婦人科の病気
生理前のイライラは本当に生理のせい?
「月経前症候群」は生理前だけに起きる不調(横浜の婦人科)
生理前に心身の不調が出て、生理が来るとスッキリ改善する状態を「月経前症候群」と言います。
人によって出る症状は様々で、腹痛や腰痛などの身体症状がメインで出る人もいれば、気分の落ち込みやイライラなどの精神症状がメインで出る人もいます。
多くの場合、生理が来る1週間くらい前から心身の不調が出始めて、遅くとも生理の3日目くらいには一通りの不調が消えていきます。
生理前もイライラするし、生理後もイライラするという場合は「月経前」ではないので「月経前症候群=PMS」とは異なる病気ということになります。
排卵に伴うホルモンの「波」が悪さをして、心身の不調を引き起こしている場合は、ピルや黄体ホルモン剤によって排卵をおさえることが症状の軽減につながる場合があります。
生理前の不調はすべてPMS?(横浜市の婦人科)
ただ、月経前に出ている症状が、すべてPMSとは限りません。
生理前の腹痛や腰痛が、実は子宮内膜症による症状だったり、生理直前に出る頭痛が片頭痛の月経周期増悪の場合もあります。
また、生理前の精神症状だと思っていた症状が、実は精神科的な病気の月経周期増悪だったり、発達障害による症状であることもあります。
厳密に「月経前症候群」なのかそれ以外の病気なのかを判別することが難しい場合もありますが、どのような症状がいつ出ているのかを記録したり、精神科的な診察によってある程度鑑別することが可能です。
PMSなのかどうかは「記録」をつけると見えやすくなる(横浜駅近くの婦人科)
気分の落ち込みやイライラなどの精神症状を、「いつ・誰に(何に)対して・どの様なシチュエーションで」感じたのかを詳細に記録して頂くと、それらの症状が「生理のせいではない」ということに気付く方も少なくありません。
ある患者様は、「生理前になると怒りが制御できなくなる」とおっしゃって受診なさいましたが、記録を2カ月ほどつけていただいた時点で、ご自身で「生理前じゃないですね」と気づかれました。その方の場合は、イライラを感じる対象が特定の人物に限定しており、しかもその相手が「何をした時に怒りが爆発しやすいのか」が、記録をつけるだけで客観的に自覚できるようになったのです。
普段からイライラしやすいけれど、生理前に特に「爆発」しやすいという人は、普段から「表に出してはいけない」と思ってしまっている怒りやその他の感情がないかチェックしてみるといいでしょう。
それらの感情を、「生理前だけは生理の『せいにして』表に出せる」状態を作り出していないかを見直してみることをお勧めします。
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日付:2025年6月28日 カテゴリー:月経前症候群(PMS)
ピルの連続服用と周期投与はどちらがよい?【横浜の婦人科】
ピルを休薬しない連続服用とは?(横浜駅近くの婦人科)
月経困難症つまり生理痛の治療薬として発売されているピルには「低用量」と「超低用量」があり「超低用量」のピルには「周期投与」と「連続投与」という2種類の服用方法が選択できるタイプがあります。
ピルは婦人科以外でも処方してもらえますが、「どの種類がいいのか?」「どういう飲み方がいいのか?」なども相談したい場合は、産婦人科でピルを処方してもらった方がいいかもしれません。
「周期投与」は、「周期的に月経様出血(消退出血と言います)を起こす」方法で服用するという意味です。21日間実薬を服用し、7日間休薬するか、24日間実薬を服用し4日間偽薬を飲むことによって、28日サイクルで定期的に消退出血を「来させ」ます。
一方、「連続投与」は、実薬を服用する期間を引き延ばすことによって消退出血の間隔を28日よりも延長して「年間の出血回数を減らす」方法です。
具体的には、実薬を77日間服用して7日間休薬するタイプと、実薬を最長120日まで連続服用して4日間休薬するタイプがあります。簡単に言うと、毎月休薬せず、3~4か月に1回休薬することで、消退出血の回数を年間3~4回に減らすことができるということです。
連続投与のメリットは?(横浜市の婦人科)
