婦人科の病気

 

女性の方がうつになりやすい理由

  先週末は女性医療ネットワーク主催のシンポジウムに参加してきました。テーマは「PMSとうつ」そして「PMSと発達障害」です。月経前に心身の不調が出るのがPMSですが、特にイライラや気分の落ち込みなどメンタル症状がメインで出る方の場合、ベースにうつや発達障害などほかの病気があって、その症状が特に月経前になるとひどくなるというパターンもあるのです。この場合も、ピルでホルモンの波を抑えることは症状の軽減につながりますが、根本の原因が婦人科的なものとは別にあるので、同時に心療内科的なアプローチも必要になってくるのです。

 うつ病は以前のように「隠すべきもの」ではなく、「誰でもなりうるもの」という認識変わってきました。うつになる医学的な背景には、環境などの外的要因と個人の脆弱性などの内的要因があるのですが、うつが「誰がなってもおかしくない」と認識されることによって、個人の脆弱性が無視されてすべて「環境のせい」にされてしまっている傾向があるとのことでした。確かに、同じ環境や同じ出来事に対して、個人の反応が異なってきます。うつになる人もいれば平気な人もいるのは、個人の反応の仕方が異なるからなんですが、「自分がうつになったのは○○のせい」だと思っている人は多い印象ですね。実は、この「○○のせい」と思っていること自体が、うつを治りにくくしてしまいます。
 心理学的アプローチでうつの原因を見ると、その背景には「あるもの」を抑え込んでいる可能性が高いのですが、「○○のせい」だと思っていると、この「あるもの」の存在に気付きにくくなってしまうのです。なぜなら「あるもの」は自分の中から生み出されるものだからです。

 シンポジウムの中では、なぜ女性の方がうつ病になりやすいのかも解説されていました。うつ病は、男性に比べて女性の方が2倍多いというデータがあります。統合失調症・双極性障害・強迫性障害は性差がありません。これらは、ホルモンの影響を受けるのではなく、遺伝的要因が大きいからです。

 性差があるのは、うつ病・全般不安症・社交不安症・パニック症などです。これらは、遺伝子的要因よりも心理・社会的要因の方が強く影響するからです。また、女性の方が心理・社会的影響を受けやすいため、これらの疾患が起きやすくなる背景が色々あるということです。

 女性がうつ病になりやすい理由の1つは、性ホルモンの変動が大きくあるからです。月経にともなう月単位の変動・妊娠&出産に伴う変動・閉経にともなう変動。これらのホルモンの「変化」がメンタル症状を引き起こしやすい原因として挙げられます。

 また、社会的背景として、女性の方が「弱者」になりやすいとい背景もあります。男女差別・様々なハラスメント・仕事と家庭の両立問題・DVや性被害など…先進国ほどこれらの男女差は減るはずなんですが、日本のジェンダーギャップ指数をご存知でしょうか?ジェンダーという視点から見ると、日本はまだまだ「先進国」の仲間入りができていません。

 ホルモンの影響は「低い・高い」ではなく、ホルモンの「変動」つまり「上下する」時に精神的症状が出やすくなります。卵巣から出る女性ホルモンは二つありますが、エストロゲンは脳に対して「良い影響しかない」と言われているほど、精神面においても安静させる方向に働きます。一方で、プロゲステロンは精神的に不安定になったり、抑うつ状態になったりする原因となります。
 月経周期では、排卵前後と月経直前から初日にかけて、いったん上がったエストロゲンが下がります。また、排卵後から月経前にかけてプロゲステロンが上がります。なので、排卵前後と月経前は気分が落ち込んだりイライラしやすいのです。
 妊娠中や産後のホルモンの変動は少し複雑ですが、簡単に言うと妊娠中の前半はエストロゲンの作用が弱くなってプロゲステロンの作用が強くなります。なので、妊娠期の前半はうつ傾向が出やすいのです。また、出産直前まで多量に出ていたホルモンが、分娩とともに一気に急降下します。なので、大体出産して2~3日後から約1週間は「マタニティーブルー」と言って、誰もが気分が落ち込みやすくなる時期なのです。
 もう一つ、ホルモンが大変動する時期が閉経前後です。完全に閉経する1~2年前から女性ホルモンは急激に下がっていきます。このホルモンの急降下によって、いわゆる更年期障害が出るのですが、この時期に気分の落ち込みやイライラを強く自覚する方も多くいらっしゃいます。

