日々の雑記
5周年・ありがとうございます
9月11日はクリニックの開院記念日でした。なんと、あっという間の5周年!です。
と言っても、日々の診療と子育てでバタバタ~っとその日は過ぎ去ってしまったのですが・・・むしろ、「いつもと変わらない1日」をその日も淡々と積み重ねられたことに、心から感謝したいと思います。
開業した時もそうだったんですが、その日が来るのが「よい意味で」特別なことではなく、まるでそうなることがあらかじめ分かっていたかのようにものすごく穏やかにその日を迎えていたんですよね。開業する前は、開業時は「とうとうこの日がやってきたぞ~!」的なものすごい感動があるのかと思っていたのですが、10年以上温め続けてきた夢が実現したという割には、本当にものすごく「自然」だったんです。以前からそこが自分の居場所だったように、しっくりしていて、そしてじわ~っと温かい幸せを感じていました。
5周年を迎えた時も、やっぱり同じような感覚でした。何かをやり遂げた感じとか、目標を「達成した」という感覚ではなく、ちょっと言葉にするのが難しいのですが、ちょうど、朝起きて「あ、今日も生きている、ありがとう」という感じに似ている気がします。
もちろん、5年間の間に2回の出産があったわけですから、それなりの心痛も苦労もあったわけですが、振り返ってみると「あ~、ありがたいな~」の一言でまるっとしめてしまえるから不思議です。
特に、1人目の妊娠は、開業する段階で分かっていたので、開業してわずか半年でクリニックを留守にしなければいけないということにはとても大きな不安がありました。ギリギリまで代診の医師が確保できず、そうこうするうちに予定日は近づいてくるし、このまま誰も見つからなかったらどうしよう~と、悩んでいた日が懐かしく思えます。
結局、「出産の日まで代診の先生が確保できなかったら、出産の前日までは頑張って、できるだけ早く復帰しよう。1~2週間の急な休診で患者様には迷惑をかけてしまうけれど、自分がなぜこのタイミングで妊娠を目指したのかをきちんと説明してお詫びをすればよいのだから、それで理解が得られなければ仕方がない」と腹をくくったんですが・・・腹をくくったら、今もお手伝いしてくださっている浜田先生とのご縁がつながりました。
まあ、本当に産む8時間前まで診療をして、退院してすぐに復帰するとは、誰も予想はしていなかったと思います。偶然にも2人目も診療を終えた翌日に産まれているんですが、どちらも陣痛促進剤は使っていないんですよ。自然な陣痛が、ベストタイミングで来てくれたんです。空気を読んで生まれてきた娘たちには、本当に感謝感謝です。
まだまだやりたいことが多すぎて、子育てとの時間配分にヤキモキしたりしていますが、これからもより多くの女性のサポートをさせていただけるように、クリニックとともに成長していきたいと思います。
よかったら、これからも応援してくださいませ。
日付:2015年9月16日 カテゴリー:日々の雑記
脳内独り言の影響力
昨日は、以前からずっと受けたかった杏奈先生のプライベートレッスンを、やっとやっと受けてきました。フランクリンメソッドについて知りたかったので、メソッドについての基本的な考え方や簡単なムーブメントで体の使い方を教えて頂きました。
中でも、一番興味深かったのが、イメジェリーやメタファーを使って身体機能を向上させるという視点です。簡単に言うと、脳がどの様な言葉を思い浮かべるかによって身体機能が変化するというものです。
レッスンでは、即興の腕の動きを「ネガティブな言葉を心の中で呟きながら」行った後に、「ポジティブな言葉を心の中で呟きながら」やってみました。言葉を口にしていないのに、端から見ていても、その動きをどの様な言葉を思い浮かべながら行っているか分かるんです。自分の体感も、もちろん全く異なります。
分かりにくい~と思った方は、片手でギリギリ持ち上がるくらいの重さの物を、「ついてない、バカ野郎、重い~」と言いながら持ち上げてみてください。その後に、「ついてる、ありがとう、軽い~」と言いながら持ち上げてみてください。重さが変わったはずです。
体の機能をコントロールしているのは、脳です。脳がどの様な信号を出しているのか、一番分かりやすいのが発している「言葉」だと思います。実際に口にしている言葉はもちろんですし、口に出していない「脳内独り言」も同じ影響があります。
この、脳内独り言、人は1日で何と2万回くらい語りかけているそうです。その言葉がネガティブな言葉ばかりだったら、体にどの様な反応が現れるか…想像できますよね?
