日々の雑記
なぜ「気づいたら5キロ太っている」のか?
お正月に「ついつい食べ過ぎて」体重が気になっている、という方もいらっしゃるかもしれませんね。ちなみに私は、子どもたちとずっと一緒にいたので食べ過ぎる暇もなく、というかまともに食事をとる暇もなく・・・
患者様の中には、「気づいたらここ1年で5キロも増えていました」「特に食べている量は変わらないのに体重が勝手に増えているんです」という方もいらっしゃいます。特に更年期世代の方は「ずっと食べる量は変わらないのに・・・」という方も多いのですが、実は「食べる量が変わらないから」太るんです。
体重は勝手には増えません。体重が増える原因となる「何か」を自分が行っているから、結果として体重を増やしているだけです。「気づいたら」「勝手に」と認識しているのは、特に「食べすぎている」という自覚がないからだと思われます。
体重1キロを増やすのに必要はカロリーは約7000キロカロリーです。仮に1日100キロカロリーずつ取りすぎたとしましょう。その状態を70日間継続すれば1キロ体重が増えるのは分かりますよね?じゃあ、同様に365日継続したら、何キロ増えますか?あら不思議、上記の「気づいたら増えている体重」と一致しませんか?
100キロカロリーは、ご飯にすると普通のお茶碗に6分目くらいの量です。一言で言うと「ほんのちょっとの食べすぎ」くらいの量です。でも、その「ほんのちょっと」のカロリーオーバーを1年間続けると、結果はしっかり出るわけです。逆もしかり。夕食のご飯を子ども用のお茶碗に変えるだけで、1年で3キロ程度の減量は「いつのまにか」できてしまうのです。
基礎代謝と呼ばれる、「寝ていても消費するカロリー」は年齢とともに低下していきます。多くの女性は、年齢とともに日常的な運動量も減っていきますので、基礎代謝も落ちて運動によるカロリー消費量も落ちているのに、食べる量が「変わらない」とどうなるか、もうお気づきでしょうか?
基礎代謝が落ちたぶん運動量を増やせばいいと考えるかもしれませんが、運動で消費できるカロリーは実は微々たるものです。もちろん、運動によるインスリン抵抗性の改善など、カロリー消費以外の効果も大きいので、運動することに意味はとてもあります。ただ、「運動した分食べても大丈夫」と思っていると、結果としてはカロリーオーバーになることの方が多いので要注意なのです。
もし、あなたが「気づいたら体重が増えている」と思ったら、まずは体重が「増えた」のではなく、体重を「増やした」のだということを自覚しましょう。
その上で、上記の「ちょっと」をどちらに積み重ねていくのかを選択してみることをお勧めします。
日付:2018年1月15日 カテゴリー:日々の雑記
いつまで他人の人生を生き続けますか
クリニックには、明らかな婦人科の病気以外の「何となく不調が続く」という方もいらっしゃいます。20代や30代だと「PMSかもしれない」、40歳以上だと「更年期かもしれない」と思って婦人科を選んでいらっしゃるのですが、よくよく症状を伺ってみるとPMSや更年期障害ではないですよ、というケースの方が多かったりします。
典型的なPMSであれば、月経1~2週間前から心身の不調が出て生理がくるとスッキリよくなるのですが、「なんとなくの不調」の方は生理前にイライラや情緒不安定やめまい・吐き気などの症状が強くなるけれど、生理後も何となく軽い症状は続きます。両者を見分けるには、基礎体温とともに症状の変化を記録してみるとはっきりします。
更年期の「ような」症状を訴えてくる方の中には、甲状腺機能異常や血糖コントロールの異常や心身症・不安神経症・うつなどのメンタル疾患が隠れていることがしばしばあります。血液検査でホルモン異常やその他の内科的異常がないかを確認しつつ、症状が出ている根本的な原因を探っていきます。
原因は人によってさまざまなので、一概には言えませんが、PMSのような症状を訴える方や更年期世代の方に多い特徴が「自分の人生を生きていない」という点です。
自分のやりたいことが分からない、または自分のやりたいことや自分のケアは「後回し」にして、常に人の世話ばかりしている。あるいは、親や上司の評価を気にして「認められる」ことを目標にして行動していたり、もっと広く「他人の目」を気にして人に気をつかってばかりで自分らしい生き方ができていない。そんな方が圧倒的に多いのです。
例えば、親の評価を気にして本当にやりたい仕事につかず「親が喜びそう」な会社に就職したり。子どもの受験に親が必死になりすぎて、送り迎えや夜食の準備など自分の疲労の原因をわざわざ作り出していたり。介護に時間をとられて自分がやりたいことをできずに日々不満ばかり言いながら過ごしていたり。
これらはすべて「他人の人生を生きている」状態です。人は「本来の自分の生きたい姿」からずれると「病気」という状態になります。体や心が、「このままの方向で進むのは嫌だ!!」とサインを出しているのです。サインに気付こうとせず、それらの不調を薬で抑えこんで他人の人生のまま生きていると、もっと重大な病気になったり、重大な出来事が起きたりします。
あなたは他人の顔色をうかがいながら、他人の人生を生き続けますか?それとも、誰に何と言われようと、人の目なんか気にせず自分のやりたいことをやって言いたいことを言って「自分の人生」を生きますか?
