婦人科の病気

 

子宮頸がんの原因

 「子宮癌」は、癌ができる場所によって「子宮頸癌」と「子宮体癌」に分けられています。ただできる場所が違うだけでなく、それぞれ発症しやすい年齢や原因や予防法が大きく異なってくるので、別々の病気として考える必要があるんですね。

 

 子宮頸癌は、子宮の出口側にできる癌です。若い人に増えてきているのが特徴で、好発年齢つまりかかりやすい年齢が30~40代と子宮体癌よりやや低くなっています。最大の原因は、HPV(ヒューマンパピローマウイルス)というウイルスの感染です。HPVは性交渉によってうつるウイルスなので、早い時期から性交渉を経験するようになったことで若い人でも子宮頸癌になるリスクがあがってきているわけです。

 初期にはほとんど症状がないので、早期発見をするためには毎年きちんと検診を受けるしかありません。進行すれば、月経以外の時期に出血したり性交渉のあとに出血したりといった症状が出ることがあります。

 

 予防する方法は、HPVの感染を防ぐことですから、性交渉の開始時期をできるだけ遅くすること・必ずコンドームを使うこと・性交渉のパートナーの数をできるだけ少なくすることが大事です。ただし、HPVは性交経験がある女性なら一生のうちに7~8割の人が1度は感染することがあるといわれているほどメジャーなウイルスなので、いわゆる「遊んでいる人」が感染するというわけではありません。むしろ、性交渉をしていれば誰もがかかりうるウイルスだと思ってくださいね。

 

海外では、すでに100カ国以上の国でこのHPVを予防するためのワクチン接種が行われています。日本でも遅ればせながら、2009年12月にHPV16型と18型を防ぐワクチンが発売になりました。性交経験前の方なら何歳であっても、ワクチン接種をしておくことをお勧めします。

HPVワクチンについては別ページで詳しく解説していきますね。

 

HPVは、いったん感染しても9割の人は2年以内に自然に消えていきます。体が持っている抵抗力がしっかりしていれば、ウイルスをちゃんと排除することができるんです。なので、ウイルスに感染したからといって必ず癌になるというわけではありませんから、その点だけは誤解しないようにしてくださいね。

複数のウイルスに何度も感染すること、他の感染症に重ねてかかること、喫煙、免疫力の低下などが、癌化を促してしまう要因と言われています。1度HPVに感染してもあまり悲観せず、これらの要素をできるだけ避けて、定期的な検診を心がけて下さい。

日付:2010年4月13日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮頚がん

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子宮頸がんの検査

 子宮頸がんの早期発見には、検診を受けるしかないのですが、子宮頸がん検診は色々ある検診の中でも最も検診を受ける意味があるとされています。それは、検診で異常を発見できる確率が他のがん検診に比べてとても高いからです。さらに、子宮頸がんは癌の一歩手前又はごくごく初期の段階で発見できれば、子宮の出口の一部を切り取るだけでほぼ完治が期待できます。若い人がかかりやすいということは、将来の妊娠のチャンスを失わないように、癌によって子宮を失ってしまうことをできるだけ避ける必要がありますからね。そういった意味でも、いかに初期の段階で見つけるかが重要なんです。

残念ながら、日本女性の子宮がん検診受診率はまだまだ非常に低くて、全部の年齢を合わせても約20%の人しか受けていないんですよ。特に、本来一番受けて欲しい10代~20代の若い人たちはほとんど検診なんて受けていません。「がん検診」と聞くと怖いイメージを持ってしまう方もいらっしゃるようですが、検査自体は1分もかからない簡単なものです。内診台にあがる必要があるので、下着を取ることそのものに抵抗はあると思いますが、子宮の出口を綿棒でちょこちょこっとこするだけですから痛みもそんなに感じずにあっという間に終わります。

 