ちなみに、口にしている言葉も、脳内独り言も、脳は「主語を見分けられない」という特性があります。つまり、他者に対して向けたネガティブな言葉を、主語を自分に置き換えて理解してしまうのです。逆もしかりなので、他者に対して誉め言葉や感謝の気持ちなどを常に発信していると、自分がそれらを受けとることになります。
脳内独り言は、ちょっと意識するだけで変えられます。無意識に、ネガティブな言葉を連発してしまったら、最後に「っていうのは嘘~」と笑い飛ばすとよいのだそうです。
自分の体は、自分がコントロールできる…それを、体感させていただいたレッスンでした。
日付:2015年8月15日 カテゴリー:日々の雑記
違いを認め合うということ
2日間にわたるコモンビートの公演は、大盛況のうちに無事幕を下ろしました。
猛暑の中、会場まで足を運んでくださった方々、本当にありがとうございます。3公演ともに、2階席までほぼ満員状態で、お客さんの反応も良くて、舞台と客席が一体となって最高の作品を作り上げることができました。たくさんの方達のサポートに、改めて感謝感謝です。
このコモンビートの活動に参加し始めてから、ずっと考えていたことがあります。「違いを認め合う」「個性が響き合う」って具体的にどういうことなんだろう・・・と。
私は以前、違いを認める=相手が正しいと受け入れる、ことだと勘違いしていました。だから、自分と異なる考え方や行動に対して、それを正しいと思おうとすればするほど自分を押し殺すことになって、なんだか苦しくなっていました。だって、違うものを正しいとするなら自分が「間違っている」ってことになってしまいますから。
違いを認めるということは、相手の考えや行動や選択を「そうなんだね」と、ただあるがまま受け止めるということなんです。そこに「ジャッジを入れない」ということが重要なんだということに気づいた時、やっと楽に相手を受け入れることができるようになりました。
あなたはそう考えるんだね、私は違うけど、でもそれもありかもね。
そうやって、客観的に、ある意味淡々と受け入れると、自分も苦しくなくなりますし、あえて「どちら側」という境界線を明確にひかなくてもよくなるのです。そして、相手をコントロールしようという意識がなくなります。線の「こちら側」に引っ張り込もうとする必要がないからです。
ジャッジを入れなければ、「理解されないことへの失望感」も和らぎます。自分の気持ちや立場を理解してほしいと思っても、相手にうまく伝わらなかったり理解してもらえなかったりすることってしばしば発生します。相手に「理解すること」つまり「自分側のラインに立つこと」を強要しようとすると、理解されないことへの怒りや悲しみがわいてきます。でも、理解できないことに対してジャッジをしなければ、「何で分かってくれないの~」と思わなくて済むわけです。「あ、分からないのね」で終わります。
以前は、産後の悩みや育児の悩みなど、男女間でものすごく意識のギャップがあるな、女性側の悩みを男性は理解してなさすぎるなと思っていました。今でも、この部分の相互理解がもっと深まればいいのにとは思っています。でも、理解できていないことに対して、それを責める必要はないのです。
ミュージカルの舞台を見にいらした方達が、何を感じ取って、そしてそれを日々の生活の中でどう活かしてくださるのか、私は「その先」に起きる変化が楽しみです。自画自賛になってしまいますが、そういった変化を起こす力がある舞台だったと思えるのです。
そして、そこから少しずつでも変化の波が広がっていけば、娘が大人になる頃にはもっともっと「楽に」個性が響き合う社会になってくれているのではないかな~。
日付:2015年7月29日 カテゴリー:日々の雑記