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「子宮頸がんワクチンで不妊になる」はウソ!
前回の記事で、「副反応だ!」と騒がれている症状が実は子宮頸がんワクチンのせいで引き起こされるものではないということはご理解いただけたと思います。
これ以外にも、子宮頸がんワクチンが広く広まるのを阻んでいると思われる、いくつかの「デマ」があるのです。
例えば、最近見かけるようになったのが、このワクチンが「劇薬」に分類されていることを強調した「反対論」。ワクチンの添付文書の画像を貼り付けて、「劇薬」と書かれていることを指摘して「こんな危険な薬です」と訴えているわけですが、薬剤の分類つまりどんな薬品を「劇薬」とするかは明確な定義があります。なので、その定義に当てはまればどんな薬品も「劇薬」なのです。
例えば、心臓の病気などの時に使う「ジゴキシン」という薬の添付文書を見れば、子宮頸がんワクチンと同じように「劇薬」の文字が印字されています。でも、この薬によって病気が改善している人もいます。投与量を間違えば、危険な症状が出る可能性もあります。だから「劇薬」と分類して医療者側が取り扱いに注意しましょうと促しているわけです。「劇薬」は、必ずしも「人体に害を及ぼす危険な薬」といういうわけではなく、使い方に注意が必要な薬剤であることを示しているのです。
また、以前から医学的には何の根拠もないなと感じながらも、あまりにもよく目にする「反対論」が「子宮頸がんワクチンで不妊になる」というデマです。こんな意味不明の指摘が出てしまった大元は、南出喜久治氏のYouTube動画「サーバリックス子宮頸がんワクチンによる民族浄化/弁護士 南出喜久治」なのだそうです。ワクチンに含まれている「アジュバント」という成分が、動物の避妊治療(去勢)に使われる薬剤にも含まれているので、子宮頸がんワクチンは「不妊にさせるワクチンだ」というこじつけ論が展開されているのです。
「アジュバント」は多くのワクチンに含まれている成分です。これは、ワクチンの効果を賦活化(少量でも効きやすくする)するために、ワクチンとしての有効成分と合わせて配合されるものです。子宮頸がんワクチンは、HPVというウイルスに対する免疫抗体を作るためのものです。なので、この抗体を作りやすくして、なおかつ定着しやすくする目的で「アジュバント」が入っています。一方、避妊用のワクチンには「妊娠しなくするための成分」が入っており、その作用をサポートするために「アジュバント」が一緒に含まれています。要するに「アジュバント」が避妊効果を発揮するのではなく、あくまで「妊娠しなくするための成分」の作用をアジュバントが増強しているに過ぎないのです。子宮頸がんワクチンには、そもそも妊娠しにくくなる成分など入っていませんから、それがアジュバントを加えたからと言って「不妊になる」わけではありません。
おかしなデマのからくりがご理解いただけましたか?