 このように、女性は月単位・ライフイベント単位の二つのサイクルでホルモンの「波」にさらされているのです。
 この「波」の影響をまずは自分で把握して、うまく付き合っていくということがとても重要です。そして、自分にはこの「波」が大きすぎるなと思ったら、ピルやHRTでホルモンの変動を緩やかにすることも「自分らしい毎日」を過ごすための賢い手段と言えるでしょう。
 「波」に振り回され続けて、自分の人生のコントロール権を放棄してしまっているようなら、お早めに婦人科でご相談くださいね。

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日付:2017年11月15日  カテゴリー:月経前症候群(PMS)

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子宮頸がんワクチンの「被害者」であり続けるデメリット

  前々回の記事で、子宮頸がんワクチンのせいで歩けなくなった・勉強ができなくなったなどの多彩な症状を訴えている状態が、実はワクチンとの因果関係はないといことをご説明しました。「ワクチンのせいではありません」と言うと、症状が出ている方がかわいそうではないかという声も聞こえてきます。でも、本当はワクチンは関係ない症状に対して「ワクチンのせいである」という思い込みを持ち続けることの方が、患者様ご本人のためにならないのです。
 現在「被害者の会」という立場で、主に接種した本人ではなくその親が中心となって「この症状はワクチンのせいであると認めろ」という訴えを起こしています。しかし、前述の通り因果関係はありませんので、おそらく国も製薬会社もその訴えを認めないでしょう。そうすると、「ワクチンのせいであると認めさせる」ために、現在出ている症状が改善しないという事態が起きてくるのです。なぜなら、症状がなくなったら訴え続けることができなくなるからです。ワクチンのせいにし続けるためには、「症状がある方がメリットがある」状態になってしまっています。しかも、症状が出ている本人と、訴えている人が異なるため、代理ミュンヒハウゼン症候群とよく似た親子関係になっていく可能性があります。

 これは、心理技術的アプローチで解析すれば、ごく単純なからくりです。被害者の会の方たちにとっては、被害者であり続けることに意味がある、という状態になってしまっているのです。なので、本来は症状が出て苦しんでいるご本人が一日も早く回復して元気になることが大切であるはずなのに、「ワクチンのせいである」と認めてもらうことが第一目標にすり替わってしまっています。「ワクチンのせいである」と言い続ければ言い続けるほど、症状は治らないということになってしまうのです。
 また、「ワクチンのせいである」つまり、自分の責任ではなく誰かまたは何かの責任であると解釈することを「他者原因」と言いますが、病気は他者原因のままでい続けると治りません。また、ワクチンのせいにし続けるということは、そのワクチンを接種させた誰かまたは自分を責め続けることになります。「罪悪感」を持ち続けることも、前に進むことを阻む大きな足かせになります。「罪悪感は正義の仮面をかぶってやってくる」と言います。罪悪感を持ち続けると、まるで問題解決に向けて一生懸命になっているような錯覚に陥るのです。実際は、罪悪感は本来の問題から目をそらすための隠れ蓑にしかなりません。

 このように、本当はワクチンのせいではない症状に対して、「ワクチンの被害者」という立場をとり続けることに、患者様ご本人対するメリットは何もないのです。
 私が、ワクチンの副反応に対する「でっち上げ」を見て一番気になったのはこの点でした。このままでは「被害者」扱いされている方たちがいつまでたっても救われない。自ら治る力までも奪われてしまう。それどころか、何の根拠もない治療を色々試されて、さらに「病人」に仕立て上げられてしまう。そう感じています。
 症状が出ている方にとって最も大事なことは何なのか、もう一度ニュートラルな立場に立って考えてみる必要があるのではないでしょうか。

日付:2017年10月12日  カテゴリー:HPVワクチン,子宮頚がん,日々の雑記

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「子宮頸がんワクチンで不妊になる」はウソ!

 前回の記事で、「副反応だ!」と騒がれている症状が実は子宮頸がんワクチンのせいで引き起こされるものではないということはご理解いただけたと思います。
 これ以外にも、子宮頸がんワクチンが広く広まるのを阻んでいると思われる、いくつかの「デマ」があるのです。

 例えば、最近見かけるようになったのが、このワクチンが「劇薬」に分類されていることを強調した「反対論」。ワクチンの添付文書の画像を貼り付けて、「劇薬」と書かれていることを指摘して「こんな危険な薬です」と訴えているわけですが、薬剤の分類つまりどんな薬品を「劇薬」とするかは明確な定義があります。なので、その定義に当てはまればどんな薬品も「劇薬」なのです。
 例えば、心臓の病気などの時に使う「ジゴキシン」という薬の添付文書を見れば、子宮頸がんワクチンと同じように「劇薬」の文字が印字されています。でも、この薬によって病気が改善している人もいます。投与量を間違えば、危険な症状が出る可能性もあります。だから「劇薬」と分類して医療者側が取り扱いに注意しましょうと促しているわけです。「劇薬」は、必ずしも「人体に害を及ぼす危険な薬」といういうわけではなく、使い方に注意が必要な薬剤であることを示しているのです。