里帰り分娩の方の妊婦健診について
いつもクリニックをご利用いただきありがとうございます。
里帰り分娩の方から、当院で継続して妊婦健診を受けたいというご要望を頂くことがあるのですが、申し訳ありませんが里帰り分娩の場合は妊婦健診を承っておりません。
これには理由があります。
当院は夜間や休診日の緊急対応ができる病院ではありません。妊娠中は、いつどのようなトラブルが起きるかわからないため、万が一当院が対応できない時間帯に異変が起きた時に、分娩予定の病院へ受診するには遠すぎますし、一度もかかったことがない病院へ受診することは非常に困難なケースがあるからです。
私は開業する前は、虎の門病院に勤めていました。夜間や休日に当直をしていると、里帰り分娩予定だけれど夜間救急対応していないクリニックで妊婦健診を受けているという方が、「休みの時はどこか適当に受診して下さい」と言われて困って受診なさるというケースにしばしば遭遇することがありました。当直時に分娩対応や緊急手術が入っていなければ受診していただくことは可能ですが、こちらの手が空いていない場合はお断りすることになってしまします。これでは、受診したい妊婦さんがたらい回しになってしまいますし、誰が責任を持って妊娠経過を見るのかという責任の所在があいまいになってしまいます。
自分が開業する時は、こういった無責任なことにはならないようにしたいという思いがありまして、里帰り分娩希望の方には夜間救急対応ができる病院で妊婦健診を受けていただくようにご説明しております。妊娠経過を安全に管理するために必要な対応だと考えております。どうぞご理解いただければ幸いです。
日付:2015年6月23日 カテゴリー:日々の雑記
ミュージカルの舞台を見に来て下さい♪
以前お知らせしました、ミュージカルの舞台ですが、本番が7月25日と26日にあります。
現在すべての振り付けなどが終わって、これから作品全体をブラッシュアップしていくところです。
私は初参加なので、本当にちょこっとした役ではあるんですが、ラストのダンスナンバーでメインダンサーを務めることになりました。
10年前に舞台に立っていた時とは格段に落ちているスタミナと格闘しつつ、練習に励んでます。
このミュージカルは、ただの舞台を作るというだけでなく、作品を通して「個性が響き合う社会をつくる」という理念を広めていく活動の一環となっています。特に見にいらしていただきたいのは、10代の方達です。
ご都合がつく方がいらっしゃいましたら、ぜひおいで下さい。
詳細は下記ご参照下さいませ。
コモンビート32期東京公演
上演時間90分
日時:7月25日19時開場19:30開演
7月26日12:30開場13時開演 17時開場17:30開演
場所:昭和女子大学人見記念講堂
チケット1枚3000円
チケットのご用命はこちらまで→info@vivalita.com
育児を楽しめなくてもいい
先日こんな記事を見つけて、「あ~こんなことを言われるからますます子育て中のママが追い詰められてしまうんだよな~」と感じました。
http://spotlight-media.jp/article/131622381010152972
私も以前、育児と家事でいっぱいいっぱいになったために色んな方にアドバイスや助けを求めたことがありますが、その時に似たような追い詰められ方をしたんですよね。
この記事、「オヤノミカタ」の視点で書いてあるようなんですが、本質的には「子育てを楽しいと感じられないあなたが悪い」と言っているようなものです。子育てを楽しいと感じられないなんて、やっぱり私は子育てに向いていないのね・・・とショックを受けてしまうママさんもいるかもしれません。