ワクチン接種後の妊娠率については、接種した人と接種していない人で差がないというデータは出ています。もちろん、日本では接種開始後の年数が短いので、妊娠に対する影響について「日本人だけで」とったデータはまだありませんが、世界中で同じような内容の研究はされており、妊娠に対しては何も影響がなことがハッキリしています。
また、デンマークのコホート研究では、妊娠中にこのワクチンを接種した場合の安全性について研究したデータがあります。主要な先天性異常・自然流産・早産・死産・低体重出征・発育不全などの項目について、ワクチン接種した人と接種していない人を比較した結果、両者に有意な差はなかった、つまり妊娠転機にリスクの変化はないという結論が出ています。
詳細を知りたい方は、論文を参照してくださいね。
N Engl J Med 2017;376:1223-1233
このように、子宮頸がんワクチンを「危険なものである」と指摘する理論は、いずれも医学的には根拠がなかったり単なるこじつけだったりします。ネットや雑誌に載っているこれらのデマをうのみにして、本来予防できるはずのがんを予防しないことが賢明な選択なのかどうかは、各自がしっかり考えるべきだと思います。
「子宮頸がんワクチンで不妊になる」よりも、子宮頸がんになって子宮を失う方がよほど確実に妊娠の機会を失います。私は少なくとも、自分の娘にそのような思いはさせたくないと考えます。
どの情報が正しいのか、誰が言っているのかが正しいのかよりも、どのような選択をすることがトータルで見た時に「すべての女性の健康サポート」につながるのかを考えてこれらの情報をお伝えしています。
あなたや大切な人の未来を守るお役に立てていただければ幸いです。
日付:2017年10月10日 カテゴリー:HPVワクチン,子宮頚がん,日々の雑記
子宮頸がんワクチンの安全性
今日は避妊教育ネットワークの勉強会に参加してきました。他のメンバーの活動報告に刺激を受けたり、ピルによる避妊機序について生理学的に詳しい解説を受けたり、子宮頸がんワクチンの接種がなぜ広まらないのかについて日本の現状の裏話を聞いたり、盛りだくさんの内容でした。
子宮頸がんワクチンの接種は、公費負担での接種が開始されてからもそれほど希望者が多くなく、「なぜこれほどまでに予防意識が広まらないのだろうか」と懸念していましたが、「積極的接種を推奨しない」との発表後は全くと言っていいほど接種希望者がいらっしゃらなくなりました。
でも、10代の娘さんを持つお母さまからは時々質問を受けたりします。特に、お母様ご自身が子宮頸部の異形成で定期フォローを受けていらしたりすると、「娘には同じ思いをさせたくない」というお気持ちもあるようです。ワクチン接種を受けさせたいけれど、メディアの報道を見ていると怖くなるという意見が多いため、まずはメディアの報道をどのように受け止めたらよいのかを解説していきたいと思います。
私自身は、明らかにそうであるというエビデンスのある内容についてはそのエビデンスを優先します。その事実を証明または否定するエビデンスが充分でない時は、「エビデンスがないからそれは間違いだ」とは断定せず、その事実が本当である可能性も考えるようにしています。
子宮頸がんワクチンに対して「積極的接種を推奨しない」という措置をとらざるを得なくなった背景には、メディア上で報道されているようなけいれんなどの激しい症状を伴う「副反応」が見られるとの指摘を受けたせいです。しかし、実際は、この問題となっている症状とワクチンの因果関係についてははっきりと否定されているのです。学会も、WHOも、明らかな因果関係はないと結論付けているにもかかわらず、まるでワクチンのせいでそのような症状が出てしまっているような取り上げられ方がされているため、一般の方は「ワクチンの副反応であんなふうになってしまうこともあるのか」と誤解をしてしまっても無理はありません。
どんな薬もそうですが、大人数に使えば一定の割合で「副反応」と呼ばれる症状が出ることがあります。ワクチンの副反応もそうですが、接種後に出た症状が「明らかにワクチンのせいなのか」を見極めるには、いくつかポイントがあるのです。
1)症状がワクチン接種後のみに見られて接種前には見られない
2)ワクチンを打っていない人に同じ症状は出ていない
3)ワクチンの接種以外ことで同じ症状が出ていない
4)ワクチン接種と症状の出現時期に明らかな因果関係がある
例えば、ワクチンを接種した数分後に失神するケースはあります。医学的には「迷走神経反射」と呼ばれるもので、一時的に血圧が下がって急に意識を失うものです。ワクチンを接種してすぐに起きるものなので「ワクチン接種のせいでそうなった」と言えますが、実は同じことは採血でも他の注射でも起こりえます。なので、この場合3)の「ワクチン以外のことで同じ症状が出ない」に当てはまりません。つまり、「ワクチンという薬剤の成分」で起こった症状ではなく、「注射という痛み刺激」のせいで起こった症状ということになります。
子宮頸がんワクチン接種後に起きているとされる、けいれんや歩行ができなくなるなどの多彩な症状は、ワクチンを接種していない人や男性にもみられていること。ワクチン接種が開始される前から、同様の症状を訴える人がいたことなどから、ワクチンの薬剤そのものが影響して引き起こされた症状ではないという結論に至っているのです。
ワクチン接種後から症状が出た場合に、ワクチン接種という痛みや心理的負担が「引き金」になった可能性は考えられるかと思われます。でも、それは「薬剤」のせいではないわけです。その点が、最も大きな誤解として、一般の方には「副反応だ!」と印象つけられているのではないかと感じました。
実際、「海外のデータではあてにならない。日本人特有の反応の仕方があるのかもしれない」との指摘を受けて、名古屋市が接種した人としていない人に見られる症状を、正しい統計学的分析をして比較したデータがあります。倦怠感等のいずれの症状もワクチンを接種したグループの方が「わずかに少ない」という結果が出ているとのことです。つまり、「副反応だ」と指摘されている症状は、実際はワクチン接種が関係ない可能性が大きいのです。
日付:2017年10月9日 カテゴリー:子宮頚がん,日々の雑記
私の副鼻腔炎が一瞬で治ったわけ?!