 また、以前から医学的には何の根拠もないなと感じながらも、あまりにもよく目にする「反対論」が「子宮頸がんワクチンで不妊になる」というデマです。こんな意味不明の指摘が出てしまった大元は、南出喜久治氏のYouTube動画「サーバリックス子宮頸がんワクチンによる民族浄化/弁護士 南出喜久治」なのだそうです。ワクチンに含まれている「アジュバント」という成分が、動物の避妊治療(去勢)に使われる薬剤にも含まれているので、子宮頸がんワクチンは「不妊にさせるワクチンだ」というこじつけ論が展開されているのです。
 「アジュバント」は多くのワクチンに含まれている成分です。これは、ワクチンの効果を賦活化(少量でも効きやすくする)するために、ワクチンとしての有効成分と合わせて配合されるものです。子宮頸がんワクチンは、HPVというウイルスに対する免疫抗体を作るためのものです。なので、この抗体を作りやすくして、なおかつ定着しやすくする目的で「アジュバント」が入っています。一方、避妊用のワクチンには「妊娠しなくするための成分」が入っており、その作用をサポートするために「アジュバント」が一緒に含まれています。要するに「アジュバント」が避妊効果を発揮するのではなく、あくまで「妊娠しなくするための成分」の作用をアジュバントが増強しているに過ぎないのです。子宮頸がんワクチンには、そもそも妊娠しにくくなる成分など入っていませんから、それがアジュバントを加えたからと言って「不妊になる」わけではありません。
 おかしなデマのからくりがご理解いただけましたか?

 ワクチン接種後の妊娠率については、接種した人と接種していない人で差がないというデータは出ています。もちろん、日本では接種開始後の年数が短いので、妊娠に対する影響について「日本人だけで」とったデータはまだありませんが、世界中で同じような内容の研究はされており、妊娠に対しては何も影響がなことがハッキリしています。
 また、デンマークのコホート研究では、妊娠中にこのワクチンを接種した場合の安全性について研究したデータがあります。主要な先天性異常・自然流産・早産・死産・低体重出征・発育不全などの項目について、ワクチン接種した人と接種していない人を比較した結果、両者に有意な差はなかった、つまり妊娠転機にリスクの変化はないという結論が出ています。
 詳細を知りたい方は、論文を参照してくださいね。
 N Engl J Med 2017;376:1223-1233

 このように、子宮頸がんワクチンを「危険なものである」と指摘する理論は、いずれも医学的には根拠がなかったり単なるこじつけだったりします。ネットや雑誌に載っているこれらのデマをうのみにして、本来予防できるはずのがんを予防しないことが賢明な選択なのかどうかは、各自がしっかり考えるべきだと思います。
 「子宮頸がんワクチンで不妊になる」よりも、子宮頸がんになって子宮を失う方がよほど確実に妊娠の機会を失います。私は少なくとも、自分の娘にそのような思いはさせたくないと考えます。

 どの情報が正しいのか、誰が言っているのかが正しいのかよりも、どのような選択をすることがトータルで見た時に「すべての女性の健康サポート」につながるのかを考えてこれらの情報をお伝えしています。
 あなたや大切な人の未来を守るお役に立てていただければ幸いです。

日付:2017年10月10日  カテゴリー:HPVワクチン,子宮頚がん,日々の雑記

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子宮頸がんワクチンの安全性

  今日は避妊教育ネットワークの勉強会に参加してきました。他のメンバーの活動報告に刺激を受けたり、ピルによる避妊機序について生理学的に詳しい解説を受けたり、子宮頸がんワクチンの接種がなぜ広まらないのかについて日本の現状の裏話を聞いたり、盛りだくさんの内容でした。
 子宮頸がんワクチンの接種は、公費負担での接種が開始されてからもそれほど希望者が多くなく、「なぜこれほどまでに予防意識が広まらないのだろうか」と懸念していましたが、「積極的接種を推奨しない」との発表後は全くと言っていいほど接種希望者がいらっしゃらなくなりました。
 でも、10代の娘さんを持つお母さまからは時々質問を受けたりします。特に、お母様ご自身が子宮頸部の異形成で定期フォローを受けていらしたりすると、「娘には同じ思いをさせたくない」というお気持ちもあるようです。ワクチン接種を受けさせたいけれど、メディアの報道を見ていると怖くなるという意見が多いため、まずはメディアの報道をどのように受け止めたらよいのかを解説していきたいと思います。