子育ては大変です。楽しいなんて感じられない時があって当然です。だから、私は子育てを「楽しもう」と思わなくてもいいのだと思っています。
どうせやらなければいけないことなのだから、大変大変と思わずに何か楽しめる要素を探してみようとか、できるだけ楽しめるように工夫してみようと、当事者が「自発的に」思うのはよいことです。嫌な仕事をイヤイヤやるより、少しでも楽しめることがないか視点を変えてみるというのは有効な方法ではあります。
でも、そもそも子育てを「楽しまなければいけない」という考えを他人から押し付けられること自体が、子育てで疲弊している母親にとっては負担になるわけです。
子育ての「先輩」たちが言ってしまうアドバイスで、最も破壊力が大きいなと感じたのは、「今が一番大変な時期だけど、でも一番可愛い時期よね」という言葉です。これは、親の介護で疲弊しきっている人に「最後に親孝行ができていいわよね。感謝しないと」と言ってしまうのと同じくらい、言われた本人にとっては大きなダメージになります。
どちらも、当事者が「自発的に」発するべき言葉であって、周りが押し付けてはいけないことなのです。
女性だから母性本能があるだろうとか、望んで産んだ子どもなんだから目の中に入れても痛くないくらいかわいいだろうとか、子育ては大変ながらもやっぱり楽しいだろうとか、そういった価値観の押しつけは、子育て中の母親にとっては苦痛なだけです。
比較的若い年齢で「今後妊娠は希望しないから」と避妊相談にいらっしゃる方の中には、「正直子どもがそんなにかわいいとは思えないんですよ。だから1人で十分なんです」という方もいらっしゃいます。子どもがかわいいと思えなかったり、育児が楽しいと思えなかったりすることを「母親失格」と思って自分を責めてしまう方も少なくありません。
そもそも、子育ては大変なんです。なぜって、人間らしい生活をしばらくの間あきらめなければいけなくなるわけですから。
ご飯を温かいうちに食べるとか、座って食事をとるとか、ゆっくり湯船につかって入浴するとか、一晩中邪魔されずにぐっすり眠るとか、行きたい時にトイレに行くとか、そういった「本来できて当たり前のこと」ができなくなるわけです。一時的なことであっても、小さなストレスの積み重ねは、育児を「楽しめない」ものにするには十分だと感じています。
大変なものは大変なんだと思っていいし、言ってもいいんです。「大変だけどでも楽しいよね~」なんて頑張らなくていいんです。「大変だからもう嫌!」って言っていいんだと思います。そう言えない空気を作ることは、母親を追い詰めて、虐待や殺害にまで追い込んでしまうことになりかねません。
育児に向いていない人が産むケースなんてたくさんあります。かく言う私も育児向きではありません。完璧主義で、計画性があって、予定通りに事が進まないとイライラする性格ですから、育児に向いているはずがありませんよね(笑)でも、子どもは欲しいと思いましたし、子どもを見てほっこりしたり「かわいいな~」とデレデレしたりすることもあります。
子どもがかわいいと思えなくても、育児を楽しいと思えなくても、それは母親の責任ではありません。母親が自分を責める必要もありません。「私はそう思えない」と周りに大きな声で言える環境こそが、本当に必要な「支援」なんだと思います。
目元の小じわにAPPSプラスEローション
先日娘の4歳のお誕生日記念に、家族で記念撮影をしてきました。午後の撮影だったせいもあるのですが、とっていただいた写真を見て大ショックを受けてしまいました・・・そう、自分の顔が想像以上に「疲れて」「老けて」いたんです。
いくら撮影のお姉さんに「もっと笑って~」と言われたからといって、目元のしわが多すぎます!