子どもたちの風邪をもらってしまったのをきっかけに、副鼻腔炎になり、10日間くらいグズグズと症状が続いていました。症状的には明らかに副鼻腔炎なので、漢方薬や抗生剤で治療していたのですが、何となくすっきりよくなりきらず・・・やっぱり、この症状を引き起こしている背景をちゃんと見ないとダメだなと思っていたのですが。
実は原因ははっきりしていて、一言で言うと「夫への不満の蓄積」です。鼻は「自己認識」を表現する場所で、副鼻腔炎は「身近な人への不満」を意味しています。まあ、副鼻腔炎になっても全然不思議ではない状態だったわけですよね。なので、この副鼻腔炎を改善するには、夫に不満をぶちまけるしかないと思っていたのです。でも、夫は朝早く出かけて、みんなが寝静まった後に帰宅しますから、そもそも不満をぶつけようがなく、どうしたものかと他の方法を考えていたのですが。
自分が何気なくとった行動が、ため込んだ不満を一気に解消したようで、一晩で副鼻腔炎の症状がすっかり消えてしまいました。
私がやったことは、「夫の帰宅時間を気にせず先にお風呂に入って、お気に入りのバスミルクを入れて、パックをしながら、夫が帰宅しても慌ててあがらずそのまま長風呂をし続けた」だけです。どういうことかというと、普段は夫が帰宅したらすぐにお風呂に入れるように、帰宅するかもしれない時間には自分がお風呂に入るのを控えて、夫が入った後に入るようにしていたんですよね。しかも、夫は「香り」が嫌いなので、最後に入浴する時しかアロマ系のバスエッセンスを使わないようにしていました。でもって、自分が入っている途中で夫が帰宅したら、まだ湯船につかっていたくても急いで上がるようにしていたんです。どんだけ気遣いしているんだって感じですよね?(笑)
それを全部、夫のことはほっといて「自分優先」で行ってみたわけです。夫への気遣いをやめて、とにかく「自分を喜ばせること」を優先してみたところ、副鼻腔炎の症状は全くなくなってしまいました。改善した背景には、自分を労わる=夫をないがしろにする、という間違った法則が自分の中にあったために、自分を犠牲にして夫への不満をためていた、というこれまでの状態が一気に解消したということが挙げられます。
夫への気遣いをやめることと夫をないがしろにすることはイコールではありません。「私はこうしたいの」と主張して自分の居心地の良さを優先することは、「不満がない状態」を作るのに必要なことだったのです。それを象徴するような行動をとった、つまり、不満をため込まなことを「不満をなくす」より先に具体的な行動で「先取りした」というわけです。夫の行動は全く何も変わっていないわけですから、私の行動を変えるだけで不満がなくなるのか、と思われるかもしれませんが、この「行動の先取り」は今回のようにかなり即効性があるようです。
この法則は、実は食事療法でも応用ができます。食事への活用方法は、また別の機会に説明していきますね。
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日付:2017年10月5日 カテゴリー:日々の雑記
無痛分娩にトラブルが多い本当の理由
無痛分娩に関しては、分娩時のトラブルについての報道が相次いだりした影響か、最近はあまり質問されなくなった印象ですが、中には「どうしても陣痛に耐えるのが嫌!」「痛みに弱いので今から陣痛が恐怖」といった理由で無痛分娩を希望する方もいらっしゃいます。個人的にこのような理由で無痛分娩を選択することは、お勧めしていません。それは、色んな意味でご本人にも赤ちゃんにも良い影響が残らない可能性が高いからです。
無痛分娩の医学的リスクは以下のようなものが挙げられます。
*「産科麻酔」という特殊な麻酔の技術が必要→麻酔によるトラブルが起こりうる
*麻酔が効きすぎると分娩停止のリスクがある
*自然な分娩なら必要なかった帝王切開・吸引分娩・鉗子分娩が必要になる可能性がある
いずれも、技術の高い医師が充分なマンパワーのある病院で万全の態勢で行えば、そのリスクをかなり下げることはできるものですが、これらのリスクを「ゼロ」にはできません。
一方で、無痛分娩のメリットもあります。痛みが少ないおかげで分娩時の心身のダメージが少なく産後の体調の回復が早くなったり、分娩時に赤ちゃんとのやり取りを楽しむ余裕ができたり、といった点が挙げられます。