検診の結果は1~5の「クラス」に分かれていて、クラス1~2は正常・クラス3はグレーゾーン(癌とは言えないが細胞に変化が見られる)・クラス4~5は癌の可能性が高い又は明らかに癌であると解釈します。結果が「正常」であれば、引き続き年に1回の検診を受けていれば問題ありません。

 

 「グレーゾーン」という結果だった場合、医学的には「子宮頸部異形成」という状態になるのですが、細胞の変化の強さによってその後の対応が異なってきます。細胞の変化が軽い「軽度異形成」の時は、大体3ヶ月ごとに検査を繰り返して様子をみていきます。この段階では、まだ治療は必要ありません。細胞の変化がだんだん強くなってきたり「高度異形成」が疑われる時は、子宮の出口を少しかじり取る「組織診」という検査をして治療の必要性を判断していきます。

日付:2010年4月13日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮頚がん

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子宮頸がんの治療

 組織診で「高度異形成」までであった場合は、その先癌に進んでいく可能性もあるので何らかの治療をすることが多いですね。まだ若くてできるだけ妊娠に悪影響を及ぼす治療を避けたい場合は、子宮の出口をレーザーで焼く「レーザー蒸散」を行うことがあります。逆にしっかり治療をしておきたい場合は、子宮の出口を一部切り取る「円錐切除」という手術を行います。

 「上皮内癌」又はそれ以上の結果だった場合も、明らかな進行癌でなければ病気の広がり具合を確認するために「円錐切除」をします。円錐切除は検査と治療を兼ねた手術なんです。

 円錐切除によって「上皮内癌」までであると診断されたら、一応そこまでで完治が期待できますから、追加の治療は行わず、定期的に癌検診を繰り返していきます。もちろん、再発のリスクもあるので定期検査は絶対にサボってはいけませんよ。

 

 円錐切除の結果が「浸潤癌」であった場合は、子宮や卵巣やリンパ節を全て切り取る本格的な癌の手術が必要になってきます。癌の広がり具合によっては術後に放射線治療や抗癌剤による治療を追加することもあります。円錐切除をするまでもなく、子宮の外にまで広がっていそうな進行癌だった場合は、手術は行わず放射線治療と抗癌剤による治療を組み合わせて行うことが多いですね。

 このレベルになると、いったん治療が終わっても再発するリスクが高くなりますし、治療そのものもかなり大掛かりになってしまいます。早期発見さえできればわずかな治療で完治が期待できるわけですから、とにかく何も症状がなくても1年に1回の子宮癌検診は受けてくださいね。

日付:2010年4月13日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮頚がん

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子宮内膜症とは

 子宮内膜症は、今、20代の女性を中心に増えてきていると言われています。本来なら子宮のお部屋の中にしかないはずの子宮内膜が、なぜか子宮の壁や卵巣の中やお腹の中に発生してしまう病気です。なぜ、子宮以外の場所に子宮内膜が発生してしまうのか、はっきりとは分かっていません。
 子宮内膜は、卵巣から出ている女性ホルモンに反応して増殖し、生理のたびに剥がれて出血として出てくるんですね。ところが、子宮のお部屋以外にできた子宮内膜は、出血しても出ていくところがありません。なので、子宮の壁や卵巣の中やお腹の中に、古い血液がたまっていってしまうんです。

 たまった血液は、周りに炎症を起こして癒着という状態を作ります。子宮や卵巣や腸が、引きつれたようにくっついてしまうんですね。子宮内膜症の主な症状はひどい生理痛ですが、この癒着が広がると、生理以外の時でもお腹や腰が痛かったり、性交時や排便時にも痛みがあったりします。また、卵管に癒着が起こると、卵管が詰まってしまうために不妊の原因にもなってしまいます。

 若い方の内膜症が見つかると、こちらも頭を悩ませてしまうのは、今後閉経までこの病気と付き合わなければならないからと、妊娠のタイミングを考慮しなければいけないからなんです。

 