 私自身は、明らかにそうであるというエビデンスのある内容についてはそのエビデンスを優先します。その事実を証明または否定するエビデンスが充分でない時は、「エビデンスがないからそれは間違いだ」とは断定せず、その事実が本当である可能性も考えるようにしています。
 子宮頸がんワクチンに対して「積極的接種を推奨しない」という措置をとらざるを得なくなった背景には、メディア上で報道されているようなけいれんなどの激しい症状を伴う「副反応」が見られるとの指摘を受けたせいです。しかし、実際は、この問題となっている症状とワクチンの因果関係についてははっきりと否定されているのです。学会も、WHOも、明らかな因果関係はないと結論付けているにもかかわらず、まるでワクチンのせいでそのような症状が出てしまっているような取り上げられ方がされているため、一般の方は「ワクチンの副反応であんなふうになってしまうこともあるのか」と誤解をしてしまっても無理はありません。

 どんな薬もそうですが、大人数に使えば一定の割合で「副反応」と呼ばれる症状が出ることがあります。ワクチンの副反応もそうですが、接種後に出た症状が「明らかにワクチンのせいなのか」を見極めるには、いくつかポイントがあるのです。
 1)症状がワクチン接種後のみに見られて接種前には見られない
 2)ワクチンを打っていない人に同じ症状は出ていない
 3)ワクチンの接種以外ことで同じ症状が出ていない
 4)ワクチン接種と症状の出現時期に明らかな因果関係がある
 例えば、ワクチンを接種した数分後に失神するケースはあります。医学的には「迷走神経反射」と呼ばれるもので、一時的に血圧が下がって急に意識を失うものです。ワクチンを接種してすぐに起きるものなので「ワクチン接種のせいでそうなった」と言えますが、実は同じことは採血でも他の注射でも起こりえます。なので、この場合3)の「ワクチン以外のことで同じ症状が出ない」に当てはまりません。つまり、「ワクチンという薬剤の成分」で起こった症状ではなく、「注射という痛み刺激」のせいで起こった症状ということになります。

 子宮頸がんワクチン接種後に起きているとされる、けいれんや歩行ができなくなるなどの多彩な症状は、ワクチンを接種していない人や男性にもみられていること。ワクチン接種が開始される前から、同様の症状を訴える人がいたことなどから、ワクチンの薬剤そのものが影響して引き起こされた症状ではないという結論に至っているのです。
 ワクチン接種後から症状が出た場合に、ワクチン接種という痛みや心理的負担が「引き金」になった可能性は考えられるかと思われます。でも、それは「薬剤」のせいではないわけです。その点が、最も大きな誤解として、一般の方には「副反応だ!」と印象つけられているのではないかと感じました。
 実際、「海外のデータではあてにならない。日本人特有の反応の仕方があるのかもしれない」との指摘を受けて、名古屋市が接種した人としていない人に見られる症状を、正しい統計学的分析をして比較したデータがあります。倦怠感等のいずれの症状もワクチンを接種したグループの方が「わずかに少ない」という結果が出ているとのことです。つまり、「副反応だ」と指摘されている症状は、実際はワクチン接種が関係ない可能性が大きいのです。

日付:2017年10月9日  カテゴリー:子宮頚がん,日々の雑記

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男性不妊の原因が女性側にある?!

  一般的に「男性不妊」というと男性側に何らかの医学的原因があって妊娠が成立しないとされていますが、実はこの「男性不妊」という状態を「女性側が原因で」作り出しているケースが結構あるのです。
 通常、不妊の原因は、男女両方にあるケースと男性側の身にあるケースを合わせると、約半数が男性側にも何らかの原因があるとされています。男性側の医学的異常としては、精子が少ないまたはいない・精子の運動率が悪い・性 行為そのものや射 精が行えない、などです。これらは一見すると「男性側の体の問題」のように見えますが、この状態を作り出しているのが実は女性側の潜在意識であるということはしばしば起こりうることなのです。もちろん「潜在意識」が引き起こすことなので、本人たちには自覚がありません。なので、気づかずに男性不妊という状態を生み出してそれを保とうとしてしまうことがあるのです。