あまりにもショックを受けたので、早速エステティシャンにITOの商品でお勧めの化粧水を教えてもらったところ、「APPS+Eローションが一番人気です」とのこと。
ひとまず2週間ほど普段のお化粧水からAPPS+Eローションに替えて、さらに入浴時にコットンにローションをしみこませて目元だけコットンパックをしてみたところ、ずいぶんお肌の柔らかさが回復してきました。
にっこり笑うと目元に多少小じわは出ますが、撮影したときのような「疲れた感じのしわ」にはなりません。保湿をしっかりすると、お肌の透明感もアップするので、つややかさが加わって「疲れた感じ」が改善するんだな、ということを実感しました。
季節の変わり目で、お肌も乾燥しがちなこの時期は、ちょっと贅沢に高性能なお化粧水に頼るのもいいですね。
お化粧品購入はこちらの通販サイトをご利用くださいませ→http://vivalita.shop-pro.jp/
日付:2015年3月25日 カテゴリー:日々の雑記
私を笑顔にしてあげるために・・・
先日更年期症状についてご相談にいらした患者様が「最近笑ってないなって気づいたんです」とおっしゃっているのを聞いて、「あ、自分もそうだったな」と思い返してしまいました。
11月くらいから、長女に対してイライラすることが増えて、娘からしょっちゅう「お母さん、笑って!!」と言われてしまっていたんですよね。仕事をしている時は全然大丈夫なのに、朝晩や日曜日に2人の子どもを見ながら家事をしていると、何だか自分が奴隷になったような気分でどんどん疲弊してしまっていました。最初は、娘に「笑って」と言われたら、何とかして作り笑いをして「お母さん笑ってるよ」と返せていたのですが、段々それすらできなくなって、ある時「ごめんね、お母さん笑えない…」と言って娘を泣かせてしまいました。
これではいけないと思って、どうやったら自分が笑顔を取り戻せるだろう、どんな時に自分は心から笑ってるんだろうって考え始めた矢先に、ちょうど注文していた1枚のCDが届きました。私が中学生時代からミュージカルの世界にはまるきっかけとなった、平和を伝えるミュージカル「ピースチャイルド」のオリジナルCDです。早速CDをかけながら懐かしい曲を口ずさんだら、みるみる笑顔やワクワクが湧き上がってきました。「あ~、私は本当に舞台が好きなんだな。ミュージカルが大好きなんだな」ということを改めて思い出したんです。
自分を笑顔にするために、私が自分にしてあげられることは何だろうと考えた時に、やっぱりミュージカルの世界に戻ることだと気付きました。もちろん、本業がありますから、ミュージカルスターを目指すという意味ではありません。長女を妊娠して以来ずっと我慢してきていた、歌やダンスのレッスンを再開したり、舞台に立つ機会を持つということです。それができる機会がないかいろいろ調べたら、ちょうどあったんです。誰でも参加できるミュージカルの舞台が。早速体験会に参加して、その場で出演を決めてしまいました。
と言っても、実は体験会に参加するまでにものすごくものすごく大きな心理的なハードルがあって、何度もあきらめかけていました。
子どもたちをほっといてレッスンに行くなんて、とか。自分の趣味を優先させるなんて、とか。練習が始まれば、診療に出られない日が発生するため患者様にもスタッフにも多大なる迷惑かけることになるし、練習もフル参加できなければ他の出演者にも迷惑かけてしまうし、とか。
諸々の葛藤を繰り返しながら、きっとたくさんの方に迷惑をかけることになるし、子どもたちにもさみしい思いをさせてしまうかもしれないけれど、それでもどうしても出演したいと思って体験会に参加したんですね。なので、体験会の会場に到着して、オープニングが始まった途端にひそかに泣いていました。自分がそれまで、どれだけ「やりたい」という気持ちを抑えていたのかに気づいたからです。
即日で出演を決めたのは、ゆっくり考えたら「やっぱりやめよう」となってしまう気がしたからです。何かをやりたいと思った時、それができる環境が整ってから始めるのではなく、まず「やる!」ということを決めることが重要になります。なので、診療の調整がついてから決めるのではなく、先に出演を決めてから診療の調整をしていくことにしたのです。
その結果、ご迷惑をおかけすることになった患者様、これからご迷惑をおかけするであろう患者様には、心からお詫び申し上げます。