内膜症は、生涯の月経量が多ければ多いほどリスクが高くなるといわれています。つまり、初潮を迎えてすぐに妊娠・出産・授乳を繰り返していた昔の女性は、妊娠・授乳中の生理がない期間=「生理的無月経」といわれる期間が長かったので、内膜症に悩まされることもあまりありませんでした。

現代は、妊娠する年齢が遅くなり、一生のうちに出産する回数も少なくなってきたせいで、20代~30代で子宮内膜症になる人が増えてしまっているんですね。

日付:2010年4月6日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮内膜症

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子宮内膜症の症状

 子宮内膜症の主な症状は、月経痛がひどいまたは年々ひどくなる・月経量が多い排便時や性交時に引きつるような痛みがあるなどです。

 稀なケースではありますが、腸に内膜症があると月経のたびに血便が出たり、肺に内膜症があると月経のたびに肺に穴が開いて胸が苦しくなったりする人もいますね。

 

 内膜症が見つかるきっかけとして多い症状は、やはり「月経痛」。毎月寝込むほどの痛みがある、痛み止めが効かないあるいは効きにくくなってきた、などの症状がある人は早めに婦人科で調べてもらうことをお勧めします。例え明らかな内膜症の所見がなくても、内膜症のごく初期である可能性もありますから、痛みに対してピル黄体ホルモンによる治療を開始しておいた方がいいでしょう。

 逆に、月経痛が全くない人は内膜症にはならないかというとそういうわけでもありません。月経痛はほとんどないけれど、検診を受けたらチョコレートのう腫が見つかったというケースもありますからね。

 

 内膜症は、月経がある間は基本的に進行していく病気なので、できるだけ初期の段階で発見してそれ以上進行しないように治療を始める事が重要になってきます。

日付:2010年4月6日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮内膜症

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子宮内膜症の診断

 内膜症の診断は、症状内診所見超音波検査MRIなどの画像検査と腫瘍マーカーを組み合わせてしていきます。

 生理痛ががひどくて婦人科を受診したら「内膜症の疑いがある」と言われた方も結構いらっしゃると思います。この「疑いがある」というのが曲者で、内膜症だと断定出来ているわけではないんですね。確実に内膜症だと診断するには、腹腔鏡検査をしてお腹の中の組織をとってこなければいけません。でも、生理痛がひどい人に片っ端から腹腔鏡検査をするわけにはいきませんから、内診で子宮の動きが悪くないか診たり、超音波で子宮や卵巣が腫れていないかなどを診ることで、内膜症が疑わしいかどうかを判断することになります。

 超音波上、明らかに子宮が厚ぼったかったり卵巣が腫れていたりすれば、子宮内膜症の可能性がきわめて高いと言っていいでしょう。こういった場合は、内膜症の治療を開始した方がいいと言えます。

 時々、超音波上は何も異常が無いけれど、生理痛がひどいだけという場合でも「内膜症かもしれない」と言われてしまう方もいらっしゃいます。内膜症の診断は、腹腔鏡検査をしなければ困難な場合も多いんです。だから、所見は何も無いけれど、内膜症の可能性も否定できないと言うのは、間違ってはいません。でも、言われた本人は「私は内膜症なんだ!」と、ショックを受けてしまったり、「もしかして不妊になるのかも」と不安になってしまう事が多いんですね。

 もし「内膜症かもしれない」と言われたら、超音波上や内診で明らかな所見があるのか無いのか、ちゃんと確認してみることをおすすめします。

 

腹腔鏡以外の検査で内膜症であると「確定診断」することはできないんですが、実際は、内膜症の疑いがある人全員に腹腔鏡検査をするわけにはいかないので、超音波で明らかな卵巣の腫れが見つかったり子宮がはれぼったくなっていたりすれば「子宮内膜症の疑いが強い」と判断して治療を行っていきます。