毎月ピルを休薬する「周期投与」のメリットは、「生理が毎月来る」ことで安心感を覚える方にとっては「周期が整う」というメリットがあります。また、毎月出血を確認することで「妊娠していないことの確認」をしている人にとっても、周期的に出血があることが安心につながるでしょう。
しかし、医学的には毎月出血を「わざわざ来させる」メリットはなく、むしろ、トータルの出血量が増えたり、毎月痛みを感じることによるデメリットの方が大きくなる可能性があります。
実際、内膜症のリスクはトータルの出血量と比例して高くなるというデータもありますので、毎月出血を来させるより年間3~4回の出血で済ませた方が内膜症リスクも減らすことができるのです。
ピルを休薬せずに次のシートを飲む「連続投与」のメリットは、出血回数を減らすことによって、月経前後の不調を感じる回数を減らし、貧血も予防でき、内膜症リスクも下げることができるという点が挙げられます。
ピルを飲んでいても、PMSの症状が休薬前から休薬中に出てしまうという場合も、休薬の回数を減らすことによって、不調が出る期間を減らすことが可能です。
休薬しないデメリットは?(横浜市の婦人科)
休薬せずに飲み続けるデメリットとしては、連続服用している途中で不正出血が起きてしまうことがあるという点です。長期間服用し続けることによって、途中の不正出血は起きにくくなりますが、患者様のお話からの印象ですと、飲み初めの3~6カ月間は「3シート連続しようと思ったけれど途中で出血してしまった」といったことが起こりうるようです。
どのくらいまで飲み続けると出血が起きるのか、自分のリズムがつかめてくると、思わぬ出血が起きる前に休薬をとったりしてうまくコントロールしていけます。
よく、「出血が来ない間は子宮の中に『不要なもの』がたまっていくのですか?」ということを質問されますが、ピルの働きとして出血の元となる「内膜」を「厚くさせない」という効果があります。なので、飲み続けている間も子宮の中に内膜が「たまらない」ようにしているのです。
毎月子宮から出血させないと、余分な血液がたまったり、体の中に「デトックスできない」ものがたまる、という心配は全くありません。そもそも、生理の時に出てくる血液は、子宮内に作られた「内膜」であって、体内にたまった「毒素」ではありませんので、月1回の出血で「デトックス」しているわけではないのです。
実際、28日周期で出血を来させていた時よりも連続服用した時の方が出血量が減ってきたという方の方が多いので、「3カ月出血を止めていたら3か月分たまりにたまった分がどっと出るのではないか」という心配は不要です。
当院では、すべての種類のピルを処方しています。
ピルの種類も徐々に増えてきていますから、ぜひご自身のライフスタイルに合ったピルをチョイスしてみてくださいね。
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日付:2025年6月24日 カテゴリー:生理痛
ミレーナとピルどちらが良い?
ミレーナは全身の副作用がない(横浜市の婦人科)
最近は未経産の方や、20代の若い方が、月経痛の緩和目的でミレーナを希望されるケースが増えてきています。
ミレーナは「ホルモン付加子宮内システム」のことで、元々は避妊目的で開発されたものです。子宮内に入れる小さな器具で、柄の部分に黄体ホルモンが含まれており、その効果で月経量が減ったり月経痛が軽減するため、「月経困難症」や「過多月経」の治療目的でも使用が可能です。
ピルとは異なり、黄体ホルモンは子宮のお部屋の中だけに作用します。子宮の外にはホルモンが出ないため、全身へのホルモンの影響がありません。
排卵を抑えたり、ホルモンのバランスを整えたりする作用がないため、ピルのようにPMS症状を緩和したり、生理の周期を整えることはできません。その代わり、ホルモンによる全身への副作用が全くないため、特に血栓症のリスクが高い方にとっては、安心して選択できる治療法の一つと言ええます。
ミレーナは出産してなくても入れられる?(横浜駅近くの婦人科)
子宮内に細い器具を入れて挿入するため、子宮の出入り口が狭いと入れにくかったり入らない場合があります。なので、通常は「経腟分娩の経験がない場合はお勧めされない」こともあります。