 例えば、しばしば見受けられるのが、「本当は性 行為そのものが嫌い」「夫との性的相性が悪い」というケースです。妊娠を目指すという理由がなければ、できれば夫婦生活はしたくないのだけれど、妊娠したいので嫌々夫婦生活を行っているという場合、潜在意識はできるだけ「やりたくないことはやらないで済ませる」方法を考えますので、性 行為を行わなくても妊娠できる方法を選択しようとします。
 男性不妊であれば、人工授精や体外受精・顕微授精が必要になりますので、ある意味全く性 行為を行わなくても妊娠できるのです。しかも、その原因が「男性側にある」ということになると、自分が「本当は性 行為をしたくない」と言わなくても性 行為をせずに済みますし、相手に原因があるのだから自分が責められずに済むわけです。性 行為を行わずに妊娠したいと思っている女性にとって、「男性不妊」という状態がメリットだらけであることがお分かりでしょうか?
 これ以外にも、例えば相手の男性の浮気が心配で、自分以外の女性に対しての性欲は押さえておきたいとか、そもそも生殖能力を持っておいてほしくないという気持ちにまで発展すると、やはり相手の男性としての機能を抑制することになります。また、現在のパートナーではなく、過去のパートナーが浮気性で辛い思いをした過去があるとか、過去のパートナーが自分以外の女性との間に子どもを作ったことがあるなど、何らかの「過去の体験」が原因となって、現在のパートナーの男性としての機能も抑えたいという気持ちが働く場合もあります。

 これらの「女性側の潜在意識」が生み出す男性不妊に対しては、男性本人のカウンセリングよりもむしろ女性側のカウンセリングの方が有効だったりします。

 また、女性の潜在意識だけでなく、もちろん男性本人の潜在意識が「精子を作らない」という状態を作り出す場合もありますので、2人そろってカウンセリングを受けてみるのもよいでしょう。
 男性側が自分の機能を抑える原因として、多く見受けられるのは「自分はまだそれほど子どもを望んでいないけれど相手の女性が強く望んでいるので仕方なく対応しようとしている」というケースです。経済的にまだ安定していないので子どもを養う自信がないとか、もっと夫婦二人の時間を楽しみたいと思っているとか、そもそも子どもを望んでいないとか、理由は様々ですが妊娠に対する夫婦間の「温度差」があってそれを妻に正直に言えていない場合に、「無言の抵抗」として精子を作らないということを行う場合があるのです。特に、男性側の方が年齢が若いと、どうしても妊娠に対する「リミット感」の差が男女で生じてしまい、こういったすれ違いが起きてしまいがちです。

 いずれも、「無言の抵抗」や「間接的表現」として「男性不妊」という状況を作り出すのではなく、ちゃんと言葉に出して伝えたいことを伝えたり、「今本当に子どもが欲しいのか」「どのような家族理想なのか」夫婦でしっかり話すことで、「男性不妊」をしておく必要性がなくなります。
 妊活カウンセリングでは、このように、「妊娠しないままでいる」のはなぜなのかを様々な角度から見つめ直して、妊娠しないメリット・妊娠するデメリットなどをクリアにしていきます。クリニックでカウンセリングを受けられた方で、本当に心底妊娠を望んでいる方は、大体3~4か月もあれば妊娠なさっています。一般的な不妊治療と並行してカウンセリングを受けることも有効ですので、もし上記のようなケースに心当たりがあれば、よかったらカウンセリングを試してみてくださいね。
 
 

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日付:2017年10月1日  カテゴリー:不妊症

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「高齢」の呪縛は誰がかけたもの?

  今日は自宅のすぐ近くで学会が開催されているので、受けたいセクションだけをちょこっと受講してきました。自転車で会場と自宅を往復できてしまうので、助かりますね。
 受けてきたのは「NIPTについて今後の課題を議論する」というパネルディスカッションだったのですが、改めて出生前診断や、高齢妊娠について考えたくなる内容でした。NIPTとは無侵襲的出生前遺伝学的検査(Noninvasive prenatal genetic testing)の略で、母体の血液を採取することで、そこにわずかに含まれている胎児の染色体も一緒に採取して異常がないかどうかを調べるという検査です。正確には「胎児の染色体」ではなくて「胎盤」の染色体なので、胎児自身の体に流れている血液の成分が、母体の採血で採取できるわけではありません。

 以前から行われていた「クワトロテスト」や「トリプルマーカー」と比べて検査の精度が高いことから、「新型出生前診断」として話題になったこともありました。現在は、検査を受けられる対象や、検査を行える施設を限定した「臨床研究」という位置づけで、検査の機会が提供されています。要するに、誰でもどこでも受けていい検査ではないですよ、という位置づけなのです。
 NIPTの臨床研究については、「NIPTコンソーシアム」のページをご参照ください。