 検査の目的だけで腹腔鏡手術をすることはあまり多くありませんが、妊娠を望んでいてお腹の中の癒着の程度や卵管の通り具合を確認しておいた方がいい場合は、腹腔鏡検査をすることがあります。内膜症は不妊の大きな原因の1つなので、早い段階で診断をし、必要な治療を行っていく必要があるためです。

 

 内膜症かどうか不安な方は、まずは婦人科で内診と超音波検査を受けてみましょう。

日付:2010年4月6日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮内膜症

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子宮内膜症の薬物治療

内膜症の治療法は、大きく分けて手術療法と薬物療法になります。

薬物治療は、筋腫の時と同じ「偽閉経療法」低用量ピルの他に、黄体ホルモン療法などがあります。内膜症の場合、何もせずに放置するのはNGですよ。月経がある間は基本的に進行してしまうので、例え症状が強くなくても、内膜症と診断されたら何らかの治療をしておいた方がいいでしょう。

 

偽閉経療法は女性ホルモンの働きを抑えて閉経と同じ状態を作る治療法。月経が止まれば月経痛も過多月経もなくなりますし、出血がなくなるので卵巣のう腫や子宮腺筋症を小さくする効果も期待できます。ただし、副作用としてのぼせやほてりなどの更年期症状が出たり、骨密度が下がってしまったりといった影響があるので、6ヶ月間しか連続して使うことができません。

なので、手術前にある程度病変を小さくしたり、閉経まで逃げ込む目的で使うことが多いですね。

 

低用量ピルは、飲み続けていると月経の出血量が減り月経痛も軽くなるので、内膜症による月経痛や過多月経の改善目的によく使われます。月経量も極端に減っていくので、内膜症の病変が進んでいくのを予防する働きもあります。

ただし、偽閉経療法や黄体ホルモン療法のようにチョコレートのう腫や子宮腺筋症のサイズを小さくする作用はあまり強くありません。

副作用は人によって出かたが異なりますが、あっても飲み始めの12ヶ月吐き気が出たり不正出血が見られる程度。重い副作用はほとんどありません。非常に稀に、血栓症という重篤な副作用が現れることがありますが、頻度としては飛行機に乗ってエコノミークラス症候群になるのと同じくらいの割合です。めったにおこるものではないと言っていいでしょう。

ピルは、偽閉経療法と異なって、何ヶ月でも飲み続けることができます10代や20代で内膜症が見つかった場合は、妊娠を希望するまでピルを飲み続け、そろそろ妊娠と思った時点でピルをやめて効率的に妊娠を目指すのがベターですね。内膜症の予防という意味でも低用量ピルは有効なので、確実な避妊が必要で月経が重いという人は、予防も兼ねてピルを飲んでおくことをお勧めします。

 

黄体ホルモン療法は、ピルに含まれる2種類の女性ホルモンのうち「黄体ホルモン」という1種類のホルモンだけを飲み続ける治療法です。偽閉経療法と同じく、卵巣から出る女性ホルモンを抑える効果がありますが、偽閉経療法ほど完全に抑えきってしまうわけではなく「低空飛行」の状態を保つので、副作用としての更年期症状や骨密度の低下がほとんどないというメリットがあります。

飲み続けるうちに、ほとんど月経が来なくなるので、内膜症の病変は小さくなっていきます。ピルと偽閉経療法の中間くらいの強さだと考えると分かりやすいですかね。

主な副作用は不正出血。飲み初めから36ヶ月間は、ダラダラと少量の出血が続いてしまうことがあります。この不正出血が不快で黄体ホルモン療法が使いにくいという方は、最初の12ヶ月間だけ偽閉経療法を行って、そのあと黄体ホルモン療法に移行させていくといいでしょう。黄体ホルモン療法も、特に制限なく何年でも続けることが可能です

 

