に広がると、卵管の周りに癒着をおこして、卵管の通りが悪くなることがあります。これらの癒着は、将来の不妊や子宮外妊娠のリスクを高めてしまうんです。10代の頃の感染が、30代になって不妊治療の際に発見される、といったケースも実際にありえるんです。

 クラミジアの感染そのものは、適切な抗生物質を飲めば治療可能です。最近は4錠を一度に飲むだけで、治療はできます。でも、いったんお腹の中に起こった癒着は治りません。

 

 クラミジア感染を予防するためには、セーファーセックスを心がける!これしかありません。セーファーセックスとは、不特定多数の人と関係をもたない・コンドームを正しく使う・パートナーと一緒に定期的に検査を受ける、といった心がけで、STDのリスクを出来るだけ下げようというものです。セックスをする限り100%STDを予防することはできません。コンドームでも防ぐことの難しいSTDもあるんです。

 ただコンドームを使うだけでは実は不十分で、やはりお互いにきちんと検査を受けておくことが大切だと感じています。

 最近はブライダルチェクといって、結婚前に不妊の要素や性感染症がないか調べる検診もあります。結婚して、いざ妊娠を目指したら先に性感染症にかかってしまった、なんて、悲しすぎますからね。

 

 避妊に関して心配する人はまあまあいますが、性感染症に関しては無頓着な人が多いような気がします。性感染症の検査は、特別な人だけがするものではなくて、お互いを思いやって付き合いを深めていく人同士がするものなんですね。

 検査をしようと切り出すのは、とっても勇気が要ることかもしれません。初めは誤解を招くかもしれません。でも、もしそういった話をして離れていってしまうような相手なら、きっとその先いい関係は築いていけないんじゃないかしら。自分がどれだけ真剣にお互いのことを考えて、将来のこともちゃんと考えているのか伝えれば、真意は汲み取ってもらえるんじゃないかと思います。

日付:2010年5月20日  カテゴリー:婦人科の病気,性病

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