 シンポジウムの中では、主に検査の精度について、つまり「疑陽性」や「疑陰性」や「判定不能」の結果が出たケースについて発表されていましたが、パネルディスカッションでの議論の中心は「限定的な検査にすべきか広く誰もが受けられる検査にすべきか」といった内容でした。特に印象に残ったのは、「『偽陽性』が出た場合、本来は正常に産まれるはずの命が失われることになる」という指摘でした。検査の精度的に、「本当は異常がないのに陽性と出る」割合がゼロではありません。たとえ頻度は低くても、「間違って」染色体異常ありという結果が出る場合もあるのです。検査を受けて「異常あり」の結果を受けた方の90%以上が妊娠を中断するという選択をなさっていました。つまり、異常があることが分かったけれど妊娠を継続するという選択をする人はほとんどいないのです。だからこそ、「異常がないのに陽性」と出てしまうことは大きな問題と言えるでしょう。
 検査を受けた人の「なぜ検査を受けたか」の理由の9割以上は「高齢妊娠だから」というものでした。年齢とともに染色体異常のリスクは上がります。なので、染色体異常がないかどうかをあらかじめ調べておきたいという理由で検査を受けるという方がいらっしゃいます。検査を受けた方がいいかどうかは、事前の遺伝カウンセリングをきちんと受けて、「万が一異常が出た場合にどうするのか」も含めて夫婦でしっかり話し合ってから個々に決めることです。医師も含めて、当事者以外が「受けた方がいい」「受けない方がいい」ということを示すべきではありません。検査を受けることによって「知らないでいる権利」を一部放棄することになる、ということも含めて、当事者が選択することなのだと思います。

 ただ、検査理由のほとんどが「高齢妊娠」であること、そして、年齢を理由に受けた人の9割は正常であるという結果であることを合わせて考えると、「年齢」の捉え方を考え直すべきではないのかと改めて感じました。
 高齢妊娠した方や、高齢で妊娠を目指す方は、ぜひ下記の質問の答えをしっかり導いてほしいと思います。

  「あなたはなぜその年齢まで妊娠しないという選択をしてきたのですか?」

 人によっては「仕事に夢中になっていたら40過ぎていた」「たまたまパートナーが見つからなかった」「病気の治療をしていたらこの年になった」「今まで結婚する気にならなかった」「なんとなくこの年になってしまった」などなど、どちらかというと積極的理由で妊娠する年齢を引き上げたわけではないという方もいらっしゃるでしょう。というか、「好きでこの年になったんじゃないわよ」という方がほとんどかもしれません。 
 それでもあえて、この質問に答えることに意味があるのです。「なぜわざわざ今の年齢で妊娠した(妊娠を目指した)か?」です。

 高齢であることを気にする方のほとんどが、「この年まで妊娠しなかった」ことに罪悪感や後悔など、何らかのネガティブな解釈を持っていることがほとんどです。
 妊娠を目指したい理由を書いてもらっても「年も年なので・・・」という方は非常に多くいらっしゃいます。年齢を気にして出生前診断を受ける場合も、ベースは同じ思考回路が働いている可能性が高いのです。

 私たち産婦人科医にとっては、年齢と妊娠率や、高齢妊娠のリスクについて正確な情報を提供することも大切なお仕事のひとつです。なので、年齢について色々語ってしまいますが、それらの情報は10代や20代の方たちに「今のうちに知っておいて!今なら間に合うから!」ということで伝えているのです。高齢妊娠の方や高齢で妊娠を目指す方に対して「その年齢まで妊娠しなかったこと」を後悔させたりそれを責めたりしているわけではありません。
 高齢妊娠だから何かあったらどうしよう・・・という思いで出生前検査を検討するなら、検査をしない方がよいと言えます。今の年齢まで妊娠をしないという選択をした理由をきちんと考え、「これからの妊婦生活をより安心できるものにしたいから」という理由で受けるのなら、検査の意味があるでしょう。

 あなたはまだ「年齢の呪縛」を大事に持ち続けますか?それとも、上記の質問にサクッと答えて、さっさと手放しますか?
 