どの治療法がベストなのかは、病状や妊娠の希望の有無によって異なってくるので、副作用の出方なども見ながら主治医とよく相談して選択していきましょう。

日付:2010年4月6日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮内膜症

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子宮内膜症の手術療法

内膜症の手術療法は、開腹手術で子宮や卵巣を全部取ってしまう方法から、腹腔鏡下で卵巣のう腫だけを取り除く方法までバリエーションはイロイロ。

内膜症があるから必ず手術しなければいけないというわけではありません。手術が必要になるのは、

 

妊娠を望んでいて大きな卵巣のう腫や子宮腺筋症がある場合

薬物治療で症状が改善しない場合

チョコレートのう腫が大きい又は大きくなっている場合

40歳以上で4cm以上のチョコレートのう腫がある場合

腫瘍マーカーが高くて悪性腫瘍を否定しきれない場合などです。

 

内膜症を根本的に治すためには、子宮全体あるいは子宮と卵巣を全て取ってしまう「根治術」を行うことになります。この手術は基本的に今後妊娠を望んでいない方にしか行いません。症状がひどくて薬物治療も効かない場合、最終的に子宮をとるしかないんですね。

閉経までまだ期間があり、卵巣が腫れていない場合は子宮のみを切除します。チョコレートのう腫も一緒にある場合は、腫れている側又は腫れがひどい側の卵巣を一緒に切除し、片方の卵巣はできるだけ残すようにします。両方の卵巣が大きく腫れていたり、閉経まであと23年という場合は両側の卵巣も一緒に切除することもありますね。

根治手術は開腹手術になるので、10日前後の入院が必要になります。

 

妊娠を希望されている方に子宮腺筋症があって症状がひどい場合や不妊症の場合、妊娠できる状態を保ちつつ内膜症の病変を切り取る必要があります。こういったケースに対して行うのが、子宮の壁の中で腺筋症の部分だけを削り取る「腺筋症核出術」ですね。この手術も開腹手術で行います。

 

妊娠を希望されていて、チョコレートのう腫がある場合は、開腹手術ではなく腹腔鏡手術で卵巣のう腫を摘出することがほとんどです。ただし、チョコレートのう腫が両側にあって極端に大きい場合や、癒着が強くて腹腔鏡手術ができない場合は、開腹手術をせざるを得ないこともあります

内膜症の病変があることをそのものが不妊の原因になるので、妊娠を希望している場合は腹腔鏡手術でチョコレートのう腫の中身を吸い出したり、お腹の中を洗ったりするだけでも妊娠率の改善につながるんですよ。

 

チョコレートのう腫が大きい場合や、40歳以上で4cm以上のチョコレートのう腫を長期間経過観察している場合、途中でチョコレートのう腫が「悪性化」つまり癌になることがあります。ずっと様子を見ていたチョコレートのう腫がいきなり大きくなってきたり、腫瘍マーカーが上がってきたりしたら要注意です。

悪性化が疑わしい場合は、時間をおかず早めに手術で卵巣を取り除いた方が安全でしょう。また、40代以上の方で大きなチョコレートのう腫がある方は、悪性化してしまう前に手術しておくことをお勧めします

 

また、チョコレートのう腫も10cmを越えると破裂のリスクが高くなってきます。のう腫が破裂すると、ものすごい腹痛が出現したり、下腹全体に炎症や癒着が起きてしまうことがあるので、サイズが大きすぎる場合も早めに手術を検討した方がいいでしょう。

手術の必要性や適切な術式も、人によって異なってきますので、どの段階でどういった治療を行った方がいいのか、その都度よく相談してみてくださいね。

日付:2010年4月6日  カテゴリー:婦人科の病気,子宮内膜症

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更年期障害の症状

更年期とは

 更年期とは、閉経をはさんで前後10年の時期のことを指します。閉経の平均年齢は約50歳なので、標準的には大体45歳~55歳が「更年期」ということになりますが、閉経年齢には個人差がありますので早い人は40代前半でも更年期に差し掛かることもあります。