ただ、実はこれらのメリットも、無痛分娩でなくても得られるものです。分娩までの様々な心身の「準備」を整えておけば、それほど痛みに苦しむことなく幸せなお産を行うこともできます。
痛みの感じ方は個人差が大きいと言いますが、本来の姿に戻ることができれば、どんな女性でも陣痛によってダメージは受けないようになっているのです。
最終的に無痛分娩を選ぶかどうかは、ご本人や家族の意向によると思いますが、無痛分娩にトラブルが多い原因は、実は「なぜ無痛分娩を選ぶのか」の理由によるところが大きいのです。
心臓の病気などによる医学的適応で無痛分娩を選択するケースを除いて、ほとんどのケースでは「痛みに耐えることが嫌!」「痛みが怖い」という「避けたいものを避ける」目的で、脳が「苦痛を感じて」その選択を行っています。つまり、無痛分娩という選択を行う時点で、自ら苦痛を背負い込みながら嫌なことを避けたいという状態を思い浮かべているわけです。この状態で選択した「無痛分娩」というものが、良い結果をもたらしてくれるはずがありません。
以前、コンビニのお惣菜が体に悪影響を及ぼすのは、コンビニ食を「選ぶ時の脳の動き」が原因であると書きましたが、実は無痛分娩という選択にも同じことが言えるのです。無痛分娩そのものが悪いわけではありません。なぜ無痛分娩をしたいと思ったのか、その理由がとても重要です。無痛分娩を選ぶ時、自分の頭の中にどんな映像を思い浮かべているかということです。
もし、どうしても無痛分娩が選びたいけれど、その悪影響が出るのが心配という場合は、まずは「なぜ無痛分娩を選ぶのか」の理由を書き換えていくといいでしょう。
そして、無痛分娩かどうかはひとまず置いといて、自分にとっての理想のお産とはどのようなものなのか、そこに至るまでにお腹の中の赤ちゃんとどのような関係を築いていきたいのか、その点をもっとしっかりイメージしていくことをお勧めします。
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日付:2017年9月29日 カテゴリー:日々の雑記
なぜストレス発散すればするほど病気になるのか?
以前も「ストレス」というものが本当は存在しないものだと書きましたが、この世の中には「ストレス」という物質は存在していません。でも、多くの人が「ストレスがたまって」「ストレスフルな生活が続いて」体調不良になっているとか病気になったとおっしゃいます。医学的な解説にも「ストレスをためないようにしましょう」「症状の原因はストレスかもしれません」といったことが書いてあったります。
実際は「ストレス」だと思っていた何か具体的な「自分のテリトリーを侵害しているもの」があるわけです。例えば「育児がストレス」という人の場合、育児で自分のペースが乱されて自分の思うような時間配分で物事が進められないことが負担に感じている、ということかもしれません。この場合、「子どものペースに自分が振り回されている」という状況を生み出すことで、自分らしい生き方ができなくなっていると感じていることが「ストレス」の正体なわけです。
この「ストレスの正体」をきちんと見ずに、ただ「ストレスがたまっているからパーッと遊びに行こう」「今日はやけ食いだ!」「週末は飲みに行ってストレス発散するぞ」ということを繰り返していると、たとえ自覚的にはストレスが「発散」できていても人は病気になっていきます。
なぜなら、「ストレス発散」のために行っていることはすべて、それを行えば行うほど「自分はストレスにさらされている~」ということを自分に言い聞かせているようなものだからです。大変な自分・かわいそうな自分・みじめな自分・疲れている自分・・・ストレスにさらされて『本来の姿を失った自分』をストレス発散のたびに再認識してしまうだけなんですね。
なので、この状態でいくら「ストレス発散」をしても、脳の「苦痛系」という部位が刺激されて、結果としてストレスを感じた時に分泌されるホルモンがたくさん出てしまいます。
とはいっても、一時的に「たまっているもの」を爆発させることも時には必要だったりします。いわゆる「ガス抜き」というものですね。ただし、これは1回限りです。それを何度も繰り返すことは、上記の理由で何の解決にもなりません。