ただ、実際はほとんどの未産婦さんが、無麻酔で何のトラブルもなく挿入できているので、子宮の形に変形がなければ出産経験を問わず、治療の選択肢の一つとして考えてよいと思われます。
性行為の経験がない方の場合は、「内診」という膣内を広げて観察する診察ができない場合があります。この場合、ミレーナを挿入することもできません。逆に、性行為の経験がなくても、「内診」ができればミレーナは入れることが可能です。
ピルとミレーナのどちらがよい?(横浜市の婦人科)
ピルも、月経痛や過多月経の治療に使用されますから、「ピルとミレーナのどちらがよいでしょうか?」というご質問をいただくことも多々あります。
ピルは、月経痛や過多月経の緩和だけでなく、月経周期を整えたり月経前の不調を改善する作用があります。なので、出血のタイミングをコントロールしたい場合や月経前のイライラなどを改善したい場合は、ミレーナよりピルの方が適しています。
また、内膜症による卵巣の腫れや子宮壁の肥厚がある場合、ミレーナによってこれらの病変が小さくなることは期待しにくいので、病変を小さくしたい場合はピル又は黄体ホルモン療法の方が適していると言えます。
逆に、ピルが服用できない条件に当てはまっている場合(喫煙・肥満・前兆を伴う片頭痛・高齢・血栓症の既往など)は、ミレーナが適していると言えます。
ピルを飲んではいけない条件には当てはまっていないけれど、毎日1錠ずつを同じ時刻に飲むのが難しい方や、うっかり飲み忘れてしまうことが多い場合も、ミレーナの方が「楽です!」とおっしゃる方が多いですね。
それぞれにメリット・デメリットがありますから、より快適に過ごせるのはどの方法なのかを、医師としっかり相談して選ぶことをお勧めします。
日付:2025年6月24日 カテゴリー:子宮内避妊具,生理痛
生理不順の治療にピルは使える?【横浜駅近くの婦人科】
生理不順とは?~横浜市の女医が解説~
生理不順(月経不順)は、生理の周期や出血期間が「正常範囲」から外れていることを指します。
生理が来てから次の生理までの日数が「周期」です。この「周期」が、25日~38日の範囲に入っていれば、「正常な生理の周期」と言えます。周期が28日の時もあれば35日の時もある・・・という程度のばらつきは、正常範囲内とみなします。
ただし、この範囲の周期で生理が来ていても、1~2日だけの出血で終わってしまったり、少量で10日以上出血が続いたりしている場合は、「正常な生理」ではない可能性があります。
生理が「正常である」と言えるのは、
*周期が25日~38日の範囲内で定期的
*出血が継続する日数が3~7日の範囲内
*1~2日目はナプキンを3~5時間ごとに取り換える程度の出血がある
*生理と生理の間で不規則な出血が起きない
*基礎体温が低温期と高温期に分かれている
といった条件を満たしている場合です。
生理不順の原因は(横浜駅近くの婦人科)
生理不順の原因は、卵巣機能の低下や多のう胞性卵巣症候群や体重減少性無月経など様々です。
10代の頃からずっと生理不順です、という方に多いのが「多のう胞性卵巣症候群」です。卵巣の壁が排卵しにくい状態になり、排卵まで時間がかかったり無排卵になる為に、生理の周期がまちまちになります。
ダイエットをきっかけに生理が来なくなるのが、「体重減少性無月経」です。必ずしも「やせすぎ」の状態になっていなくても、ダイエットの方法が体に負担になる方法であったり、体重の減り方が急激すぎたりしても、一時的に卵巣の働きがストップしてしまうことがあります。
特に思い当たる原因もないのに、しっかり定期的に来ていた生理が急に不規則になったという場合は、高プロラクチン血症や甲状腺機能異常など、卵巣以外のほかのホルモンが卵巣の働きを妨げてしまっているケースがあります。
いずれも、「生理不順」という症状だけでは何が原因なのかを判断することはできません。超音波検査で卵巣の形をみたり、血液検査でホルモンの値を調べることで、原因を見つけていきます。
生理不順の治療にピルが有効
生理不順の治療は、大きく分けると
1)漢方薬を使う
2)ホルモン剤を使う
3)排卵誘発剤を使う
という方法があります。
このうち、3)の排卵誘発剤を使った治療は、「今すぐに」妊娠を希望している方に行う治療です。
なので、妊娠の希望がない方は、漢方かホルモン剤を選ぶことになります。