舞台までの期間中は土日がレッスン日になるため、土曜日の診療に私がほとんど出られなくなります。土曜日受診希望の方には、4月~7月の期間中ご不便をおかけしますが、どうかご理解とご協力を頂ければ幸いです。
日付:2015年3月21日 カテゴリー:日々の雑記
HPV感染と子宮頸がん
今月は、自治体が配布している無料クーポンの使用期限が切れる月なので、「駆け込み検診」の患者様が増えていますね。クーポンが検診のきっかけになって異常が見つかるケースは、案外少なくありません。クリニックでも、普通に毎年検診を受けている方より、クーポンで検診を受ける方の方が異常が出る割合が多かったりします。
子宮頸がん検診で異常が出ると、しばしば質問されるのがHPV感染との関係です。子宮頸がんの原因のほとんどは、HPVへの感染なので、細胞に異常が出ているということはHPVに感染している可能性が高いと言えます。HPVに感染しているかどうかは、HPV検査をすればすぐにわかります。
みなさんが一番気にされるのは、このHPVがどこから感染したものなのか、そして今後HPVが「消えてくれるのか」ということです。HPVは性交渉によって感染するものなので、今までの性交渉の誰かから感染したものということは言えますが、誰からなのかを特定することは困難ですし、また特定する意味もありません。一度感染すると体から完全にいなくなることはないので、HPVを「退治する」ことを考えるのはあまり意味がありません。
HPVは性交渉の経験がある女性の約8割が一生に一度は感染することがあるくらい、ある意味ありふれたウイルスです。私はよく、「子宮頸部の『風邪』みたいなものだ」とご説明しています。
つまり、感染機会を持つところからがんになるまでの経緯を風に例えると理解しやすいのです。
*HPVに感染している人との性交渉=風邪をひいている人との接触
風邪をひいている人のそばにいたからと言って全員にその風邪がうつるわけではありません。でも、手洗いやうがいやマスクなどでできるだけ感染しないように予防はします。
HPVに感染している人と性交渉を行っても必ず感染するとは限りませんが、ワクチンやコンドームでの予防は大事です。
*HPVへの感染=風邪がうつる
予防をしていても風邪がうつることはあります。でも、ほとんど症状が出ないこともあれば、軽い症状で終わることもあります。
HPVへ感染しても、ただウイルスが「いる」というだけで細胞に何も変化が起きない場合もあります。HPV感染が「性感染症(STD)」ではないと言われるのは、感染したこと自体はまだ「病気」とは言えないからです。
*HPVが細胞に変化を引き起こす(異形成)=風邪症状が出る
風邪がうつった人の一部は、しっかり風邪症状が出ることがあります。でも、早めの治療を行ったり、自分の免疫力を高めればすぐに症状は改善し、重篤な病気を引き起こすまでには至りません。
感染したHPVが細胞に変化を引き起こしてくるとがんの手前の「異形成」という状態になります。この段階ではまだ「がん」ではないので、変化が軽い「軽度異形成」や「中等度異形成」であれば、自分の免疫力を高めてウイルスの活動を抑えることで、細胞が正常化していくことが期待できます。変化の強い「高度異形成」であっても、円錐切除という手術(早期治療)で完治できます。
*HPVによる細胞の変化がさらにひどくなってがんになる=風邪をこじらせて肺炎になる
本来風邪は、早めの治療できちんと対応すれば重篤な状態になることはありません。自然に治るものです。でも、対応が遅れたり極端に免疫力が下がったりしていると、「こじらせた」状態になって肺炎などの重篤な状態につながる場合があります。
「異形成」の状態がさらに進むと「上皮内がん」を経て「浸潤がん」へと進行していきます。この状態にまで進んでしまうと、大掛かりな手術や放射線治療などが必要になってきます。HPVに感染した人の約1000人に1人が、何もしなければがんまで進行していきます。この状態まで進行しきる前に「早期治療」できるようにするのが、検診の役割なのです。
子宮頸がんは、ワクチン接種と適切な検診で必ず予防できるものです。
「めんどくさい」なんて言わずに、毎年しっかり検診を受けてくださいね。
日付:2015年3月12日 カテゴリー:子宮頚がん,子宮頸がん検診,日々の雑記
月経血カップやジェムリンガは安全か?