問題から目をそらすためにストレス発散しているはずが、実は問題をより強化しているだけになってしまうんですね。だから、ストレス発散のために食べるとぶくぶく太りますし、お酒を飲むと肝臓を傷めますし、買い物をするといらないものばかり買ってしまって「浪費」になってしまうのです。
自分が「ストレスを感じているな~」と思ったら、それを発散しようとしたり「なかったことにしよう」とするのではなく、まずはその正体を詳細に分析してみることをお勧めします。正体が分かれば、お化けと闘っている状態から脱却できますので、具体的な解決方法が見えてきます。
そして、「ストレスがあるかどうか」は置いといて、日々何を感じてどのように過ごしたいのかに焦点を当てて行動してみましょう。上記の「育児がストレス」である場合は、子どもと一緒にいる時にどういう感情を感じたりどんな顔で過ごしていたいのかをまず具体化します。そして、どのような環境を整えたりどのような行動をとるとそれが実行できるのかを考えていくのです。さらに、それが「うまくいかない場合」はどういうケースがありうるかを挙げて、そのような状況にさらされた時も「得たい感情」が得られるようにするための具体的な解決策をあらかじめシミュレーションしておくのです。
こうすることで、脳の「報酬系」という部位が刺激されるようになります。同じ育児をしている時も、苦痛系が刺激され続けるのと報酬系が刺激され続けるのとでは、結果として体に起きてくる反応が全く異なってきます。
これらの「脳の動かし方の調整」を行ってくれる『薬』はありません。そのため、カウンセリングが有効になってくるのです。
もし、自分で脳の動かし方を変えるのが難しいなと感じたら、一度カウンセリングを受けてみるとよいかもしれません。
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日付:2017年9月28日 カテゴリー:日々の雑記
「親に感謝」は間違いか?
二分の一成人式や、父の日・母の日などのイベントで「親に感謝しましょう」と促すことが、虐待を受けている子どもや「親に感謝」が難しい立場にいる子どもを追い詰める、という意見があります。確かに、「感謝する」ことは他人から強要されることではありません。自発的に、自然に湧き上がってくるのが「感謝」という感情だと思います。子どもの時は、その感謝を伝える方法をまだよく知らないから、どのような表現方法があるのかを周りの大人が教えてあげることに意味はあると思います。
でも、「親に感謝すべき」という考えを押し付けるのは間違いでしょう。介護の現場や、子育ての現場でもよく見られる光景ですが、「親の世話をさせてもらえるなんてありがたいよね」「子どもはすぐ大きくなるから今の時間は貴重な時間だよね」など、他人の価値観を押し付けてしまうことで介護や子育てに疲弊している人に追い打ちをかけてしまうことがあります。これらはすべて、当事者が自発的に発言するものであって、「外野」が言うことではありません。
では、子どもたちに「感謝」を教えることは間違いなのでしょうか?個人的に「感謝して生きる」という選択もあるよ、ということを教えることは必要だと思います。親や支えてきてくれた人たちに感謝して生きるのも一つの選択だし、悪態をつきながら文句ばかり言って生きるのも一つの選択です。何が正しいというわけでもなく、それらの選択はすべて本人の自由なのです。だから、どういう生き方をしていても「間違っている」というわけではありません。
診療の現場でも、私はよくこうお伝えします。「根本原因と向き合わず薬で症状を押さえてだましだましいくのもありですし、根っこと向かい合ってスッキリよくなるのもありですし、どちらの生き方を選択してもいいんですよ」と。何を選択するかは本人の自由です。ただ、どのような選択肢があるのか、そしてそれらを選択した先に何があるのかを示しているだけなのです。
親に感謝をしたくないという人の中には、恨みや怒りを持っていなければ生きる活力がなくなってしまうという人もいるかもしれません。その状態の時には、恨みや怒りが必要なのですから、無理に手放そうとしなくてもよいのです。時が来れば手放したくなるかもしれませんし、一生そのままかもしれません。