ホルモン剤の代表が、低用量や超低用量のピルです。避妊用のピルは、低用量のものしかありませんが、治療用のピルはさらにホルモン量を抑えた超低用量のものもあります。
ホルモン量が少ないほど、吐き気や頭痛などの副作用のリスクも低くなりますので、最近では出来るだけホルモン量が少ないタイプのピルを選択するケースが増えてきました。
生理不順の治療にピルを使うのは、次のようなケースです。
*多のう胞性卵巣症候群による生理不順
*生理不順に伴ってニキビなどの肌荒れが気になっている
*受験やスポーツなど生理の日を確実にコントロールしておきたい
*生理不順だけではなく生理痛やPMSも気になっている
*子宮内膜症がある
逆に、ピルを使わない方がいいのは次のようなケースです。
*前兆を伴う片頭痛がある
*血栓症の既往や家族歴がある
*その他ピルの禁忌事項に当てはまっている
*体重減少による無月経
*LHが低値になっているタイプの生理不順
ピルは万能ではありませんが、生理不順も生理痛も過多月経もまとめて改善したい!という場合に便利な選択肢の一つです。
「ピルを飲んではいけない」という条件に当てはまっていなければ、生理をコントロールする方法として試してみてもよいでしょう。
ピルの処方には、必ず医師の診断が必要です。
通常のピル処方時の流れは、下記のような手順になります
1)問診票記入
2)血圧測定
3)医師との面談
4)必要に応じて検査
5)ピルの飲み方や副作用の説明
生理不順で「いつ出血するかわからない」状態を放置するより、ピルでしっかり出血のタイミングをコントロールした方が、生活の質も上がる可能性が高いでしょう。まずは婦人科で相談してみて下さい。
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日付:2025年6月23日 カテゴリー:生理不順
「妊活」って何をすること?
妊活は特別なこと?(横浜市の婦人科)
時々、患者様からも、「そろそろ妊活を始めようと思うんですけれど何から始めたらいいですか?」と聞かれることがあります。
医学的に「妊活」の定義がないので、あくまで一般用語として使われている「妊活」の定義を見てみると、「妊娠を希望しているカップルが妊娠するために行う活動全般」なのだそうです。
では、「妊娠を希望しているカップルが妊娠するために行う活動」とは何でしょうか?
医学的には、「避妊せずに妊娠しやすい時期に性行為を行う」。
これだけです。
そして、何らかの理由で、ただ性行為を行うだけでは妊娠に至らない方が行うのが「不妊治療」です。
「妊活」を意識したらまずすること(横浜市の婦人科)
医学的にみると、これ以上の「妊活」はないのですが、一般の方が「妊活」として意識されていることはおそらく次のようなことかなと思われます。
*妊娠前に健診や検診を受けておく
*食生活に気を付ける
*運動習慣をつける
*サプリメントを飲む
*体を温める(温活?)
*腸の環境を整える(腸活?)
少しナチュラル思考の方だと
*コーヒーをやめてハーブティーを飲む
*使い捨てナプキンをやめて布ナプキンにする
*あらゆる薬をやめる
なども「妊活」に入ってくるのかもしれませんね。
もちろん、これらは、妊娠を意識した時点で「それをやっていなければ」やっておいた方がいいことに入るでしょう。
でも、健診を受けたり食事や運動の習慣を整えたりすることは「妊活のため」に「特別に」必要なことでしょうか?
日ごろから意識する必要はないけれど、妊娠を前提にした時点で意識した方がいいのは「葉酸をサプリメントで摂取する」ことくらいです。
他は、妊娠を希望しているかどうかは関係なく「健康を維持するうえで」大事なことなのです。
これらの「日頃からやっておいた方がよいこと」を、わざわざ「妊活」として意識しすぎると、実は妊娠が遠ざかってしまうのです。
なぜ「妊活」を意識しすぎると逆効果なのか?(横浜市の婦人科)
例えば、日頃からコツコツと勉強している人は、試験前に慌てて「勉強しなきゃ!」とは思わないわけですよね。
試験で必要な得点をとることを「余裕でしょ」と認識している人は、「勉強頑張らないと!」とは思わないわけですよね。
慌てて、「何からしたらいいんだ~」と徹夜で勉強するのはどういう時でしょうか?