 

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日付:2017年7月16日  カテゴリー:不妊症,日々の雑記

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ディナゲストの後発薬品(ジェネリック)が発売されます

 子宮内膜症や子宮腺症の治療薬であるディナゲストの後発薬品が発売されます。

 発売日が分からなくて、患者様にははっきりお伝えできていなかったのですが6月16日発売が決定したそうです。
 クリニック近隣の薬局さんには、発売日には薬剤を仕入れていただくようにお願いしているので、6月16日以降に処方箋を持っていけば、ジェネリックに変更できます。
 

 ジェネリックへの変更は、どの病院で処方されてもどの薬局で受け取っても可能です。
 複数の製薬メーカーから同じ製品のジェネリックが発売されている場合、どの製薬メーカーの薬剤にするのかは薬局の裁量になります。
 

 ディナゲストと同じメーカーから発売されたジェネリックは、製法も成分も同じなので、理論上は効果も変わらないと考えられます。
 

 ジェネリックへの変更についてご質問がある方は、診察時にご確認下さいませ。

日付:2017年6月15日  カテゴリー:子宮内膜症

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2人目がなかなか来てくれないとお悩みのあなたへ

 

 妊娠のご相談を受けていると、1人目はスムーズに妊娠したのに2人目がなかなか来てくれない、というケースも少なくありません。医学的には、1人目と2人目の大きな違いは数年加齢を重ねているという点ですが、その他にも「上の子がいるからタイミングが合わせにくい」「育休明けたばかりで体力も気力も妊活に集中できない」など、環境要因も足を引っ張ってしまうことがあるようです。


 私は、2人目を希望してピルをやめた最初の排卵で妊娠したのですが、「絶対に」妊娠したいとか、子どもは複数「いなければいけない」とは思っていませんでした。1人いるから絶対じゃないけど、間に合ううちにもう1人来てくれたら嬉しいな~、くらいのスタンスだったんですね。後から色々学ぶうちに、それがすんなり妊娠できた要因の1つになっていたことに気づきました。


 2人目がなかなか来てくれない要因の1つに「何故2人目が欲しいのか」の理由が挙げられます。特に「1人いるんだからいいじゃない」と言われた時に「カチンとくる」人は要チェックです。

 2人目に限らず、なかなか赤ちゃんが来てくれない要因に「妊娠したい理由」がズレているケースは非常に多いのです。特に、2人目の場合、この理由が「外的基準」になっていることが多々あります。
 例えば「兄弟がいないとかわいそうだから」「子どもは複数いた方がいいから」「親が(義理の親が)二人目はまだなのかとせかすから」「周りは2~3人産んでいる人ばかりだから」「1人目の時に『満足のいくお産』ができなかったから」「1人目は完全母乳で育てられなかったから2人目こそは完全母乳で育てたい」「1人目は男の子だったから2人目は女の子が欲しい」・・・などなど。
 これらの理由一つ一つが「なぜ妊娠の妨げになるのか」の説明は長くなるので割愛します。もし、自分が該当していて「なぜダメなの?」と思った方はカウンセリングを受けることをお勧めします。

 「なぜ妊娠したいのか?」の理由が、妊娠を妨げているかどうかを簡単に見分ける方法があります。
 それは、それらの理由を書き出してみて「未来の赤ちゃんになってみて」その理由を眺めてみるという方法です。赤ちゃんの立場に立ってみてそれらの理由を見た時、「あ、すぐにでもこのお母さんの所に行きたい!」と心底思えたかどうかが答えになります。もし、ちょっとでも躊躇したり、「今は行きたくないな」と思ったら、それが今あなたのところに赤ちゃんが来ていない理由です。

 どうでしたか?あなたの「妊娠したい理由」を見て、未来の赤ちゃんはどう感じているでしょうか?どうすれば未来の赤ちゃんが「すぐにお母さんのところに行きたい!」と思ってくれるかが分からないという方は、妊活カウンセリングを受けてみるといいでしょう。きっと、今赤ちゃんが踏みとどまっているストッパーを外すお手伝いができると思います。

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日付:2017年5月2日  カテゴリー:不妊症

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妊娠前に性感染症検査が必要なワケ

  今日は子どもたちを夫に託して、女性医療ネットワークの理事会と学会に参加してきました。学会は、主に不妊治療に関する内容のものですが、私が受講してきたセクションは最近の感染症の動向についてです。
 2013年ごろから、若い方の間で梅毒が急増しているということが指摘されていましたが、実際の統計データを見ると一目瞭然。数年前まで年間1000件に満たなかった梅毒と「診断された人」の数が、昨年1年間では4518例にも増えているのです。しかも、梅毒の症状は多彩で、初期症状が出てもしばらくすると消えてしまうため、梅毒に感染しているけれどきちんと診断されていない人はもっと多いのではないかと推察されます。
 男性では40~44歳が感染のピークですが、女性は20~24歳がピークで、感染者数全体の3割を占めていました。