ただ、一つ言えることは、悪態をつきながら「感謝したいこと」を体験するのは難しいということです。よく因果応報の法則といいますが、原因があるから結果が出るのではなく、結果を決めるから原因が発生するのです。例えば、儲かったからお金持ちになるのではなく、お金持ちになると決めたから儲かるわけです。「文句を言い続ける」という選択をしたら、文句を言い続けたくなる毎日がやってきます。「感謝して生きる」と決めたら、感謝したくなるような出来事がやってきます。
人は、「赤い物を探そう」と思いながら青い物に目を止めることはできません。「恨みつらみ」を思い浮かべながら生きていると、うれしいことや楽しいことが目に入らなくなってしまうのです。
そのことを理解したうえで、どのように生きるかを選択していけばいいのだと思います。そして、どのような選択肢があるのかを示し、本人の選択を温かく見守ることが、周りの大人ができることなのではないでしょうか。
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日付:2017年8月13日 カテゴリー:日々の雑記
産後うつや虐待を予防する効果的な支援とは
今日も朝から学会参加です。朝イチのシンポジウムは、どのようにしてサポートが必要な妊婦さんをピックアップして、効果的な支援を行っていくかというテーマでした。母子手帳や問診票、質問紙票をうまく活用して、リスクをスコア化する取り組みや、産後健診などの行政的取り組みなどについて、各立場からのお話があり、色々参考になりました。
リスクというのは、虐待のリスクです。虐待死の6割以上が0歳の時点で起きているため、産後の母親をどのように支援するかが、虐待死を減らすためにはカギになるというわけです。今回は、産後うつのリスクについては議論の対象になっていませんでしたが、基本的な考え方は同じでしょう。
産後に継続的なサポートが必要になりそうな妊婦さんを、妊娠中から見つけておくことは、産後1ヶ月健診後も誰がどのように介入するのか、あらかじめ対策を立てる上では重要です。
でも、シンポジウム全体を通して強く感じたのは、事前にハイリスクとわかるケースばかりではないという点と、どんなに病院や行政が頑張っても24時間365日サポートすることはできないということです。例え区役所に育児相談に行っても、その時は話を聞いてもらえて少しは気分が晴れても、自宅に帰ればウンザリする現実があるわけです。妊婦さん本人だけを見ていても、十分なサポートにはならないのではないかと感じました。
じゃあどうすればいいのか・・・妊婦さんのごくごく身近にいる支援者を支援&教育することが重要なのです。支援者の一番の候補は、妊婦さんの「夫」です。子どもの「父親」という立場にいる人です。
両親学級への参加を必須にするとか、妊婦健診に4回以上同席させるとか、分娩時の立ち会いを勧めるとか、退院前の指導を母親だけでなくて父親も一緒に行うとか、父親をなんちゃってイクメンではなく「父親」として機能できるようにするために行えることはたくさんあります。事前のスコアでハイリスクと分かっている妊婦さんについては、その夫に対する個別指導も重要だと思います。
父親がいないとか、病気や発達障害などで父親の協力が期待できない場合は、他にキーパーソンを見つけて支援者として教育する必要があるでしょう。家族との繋がりも全くない完全に孤立無援のケースでは、産後4~6ヶ月の間は、専門の支援者が常駐するシェアハウスに入って頂くなどの対処が必要になると思います。
シンポジウムの中では「病院も行政もマンパワーには限界があり」といったありきたりな討論がなされていましたが、もっと「日々の生活」に落とし込んだ支援をするには第3者だけが介入してもダメなのです。そして、家族をどのように巻き込んで協力させるかが非常に重要、かつ、マンパワー不足を補うことになるのだと感じました。
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日付:2017年7月17日 カテゴリー:日々の雑記
「高齢」の呪縛は誰がかけたもの?