もう、「妊活」を意識しすぎると、逆に妊娠しにくくなる理由がお分かりですよね。
妊娠するために「特別なこと」をしようとすると、脳は「あなたは妊娠が日常の流れの中で自然に起きるものだとは考えていないのですね」と認識します。
妊娠が、「非日常」で「特別なもの」だと認識されたり、「日頃から妊娠しやすい体作りをしていない」と認識されると、妊娠は「難しいもの」になってしまうのです。
あなたにとって「妊活」で行うことが、日常的に当たり前にするには、日墓どのように過ごしたらいいのかを考えてみましょう。
日付:2025年6月23日 カテゴリー:不妊症
ピルは生理痛に効かない?生理痛のホルモン治療の効果【横浜で評判の婦人科】
生理痛の治療にピルは有効?(横浜市の婦人科・女医が解説)
漢方では効果がイマイチだったり、月経量が極端に多い人の場合有効なのが低用量ピル・超低用量ピルです。
ピルは卵巣から出ている2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)が合成されて作ってあるホルモン剤で、元々は避妊のために作られたものです。避妊目的、つまり「健康な女性が長期間使う」ということを前提に開発されたものなので、普通の薬よりも非常に厳しく安全性をチェックしてあります。
ピル=副作用、というイメージがあるかもしれませんが、実際は「ピルを飲んではいけない人」に当てはまっていなければ、大きな副作用はなく、長期間安全に飲める薬です。
ピルが生理痛に効く理由(横浜市の婦人科で相談を)
ピルを飲むと、だんだん月経量が少なくなってきます。これは、ピルに「子宮内膜」をあまり分厚くさせない作用があるからです。ピルに含まれている「黄体ホルモン」が、子宮内膜に働きかけて、内膜の厚みを薄く保ちます。
痛みの伝達物質=プロスタグランジンを作る場所である子宮内膜が薄いままだと、プロスタグランジンはあまり作られないので痛みも軽くなります。しかも出血が少ないと子宮があまり強く収縮しないので、さらに痛みは出現しにくくなります。
ピルは子宮内膜症が進むのを防いだり、粘膜下筋腫で出血量が増えてしまうのを防いだりする働きもあるので、これらの病気があって生理痛がひどくなっている人にもとても有効です。
ピルを飲んでいるのに生理痛がひどい場合(横浜市の婦人科)
ただ、内膜症のせいで生理痛がひどくなっている人の場合、ピルだけでは効果が不十分なこともあります。ピルを飲んでいるのに生理痛がひどい、または、ピルを飲み始めてからの方が生理痛がひどくなったという方もいらっしゃいます。
ピルで出血のコントロールはしっかりできているという場合は、ピルを連続服用することによって、生理の回数そのものを減らしていくというのも一つの方法です。生理が来ると痛いけれど、その回数が年に3~4回であれば、日常生活には大きな支障をきたさずに済むという場合は、連続服用できるピルを選んでみるとよいでしょう。
ピルを3ヶ月以上飲んでも痛みが改善しない場合は、黄体ホルモン剤や月経を止める治療に切り替えていった方がいいこともあるので、主治医とよく相談してみましょう。
内膜症や筋腫がある人は、手術という選択肢もあります。特に、粘膜下筋腫や子宮腺筋症の場合、その病変部分を切り取ることでずい分楽になることもありますから、手術以外の治療がどれも無効だった場合はやはり手術を考えていった方がいいでしょう。
ピルを中止すると生理痛は元に戻る?(横浜駅近くの婦人科)
ピル中止後の生理は、
*ピル服用中よりは痛いけれど痛み止めが要らないくらい
*最初の3か月くらいは軽いけれど徐々に元の痛みに戻る
*中止して次の生理からかなり痛い
のだいたい3パターンです。
2番目や3番目のケースでは、ピル再開を希望されることが多いので、休薬後の再開時に血栓症リスクに注意が必要なことをご説明した上で、再開していただきます。
理想的には、ピルを服用中に、生理痛の原因となるような生活習慣を改善して、ピルをやめた時に「元に戻る」ことを防いでいけるのがよいでしょう。
日付:2025年6月23日 カテゴリー:婦人科の病気,生理痛
かゆみやおりものは性病?