 「更年期」はその年齢を迎えれば女性なら誰にでも訪れるものですが、その時期に出現する心身の様々不調は「更年期症状」と言って症状の現れ方は人それぞれです。この「更年期症状」が極端にひどく、日常生活にまで支障をきたしてしまう場合を「更年期障害」と言って治療の対象になります。

 

更年期障害の症状

 更年期障害の症状としてよく言われているのがのぼせ・ほてりといった「ホットフラッシュ」ですが、この時期に出現する症状は非常に多岐に渡ります。

 

体の症状:のぼせ・ほてり・発汗・めまい・頭痛・

      息苦しさ・胸の痛み・膝やかかとの痛み・

      喉のつかえ感・疲れやすさ・皮膚の乾燥感など

 

心の症状:イライラ・不眠・気分の落ち込み・やる気が出ない・

      集中力の低下・性欲の低下など

 

ずっと続くめまいが更年期のせいだと気付かず、内科や耳鼻科を何箇所も回ったり、脳神経外科で脳の精密検査まで受けてこられる方もいらっしゃいます。検査では何も異常がなく、症状の改善もないのでと婦人科に相談にいらして、ホルモン治療を始めたとたんにすっかり症状が消えて驚く方も少なくありません。

月経がまだきちんと来ていても、更年期症状が出る方もいらっしゃいますので、40歳を過ぎて「何だかよくわからない体調不良」が続いた時は念のため婦人科で相談してみることをお勧めします。

もちろん、胸の痛みが心臓の病気のせいだったり、めまいや耳鳴りが脳腫瘍のせいだったりすることもありますから、どの症状も「きっと更年期でしょう」と放置せず各科での精密検査は受けた方が安心です。

日付:2010年4月5日  カテゴリー:婦人科の病気,更年期障害

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更年期障害の治療開始の目安

 更年期かも?と思ったら、まずは婦人科を受診しましょう。実際にホルモンのバランスが更年期のパターンになっているかどうかは、血液検査をすればすぐに分かります。

 また、症状の強さによって点数をつけていく「更年期指数」という指標があるので、それらの結果を元に治療の必要性の有無を判断していく事になります。

 更年期は誰もが経験するものなので、多少の体調不良があっても日常生活には全く支障がないのであれば、絶対に治療しなければいけないというものではありません。この時期は、心身の色んな不調が出やすいのと同時に、今まで多少無理ができていた人でも体力や抵抗力が落ちる年齢ですので、その事を自覚した上で日常生活を見直していくといいでしょう。更年期の過ごし方は、全てにおいて今までの8割くらいにペースダウンすることがポイントです。

 

 逆に、更年期症状がひどすぎて日常生活もままならない時は、早めに治療を開始した方がいいでしょう。中には、うつ状態がひどくて家事が何もできなくなったり一歩も外に出られなくなったりする方もいらっしゃいます。また、関節やかかとの痛みがひどくて歩くのが難しくなった方もいらっしゃいました。

 いずれも23ヶ月ホルモン補充療法をするだけで症状の大部分は改善します。辛い症状は我慢せず、適切な治療を受けて快適に過ごしましょう。

 

 ホルモン剤を飲み始めたら一生飲み続けなきゃいけなくなるんじゃないかと心配して、ホルモン治療に抵抗を示す方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。あくまで、急激なホルモンの低下をちょっとなだらかにして、体がその変化に振り回されないようにするための治療ですから、症状がひどい間はしっかりホルモンを補って、徐々に減らしていけばいいわけです。最小量にしても調子が悪くならなければ、しばらく飲むのをやめて、ちょっと体調が悪くなってきたな~と思ったら屯用で1・2錠飲むという使い方だっていいんですよ。

 

 更年期障害の治療は、ホルモン補充療法漢方治療・安定剤や自律神経調節薬による対症療法・アロマやサプリメントによる治療・カウンセリング、など色々ありますが、どれを選択するかは、症状の程度によるんですね。もちろん、複数の治療を組み合わせることもよくあります。

日付:2010年4月5日  カテゴリー:婦人科の病気,更年期障害

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