今日は自宅のすぐ近くで学会が開催されているので、受けたいセクションだけをちょこっと受講してきました。自転車で会場と自宅を往復できてしまうので、助かりますね。
受けてきたのは「NIPTについて今後の課題を議論する」というパネルディスカッションだったのですが、改めて出生前診断や、高齢妊娠について考えたくなる内容でした。NIPTとは無侵襲的出生前遺伝学的検査(Noninvasive prenatal genetic testing)の略で、母体の血液を採取することで、そこにわずかに含まれている胎児の染色体も一緒に採取して異常がないかどうかを調べるという検査です。正確には「胎児の染色体」ではなくて「胎盤」の染色体なので、胎児自身の体に流れている血液の成分が、母体の採血で採取できるわけではありません。
以前から行われていた「クワトロテスト」や「トリプルマーカー」と比べて検査の精度が高いことから、「新型出生前診断」として話題になったこともありました。現在は、検査を受けられる対象や、検査を行える施設を限定した「臨床研究」という位置づけで、検査の機会が提供されています。要するに、誰でもどこでも受けていい検査ではないですよ、という位置づけなのです。
NIPTの臨床研究については、「NIPTコンソーシアム」のページをご参照ください。
シンポジウムの中では、主に検査の精度について、つまり「疑陽性」や「疑陰性」や「判定不能」の結果が出たケースについて発表されていましたが、パネルディスカッションでの議論の中心は「限定的な検査にすべきか広く誰もが受けられる検査にすべきか」といった内容でした。特に印象に残ったのは、「『偽陽性』が出た場合、本来は正常に産まれるはずの命が失われることになる」という指摘でした。検査の精度的に、「本当は異常がないのに陽性と出る」割合がゼロではありません。たとえ頻度は低くても、「間違って」染色体異常ありという結果が出る場合もあるのです。検査を受けて「異常あり」の結果を受けた方の90%以上が妊娠を中断するという選択をなさっていました。つまり、異常があることが分かったけれど妊娠を継続するという選択をする人はほとんどいないのです。だからこそ、「異常がないのに陽性」と出てしまうことは大きな問題と言えるでしょう。
検査を受けた人の「なぜ検査を受けたか」の理由の9割以上は「高齢妊娠だから」というものでした。年齢とともに染色体異常のリスクは上がります。なので、染色体異常がないかどうかをあらかじめ調べておきたいという理由で検査を受けるという方がいらっしゃいます。検査を受けた方がいいかどうかは、事前の遺伝カウンセリングをきちんと受けて、「万が一異常が出た場合にどうするのか」も含めて夫婦でしっかり話し合ってから個々に決めることです。医師も含めて、当事者以外が「受けた方がいい」「受けない方がいい」ということを示すべきではありません。検査を受けることによって「知らないでいる権利」を一部放棄することになる、ということも含めて、当事者が選択することなのだと思います。
ただ、検査理由のほとんどが「高齢妊娠」であること、そして、年齢を理由に受けた人の9割は正常であるという結果であることを合わせて考えると、「年齢」の捉え方を考え直すべきではないのかと改めて感じました。
高齢妊娠した方や、高齢で妊娠を目指す方は、ぜひ下記の質問の答えをしっかり導いてほしいと思います。
「あなたはなぜその年齢まで妊娠しないという選択をしてきたのですか?」
人によっては「仕事に夢中になっていたら40過ぎていた」「たまたまパートナーが見つからなかった」「病気の治療をしていたらこの年になった」「今まで結婚する気にならなかった」「なんとなくこの年になってしまった」などなど、どちらかというと積極的理由で妊娠する年齢を引き上げたわけではないという方もいらっしゃるでしょう。というか、「好きでこの年になったんじゃないわよ」という方がほとんどかもしれません。
それでもあえて、この質問に答えることに意味があるのです。「なぜわざわざ今の年齢で妊娠した(妊娠を目指した)か?」です。
高齢であることを気にする方のほとんどが、「この年まで妊娠しなかった」ことに罪悪感や後悔など、何らかのネガティブな解釈を持っていることがほとんどです。
妊娠を目指したい理由を書いてもらっても「年も年なので・・・」という方は非常に多くいらっしゃいます。年齢を気にして出生前診断を受ける場合も、ベースは同じ思考回路が働いている可能性が高いのです。
私たち産婦人科医にとっては、年齢と妊娠率や、高齢妊娠のリスクについて正確な情報を提供することも大切なお仕事のひとつです。なので、年齢について色々語ってしまいますが、それらの情報は10代や20代の方たちに「今のうちに知っておいて!今なら間に合うから!」ということで伝えているのです。高齢妊娠の方や高齢で妊娠を目指す方に対して「その年齢まで妊娠しなかったこと」を後悔させたりそれを責めたりしているわけではありません。
高齢妊娠だから何かあったらどうしよう・・・という思いで出生前検査を検討するなら、検査をしない方がよいと言えます。今の年齢まで妊娠をしないという選択をした理由をきちんと考え、「これからの妊婦生活をより安心できるものにしたいから」という理由で受けるのなら、検査の意味があるでしょう。
あなたはまだ「年齢の呪縛」を大事に持ち続けますか?それとも、上記の質問にサクッと答えて、さっさと手放しますか?
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日付:2017年7月16日 カテゴリー:不妊症,日々の雑記