外陰部のかゆみが「性病」とは限らない(横浜駅近くの婦人科)
外陰部の痒みは、カンジダ腟炎などの雑菌による炎症が原因となる事もあれば、ナプキンかぶれやかみそり負けなど物理的な刺激によるものが原因となる事もあります。
もちろん、ヘルペスなどの性感染症によって皮膚の症状が出ていることもありますが、どちらかというと雑菌が原因となっているケースの方が多くなります。
最近は、VIOの脱毛を受ける方も増えてきているので、脱毛前の自己処理や光脱毛後の乾燥などで痒みを引き起こしてしまうケースもあるようですね。
外陰部に症状が出ると、「性病なのではないか?」という不安を抱える方もいらっしゃいます。
痒みと一緒に、おりものの異常もでたりすると、いろいろ心配になるかもしれません。
実際は、痒みを引き起こす原因として多いのは、カンジダ腟炎や接触性皮膚炎なので、「性病」であるケースはどちらかというと少ないのですが。
時々、痒みが気になるということで検査を行うと、クラミジアやヘルペスが陽性で出る場合もあります。
自覚症状が出にくい性感染症(性病)もあるので、症状の有無や、どのような症状があるかだけで、性感染症の可能性について判断することはできません。
外陰部の痒みに市販薬を使ってもよい?(横浜市の婦人科)
外陰部の痒みに対して使用できる市販薬があります。
これらは、ドラッグストアで自分で購入できるものです。
「デリケートゾーン用」と書いてある軟膏は、多くの場合、かゆみを抑える成分がメインの軟膏です。塗ると少しスースーする感じが出るものもあるので、塗った時に刺激が強いと感じたり、逆にしみてしまう場合は使用を控えましょう。
また、明らかにカンジダによる痒みだとわかる場合は、カンジダ腟炎やカンジダ皮膚炎に対する腟剤や軟膏も市販されています。薬局薬剤師さんに相談して、選んでもらってもよいでしょう。
市販薬の中にも「ステロイド」が含まれているものもあります。ナプキンかぶれなどで、炎症がひどくなっている場合は、ステロイドが含まれたものを使用することもありますが、外陰部にステロイドを長期に使用することはあまりお勧めできません。
いずれの市販薬を使用する場合も、3~4日で症状が改善しなかったり、塗ったら悪化してしまう場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。
受診が必要なおりものの異常(横浜駅近くの婦人科)
もちろん、以下のような症状があれば、直ちに受診することをお勧めします。
・痒み
・おりものが多い
・おりものが臭う
・おりものに血液が混ざる
・おりものの色がいつもと異なる
・外陰部がひりひりする
・外陰部にできものができている
たとえこれらの症状がなくても、コンドームを使わずに性行為を行う機会があったり、パートナーが変わったりした時には、定期検査として性感染症の検査を受けておくと安心です。
検査をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
また、セルフチェック(自己検診)キットで陽性が出た場合の治療も承っております。
検査結果がわかるものをご持参いただきましたら、当院で同じ検査を行うのではなく、まず治療を行ってから、治療後の再検査のみを行います。セルフチェック後の治療も保険診療で対応できますので、安心して受診なさってください。
予約専用電話 045-440-5577
日付:2025年6月21日 カテゴリー:おりものの異常,性病
働く女性のためのプレコンセプションケアと妊娠への準備
プレコンセプションケアとは(横浜市の婦人科)
プレコンセプションケアとは、文字通り訳すと「妊娠前のケア」です。具体的には、女性が妊娠する前から、今後の妊娠や出産に備えて行う健康管理のことを指します。
それには、生活習慣の見直しや必要なワクチンの接種、適切な栄養補給などが含まれます。また、既に何らかの疾病を抱えている女性の場合、その管理や治療を適切に行うことも大切なプレコンセプションケアの一環となります。
例え、現在妊活中であったり、近いうちに妊娠を考えている状況ではなくても、プレコンセプションケアを行うことが、妊娠前の年齢の女性にとっては、大きなメリットになると言えます。
プレコンセプションケアの目的(横浜駅近くの婦人科)