 クラミジアや性器ヘルペスなど、他の感染症もだいたい20~24歳をピークに「若い女性」に多い傾向にあります。「若い女性に多い」ということが何を意味するかお分かりでしょうか?「これから妊娠する可能性が高い人が多く感染している」ということです。
 クラミジアによる炎症は不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因になります。また、分娩時にクラミジアにかかっていると、産道を通ってくる時に赤ちゃんにクラミジアが感染して結膜炎や肺炎を引き起こします。
 妊娠中に、胎盤を通じて梅毒が赤ちゃんにうつると「先天性梅毒」になってしまいます。妊婦さんが梅毒に感染していた場合の、赤ちゃんの死亡率は4%・奇形率は14%ですから、何も感染していない場合と比べて様々なリスクが上がってしまうのです。

 このように、「これから妊娠する可能性がある年齢」の方の性感染症は「自分一人の問題ではない」ことになります。妊娠を希望するまでは、コンドームの使用を徹底し、妊娠前には一通りの感染症の検査を受ける必要があるのです。「受けたほうがよい」ではなく、本当は「受けておくべき」なんですね。
 クラミジア・淋菌・トリコモナスはおりもののをぬぐう検査で調べられます。梅毒やB型肝炎・C型肝炎やHIVは血液を採る検査で調べられます。梅毒やHIVは保健所でも検査を受けられますので、費用的に負担を少なくしたい場合は保健所での検査を活用するといいでしょう。クリニックでも、一通りの感染症の検査や、風疹交代を含めて妊娠前にチェックしておいたほうがよい検査をセットで行っています。ご希望の方はお電話でお問い合わせくださいませ。
  予約専用電話045-440-5577

日付:2017年3月27日  カテゴリー:性病

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「子宮なんていらない」と思ったことはありますか?

 

 クリニックでは子宮頸がんの「治療」はできませんので、治療が必要な方は連携先の病院にご紹介させていただいています。精密検査であるコルポスコピー検査と組織診は可能なので、異常はあるけれどまだ治療するほどではないレベルの方たちは、定期的な検査でフォローさせていただいています。
 通常、子宮頸がんの手前の「異形成」という状態は、軽度であれば9割近い方が自然に正常化していくのです。中等度異形成でも、数か月で全く正常に戻る方もいらっしゃいます。でも、中には、ずっと異常が続いたり、徐々に進行して手術が必要になる方もいらっしゃいます。正常化する人と、異常が続く人の違いは何だと思いますか?
 
 子宮頸がんも含めて、婦人科の病気になる場合、何らかの形で自分の「女性性」を抑えたい理由があるケースが多いのですが、患者様に「女性性を否定していたことはありませんか?」と伺っても、なかなか皆さんピンとこないようです。
 なので質問を変えて、「子宮なんかいらないと思ったことはありませんか?」「女は損だと思ったことはありませんか?」「男はずるい、男の方が得だと思ったことはりませんか?」と伺うと、ぽろぽろと出てくるのです。わざわざ自ら、「子宮」に異常を引き起こした理由が・・・

 ある方は、妊娠を希望して治療をしていたけれどうまくいかず、「妊娠できないなら子宮なんてなければいいのに」と思ったとたんに検診で異常を指摘されたとおっしゃっていました。脳は忠実に本人の「潜在意識」やその奥底にある希望を叶えようとします。「子宮なんかない方がいい」と思っていたら、子宮をとらなければいけないような病気を発生させたりするのです。
 特に妊娠が絡んでいる時は複雑になることもあります。本人が心の奥底では妊娠を望んでいなかったり、不妊治療に終止符を打ちたいと思っていても、「自分で終わらせることができない」状態になっている時があります。「妊活やーめた」と自分で言えればいいのですが、なかなか言い出せなかったり「自分で決めることを拒んでいたり」すると、子宮が代わりに終止符を打とうとする場合もあるのです。

 子宮の病気は、「あなたは女性としてどう生きたいのですか?」という問いかけです。普段意識しない子宮のことを考えたり、将来の妊娠について考えたりするきっかけをもらっているのです。
 あなたはなぜ女性として生まれてきたのですか?女性であるということにどのような意味を持たせたいですか?そして、「女性として」どう生きたいですか?

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日付:2017年3月5日  カテゴリー:子宮体がん,子宮頚がん

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清水(旧姓:須藤) なほみ
ポートサイド女性総合クリニック
~ビバリータ~ 院長
歌って踊れる産婦人科医
 
「全ての女性は美しくなる権利がある」をコンセプトに、女性の美と健康をサポートするために女性医療を皆様のもとにお届けしています。
5歳から始めたクラシックバレエは、ミュージカルとの出会いでコンテンポラリーダンスに変身しました♪
 
所属学会:日本産婦人科学会・日本思春期学会・日本性感染症学会・日本不妊カウンセリング学会
 
日本家族計画協会認定思春期保健談員
不妊カウンセリング学会認定カウンセラー


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