最近、「月経血カップ」や「ジェムリンガ」などの自分で膣内に挿入するタイプの商品について、「本当に安全なの?」というお問い合わせを頂くことが増えてきました。
それぞれの商品が安全なのかを説明する前に、そもそも膣内に「異物」を挿入するということについてお話ししておきましょう。
膣内に「異物」を挿入することは、短時間であれば可能です。なぜなら、そもそも膣内は男性性器が挿入されたり、赤ちゃんが通り抜けてくることが可能な場所ですから。コンドームやタンポンや大人のおもちゃ的なものなど、いずれも一時的に挿入することはできますし、必ずしも医療材料で作られたものでなくても、短時間であればトラブルになることはあまりありません。
ただし、「入れっぱなし」にするとトラブルを引き起こすことがほとんどです。これまで私が見たことのある膣内異物は、外れてしまったコンドーム・タンポン・ペンのキャップ・子宮頸がん自己検診用キットのキャップなどです。いずれも、膣内に入ってから数日から数週間が経っていましたから、異臭を伴うおりものが増えており、日数が経っているケースでは膣の壁は赤くただれた状態になっていました。膣内異物も、時間がたつと膣の壁に強い炎症を引き起こして「肉芽」というものを作ってしまうことがあります。
また、膣の中は弱酸性のため、酸に弱い成分で作られたものを膣内に入れるのはとても危険と言えます。
月経血カップは、日本では「生理用品」の条件に当てはまらないので生理用品として販売されていませんが、海外ではナプキンやタンポンと同じカテゴリーで販売されているようです。素材はシリコンですから、入れっぱなしにしなければ膣内で異常な反応を引き起こすことはないと考えられます。
通常、たまった血液を捨てるために、数時間ごとにとりだしますから、感染や炎症のリスクは低いでしょう。ただし、不潔な手で挿入したり、使い終わった後の煮沸を行わなかったりしたら、不衛生になる可能性はあります。あくまで、販売元が指定している正しい使い方を守るというのが、安全に使用する上で必要な条件になってきます。
膣の浅い位置に入れるもののようですので、タンポンのように「入れたことを忘れて入れっぱなしになってしまった」といったトラブルが起きる可能性は低いと考えられますが、月経の終わりかけに使う場合は注意が必要かもしれませんね。
ジェムリンガは、宗教団体がベースで販売しているので、使用されている材料が衛生材料でもなければ医療材料でもありません。おそらく、水晶などのパワーストーンを一時的に膣内に入れても、その石が溶け出すなんてことはないでしょう。ただ、使われている金属部分が劣化していくリスクはあると思われます。また、月経血カップと異なり、一定時間ごとにとりだすのではない場合、つまり「入れっぱなし」にしてしまう可能性がある場合は感染や炎症を引き起こすリスクになります。
パワーストーンが「気」の流れを改善したり、エネルギーの浄化をしてくれることは私自身も経験していますので、パワーストーンをヒーリング的に使うことは問題ないと思います。でも、本当に力のある石だと、わざわざ膣内に入れなくても効果があるんですよね。第1チャクラや第2チャクラに必要なパワーストーンを置いたり、子宮の位置にお腹の上からパワーストーンを置くだけで十分効果は得られます。
ジェムリンガを推奨している団体は、性について開放的にとらえることを推奨しているようですが、自分の性を素直に受け入れるということと毎日性についてばかり考えるというのはちょっと異なります。性について肯定的すぎることは、性を否定することと同じなんです。つまりどちらもベースにあるのは「固執」です。
毎日便通がある人は、いちいち「今日はお通じがあった」なんて意識しませんよね。でも、便秘がちの人は「今日はスムーズには出た」「今日は出ない」といちいち便の事が気になります。性を「ナチュラルに」捉えられていれば、前者のように毎日そのことを特別に取り上げなくても、ちゃんと自分の性を大事にしてあげられるのです。
膣内異物は婦人科では珍しくないトラブルの1つです。
膣内に入れるものを使った後に少しでも異変を感じたら、すぐに婦人科を受診するようにして下さいね。