プレコンセプションケアの目的は、母体となる女性の健康状態を最適化し、胎児の健康を保つことです。
特に、肥満や喫煙、過度のアルコール摂取などは、女性自身の健康はもちろん、胎児の発育にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、そういったリスクを低減するために、妊娠する前からの健康管理が重要となります。
また、妊娠に関する知識を深め、自身の体や妊娠に対する理解を深めることも大切な目的の一つです。それは、女性が自己の体と健康を守ることができるだけでなく、その結果として安全で健康的な妊娠、出産を迎えることができるからです。
プレコンセプションケアの重要性(女医のみの婦人科)
プレコンセプションケアの重要性は言うまでもありません。
まず一つに、妊娠と出産は女性の体に大きな負担をかけるものです。そのため、それらを無事に乗り越えるためには、妊娠前から体調を整えておく必要があります。そのための手段としてプレコンセプションケアは非常に重要となります。
また、出生前の初期段階で健康状態を管理することで、妊娠初期の流産や先天性異常のリスクを減らすことができます。例えば、妊娠1カ月前から葉酸を1日400㎍ずつサプリメントで摂取することで、胎児の神経管異常(先天的な異常の一つ)のリスクを減らすことができます。
さらに、母親の健康状態が子どもの将来の健康にも影響を及ぼすという研究結果もあるため、母親の健康管理は子どもの健康管理にも直結しているのです。
母体の妊娠前の体重が少なすぎたり、妊娠中の体重増加が不十分だと、胎児の体重が十分に伸びなかったり、その胎児が成人してから生活習慣病になるリスクが高まります。
このように、妊娠のかなり前から、「将来の妊娠を意識した健康プラン」を考えることが、母親本人だけではなく、世代間にわたる健康増進につながるのです。
プレコンセプションケアの対象者(横浜の婦人科)
プレコンセプションケアの対象者は、妊娠を希望しているすべての女性です。
年齢や既婚未婚の有無、既往症の有無を問わず、これから妊娠を予定している女性はすぐにでもプレコンセプションケアを始めることが推奨されます。
また、特に重要とされるのは、遺伝的な疾患の家族歴がある女性や、既に何らかの疾患を持っている女性です。プレコンセプションケアを行うことで、妊娠や出産に関連するリスクを把握し、それらに対する対策を講じることが可能となります。
そのため、これから母となるすべての女性にとって、プレコンセプションケアは必要不可欠なものと言えるでしょう。
日付:2025年6月12日 カテゴリー:不妊症
「天然型黄体ホルモン剤」のメリット
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更年期治療に用いられる「ホルモン補充療法(HRT)」は、足りなくなってきた女性ホルモンを「ほんの少し」補うことによって、ホルモンの変動を緩やかにして、ホルモンの急激な減少に伴う心身の不調を和らげる方法です。
ホットフラッシュや関節痛などの、「更年期障害」の症状を和らげたり、ホルモンの低下に伴う骨密度の低下を緩やかにしたり、女性ホルモンが「守ってくれていた」血管や粘膜や皮膚の状態をよい状態に保ってくれたり、といった様々なメリットがあります。
どの薬にも、「メリットとデメリット」があるように、ホルモン補充療法にも「デメリット」もあります。
例えば、更年期症状を和らげてくれる「卵胞ホルモン(エストロゲン)」には、「血栓症」のリスクを上げるという作用が多少なりともあります。ホルモン量が少なければ少ないほど血栓症リスクは下がるので、ピルであれば低用量や超低用量のものの方が血栓症リスクは下がります。
ホルモン補充療法で使用されるエストロゲン製剤は、ピルと比べれば含まれているホルモン量はとても少ないのですが、それでも血栓リスクが「ゼロ」ではありません。
その血栓リスクをできるだけ上げずに使えるのが「経皮吸収」されるタイプ、つまり貼り薬や塗り薬のホルモン剤です。なので、血栓リスクを考慮してホルモン剤の種類を選ぶと、貼ったり塗ったりするタイプを優先することになります。
更年期の症状を和らげる「だけ」ならエストロゲン製剤だけを使えばいいのですが、そうすると子宮体癌のリスクが上がります。なので、必ず、子宮内膜を守るために「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を一緒に使う必要があります。
プロゲステロン製剤は、一緒に使うことで子宮体癌のリスクを下げてくれるのですが、長期投与によって乳がんリスクが上がるというデメリットがありました。なので、ホルモン補充療法の使用期間は「5年たったらそれ以上長く使うかどうか検討しましょう」ということになっているのです。「5年間までしか使えない」わけではないのですが、これまでは乳がんリスクを考慮すると、5年以上長く使用することが若干ためらわれる現状があったわけです。
昨年発売された「天然型黄体ホルモン剤」は、この「長く使うと乳がんリスクが上がる」というデメリットをなくしたプロゲステロン製剤です。なので、長期間ホルモン補充療法を継続したい人にとっては、より安全に使用し続けるための選択肢が一つひろがったことになります。
発売後1年間は、処方制限(14日分までしかまとめて処方できない)がありますので、今年の11月いっぱいまではまとめて処方することができません。
12月からは、3か月分までまとめて処方できるようになるので、安全にホルモン補充を継続していきたい方は、薬剤の変更を検討してみてもよいかもしれません。
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日付:2023年6月28日 カテゴリー:更年期障害
生理痛はコントロールできる
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先日、生理痛がひどいという10代の患者様がお母様と一緒に受診なさいました。娘さんご本人は、「婦人科に行く」ということ自体に抵抗があったのか、「自分はそこまで生理痛で困っていない」とおっしゃっていましたが、お話を伺うとかなり重度の月経困難症のようでした。
そばで見ているお母様が心配して、受診を促してくださったのですね。お母様ご自身も、若いころ過多月経や月経痛で悩んでいたとのことでした。
「私の時代は生理痛は我慢するしかないと言われていましたけれど、今は生理痛は治療ができると新聞に書いてあったので」
メディアの情報から、「生理痛は我慢するものではなくコントロールできるのだ」ということを知って、娘さんを連れてきてくださったようです。
一昔前までは、生理痛は「病気ではない」という認識だったかもしれません。でも、今は、「ひどい生理痛は内膜症予備軍」という認識で、早めに治療を開始した方がよいと言われています。
超音波検査をして、子宮や卵巣に何もなくても、毎回痛み止めを何度も服用しなければならない痛みがあったり、ナプキンが2~3時間でいっぱいになるような出血量の場合は、治療を開始しておいた方がよいのです。
生理痛の治療方法は
*痛み止めを早めに服用する
*漢方で血行を良くしたり体を温める
*低用量や超低用量のピルを服用する
*黄体ホルモン剤を服用する
*ホルモン付加子宮内避妊具(ミレーナ)を入れる
といった選択肢があります。このうち、内膜症の予防になるのはピルや黄体ホルモン剤による、ホルモン療法です。
最近は、ピルも4カ月や3カ月連続服用できるタイプが主流になってきており、「毎月痛みで寝込む」必要は全くなくなっているのです。
もちろん、ホルモン剤は合う合わないがあり、人によっては副作用が出る場合もあります。片頭痛がある場合、ピルは服用できないケースもありますが、黄体ホルモン剤は片頭痛や肥満でピルが服用できない場合でも使用できます。
初経を迎えて間もなく妊娠・出産・授乳を繰り返していた一昔前とは、月経の回数自体が異なってきています。その分、月経との付き合い方も「現代風」に進化していってよいのではないでしょうか?
当院では、月経困難症の治療薬である保険で処方できるピルを、オンライン診療で処方させていただくことも可能です。
一般的なオンラインピル診療だと自費診療になりますが、クリニックで承る場合は保険診療ですので、費用負担は初診料+ピル代+処方箋の郵送料です。
ピルはジェネリック(後発薬品)を選べば、1か月分が700~850円くらいですので、まずは試してみたいという方はお気軽にご相談ください。
日付:2023年6月26日 カテゴリー:生理痛